医療用医薬品 : グルタチオン

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医薬品情報


総称名 グルタチオン
一般名 グルタチオン
欧文一般名 Glutathione
製剤名 注射用グルタチオン
薬効分類名 グルタチオン製剤
薬効分類番号 3922
ATCコード V03AB32
KEGG DRUG
D00014 グルタチオン
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年1月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
グルタチオン注射用200mg「NIG」 (後発品) Glutathione for Injection 日医工岐阜工場 3922400D3136 129円/管 処方箋医薬品注)

4. 効能または効果

○薬物中毒、アセトン血性嘔吐症(自家中毒、周期性嘔吐症)
○慢性肝疾患における肝機能の改善
○急性湿疹、慢性湿疹、皮膚炎、じんま疹、リール黒皮症、肝斑、炎症後の色素沈着
○妊娠悪阻、妊娠高血圧症候群
○角膜損傷の治癒促進
○放射線療法による白血球減少症、放射線宿酔、放射線による口腔粘膜の炎症

6. 用法及び用量

通常成人には、グルタチオンとして1回100〜200mgを溶解液にて溶解し1日1回筋肉内又は静脈内に注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
アナフィラキシー(0.1%未満)
顔面蒼白、血圧低下、脈拍の異常等の症状があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1%未満
過敏症発疹等
消化器食欲不振、悪心・嘔吐等

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
溶解後直ちに使用すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 筋肉内注射時
筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため、下記の点に注意すること。
・神経走行部位を避けるよう注意すること。
・繰返し注射する場合には、例えば左右交互に注射するなど、注射部位をかえて行うこと。
・注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
ラットに35S-glutathione(35S-GSH)を静脈内投与すると、血液中の放射能活性は投与後1及び5時間で血漿部分に分布した。24時間では血漿及び血球部分にほぼ同様に分布しており、7日目では逆に放射能活性の大部分は血球中に見出された。また、24時間での血漿中の放射能活性は90%が蛋白部分に存在した1)
16.4 代謝
ラットに35S-glutathione(35S-GSH)を静脈内投与すると、GSHは短時間に各臓器によく分布し、なかでも肝臓、腎臓、皮膚、脾臓等には高濃度に分布した。心臓、骨格筋、脳では単位重量あたりの放射能活性の分布は少なかったが、経時的減少はゆるやかであった1)
16.5 排泄
ラットに35S-glutathione(35S-GSH)を静脈内投与すると、尿中へは、7日後までに、投与された放射能活性の24±4.2%が排泄された1)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
グルタチオンの生物学的な活性は、作用機構の面からSH基の酸化還元反応が関与する反応と、酸化還元反応とは無関係に関与する反応とに大別され、後者は、助酵素的な役割を果たす反応、メルカプツール酸の生成及びその他の解毒機構への関与、SH酵素又はその他の細胞成分の保護あるいは活性化、細胞分裂・細胞の増殖等における何らかの役割を果たすとされている2)
18.2 薬理作用
18.2.1 中毒
グルタチオンは、ラットのメチル水銀中毒、ヒトの鉛中毒、ヒトの有機燐剤中毒、マウス及びラットの亜硫酸ガス中毒を改善する3)4)5)6)
18.2.2 肝障害に対する作用
グルタチオンは、ラットの四塩化炭素肝障害及びエチオナミド脂肝を改善し、マウスのアセトアミノフェン肝障害及び家兎のハローセン肝障害を改善することが報告されている7)8)9)10)
18.2.3 放射線障害に対する効果
グルタチオンは、マウス及びラットにおいて放射線障害を防止する11)12)
18.2.4 皮膚障害に対する作用
グルタチオンは、in vitroにおいてヒスタミン遊離を抑制する。また、in vitroにおいて、メラニン生成阻害作用が報告されている13)14)
18.2.5 眼障害に対する作用
グルタチオンは家兎のアレルギー性角膜炎を改善することが報告されている15)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. グルタチオン

一般的名称 グルタチオン
一般的名称(欧名) Glutathione
化学名 (2S)-2-Amino-4-[1-(carboxymethyl)carbamoyl-(2R)-2-sulfanylethylcarbamoyl]butanoic acid
分子式 C10H17N3O6S
分子量 307.32
融点 約185℃(分解)
物理化学的性状 白色の結晶性の粉末である。水に溶けやすく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D00014

22. 包装

100アンプル

23. 主要文献

  1. 第十八改正日本薬局方 医薬品情報 JPDI2021, 224, (2021), (じほう)
  2. 早石 修 他, グルタチオン研究の進歩, 1-37, (1969), (診断と治療社)
  3. 小川栄一 他, 災害医学, 15 (3), 222-228, (1972)
  4. Nakao,K.et al., Clin.Chim.Acta., 19, 319-325, (1968) »PubMed
  5. 工藤尚義, 日本農村医学会誌, 21 (3), 340-351, (1972)
  6. 大島秀彦 他, 診療と新薬, 7 (8), 1487-1490, (1970)
  7. 荒島真一郎, 医学のあゆみ, 70 (10), 481-483, (1969)
  8. 山村雄一 他, 綜合臨牀, 15 (9), 1450-1453, (1966)
  9. Benedetti,M.S.et al., J.Pharm.Pharmacol., 27, 629-632, (1975) »PubMed
  10. 岩井 浩 他, 薬理と治療, 2 (1), 23-38, (1974)
  11. 安河内浩 他, 日本医学放射線学会雑誌, 27 (6), 691-696, (1967)
  12. 堀内淳一 他, 日本医学放射線学会雑誌, 27 (3), 265-271, (1967)
  13. Jokay,I.et al., Experientia., 20, 315-316, (1964) »PubMed
  14. 清寺 真, グルタチオン研究の進歩, 191-214, (1969), (診断と治療社)
  15. 本多捷郎, 臨床眼科, 25 (1), 101-115, (1971)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日医工株式会社 お客様サポートセンター
〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21
電話:0120-517-215
FAX:076-442-8948
製品情報問い合わせ先
日医工株式会社 お客様サポートセンター
〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21
電話:0120-517-215
FAX:076-442-8948

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
日医工岐阜工場株式会社
富山市総曲輪1丁目6番21
26.2 発売元
日医工株式会社
富山市総曲輪1丁目6番21
26.3 販売
武田薬品工業株式会社
大阪市中央区道修町四丁目1番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/08/20 版