2.1 出血している患者(血友病、毛細血管脆弱症、消化管潰瘍、尿路出血、喀血、硝子体出血等)[止血が困難となるおそれがある。]
2.2 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
適用の前に十分な検査を実施し、高脂血症であることを確認すること。
通常、成人にはオメガ-3脂肪酸エチルとして1回2gを1日1回、食直後に経口投与する。ただし、トリグリセライド高値の程度により1回2g、1日2回まで増量できる。
8.1 あらかじめ生活習慣の改善指導を行い、更に高血圧、喫煙、糖尿病等の冠動脈疾患の危険因子の軽減等も十分に考慮すること。
8.2 本剤投与中は血中脂質値を定期的に検査し、治療に対する効果が認められない場合には投与を中止すること。
8.3 本剤投与中にLDLコレステロール値上昇の可能性があるため、投与中はLDLコレステロール値を定期的に検査すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 出血の危険性の高い患者(重度の外傷、手術等)
9.3 肝機能障害患者
肝機能検査(AST、ALT等)を行うことが望ましい。[
11.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物試験(ラット)で乳汁中に移行することが知られている。
9.7 小児等
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 肝機能障害、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、AL-P、γ-GTP、LDH、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。[
9.3参照]
11.1.2 心房細動、心房粗動(頻度不明)
イコサペント酸エチル(4g/日)の海外臨床試験において、入院を要する心房細動又は心房粗動のリスク増加が認められたとの報告がある
1)。また、イコサペント酸エチルを含むオメガ-3脂肪酸の国内外臨床試験において、心房細動のリスク増加が認められたとの報告がある
2)3)。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 1〜5%未満 | 1%未満 | 頻度不明 |
過敏症 | | 発疹、薬疹、そう痒 | |
代謝 | | 高血糖 | 痛風 |
神経系障害 | | めまい、頭痛 | 味覚異常 |
血管障害 | | | 低血圧 |
呼吸器 | | 鼻出血 | |
消化器 | 下痢 | 悪心、腹痛、おくび、腹部膨満、便秘、鼓腸 | 消化不良、胃食道逆流性疾患、嘔吐、胃腸出血 |
肝臓 | | 肝機能障害(AST、ALTの上昇) | |
14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 本剤は空腹時に投与すると吸収が悪くなるため食直後に服用させること。
14.1.2 本剤は噛まずに服用させること。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男性(11例)にオメガ-3脂肪酸エチル
注)として2g又はプラセボを朝食直後に単回経口投与した時のイコサペント酸及びドコサヘキサエン酸の薬物動態パラメータは以下のとおりである
4)。
| AUC0-24(μg・hr/mL) | Cmax(μg/mL) | Tmax(hr) |
イコサペント酸 | オメガ-3脂肪酸エチル(8例) | 916.0±186.4 | 58.1±18.5 | 6.0(4-6) |
プラセボ(3例) | 411.3±59.5 | 20.7±2.3 | 1.0(0-2) |
ドコサヘキサエン酸 | オメガ-3脂肪酸エチル(8例) | 2254.0±348.0 | 115.0±21.0 | 6.0(1-24) |
プラセボ(3例) | 1883.0±225.5 | 89.7±12.2 | 1.0(0-1) |
16.1.2 反復投与
血清中トリグリセライドが高値の患者(415例)にオメガ-3脂肪酸エチル
注)として1回2gを1日1回又は1日2回12週間経口投与した時、イコサペント酸及びドコサヘキサエン酸の血漿中濃度はいずれの投与方法においても投与前と比べて投与4週後には増加を示し、4週以降ほぼ一定に推移した
5)。
16.1.3 生物学的同等性試験
(1)イコサペント酸エチル
オメガ-3脂肪酸エチル粒状カプセル2g「YD」とロトリガ粒状カプセル2gをクロスオーバー法によりそれぞれ1包(オメガ-3脂肪酸エチルとして2g)、健康成人男性43名に食直後単回経口投与して血漿中イコサペント酸濃度を測定した。投与前値で補正した値より得られた薬物動態パラメータ(ΔAUC、ΔCmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された
6)。
| 判定パラメータ | 参考パラメータ |
ΔAUC0-48(μg・hr/mL) | ΔCmax(μg/mL) | ΔTmax(hr) | Δt1/2(hr) |
オメガ-3脂肪酸エチル粒状カプセル2g「YD」 | 1332.2±657.7 | 91.0±33.6 | 6.3±1.7 | 41.8±35.1※1 |
ロトリガ粒状カプセル2g | 1328.7±645.3 | 91.7±31.5 | 5.9±1.0 | 43.3±43.9※2 |
血漿中濃度並びにΔAUC、ΔCmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
(2)ドコサヘキサエン酸エチル
オメガ-3脂肪酸エチル粒状カプセル2g「YD」とロトリガ粒状カプセル2gをクロスオーバー法によりそれぞれ1包(オメガ-3脂肪酸エチルとして2g)、健康成人男性118名に食直後単回経口投与して血漿中ドコサヘキサエン酸濃度を測定した。投与前値で補正した値より得られた薬物動態パラメータ(ΔAUC、ΔCmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された
6)。
| 判定パラメータ | 参考パラメータ |
ΔAUC0-14(μg・hr/mL) | ΔCmax(μg/mL) | ΔTmax(hr) | Δt1/2(hr) |
オメガ-3脂肪酸エチル粒状カプセル2g「YD」 | 309.0±195.5 | 77.8±31.3 | 5.7±1.2 | 2.1±3.0※3 |
ロトリガ粒状カプセル2g | 308.6±205.5 | 76.6±31.5 | 5.6±1.1 | 2.1±1.6※3 |
血漿中濃度並びにΔAUC、ΔCmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.3 分布
16.3.1 蛋白結合率
[
14C]イコサペント酸及び[
14C]ドコサヘキサエン酸を20及び200μg/mLの濃度でヒト血漿に添加した時の蛋白結合率は[
14C]イコサペント酸及び[
14C]ドコサヘキサエン酸ともに99%以上であった
7)(
in vitro)。
16.4 代謝
16.4.1 イコサペント酸エチル及びドコサヘキサエン酸エチルは小腸において加水分解を受けた後、トリグリセライドやリン脂質等に構成脂肪酸として取り込まれ各組織へ移行する
8)9)10)11)12)。
16.4.2 イコサペント酸及びドコサヘキサエン酸(2〜200μmol/L)はCYP2C9及びCYP2C19に対し阻害作用を示すとの報告があるが、ヒト血漿中の総イコサペント酸及び総ドコサヘキサエン酸に占める遊離脂肪酸の割合は低く、臨床上問題となる影響を及ぼす可能性は低いと考えられた。
また、イコサペント酸及びドコサヘキサエン酸のCYP1A及びCYP3A誘導作用を検討した結果、イコサペント酸及びドコサヘキサエン酸ともに最高濃度の500μg/mLまでCYP誘導作用は認めなかった
13)14)(
in vitro)。
16.5 排泄
主としてミトコンドリアにおけるβ酸化によりアセチルコエンザイムA(アセチルCoA)に代謝されTCA回路を経由して最終的にCO
2及びH
2Oとなり、主に呼気から体外に排泄される
10)11)12)。
16.7 薬物相互作用
オメガ-3脂肪酸エチルとシンバスタチン、アトルバスタチン又はロスバスタチンとの薬物間相互作用を空腹時単回投与により検討したが、オメガ-3脂肪酸エチルはいずれのHMG-CoA還元酵素阻害薬の血中濃度にも影響を及ぼさなかった
15)16)17)(外国人データ)。
注)薬物動態の評価はイコサペント酸エチル及びドコサヘキサエン酸エチルの代謝物であるイコサペント酸及びドコサヘキサエン酸を用いた。