医療用医薬品 : プランルカスト

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医薬品情報


総称名 プランルカスト
一般名 プランルカスト水和物
欧文一般名 Pranlukast Hydrate
製剤名 プランルカスト水和物カプセル
薬効分類名 ロイコトリエン受容体拮抗剤
気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療剤
薬効分類番号 4490
ATCコード R03DC02
KEGG DRUG
D02732 プランルカスト水和物
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2023年12月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
プランルカストカプセル112.5mg「NIG」 (後発品) Pranlukast Capsules 日医工岐阜工場 4490017M1125 13.4円/カプセル

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

気管支喘息
アレルギー性鼻炎

6. 用法及び用量

通常、成人にはプランルカスト水和物として1日量450mg(本剤4カプセル)を朝食後及び夕食後の2回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

7. 用法及び用量に関連する注意

高齢者では減量する(例えば、1回1カプセルを1日2回)など注意すること。[9.8参照]

8. 重要な基本的注意

<気管支喘息>
8.1 本剤は気管支拡張剤、ステロイド剤等と異なり、すでに起こっている喘息発作を緩解する薬剤ではないので、このことは患者に十分説明しておく必要がある。
8.2 本剤を投与中、大発作をみた場合は、気管支拡張剤あるいはステロイド剤を投与する必要がある。
<効能共通>
8.3 本剤投与によりステロイド維持量を減量し得た患者で、本剤の投与を中止する場合は、原疾患再発のおそれがあるので注意すること。
8.4 本剤を含めロイコトリエン拮抗剤使用時にChurg-Strauss症候群様の血管炎を生じたとの報告がある。これらの症状は、おおむね経口ステロイド剤の減量・中止時に生じている。本剤使用時は、特に好酸球数の推移及びしびれ、四肢脱力、発熱、関節痛、肺の浸潤影等の血管炎症状に注意すること。
8.5 他のロイコトリエン拮抗剤を投与した患者で、因果関係は明らかではないがうつ病、自殺念慮、自殺及び攻撃的行動を含む精神症状が報告されているので、本剤の投与にあたっては患者の状態を十分に観察すること。
8.6 本剤投与により効果が認められない場合には、漫然と長期にわたり投与しないように注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 長期ステロイド療法を受けている患者
本剤投与によりステロイドの減量をはかる場合は十分な管理下で徐々に行うこと。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
一般に生理機能が低下している。[7.参照]

10. 相互作用

10.2 併用注意
主にCYP3A4によって代謝される薬剤本剤及びこれらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。本剤はin vitro試験でCYP3A4により代謝され、これらの薬剤の代謝を競合的に阻害するとの報告がある。
CYP3A4を阻害する薬剤
イトラコナゾール
エリスロマイシン等
16.7.1参照]
本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。in vitroin vivo試験でこれらの薬剤により本剤の代謝が阻害されるとの報告がある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)
血圧低下、意識障害、呼吸困難、発疹等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.2 白血球減少(頻度不明)
白血球減少(初期症状:発熱、咽頭痛、全身倦怠感等)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
11.1.3 血小板減少(頻度不明)
血小板減少(初期症状:紫斑、鼻出血、歯肉出血等の出血傾向)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
11.1.4 肝機能障害
黄疸、AST・ALTの著しい上昇等を伴う肝機能障害(頻度不明)があらわれることがある。
11.1.5 間質性肺炎、好酸球性肺炎
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増加等を伴う間質性肺炎(頻度不明)、好酸球性肺炎(0.1%未満)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.6 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
注)発現頻度は使用成績調査を含む。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
 0.1〜1%未満0.1%未満頻度不明
過敏症発疹、そう痒等蕁麻疹多形滲出性紅斑
精神神経系頭痛、眠気、めまい不眠、しびれ、味覚異常ふるえ、けいれん、興奮、不安
消化器嘔気、腹痛、胃部不快感、下痢嘔吐、胸やけ、食欲不振、便秘、腹部膨満感、口内炎、舌炎、舌しびれ 
循環器 不整脈(頻脈・心房細動・期外収縮等)、動悸、潮紅 
肝臓ビリルビン上昇、AST・ALTの上昇等アルカリホスファターゼ上昇 
筋骨格系 関節痛筋肉痛、四肢痛、こわばり、CK上昇
泌尿器 蛋白尿、尿潜血、頻尿尿量減少、排尿障害、BUN上昇
その他 胸部絞扼感、発熱、浮腫、倦怠感、トリグリセリド上昇、出血、好酸球増多、咽喉頭異常感、口渇、耳鳴、尿沈渣陽性脱毛、生理不順、乳房腫脹・硬結、乳房痛、女性化乳房

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人5例に225mgを食後に単回経口投与すると、血漿中濃度は約5時間で最高に達し、その濃度は642ng/mLで、血漿中半減期は約1.2時間である1)
Tmax(hr)Cmax(ng/mL)AUC0-∞(ng・hr/mL)T1/2(hr)
5.2±1.1642.3±151.02348.7±471.31.15±0.13
16.1.2 生物学的同等性試験
プランルカストカプセル112.5mg「NIG」とオノンカプセル112.5mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1カプセル(プランルカスト水和物として112.5mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された2)
薬物動態パラメータ
 投与量(mg)AUC0-24(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
プランルカストカプセル112.5mg「NIG」112.51998.4±924.3567.1±253.33.1±1.13.31±1.93
オノンカプセル112.5mg112.51956.8±1227.7588.5±405.83.1±1.14.33±3.69
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.3 分布
ヒト血清に対する蛋白結合率は99.7〜99.8%であり、その主結合蛋白はアルブミンである3)in vitro、限外ろ過法)。
16.4 代謝
プランルカストは主として肝薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP3A4)で代謝される4)in vitro)。
16.5 排泄
健康成人5例に225mgを食後に単回経口投与すると、投与後72時間までに尿中及び糞中にそれぞれ投与量の0.24%及び98.9%が排泄される。血漿中、尿中及び糞中の主要代謝物は水酸化体で、尿中排泄物の大部分はそのグルクロン酸抱合体である1)
16.7 薬物相互作用
16.7.1 動物における薬物相互作用
カニクイザルでケトコナゾールとの併用によりプランルカストの血中濃度が上昇(Cmaxが2.8倍、AUCが2倍)するとの報告がある5)。[10.2参照]

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<気管支喘息>
17.1.1 国内二重盲検比較試験
成人気管支喘息に対する二重盲検比較試験において、プランルカストの有用性が認められている。また、喘息症状の軽減、併用治療薬剤の減量、肺機能の改善効果が認められている6)
17.1.2 国内臨床試験
二重盲検比較試験を含む臨床試験において、改善以上と判定された症例は334例中217例(65.0%)である6)7)8)9)10)11)12)
<アレルギー性鼻炎>
17.1.3 国内二重盲検比較試験
通年性アレルギー性鼻炎に対する二重盲検比較試験において、病型別の改善率は鼻閉を含む病型では61.2%(79/129例)、鼻閉を含まない病型では54.5%(12/22例)である。また、症状別の改善率は鼻閉では71.8%(94/131例)、鼻汁では60.3%(76/126例)、くしゃみでは54.4%(68/125例)である13)
17.1.4 国内臨床試験
二重盲検比較試験を含む臨床試験において、改善以上と判定された症例は358例中235例(65.6%)である14)
17.1.5 国内第III相一般臨床試験
プランルカスト単独群とプランルカストに他の抗アレルギー剤を併用した群との直接比較は行っていない。一方、プランルカストに他の抗アレルギー剤を併用した群とプランルカスト以外の抗アレルギー剤単独群との封筒法による群間比較試験において、改善以上と判定された症例は併用群で26例中19例(73.1%)、単独群で20例中6例(30.0%)である15)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
プランルカストは気管支喘息の基本的病態形成に深く関与しているロイコトリエンの受容体に選択的に結合してその作用に拮抗し、気道収縮反応、気道の血管透過性亢進、気道粘膜の浮腫及び気道過敏性の亢進を抑制し、気管支喘息患者の臨床症状及び肺機能を改善させる。
また、プランルカストは鼻閉、鼻汁、くしゃみを三大主徴とするアレルギー性鼻炎の特徴的病態の成立に重要な役割を演じていることが示唆されているロイコトリエンの受容体に選択的に結合してその作用に拮抗し、鼻腔通気抵抗上昇、好酸球浸潤を伴う鼻粘膜浮腫、鼻粘膜過敏性を抑制し、さらに鼻粘膜過敏性抑制作用を介して間接的に、ヒスタミン、アセチルコリン及びその他の非特異的な刺激によるくしゃみや鼻汁等の臨床症状を改善する。
18.2 薬理作用
18.2.1 ロイコトリエン(LT)受容体拮抗作用
モルモット肺膜分画及びモルモット鼻粘膜膜分画において、LTC4、LTD4、LTE4の受容体に選択的に結合してその作用に拮抗する。また、ヒスタミン、アセチルコリン及びセロトニン等には拮抗作用を示さず、アラキドン酸代謝酵素にもほとんど影響を与えない16)17)in vitro)。
18.2.2 気道収縮抑制作用
(1)気管支攣縮型喘息患者の気道収縮反応を抑制する18)
(2)感作モルモットの抗原誘発気道収縮を経口投与で抑制する19)
(3)モルモット及びヒトの摘出気道平滑筋のLTC4、LTD4による収縮を抑制する16)20)in vitro)。
18.2.3 気道過敏性抑制作用
(1)気管支喘息患者に経口投与すると、メサコリンに対する気道過敏性を改善する21)
(2)モルモットの抗原吸入によるアセチルコリン又はヒスタミンの気道過敏性の亢進を経口投与で、またLTによるヒスタミンの気道過敏性の亢進を静脈内投与で抑制する19)22)23)
18.2.4 気道の血管透過性及び粘膜浮腫の抑制作用(抗炎症作用)
(1)モルモットの抗原誘発による気道の血管透過性の亢進を経口投与で抑制する24)
(2)モルモットのLTC4、LTD4による気道粘膜の浮腫形成を静脈内投与で抑制する23)
18.2.5 肺機能の改善作用
気管支喘息患者に経口投与すると、努力性呼気1秒量及び最大呼気流量を改善する6)8)
18.2.6 鼻腔通気抵抗上昇抑制作用
(1)通年性アレルギー性鼻炎患者に経口投与すると、抗原鼻誘発による鼻腔通気抵抗の上昇を抑制する25)
(2)感作モルモットの抗原誘発による鼻腔通気抵抗上昇を経口投与で抑制する26)
18.2.7 好酸球浸潤を伴う鼻粘膜浮腫の抑制作用
感作モルモットの抗原誘発による好酸球浸潤を伴う鼻粘膜の浮腫を経口投与で抑制する26)
18.2.8 鼻粘膜過敏性抑制作用
感作モルモットの抗原誘発によるヒスタミンに対するくしゃみ反応の増強を経口投与で抑制する27)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. プランルカスト水和物

一般的名称 プランルカスト水和物
一般的名称(欧名) Pranlukast Hydrate
化学名 N-[4-Oxo-2-(1H-tetrazol-5-yl)-4H-chromen-8-yl]-4-(4-phenylbutyloxy)benzamide hemihydrate
分子式 C27H23N5O4・1/2H2O
分子量 490.51
融点 約233℃(分解)
物理化学的性状 白色〜淡黄色の結晶性の粉末である。エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D02732

22. 包装

140カプセル[14カプセル(PTP)×10]、420カプセル[14カプセル(PTP)×30]

23. 主要文献

  1. 中島光好ほか, 臨床医薬, 9 (Suppl.1), 3-29, (1993)
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  3. 石堂雅恒ほか, 薬物動態, 8, 49-66, (1993) »DOI
  4. 松本一郎ほか, 現代医療, 31 (増IV), 2936-2943, (1999)
  5. 第十八改正日本薬局方 医薬品情報 JPDI2021., 642, (2021), (じほう)
  6. 宮本昭正ほか, 医学のあゆみ, 164, 225-247, (1993)
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  8. 宮本昭正ほか, 臨床医薬, 9 (Suppl.1), 71-107, (1993)
  9. 宮本昭正ほか, 臨床医薬, 9 (Suppl.1), 109-129, (1993)
  10. 岸本 進 ほか, 臨床医薬, 9 (Suppl.1), 131-158, (1993)
  11. 佐竹辰夫ほか, 臨床医薬, 9 (Suppl.1), 159-184, (1993)
  12. 長野 準 ほか, 臨床医薬, 9 (Suppl.1), 185-207, (1993)
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  27. 鼻粘膜過敏性抑制作用(オノンカプセル;2000年1月18日承認、申請資料概要ホ.薬理)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日医工株式会社 お客様サポートセンター
〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21
電話:0120-517-215
FAX:076-442-8948
製品情報問い合わせ先
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26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
日医工岐阜工場株式会社
富山市総曲輪1丁目6番21
26.2 発売元
日医工株式会社
富山市総曲輪1丁目6番21
26.3 販売
武田薬品工業株式会社
大阪市中央区道修町四丁目1番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版