医療用医薬品 : ロピニロール

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医薬品情報


総称名 ロピニロール
一般名 ロピニロール塩酸塩
欧文一般名 Ropinirole Hydrochloride
製剤名 ロピニロール塩酸塩徐放錠
薬効分類名 徐放性ドパミンD2受容体系作動薬
薬効分類番号 1169
ATCコード N04BC04
KEGG DRUG
D00784 ロピニロール塩酸塩
KEGG DGROUP
DG01967 抗パーキンソン病薬
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2023年11月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ロピニロール徐放錠2mg「KMP」 (後発品) ROPINIROLE CR TABLETS「KMP」 共創未来ファーマ 1169013G1065 58.1円/錠 劇薬, 処方箋医薬品
ロピニロール徐放錠8mg「KMP」 (後発品) ROPINIROLE CR TABLETS「KMP」 共創未来ファーマ 1169013G2061 162.7円/錠 劇薬, 処方箋医薬品

1. 警告

前兆のない突発的睡眠及び傾眠等がみられることがあり、また突発的睡眠により自動車事故を起こした例が報告されているので、患者に本剤の突発的睡眠及び傾眠等についてよく説明し、本剤服用中には、自動車の運転、機械の操作、高所作業等危険を伴う作業に従事させないよう注意すること。[8.111.1.1参照]

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

4. 効能または効果

パーキンソン病

6. 用法及び用量

通常、成人にはロピニロールとして1日1回2mgから始め、2週目に4mg/日とする。以後経過観察しながら、必要に応じ、2mg/日ずつ1週間以上の間隔で増量する。いずれの投与量の場合も1日1回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、ロピニロールとして1日量16mgを超えないこととする。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤の投与は6.用法及び用量に従い少量から始め、消化器症状(悪心、嘔吐等)、血圧等の観察を十分に行い、忍容性をみながら慎重に増量し患者ごとに適切な維持量を定めること。また、本剤投与中止後再投与する場合にも少量から開始することを考慮すること。
7.2 一般に空腹時投与において悪心、嘔吐等の消化器症状が多く発現する可能性があるため、食後投与が望ましい。
7.3 本剤はできるだけ同じ時間帯に服用するよう指導すること。
7.4 本剤の有効成分は速放錠である「ロピニロール塩酸塩錠0.25mg、同1mg、同2mg」と同一であるが、用法及び用量が異なることに注意すること。また、ロピニロール塩酸塩錠(速放錠)から本剤へ切り替える場合には、翌日から切り替え可能であるが、十分に患者の状態を観察すること。切り替えに際しては、17.臨床成績の項を参考に用量を選択すること。

8. 重要な基本的注意

8.1 突発的睡眠により自動車事故を起こした例が報告されていることから、患者には突発的睡眠及び傾眠等についてよく説明し、自動車の運転、機械の操作、高所作業等危険を伴う作業に従事させないよう注意すること。なお、海外において突発的睡眠を起こした症例の中には、傾眠や過度の眠気のような前兆を認めなかった例あるいは投与開始後1年以上経過した後に初めて発現した例も報告されている。[1.、11.1.1参照]
8.2 起立性低血圧がみられることがあるので、本剤の投与は少量から始め、めまい、立ちくらみ、ふらつき等の起立性低血圧の徴候や症状が認められた場合には、減量、休薬又は投与中止等の適切な処置を行うこと。
8.3 本剤の減量、中止が必要な場合は、漸減すること。急激な減量又は中止により、高熱、意識障害、高度の筋硬直、不随意運動、ショック症状等の悪性症候群があらわれることがある。また、ドパミン受容体作動薬の急激な減量又は中止により、薬剤離脱症候群(無感情、不安、うつ、疲労感、発汗、疼痛等の症状を特徴とする)があらわれることがある。[11.1.311.2参照]
8.4 レボドパ又はドパミン受容体作動薬の投与により、病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されているので、このような症状が発現した場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、患者及び家族等にこのような衝動制御障害の症状について説明すること。
8.5 本剤は24時間かけて有効成分を放出し、溶解するよう設計されているので、腸切除の既往、人工肛門造設術、下痢等の影響で、本剤の消化管内滞留時間が短くなったと考えられる場合、又は糞便中に本剤の残留物が確認された場合には、本剤の効果が十分に得られないおそれがある。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 幻覚、妄想等の精神症状又はそれらの既往のある患者
症状が増悪又は発現しやすくなることがある。
9.1.2 重篤な心疾患又はその既往歴のある患者
本剤は薬理作用から心拍数低下を起こす可能性がある。
9.1.3 低血圧症の患者
症状が悪化することがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎障害(クレアチニンクリアランス30mL/分未満)のある患者
本剤は主として腎臓で排泄される。また、これらの患者を対象とした臨床試験は実施していない。血液透析を受けている患者に対して、透析による用量調節の必要性はない。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝障害のある患者
本剤は主として肝臓で代謝される。また、これらの患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.3.2 重度の肝障害のある患者
維持用量が決定するまではより低用量の用量調節が可能な速放錠である「ロピニロール塩酸塩錠0.25mg、同1mg、同2mg」を用いることも考慮すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で胎児毒性(体重減少、死亡数増加及び指の奇形)が報告されている。[2.2参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。臨床試験で本剤投与後に血漿中プロラクチン濃度の低下が認められたため、乳汁分泌が抑制されるおそれがある。また、動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。臨床試験において幻覚等の精神症状が多くみられた。

10. 相互作用

相互作用序文
本剤は主にCYP1A2により代謝される。
薬物代謝酵素用語
CYP1A2
10.2 併用注意
ドパミン拮抗剤
抗精神病薬
メトクロプラミド
スルピリド等
本剤の作用が減弱することがある。本剤はドパミン作動薬であり、併用により両薬剤の作用が拮抗するおそれがある。
CYP1A2阻害作用を有する薬剤
シプロフロキサシン
フルボキサミン等
ロピニロール速放錠とシプロフロキサシンとの併用によりロピニロールのCmax及びAUCがそれぞれ約60%及び84%増加したことが報告されている。
本剤投与中にこれらの薬剤を投与開始又は中止する場合は、必要に応じて本剤の用量を調整すること。
これらの薬剤のCYP1A2阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
エストロゲン含有製剤高用量のエストロゲンを投与した患者でロピニロールの血中濃度上昇がみられたとの報告があるので、本剤投与中に高用量のエストロゲンを投与開始又は中止する場合は、必要に応じて本剤の用量を調整すること。機序不明
他の抗パーキンソン剤
11.1.2参照]
ジスキネジア、幻覚、錯乱等の副作用が発現しやすくなる可能性があるため、これらの副作用があらわれた場合には減量、休薬又は投与中止等の適切な処置を行うこと。機序不明

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 突発的睡眠(1.8%)、極度の傾眠(頻度不明)
前兆のない突発的睡眠、極度の傾眠があらわれることがある。[1.、8.1参照]
11.1.2 幻覚(13.7%)、妄想、興奮、錯乱(いずれも頻度不明)、譫妄(0.6%)
幻覚、妄想、興奮、錯乱、譫妄等の精神症状があらわれることがある。[10.2参照]
11.1.3 悪性症候群(0.3%)
本剤の投与後、減量後又は中止後に、高熱、意識障害、高度の筋硬直、不随意運動、ショック症状等があらわれることがある。このような症状があらわれた場合には、投与開始初期の場合は中止し、また、継続投与中の用量変更・中止時の場合は一旦もとの投与量に戻した後慎重に漸減し、体冷却、水分補給等の適切な処置を行うこと。なお、投与継続中にも同様の症状があらわれることがある。[8.3参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上5%未満頻度不明
過敏症 発疹、そう蕁麻疹、血管性浮腫等
精神系 リビドー亢進病的賭博、強迫性購買、暴食、攻撃性、躁状態
神経系傾眠、ジスキネジアめまい失神
血管障害 起立性低血圧低血圧
胃腸障害悪心、便秘腹痛、嘔吐、消化不良 
その他 末梢性浮腫薬剤離脱症候群注)(無感情、不安、うつ、疲労感、発汗、疼痛等)

13. 過量投与

13.1 症状
ドパミン作用に関連する症状が発現する。
13.2 処置
ドパミン拮抗薬(抗精神病薬、メトクロプラミド等)投与により症状が軽減することがある。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.2 薬剤投与時の注意
本剤は徐放性製剤であるため、噛んだり、割ったり、砕いたりせずにそのまま服用するよう指導すること。

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報
動物実験(ラット)で1.5〜50mg/kg/日の2年間投与により、精巣Leydig細胞の過形成、腺腫の発生頻度が用量依存的に増加したとの報告がある。なお、マウスではがん原性は認められていない。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 L-dopa製剤非併用のパーキンソン病患者62例にロピニロール徐放錠2〜16mgを反復経口投与した時の血漿中ロピニロールのトラフ濃度はほぼ用量比例的に増加した1)
L-dopa製剤非併用パーキンソン病患者にロピニロール徐放錠2〜16mgを反復経口投与した時の血漿中ロピニロールのトラフ濃度
投与量(mg)例数(例)トラフ濃度(ng/mL)
2611.81±1.76
4583.53±1.75
613.82
8617.60±5.51
10179.77±3.24
121211.97±7.21
14912.58±5.59
161215.47±8.29
16.1.2 生物学的同等性試験
<ロピニロール徐放錠2mg「KMP」>
ロピニロール徐放錠2mg「KMP」とレキップCR錠2mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ロピニロールとして2mg)健康成人男子に絶食(n=27)及び食後(n=28)経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された2)
(1)絶食投与
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-48(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
ロピニロール徐放錠2mg「KMP」
(錠剤、2mg)
21.83±6.741.0373±0.31226.4±3.26.28±2.12
レキップCR錠2mg22.87±8.310.9629±0.35948.3±3.86.99±2.56
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
(2)食後投与
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-48(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
ロピニロール徐放錠2mg「KMP」
(錠剤、2mg)
28.63±9.391.5080±0.36677.2±2.96.17±1.52
レキップCR錠2mg27.40±10.731.3387±0.449410.6±4.06.19±1.58
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
L-dopa製剤非併用のパーキンソン病患者11例を対象に、ロピニロール徐放錠8〜16mgを食後に反復経口投与した時、空腹時と比べて血漿中ロピニロールの薬物動態に食事の影響はみられなかった。投与量で補正した血漿中ロピニロール濃度は投与後7時間にCmax(1.63±0.46ng/mL/mg)に達し、AUC0-24は28.28±7.88ng・hr/mL/mgであった3)
L-dopa製剤非併用のパーキンソン病患者にロピニロール徐放錠8〜16mgを反復経口投与した時の血漿中ロピニロールの薬物動態パラメータ(投与量で補正)
投与条件Cmax(ng/mL/mg)AUC0-24(ng・hr/mL/mg)
摂食後1.63±0.4628.28±7.88
絶食下1.64±0.6128.91±10.37
16.2.2 バイオアベイラビリティ
早期パーキンソン病患者23例にロピニロール徐放錠の8mgを1日1回4〜7日間経口投与した時の定常状態におけるTmaxの中央値は約6時間であり、ロピニロール速放錠の2.5mgを1日3回4〜7日間経口投与した時の血漿中ロピニロールの曝露量に対するロピニロール徐放錠の相対的バイオアベイラビリティは88%以上であった4)(外国人データ)。
16.3 分布
In vitroでの血漿蛋白結合率は35〜42%であった5)
16.5 排泄
16.5.1 健康成人男性9例にロピニロール0.1、0.2及び0.4mg注)を単回経口投与した時の投与後24時間までのロピニロール及び主代謝物(脱プロピル体)の尿中排泄率は以下のとおりであった6)
健康成人男性にロピニロール0.1〜0.4mgを投与した時の尿中排泄率(投与量に対する%:ロピニロール換算)
投与量(mg)ロピニロール主代謝物(脱プロピル体)合計
0.16.4±2.935.3±11.241.7±12.1
0.29.7±5.840.3±13.950.0±13.2
0.43.3±0.939.3±6.442.6±6.5
16.5.2 健康成人男性4例に14C標識体0.6mg注)を単回経口投与した時の投与後48時間までの総放射能排泄率は、尿中に86.1±3.1%、糞中に0.6±0.5%であった7)(外国人データ)。
注)本剤の承認用量は、「通常、成人にはロピニロールとして1日1回2mgから始め、2週目に4mg/日とする。以後経過観察しながら、必要に応じ、2mg/日ずつ1週間以上の間隔で増量する。いずれの投与量の場合も1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、ロピニロールとして1日量16mgを超えないこととする。」である。
16.8 その他
<ロピニロール徐放錠8mg「KMP」>
ロピニロール徐放錠8mg「KMP」は、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン(平成24年2月29日 薬食審査発0229第10号)」に基づき、ロピニロール徐放錠2mg「KMP」を標準製剤としたとき、溶出挙動が等しく、生物学的に同等とみなされた8)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験
L-dopa製剤併用例(進行期パーキンソン病患者)302例(ロピニロール徐放錠156例、ロピニロール速放錠146例)を対象とした二重盲検比較試験において、ロピニロール徐放錠のUPDRS(Unified Parkinson's Disease Rating Scale)PartIII(運動能力検査)の合計点減少度はロピニロール速放錠と比較し劣らないことが示された。また、UPDRS PartIII合計点のレスポンダー率、UPDRS PartII(日常生活動作)合計点及び有効性に関する全般的な印象の改善率(改善以上と判定された症例の割合)においてもロピニロール速放錠と同様の改善を示し、wearing-off、on-off現象を有する症例におけるoff時間の短縮効果(2.88時間の短縮)も認められた。最終評価時(24週)の投与量は9.21±4.05mg/日(平均値±SD)であった。
表1 UPDRS PartIII合計点減少度(24週時)
投与群例数ベースライン調整済み減少度95%信頼区間注1)
ロピニロール徐放錠14124.1-10.8-1.41,2.09
ロピニロール速放錠13324.3-11.1
表2 その他の有効性評価項目(24週時)
評価項目投与群例数結果
UPDRS PartIIIレスポンダー率注2)ロピニロール徐放錠15181%
ロピニロール速放錠13978%
UPDRS PartII合計点ロピニロール徐放錠151ベースライン7.7
減少度(on時)-2.6
ロピニロール速放錠142ベースライン7.6
減少度(on時)-2.9
改善率ロピニロール徐放錠15163%
ロピニロール速放錠14261%
off時間の短縮注3)ロピニロール徐放錠7876%
ロピニロール速放錠7769%
また、本試験のロピニロール徐放錠変更期(24週から32週)において、次表に示すとおりロピニロール速放錠からロピニロール徐放錠へ1日(1回)で切り替えたところ、UPDRS PartII及びPartIIIの合計点にほとんど変化はなく、有効性は維持された。また、ロピニロール徐放錠を継続した群と比較して副作用の発現頻度は同程度であり、種類にも違いはなかった。
表3 ロピニロール速放錠からロピニロール徐放錠への切り替え
ロピニロール速放錠1日投与量(mg)ロピニロール徐放錠1日投与量(mg)
34
4.54
66
7.58
98
10.510
1212
13.514
1516
24週間の非劣性検証期でのロピニロール徐放錠の副作用発現頻度は49%(76/156例)であり、主な副作用は悪心10%(15/156例)、傾眠10%(15/156例)、幻覚6%(10/156例)、便秘5%(8/156例)であった。対照薬であるロピニロール速放錠の副作用発現頻度は54%(79/146例)であり、主な副作用は悪心11%(16/146例)、ジスキネジー10%(15/146例)、傾眠10%(14/146例)、浮動性めまい5%(7/146例)であった。なお、非劣性検証期、ロピニロール徐放錠変更期及び長期投与期を含めた52週間を通してロピニロール徐放錠を投与した症例における副作用発現頻度は56%(41/73例)であり、主な副作用は悪心12%(9/73例)、傾眠12%(9/73例)、ジスキネジー7%(5/73例)、幻覚7%(5/73例)、起立性低血圧5%(4/73例)であった9)
17.1.2 国内第II相試験
L-dopa製剤非併用例(早期パーキンソン病患者)62例を対象とした非対照非盲検試験において、ロピニロール徐放錠は最終評価時(16週)におけるUPDRS PartII及びPartIIIの合計点を改善し、また有効性に関する全般的な印象の改善率は71.0%(44/62例)であった。平均1日投与量(任意漸増・維持量投与期)は11.13±2.77mg/日(平均値±SD)であった。
表4 UPDRS PartII及びPartIII合計点減少度(16週時)
評価項目例数ベースライン減少度
UPDRS PartII合計点628.2-3.9
UPDRS PartIII合計点6222.4-11.3
ロピニロール徐放錠を52週間投与した症例における副作用発現頻度は85.5%(53/62例)であり、主な副作用は傾眠38.7%(24/62例)、悪心27.4%(17/62例)、便秘21.0%(13/62例)、幻覚21.0%(13/62例)であった10)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ロピニロールはドパミンD2受容体系作動薬であり、ドパミンD2受容体系を刺激することにより、抗パーキンソン病作用を発現すると考えられる11)
18.2 抗パーキンソン病作用
MPTP処置マーモセットにおいて用量依存的に自発運動を増加させ、巧緻運動を改善した。更に、L-dopaと併用した場合には、L-dopa単独投与と比較して有意に自発運動を増加させた12)
中脳腹側被蓋野破壊サルにおいて強い抗振戦作用を示し、その作用発現も速やかであった13)
18.3 各種受容体に対する作用
18.3.1 中枢性ドパミン受容体に対する作用
In vitro試験において中枢性ドパミンD2受容体系に高い親和性を示したが、D1受容体系には親和性を示さなかった14)
18.3.2 その他の中枢性受容体に対する作用
In vitro試験においてアドレナリン受容体(α1、α2、β)、セロトニン受容体(5-HT1、5-HT2)、ベンゾジアゼピン受容体、GABA受容体及びアセチルコリン受容体(ムスカリン)のいずれにもほとんど親和性を示さなかった15)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ロピニロール塩酸塩

一般的名称 ロピニロール塩酸塩
一般的名称(欧名) Ropinirole Hydrochloride
化学名 4-[2-(Dipropylamino)ethyl]-2-indolinone monohydrochloride
分子式 C16H24N2O・HCl
分子量 296.84
融点 約241℃(分解)
物理化学的性状 白色〜淡黄色の粉末である。水にやや溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けにくい。
KEGG DRUG D00784

22. 包装

<ロピニロール徐放錠2mg「KMP」>
56錠[14錠×4:PTP、乾燥剤入り]
100錠[バラ、乾燥剤入り]
<ロピニロール徐放錠8mg「KMP」>
56錠[14錠×4:PTP、乾燥剤入り]
100錠[バラ、乾燥剤入り]

23. 主要文献

  1. 薬物動態(日本人)(レキップCR錠:2012年6月29日承認、申請資料概要2.7.2.2)
  2. 共創未来ファーマ株式会社 社内資料:生物学的同等性試験(錠2mg)
  3. 食事の影響(日本人)(レキップCR錠:2012年6月29日承認、申請資料概要2.7.1.2)
  4. Tompson D,et al., Clin Ther., 29, 2654-2666, (2007) »PubMed
  5. 血漿蛋白結合率(レキップ錠:2006年10月20日承認、申請資料概要ヘ.2.2.4)
  6. 浦江明憲ら, 薬理と治療, 24, S1805-S1815, (1996)
  7. 排泄率(レキップ錠:2006年10月20日承認、申請資料概要ヘ.3.1.2)
  8. 共創未来ファーマ株式会社 社内資料:生物学的同等性試験(錠8mg)
  9. 国内第III相試験(ROP106066試験)(レキップCR錠:2012年6月29日承認、申請資料概要2.7.3.3、2.7.4.1、2.7.4.2、2.7.6)
  10. 国内第II相試験(ROP106064試験)(レキップCR錠:2012年6月29日承認、申請資料概要2.7.3.3、2.7.4.1、2.7.6)
  11. 作用機序(レキップ錠:2006年10月20日承認、申請資料概要ホ.1)
  12. Fukuzaki K,et al., Pharmacol Biochem Behav., 67, 121-129, (2000) »PubMed
  13. Fukuzaki K,et al., Pharmacol Biochem Behav., 65, 503-508, (2000) »PubMed
  14. 中枢性ドパミン受容体に対する作用(レキップ錠:2006年10月20日承認、申請資料概要ホ.1.2.1)
  15. その他の中枢性受容体に対する作用(レキップ錠:2006年10月20日承認、申請資料概要ホ.1.2.3)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
共創未来ファーマ株式会社 お客様相談室
〒155-8655 東京都世田谷区代沢5-2-1
電話:050-3383-3846
製品情報問い合わせ先
共創未来ファーマ株式会社 お客様相談室
〒155-8655 東京都世田谷区代沢5-2-1
電話:050-3383-3846

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
共創未来ファーマ株式会社
東京都品川区広町1-4-4

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版