2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 診断未確定の性器出血のある患者[病因を見のがすおそれがある。][
8.1参照]
2.3 重度の肝機能障害のある患者[
9.3.1参照]
2.5 生殖器癌の既往歴又は疑いがある患者[症状が悪化するおそれがある。][
15.1.5参照]
2.7 脳出血のある患者[症状が悪化するおそれがある。][
11.1.1参照]
2.8 ポルフィリン症の患者[症状が悪化するおそれがある。]
更年期障害及び卵巣欠落症状に対する卵胞ホルモン剤投与時の子宮内膜増殖症の発症抑制
卵胞ホルモン剤との併用において、以下のいずれかを選択する。
・卵胞ホルモン剤の投与開始日からプロゲステロンとして100mgを1日1回就寝前に経口投与する。
・卵胞ホルモン剤の投与開始日を1日目として、卵胞ホルモン剤の投与15日目から28日目までプロゲステロンとして200mgを1日1回就寝前に経口投与する。これを1周期とし、以後この周期を繰り返す。
食後に本剤を投与した場合、Cmax及びAUCが上昇するとの報告がある。食事の影響を避けるため、食後の服用は避けること。[
16.2参照]
8.1 投与前に病歴、家族素因等の問診、乳房検診並びに婦人科検診(子宮内膜細胞診及び超音波検査による子宮内膜厚の測定を含む)を行い、投与開始後は定期的に乳房検診並びに婦人科検診を行うこと。[
2.2、
2.4、
9.1.6、
15.1.1参照]
8.2 外国において、卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤を長期併用した女性では、乳癌になる危険性がホルモン補充療法(HRT)未実施群の女性と比較して高くなり、その危険性は併用期間が長期になるに従って高くなるとの報告があるので、本剤の使用にあたっては、患者に対し本剤のリスクとベネフィットについて十分な説明を行うとともに必要最小限の使用にとどめ、漫然と長期使用を行わないこと。[
15.1.1参照]
8.3 本剤の服用により、血栓症があらわれることがあるので、次のような症状・状態があらわれた場合は投与を中止すること。また、患者に対しては、次のような症状・状態が認められた場合には直ちに医師等に相談するよう、あらかじめ説明すること。[
9.1.7、
11.1.1参照]
・血栓症の初期症状
下肢の疼痛・浮腫、突然の呼吸困難、息切れ、胸痛、中枢神経症状(めまい、意識障害、四肢麻痺等)、急性視力障害等
・血栓症のリスクが高まる状態
体を動かせない状態、顕著な血圧上昇がみられた場合等
8.4 投与の中止により、不安、気分変化、発作感受性の増大を引き起こす可能性があるので、投与中止の際には注意するよう患者に十分説明すること。
8.5 傾眠状態や浮動性めまいを引き起こすことがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分説明すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 てんかん又はその既往歴のある患者
副腎皮質ホルモン様作用により病態に影響を及ぼすおそれがある。
9.1.2 うつ病又はその既往歴のある患者
注意深く観察し、症状の悪化を認めた場合は投与を中止するなど注意すること。副腎皮質ホルモン様作用により病態に影響を及ぼすおそれがある。
9.1.3 片頭痛、喘息又はその既往歴のある患者
9.1.4 心機能障害のある患者
9.1.5 糖尿病の患者
9.1.6 乳癌家族素因が強い患者、乳房結節のある患者、乳腺症の患者又は乳房レントゲン像に異常がみられた患者
9.1.7 術前又は長期臥床状態の患者
血液凝固能が亢進され、心血管系の副作用の危険性が高くなることがある。[
8.3、
11.1.1参照]
9.2 腎機能障害患者
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者
投与しないこと。作用が増強されるおそれがある。[
2.3参照]
9.3.2 中等度以下の肝機能障害のある患者
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中に移行することがある。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 血栓症(頻度不明)
心筋梗塞、脳血管障害、動脈又は静脈の血栓塞栓症(静脈血栓塞栓症又は肺塞栓症)、血栓性静脈炎、網膜血栓症があらわれたとの報告がある。[
2.6、
2.7、
8.3、
9.1.7参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 1%以上 | 0.1〜1%未満 | 頻度不明 |
心臓障害 | | 動悸、右脚ブロック、洞性不整脈 | |
耳及び迷路障害 | 回転性めまい | | |
眼障害 | | 眼充血、眼瞼皮膚乾燥 | 視覚障害 |
胃腸障害 | 下腹部痛、腹部膨満、便秘、悪心、腹部不快感 | 上腹部痛、腹痛、軟便、下痢、口唇乾燥、口腔内不快感、痔核、舌痛 | 嘔吐 |
肝胆道系障害 | | | 胆汁うっ滞性黄疸 |
一般・全身障害及び投与部位の状態 | 末梢性浮腫 | 異常感、口渇、顔面浮腫、胸痛、胸部不快感、倦怠感、熱感、発熱、末梢腫脹 | |
感染症及び寄生虫症 | | 外陰部腟カンジダ症、毛包炎 | |
臨床検査 | | ALP上昇、CK上昇、脂質増加、白血球数増加、γ-GTP増加 | |
代謝及び栄養障害 | | 食欲減退、食欲亢進 | |
筋骨格系及び結合組織障害 | 背部痛 | 関節腫脹、四肢不快感 | |
良性、悪性及び詳細不明の新生物(嚢胞及びポリープを含む) | | 子宮平滑筋腫 | |
神経系障害 | 頭痛、浮動性めまい、傾眠 | 感覚鈍麻、神経痛、注意力障害、頭部不快感 | |
精神障害 | | 抑うつ気分 | うつ病 |
腎及び尿路障害 | | 夜間頻尿 | |
生殖系及び乳房障害 | 不正子宮出血(33.5%)、乳房不快感、腟分泌物、乳房痛、外陰腟そう痒症 | 子宮頚管ポリープ、乳房圧痛、線維嚢胞性乳腺疾患、子宮ポリープ、子宮頚管分泌、性器分泌物、乳頭痛 | |
呼吸器、胸郭及び縦隔障害 | | 口腔咽頭痛、鼻乾燥 | |
皮膚及び皮下組織障害 | | そう痒症、湿疹、アレルギー性皮膚炎、紅斑、ざ瘡、脂漏性皮膚炎、蕁麻疹、日光皮膚炎、発疹 | 肝斑 |
免疫系障害 | | | アナフィラキシー反応 |
血管障害 | | 高血圧 | |
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
18.1 作用機序
プロゲステロンは、子宮内膜上皮細胞に発現するプロゲステロン受容体に結合してエストロゲン受容体の遺伝子発現を抑制すること、及び子宮内膜間質細胞に発現するプロゲステロン受容体に結合して線維芽細胞増殖関連因子の産生を抑制することにより、エストロゲン受容体が制御する細胞増殖関連因子の産生を抑制し、卵胞ホルモンによる子宮内膜上皮細胞の増殖を抑制すると考えられる。
18.2 子宮内膜増殖抑制作用
卵巣摘出マウスにおいて、プロゲステロンは、5日間反復皮下投与することでエストロゲンによる子宮内膜上皮細胞の増殖を抑制した
21)。ウサギにおいても、単回又は2日間反復筋肉内投与によって、エストロゲンによる子宮腺上皮細胞の増殖を抑制した
22)。
卵巣摘出マウスにおいて、プロゲステロンは、3週間持続皮下投与することでエストロゲンによる子宮重量増加及び子宮内膜上皮細胞の増殖を抑制した
23)。ウサギにおいて、40日間反復筋肉内投与することでエストロゲンによる子宮内膜増殖症の発症を抑制した
24)。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。