野生型又は変異型のトランスサイレチン型心アミロイドーシス患者
注1)「全集団441例(野生型:タファミジスメグルミン併合群201例、プラセボ群134例、変異型:タファミジスメグルミン併合群63例、プラセボ群43例)、うち日本人患者17例[すべて野生型(タファミジスメグルミン併合群12例、プラセボ群5例)]」を対象とした、30ヵ月間の二重盲検プラセボ対照試験(タファミジスメグルミン80、20mg及びプラセボを1日1回投与)を実施した。タファミジスメグルミン併合群(タファミジスメグルミン80及び20mg群)は264例(タファミジスメグルミン80mg群は176例、20mg群は88例)、プラセボ群は177例であった。日本人症例は、タファミジスメグルミン併合群は12例(80mg群は10例、20mg群は2例)、プラセボ群は5例であった。主要評価項目である死因を問わない死亡及び心血管事象に関連する入院頻度を組み合わせた評価項目において、タファミジスメグルミン併合群でプラセボ群と比べて統計的に有意な差が認められた(p=0.0006、Finkelstein-Schoenfeld法)。
表3 トランスサイレチン型心アミロイドーシスにおけるタファミジスメグルミンの有効性(30ヵ月時)
| タファミジスメグルミン併合群 (n=264) | プラセボ群 (n=177) |
30ヵ月時点の生存症例数(%)a,b) | 186(70.5%) | 101(57.1%) |
1年あたりの心血管事象に関連して入院した回数(平均値)a,b,c) | 0.297 | 0.455 |
p値d) | 0.0006 |
タファミジスメグルミンの用量別の探索的解析では、30ヵ月時点の生存割合はタファミジスメグルミン80mg群69.3%(122/176例)、タファミジスメグルミン20mg群72.7%(64/88例)、生存例における心血管事象に関連する平均入院頻度は、タファミジスメグルミン80mg群で0.339回/年、タファミジスメグルミン20mg群で0.218回/年であった。
ベースラインのNYHA心機能分類別の探索的解析の結果、30ヵ月時点の生存割合はNYHA心機能分類I・II度の集団でタファミジスメグルミン併合群81.2%(151/186例)、プラセボ群67.5%(77/114例)、NYHA心機能分類III度の集団でタファミジスメグルミン併合群44.9%(35/78例)、プラセボ群38.1%(24/63例)、生存例における心血管事象に関連する平均入院頻度は、NYHA心機能分類I・II度の集団でタファミジスメグルミン併合群0.246回/年、プラセボ群0.457回/年、NYHA心機能分類III度の集団でタファミジスメグルミン併合群0.516回/年、プラセボ群0.447回/年であった。
安全性評価対象例264例(日本人患者12例を含む)中、副作用(臨床検査値異常を含む)の発現症例は113例(42.8%)であった。主な副作用は下痢16例(6.1%)、悪心11例(4.2%)及び尿路感染10例(3.8%)であった
18)。[
5.3、
5.4参照]
注1)主な選択基準は以下のとおりであった。
NYHA心機能分類I度〜III度で、少なくとも1回の心不全による入院歴がある患者又は入院歴がなくとも利尿薬による治療歴のある循環血流量増加若しくは心内圧亢進の所見を伴う心不全を有する患者
野生型
・TTR遺伝子変異を有さない
・組織生検によるアミロイド沈着が認められる
・免疫組織染色、質量分析法等によりアミロイド前駆タンパク質がTTRであると同定される
・心エコーによる拡張末期の心室中隔厚が12mm超
変異型
・心筋症症状及び心筋症と関連するTTR遺伝子変異を有する
・組織生検によるアミロイド沈着が認められる
・心エコーによる拡張末期の心室中隔厚が12mm超
タファミジス遊離酸61mgの投与を受け、少なくとも1回以上安全性評価を受けた野生型又は変異型のトランスサイレチン型心アミロイドーシス患者
注4)[安全性解析対象集団:全集団587例(野生型508例、変異型79例)、うち日本人患者29例(すべて野生型)含む]において、主要評価項目である有害事象(臨床検査値異常を含む)の発現割合は、68.8%(404/587例)であり、副作用(臨床検査値異常を含む)の発現割合は、9.0%(53/587例)であった。主な副作用は下痢10例(1.7%)、疲労6例(1.0%)及び浮動性めまい5例(0.9%)であった
19)。[
5.3-
5.5参照]
注2)本剤の一般名はタファミジスであるが、タファミジスメグルミンと区別するため、本剤をタファミジス遊離酸と記載した。
注3)データカットオフ時点のタファミジス遊離酸61mgの平均投与期間は149.32日であった。
注4)主な選択基準は以下のとおりであった。
17.1.1に示す国際共同第III相試験で30ヵ月間の治療を完了した患者又は以下の記録を有する患者で、NYHA心機能分類I度〜IV度の所見が認められる患者
・トランスサイレチン型アミロイドーシスの遺伝子検査の記録
・トランスサイレチン型心アミロイドーシスの診断及び基準に使用した記録
・原発性(軽鎖)アミロイドーシスが評価され除外された記録