<骨髄異形成症候群>
17.1.1 国内第I/II相試験
本剤75mg/m
2を1日1回7日間(28日毎)皮下投与又は10分かけて点滴静注した。4サイクル及び最終サイクル終了時に有効性(主要評価項目:血液学的改善)を評価し、4サイクル終了時に血液学的改善以上の有効性が認められた患者については、最大18サイクルまで投与継続可能と規定した。
投与例53例の成績(最良総合効果)を下表に示す
13)。
試験対象患者注1)
・FAB分類によるMDS(RA、RARS、RAEB、RAEB-T)
・RA及びRARSの場合、ヘモグロビン<10g/dLかつ3ヵ月以内の赤血球輸血歴、血小板数<50,000/mm3もしくは出血症状、又は好中球数<1,000/mm3かつ易感染状態のうち、一つ以上該当
・RAEB-Tの場合、二次性(治療関連)MDSは対象外
血液学的寛解及び血液学的改善率 | 全例(n=53) | IPSS分類注2) |
Low(n=0) | Int-1注3)(n=23) | Int-2注4)(n=15) | High(n=15) |
寛解(CR+PR+marrowCR) | 28.3%(15/53) | − | 21.7(5/23) | 33.3(5/15) | 33.3(5/15) |
完全寛解(CR) | 15.1%(8/53) | − | 17.4(4/23) | 13.3(2/15) | 13.3(2/15) |
部分寛解(PR) | 0%(0/53) | − | 0(0/23) | 0(0/15) | 0(0/15) |
骨髄寛解(marrowCR) | 13.2%(7/53) | − | 4.3(1/23) | 20.0(3/15) | 20.0(3/15) |
血液学的改善 | 54.9%(28/51) | − | 60.9(14/23) | 46.2(6/13) | 53.3(8/15) |
赤血球系改善 | 45.7%(21/46) | − | 47.6(10/21) | 41.7(5/12) | 46.2(6/13) |
血小板系改善 | 66.7%(22/33) | − | 62.5(10/16) | 71.4(5/7) | 70.0(7/10) |
好中球系改善 | 48.3%(14/29) | − | 30.0(3/10) | 55.6(5/9) | 60.0(6/10) |
副作用は、53例中53例(100.0%)に認められた。主な副作用は、好中球減少症(発熱性好中球減少症を含む)47例(88.7%)、血小板減少症46例(86.8%)、白血球減少症45例(84.9%)、ヘモグロビン減少39例(73.6%)、便秘37例(69.8%)、赤血球減少症、注射部位反応(紅斑、発疹、そう痒感、硬結等)各36例(67.9%)、ヘマトクリット減少32例(60.4%)、リンパ球減少症28例(52.8%)、倦怠感27例(50.9%)、発熱22例(41.5%)、ALT増加、食欲不振各20例(37.7%)、発疹、ALP増加各19例(35.8%)、AST増加、血中アルブミン減少各18例(34.0%)であった。[5.参照]
17.1.2 外国第III相比較試験(AZA-001試験)
本剤は単独で75mg/m
2を1日1回7日間(28日毎)皮下投与された。投与期間は最低6サイクル、疾患の増悪や治療継続困難な有害事象の発現が認められない限り投与継続可能と規定した。
358例がAZA(本剤)群179例、CCR
注5)(通常治療)群179例に割り付けられた。
試験対象患者注1)
・IPSSでInt-2又はHighかつFAB分類でRAEB又はRAEB-T
・IPSSでInt-2又はHighかつ以下の基準に該当するmodified CMML
末梢血単球数>1×109/L、白血球数<13×109/L、骨髄所見で一系統以上の異形成、骨髄芽球10〜29%
・造血幹細胞移植を行う見込みのない患者
・二次性(治療関連)MDSは対象外
主要評価項目である生存期間(中央値)は、CCR群15.02ヵ月に対し、AZA群24.46ヵ月であり9.44ヵ月の差が認められた(層別ログランク検定、p=0.0001)
14)。
AZA-001試験の生存期間のカプランマイヤー曲線
| 治療群 | 全例 | IPSS分類注2) |
Int-2注4) | High |
生存期間[ヵ月](例数) | AZA | 24.46(179) | 34.7(76) | 19.2(82) |
CCR | 15.02(179) | 16.9(70) | 14.5(85) |
副作用は、175例中169例(96.6%)に認められた。主な副作用は、血小板減少症90例(51.4%)、好中球減少症83例(47.4%)、注射部位紅斑73例(41.7%)、悪心71例(40.6%)、貧血55例(31.4%)であった。[5.参照]
<急性骨髄性白血病>
17.1.3 国内第II相比較試験(NS17A-P2試験)
65歳以上で造血幹細胞移植の適応とならない未治療の急性骨髄性白血病(AML)に対し、本剤75mg/m
2を1日1回7日間(28日毎)皮下投与又は点滴静注した。
主解析対象を予後不良集団(FASU)
注6)とし、該当する28例がAZA(本剤)群14例、CCR
注7)(通常治療)群14例に割り付けられた。また、予後不良集団以外の未治療AMLにおいては、全例(16例)に本剤を投与した。
主要評価項目である全生存期間(中央値)は、主解析対象とされた予後不良集団(FASU)(本剤群14例、CCR群14例)において、CCR群8.8ヵ月(95%信頼区間:1.2ヵ月〜NA)に対し、AZA群9.6ヵ月(95%信頼区間:4.9〜18.7ヵ月)であり、事前に設定した達成基準
注8)を満たさなかった(ハザード比:1.04、95%信頼区間:0.43〜2.56、ログランク検定、p=0.9250)
注9)。なお、FASUから中央診断で予後不良と判断されなかった症例(2例)を除いた集団(mFAS)及びmFASのうち、強力な寛解導入療法の適応とならない患者集団における結果は下表のとおりであった。
| 全体 | IC不適応注10) |
治療群 | AZA | CCR | AZA | CCR |
例数 | 14 | 12 | 11 | 9 |
中央値(月) | 9.6 | 5.3 | 12.3 | 5.6 |
ハザード比[95%信頼区間] | 0.82[0.33,2.03] | 0.71[0.25,2.05] |
p値注11) | 0.664 | 0.529 |
副作用は、30例中27例(90.0%)に認められた。主な副作用は、発熱性好中球減少症12例(40.0%)、血小板減少症11例(36.7%)、好中球減少症8例(26.7%)、貧血8例(26.7%)、便秘6例(20.0%)、注射部位反応6例(20.0%)及び食欲減退6例(20.0%)であった。[5.参照]
17.1.4 外国第III相比較試験(AZA-AML-001試験)
65歳以上で造血幹細胞移植の適応とならない未治療のAMLに対し、本剤75mg/m
2を1日1回7日間(28日毎)皮下投与した。488例がAZA(本剤)群241例、CCR
注12)(通常治療)群247例に割り付けられた。主要評価項目である全生存期間(中央値)は、CCR群6.5ヵ月(95%信頼区間:5.0〜8.6ヵ月)に対し、AZA群10.4ヵ月(95%信頼区間:8.0〜12.7ヵ月)であり(ハザード比:0.85、95%信頼区間:0.69〜1.03、層別ログランク検定、p=0.1009)、AZA群はCCR群に対して統計学的に有意な延長を示さなかった
15),注13)。
なお、強力な寛解導入療法の適応とならない患者集団(本剤群198例、CCR群203例)における全生存期間(中央値)は、CCR群5.7ヵ月(95%信頼区間:4.3〜7.1ヵ月)に対し、AZA群9.9ヵ月(95%信頼区間:7.0〜12.6ヵ月)であった(ハザード比:0.84、95%信頼区間:0.68〜1.05、ログランク検定、p=0.1220)。
AZA-AML-001試験の全生存期間のカプランマイヤー曲線
副作用は、236例中188例(79.7%)に認められた。主な副作用は、悪心64例(27.1%)、好中球減少症47例(19.9%)及び血小板減少症41例(17.4%)であった。[5.参照]
17.1.5 国際共同第III相比較試験(Viale-A[M15-656]試験)
強力な寛解導入療法の適応とならない未治療のAML患者に対し、ベネトクラクスとの併用(AZA+V群)又はプラセボとの併用(AZA+P群)で、本剤75mg/m
2を1日1回7日間(28日毎)皮下投与又は静脈内投与した。ベネトクラクス及びプラセボは、第1、2及び3日目にそれぞれベネトクラクス100、200及び400mg又はプラセボを1日1回食後に経口投与した後、ベネトクラクス400mg又はプラセボを1日1回継続投与した。
433例(日本人患者37例を含む)がAZA+V群287例、AZA+P群146例に割り付けられた。
主要評価項目である全生存期間(中央値)は、AZA+P群9.6ヵ月(95%信頼区間:7.4〜12.7ヵ月)に対し、AZA+V群14.7ヵ月(95%信頼区間:11.9〜18.7ヵ月)であり(ハザード比:0.662、層別ログランク検定、p<0.001)、AZA+V群はAZA+P群に対して統計学的に有意な延長を認めた
16),注14)。もう1つの主要評価項目である治験責任医師判定の複合的完全寛解(完全寛解[CR]+血球数回復が不完全な完全寛解[CRi])率は、AZA+P群25.3%(20/79例、95%信頼区間:16.2〜36.4%)に対し、AZA+V群で65.3%(96/147例、95%信頼区間:57.0〜73.0%)であり(Cochran-Mantel-Haenszel検定、p<0.001)、AZA+V群はAZA+P群に対して統計学的に有意に高値であった
注15)。
Viale-A試験の全生存期間のカプランマイヤー曲線
副作用は、本剤が投与された427例中354例(82.9%)に認められた。主な副作用は、血小板減少症134例(31.4%)、好中球減少症128例(30.0%)及び悪心123例(28.8%)であった注14)。[5.参照]
注1)RA:不応性貧血、RARS:鉄芽球性不応性貧血、RAEB:芽球増加を伴う不応性貧血、RAEB-T:移行期の芽球増加を伴う不応性貧血、CMML:慢性骨髄単球性白血病
注2)国際予後スコアリングシステム
注3)Intermediate-1
注4)Intermediate-2
注5)CCR(conventional care regimen):支持療法単独105例/少量シタラビン49例/シタラビン+アントラサイクリン25例
注6)予後不良集団:以下のいずれかに該当するAML
・WHO分類による骨髄異形成関連変化を伴うAML
・NCCNガイドラインによる予後不良の細胞遺伝学的異常を有するAML
注7)CCR(conventional care regimen):支持療法単独1例/少量シタラビン10例/シタラビン+アントラサイクリン3例
注8)達成基準は、本薬群のCCR群に対するハザード比が1未満であることとされた。
注9)データカットオフ日:2020年4月24日
注10)強力な寛解導入療法の適応とならない患者
注11)ログランク検定
注12)CCR(conventional care regimen):支持療法単独45例/少量シタラビン158例/シタラビン+アントラサイクリン44例
注13)データカットオフ日:2014年1月22日
注14)データカットオフ日:2020年1月4日
注15)データカットオフ日:2018年10月1日