医療用医薬品 : グランダキシン

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医薬品情報


総称名 グランダキシン
一般名 トフィソパム
欧文一般名 Tofisopam
製剤名 トフィソパム
薬効分類名 自律神経調整剤
薬効分類番号 1239
ATCコード N05BA23
KEGG DRUG
D01254 トフィソパム
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年4月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
グランダキシン錠50 GRANDAXIN Tablets 50 持田製薬 1124026F1022 9.1円/錠 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
ロミタピドメシル酸塩を投与中の患者[10.1参照]

4. 効能または効果

下記疾患における心悸亢進、発汗、頭痛・頭重、倦怠感等の自律神経症状
更年期障害・卵巣欠落症状、自律神経失調症、頭部・頸部損傷

6. 用法及び用量

通常、成人には1回1錠、1日3回経口投与する。
なお、年令・症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 急性閉塞隅角緑内障の患者
抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。
9.1.2 重症筋無力症の患者
筋弛緩作用を若干有する。
9.1.3 脳に器質的障害のある患者
作用が強くあらわれることがある。
9.1.4 中等度又は重篤な呼吸不全のある患者
呼吸機能が低下することがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.5.1 妊娠中に他のベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム、クロルジアゼポキシド等)の投与を受けた患者の中に奇形を有する児等の障害児を出産した例が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある。
9.5.2 ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神経過敏、振戦、低体温、頻脈等を起こすことが報告されている。なお、これらの症状は、離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある。また、ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に黄疸の増強を起こすことが報告されている。
9.5.3 分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状があらわれることが、ベンゾジアゼピン系薬剤で報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)において、乳汁中に移行することが認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.1 併用禁忌
ロミタピドメシル酸塩
ジャクスタピッド
[2.参照]
ロミタピドメシル酸塩の血中濃度が著しく上昇するおそれがある。本剤がCYP3Aを阻害することにより、ロミタピドメシル酸塩の代謝が阻害される。
10.2 併用注意
中枢神経抑制剤
フェノチアジン誘導体
バルビツール酸誘導体 等
中枢神経抑制作用が増強することがある。両薬剤の中枢神経抑制作用が相加的に増強する可能性がある。
アルコール中枢神経抑制作用が増強することがある。両者の中枢神経抑制作用が相加的に増強する可能性がある。
タクロリムス水和物タクロリムスの血中濃度が上昇することがあるので、本剤を減量又は休薬する等適切な処置を行うこと。本剤がCYP3A4によるタクロリムスの代謝を抑制することによると考えられる。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満頻度不明
依存性注) 薬物依存
精神神経系眠気、めまい・ふらつき、不眠、頭痛不安、焦躁、抑うつ症状、手足のふるえ、しびれ等
消化器口渇、腹痛、悪心・嘔吐、便秘食欲不振、下痢等
過敏症発疹そう痒感、発熱、顔面浮腫等
肝臓 AST・ALTの上昇等
その他脱力感、動悸倦怠感、血圧上昇、ほてり、乳房痛、乳汁分泌、月経異常

13. 過量投与

13.1 処置
本剤の過量投与が明白又は疑われた場合の処置としてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与する場合には、使用前にフルマゼニルの使用上の注意を必ず読むこと。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
投与した薬剤が特定されないままにフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与された患者で、新たに本剤を投与する場合、本剤の鎮静・抗痙攣作用が変化、遅延するおそれがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人男性3例に本剤3錠を単回経口投与したところ、投与1時間後には最高血中濃度に達し、以後漸減して12時間後には血中からほぼ消失した1)
16.4 代謝
ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro代謝試験において、本剤は主としてCYP3A4で代謝されること、また、CYP3A4での代謝を阻害することが示唆された2)。従って、CYP3A4で代謝される薬物の血中濃度を上昇させる可能性がある。
16.5 排泄
健康成人男性3例に本剤3錠を単回経口投与後、尿中には主に代謝産物が検出され、投与24時間後までに投与量の約14%が尿中に排泄された1)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験及び一般臨床試験
二重盲検試験を含む臨床試験において、トフィソパムとして1回25〜100mgを1日1〜3回、2日〜15週間経口投与した結果、有効性は下表のとおりであった。
副作用発現頻度は、7.4%(37/502例)であった。主な副作用は、眠気3.0%(15/502例)、だるさ及び口渇各1.2%(6/502例)、胃腸障害及び腹痛各1.0%(5/502例)であった3)4)5)6)7)8)9)10)11)12)13)14)15)16)17)18)19)20)
診断名症例数やや有効以上有効以上
自律神経失調症133例115例(86%)89例(67%)
頭部・頸部損傷88例77例(88%)56例(64%)
更年期障害190例154例(81%)123例(65%)
卵巣欠落症状67例45例(67%)30例(45%)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
トフィソパムは、主として自律神経系の高位中枢を介して交感及び副交感神経間の緊張不均衡を改善するが、末梢性にも自律神経系の過度の興奮を抑制することが認められている。
18.2 自律神経系の緊張不均衡改善作用
18.2.1 視床下部の電気刺激によって生ずる血管収縮、耳朶温の低下、瞳孔径の増大など、交感神経中枢の興奮による異常反応の改善が認められた21)(ウサギ)。
18.2.2 ストレス負荷時にみられる交感及び副交感神経間の緊張不均衡の改善が認められた22)(ラット)。
18.2.3 アドレナリン又はノルアドレナリンによる平滑筋収縮を軽度抑制し23)24)25)in vitro)、交感神経の節前・節後刺激及び副交感神経刺激による興奮を軽度抑制する25)(イヌ)。
18.2.4 ヒトの自律神経機能検査において、メコリール試験では交感神経過反応型及び低反応型のいずれをも正常化し、寒冷昇圧試験では血管運動神経緊張亢進状態の改善が認められた3)。また、polyplethysmographを用いた試験においても、局所血流量増加作用を有すると共に全身末梢の血流配分バランスの改善が認められた4)
18.3 循環系及び不安に対する作用
末梢血流量の増加作用23)24)(イヌ、ウサギ)、馴化作用・抗コンフリクト作用26)(マウス、ラット)が認められた。また、筋弛緩作用及び睡眠増強作用はほとんど有さないか、もしくは極めて弱い25)26)27)(マウス)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. トフィソパム

一般的名称 トフィソパム
一般的名称(欧名) Tofisopam
化学名 (5RS)-1-(3,4-Dimethoxyphenyl)-5-ethyl-7,8-dimethoxy-4-methyl-5H-2,3-benzodiazepine
分子式 C22H26N2O4
分子量 382.45
融点 155〜159℃
物理化学的性状 微黄白色の結晶性の粉末である。酢酸(100)に溶けやすく、アセトンにやや溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けにくく、ジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D01254

22. 包装

PTP
100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)、1,000錠(10錠×100)、1,050錠(21錠×50)
ボトル
500錠(バラ)

23. 主要文献

  1. 持田製薬社内資料:EGYT-341(Tofisopam)の第1相試験
  2. 持田製薬社内資料:トフィソパムの代謝に関与するCYP分子種の同定とヒトCYP活性に対する阻害作用の検討
  3. 持田製薬社内資料:EGYT-341(Tofisopam)の自律神経系、内分泌系への作用
  4. 竹宮敏子 他, 日本臨床生理学会雑誌, 15 (3), 165-181, (1985)
  5. 小林拓郎 他, 産科と婦人科, 48 (12), 127-132, (1981)
  6. 阿部達夫 他, 臨牀と研究, 58 (9), 3029-3041, (1981)
  7. 馬島季麿 他, 産婦人科の世界, 33 (9), 1115-1133, (1981)
  8. 長谷川直義, 産婦人科治療, 43 (6), 719-725, (1981)
  9. 山田雄飛 他, 臨床婦人科産科, 35 (12), 907-911, (1981)
  10. 岩淵庄之助 他, 産婦人科の実際, 30 (6), 731-737, (1981)
  11. 小林拓郎 他, 産科と婦人科, 49 (2), 260-278, (1982)
  12. 中島清子 他, 新薬と臨牀, 30 (6), 990-997, (1981)
  13. 菊川 寛, 新薬と臨牀, 30 (5), 869-877, (1981)
  14. 篠田知璋, 基礎と臨床, 15 (3), 1513-1521, (1981)
  15. 桂 戴作 他, 基礎と臨床, 15 (3), 1536-1547, (1981)
  16. 筒井末春 他, 基礎と臨床, 15 (3), 1548-1556, (1981)
  17. 喜多村孝一 他, 新薬と臨牀, 30 (6), 973-979, (1981)
  18. 前田博司 他, 新薬と臨牀, 30 (6), 980-988, (1981)
  19. 牧山友三郎 他, 臨牀と研究, 60 (6), 2093-2104, (1983)
  20. 長谷川和夫 他, 臨牀と研究, 62 (12), 4045-4060, (1985)
  21. 大西治夫 他, 日本薬理学雑誌, 78 (3), 139-144, (1981) »PubMed
  22. 佐藤正巳 他, 日本薬理学雑誌, 79 (4), 307-315, (1982) »PubMed
  23. 北川晴雄 他, 応用薬理, 19 (1), 161-168, (1980)
  24. 伊藤千尋 他, 医薬品研究, 12 (2), 587-600, (1981)
  25. 古川達雄 他, 福岡大学医学紀要, 8 (3), 283-296, (1981)
  26. 伊藤千尋, 東京医科大学雑誌, 39 (3), 369-384, (1981)
  27. 君島健次郎 他, 米子医学雑誌, 30 (2), 137-147, (1979)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
持田製薬株式会社 くすり相談窓口
〒160-8515 東京都新宿区四谷1丁目7番地
電話:03-5229-3906
0120-189-522
FAX:03-5229-3955
製品情報問い合わせ先
持田製薬株式会社 くすり相談窓口
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26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
持田製薬株式会社
東京都新宿区四谷1丁目7番地

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2024/04/17 版