医療用医薬品 : タクザイロ

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医薬品情報


総称名 タクザイロ
一般名 ラナデルマブ(遺伝子組換え)
欧文一般名 Lanadelumab(Genetical Recombination)
製剤名 ラナデルマブ(遺伝子組換え)皮下注
薬効分類名 遺伝性血管性浮腫発作抑制用 血漿カリクレイン阻害剤
完全ヒト型抗ヒト血漿カリクレインモノクローナル抗体
薬効分類番号 4490
ATCコード B06AC05
KEGG DRUG
D11094 ラナデルマブ
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年6月 改訂(第3版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
タクザイロ皮下注300mgシリンジ TAKHZYRO subcutaneous injection 300mg syringes 武田薬品工業 4490407G1023 1288729円/筒 生物由来製品, 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制

5. 効能または効果に関連する注意

臨床試験において、侵襲を伴う処置による急性発作の発症抑制に対する有効性及び安全性は検討されていない。

6. 用法及び用量

通常、成人及び12歳以上の小児には、ラナデルマブ(遺伝子組換え)として1回300mgを2週間隔で皮下注射する。なお、継続的に発作が観察されず、症状が安定している場合には、1回300mgを4週間隔で皮下注射することもできる。

8. 重要な基本的注意

8.1 急性発作の治療を目的に本剤を使用しないことを患者又はその家族に十分に説明し、理解を得た上で使用すること。
8.2 本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。また、以下の点に注意すること。
8.2.1 自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、本剤投与による危険性と対処法について患者又はその家族が理解し、患者又はその家族が確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。
8.2.2 自己投与を適用する場合には、使用済みの注射針及び注射器を再使用しないように患者又はその家族に注意を促し、全ての器具の安全な廃棄方法に関する指導を行うと同時に、使用済みの注射針及び注射器を廃棄する容器を提供すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤はサルにおいて胎盤通過が認められている1)。ヒトにおける胎盤通過性は不明であるが、本剤はIgG1モノクローナル抗体であり、妊娠中に胎盤を通過すると考えられる。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒトにおける乳汁への移行は不明であるが、サルで本剤の乳汁移行が認められている2)
9.7 小児等
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は12歳未満の小児を対象とした国内臨床試験は実施していない。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
11.1.1 アナフィラキシー(頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
 10%以上5〜10%未満1〜5%未満
投与部位注射部位反応(疼痛、紅斑、内出血、不快感、血腫、出血、そう痒感、腫脹、硬結、異常感覚、反応、熱感、浮腫、発疹)(52.4%)  
過敏症  そう痒症、不快感、舌のピリピリ感
臨床検査  ALT増加、AST増加
筋・骨格系  筋肉痛
神経系 浮動性めまい 
皮膚  斑状丘疹状皮疹

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 皮膚が敏感な部位、皮膚に異常のある部位(傷、発疹、発赤、硬結等)には投与しないこと。
14.1.2 投与前に、内容物を目視により確認すること。異物又は変色が認められる場合は、使用しないこと。
14.1.3 腹部、大腿部又は上腕部に、1回の投与でシリンジ内の全量を皮下投与すること。
14.1.4 本剤は1回で全量を使用する製剤であり、再使用しないこと。
14.2 薬剤交付時の注意
患者又はその家族に対し、以下の点に注意するよう指導すること。[20.2参照]
・凍結は避けて、冷蔵庫(2〜8℃)で保存すること。
・冷蔵庫から出した後は25℃以下で保存し14日以内に使用すること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 臨床試験において本剤に対する抗体の産生が報告されている。抗体産生を認めた患者の例数は少なく、抗体産生による、薬物動態、薬力学、有効性及び安全性への影響は明らかではない3)(外国人データ)。
15.1.2 海外臨床試験において、本剤投与群220例中10例(4.5%)で基準値上限の1.5倍を上回る活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)の延長が認められた。aPTT延長がみられた10例のうち、出血に関連する有害事象は2例に認められた。また、基準値上限の2倍を上回るプロトロンビン時間(国際標準比)の延長は4例(1.8%)に認められた。プロトロンビン時間(国際標準比)の延長がみられた4例のうち、出血に関連する有害事象は1例に認められた3)。国内臨床試験では本剤投与群12例中基準値上限の1.5倍を上回るaPTTの延長又は基準値上限の2倍を上回るプロトロンビン時間(国際標準比)の延長はいずれも認められなかった4)

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人健康成人(16例)に本剤300mgを単回皮下投与したときの本剤の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった5)
日本人健康成人における本剤単回皮下投与時のラナデルマブの血漿中濃度推移
日本人健康成人における本剤単回皮下投与時のラナデルマブの薬物動態パラメータ
Cmax(μg/mL)tmax(day)AUClast(μg・day/mL)AUC(μg・day/mL)t1/2(day)CL/F(L/day)Vz/F(L)
21.91
(38)
5.67
[2.00,6.11]
510.6
(30)
515.0
(30)
15.51
(9)
0.5826
(30)
13.03
(29)
16.1.2 反復投与
日本人のI型又はII型遺伝性血管性浮腫患者(12例)にラナデルマブを2週間に1回300mg皮下投与したときの8〜26週の本剤の血漿中トラフ濃度は以下のとおりであった。母集団薬物動態解析の結果、本剤反復投与したとき、約70日で定常状態に達すると予測された6)
日本人のI型又はII型遺伝性血管性浮腫患者における本剤反復皮下投与時のラナデルマブの血漿中トラフ濃度
 8週14週20週26週
例数12121112
血漿中トラフ濃度(μg/mL)23.63±8.6724.14±9.5824.61±9.3223.68±6.79

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験
成人及び12歳以上の小児のI型又はII型遺伝性血管性浮腫患者12例を対象として、52週間の非盲検非対照試験を実施した。本剤300mgを26週まで2週間に1回皮下投与し、26週間連続無発作であった被験者は26週以降52週まで4週に1回皮下投与することが可能とされた。主要評価項目である、有効性評価期間(26週間)に治験責任医師により確認されたHAE注1)発作を発現しなかった(無発作状態を達成した)被験者の割合は41.7%(5/12例)であった4)
副作用発現頻度は、66.7%(8/12例)であった。主な副作用は、注射部位反応50.0%(6/12例)であった4)
注1)HAE:Hereditary AngioEdema(遺伝性血管性浮腫)
17.1.2 海外第III相試験
成人及び12歳以上の小児のI型又はII型遺伝性血管性浮腫患者97例(本剤300mg 2週に1回投与群27例、本剤300mg 4週に1回投与群29例、プラセボ群41例)を対象として、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。本剤300mg又はプラセボを2週間又は4週間に1回26週間皮下投与した。主要評価項目である、有効性評価期間(26週間)における、28日間あたりの治験責任医師により確認されたHAE発作の発現回数は下表のとおりであり、本剤各投与群とプラセボ群との対比較において統計学的に有意な差が認められた3)
HAE発作の発現頻度(ITT集団)
 本剤300mg 4週に1回投与群
(29例)
本剤300mg 2週に1回投与群
(27例)
プラセボ群
(41例)
導入期におけるHAE発作発現頻度(回/28日)3.71±2.51
3.00[1.0,10.5]
3.52±2.33
3.11[1.0,9.0]
4.02±3.27
3.00[1.0,14.7]
治療期におけるHAE発作発現頻度(回/28日)0.60±0.80
0.45[0.0,2.9]
0.31±0.51
0.15[0.0,1.8]
2.46±2.08
1.69[0.0,8.3]
プラセボに対するHAE発作発現頻度の変化率(%)注1),注2)
[95%CI]
調整済みp値注3)
−73.27
[−82.38,−59.46]
<0.001
−86.92
[−92.83,−76.15]
<0.001
本剤300mg 2週に1回投与群の副作用発現頻度は、70.4%〔19/27例〕であった。主な副作用は、注射部位疼痛(51.9%)であった。
本剤300mg 4週に1回投与群の副作用発現頻度は、48.3%〔14/29例〕であった。主な副作用は、注射部位疼痛(31.0%)であった3)(外国人データ)。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤は活性化された血漿カリクレインの基質切断活性に対する阻害薬であり、遺伝性血管性浮腫の急性発作の原因となるブラジキニンの過剰な放出を抑制する7)
18.2 薬理作用
18.2.1 In vitro薬理試験において、ラナデルマブのヒト血漿カリクレインによる合成ペプチド基質の加水分解反応に対する阻害定数(Ki)は0.125nMであった7)8)
18.2.2 In vivoラット浮腫モデルにおいて、ラナデルマブは足蹠浮腫の誘導を用量依存的に阻害した7)8)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ラナデルマブ(遺伝子組換え)

一般的名称 ラナデルマブ(遺伝子組換え)
一般的名称(欧名) Lanadelumab(Genetical Recombination)
分子式 C6468H10016N1728O2012S48
分子量 約149,000
理化学知見その他 ラナデルマブは、ヒト血漿カリクレインに対する遺伝子組換え完全ヒトIgG1モノクローナル抗体であり、H鎖C末端のLysは除去されている。ラナデルマブは、チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される。ラナデルマブは、451個のアミノ酸残基からなるH鎖(γ1鎖)2本と、213個のアミノ酸残基からなるL鎖(κ鎖)2本で構成される糖タンパク質(分子量:約149,000)である。
KEGG DRUG D11094

20. 取扱い上の注意

20.1 本剤は遮光する必要があるため、外箱に入れて保存すること。
20.2 凍結を避けて、冷蔵庫(2〜8℃)で保存すること。冷蔵庫から出した後は25℃以下で保存し14日以内に使用すること。[14.2参照]

21. 承認条件

21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
21.2 国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

22. 包装

1シリンジ

23. 主要文献

  1. ラナデルマブの非臨床薬物動態試験成績[1](2022年3月28日承認、CTD2.6.4.6)(社内資料)
  2. ラナデルマブの非臨床薬物動態試験成績[2](2022年3月28日承認、CTD2.6.4.3)(社内資料)
  3. ラナデルマブの遺伝性血管性浮腫患者を対象とした海外第III相試験成績(2022年3月28日承認、CTD2.5.3.3、2.7.4.2、2.7.4.3、2.7.6.4)(社内資料)
  4. ラナデルマブの遺伝性血管性浮腫患者を対象とした国内第III相試験成績(2022年3月28日承認、CTD2.7.6.6)(社内資料)
  5. ラナデルマブの薬物動態試験成績[1](2022年3月28日承認、CTD2.7.6.3)(社内資料)
  6. ラナデルマブの薬物動態試験成績[2](2022年3月28日承認、CTD2.7.2.2)(社内資料)
  7. ラナデルマブの非臨床薬理試験成績(2022年3月28日承認、CTD2.6.2.2)(社内資料)
  8. Kenniston JA.et al., J Biol Chem., 289 (34), 23596-23608, (2014)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
武田薬品工業株式会社 くすり相談室
〒103-8668 東京都中央区日本橋本町二丁目1番1号
電話:フリーダイヤル 0120-566-587 受付時間 9:00〜17:30(土日祝日・弊社休業日を除く)
製品情報問い合わせ先
武田薬品工業株式会社 くすり相談室
〒103-8668 東京都中央区日本橋本町二丁目1番1号
電話:フリーダイヤル 0120-566-587 受付時間 9:00〜17:30(土日祝日・弊社休業日を除く)

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
武田薬品工業株式会社
〒540-8645 大阪市中央区道修町四丁目1番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2024/04/17 版