17.1.1 国内第III相試験(有効性(予防効果)を検討した二重盲検比較試験:Rota-056試験)
生後6〜14週の健康乳児765例に対する二重盲検比較試験において、本剤もしくはプラセボを1ヵ月間隔で合計2回経口接種を行った。
(1)主要評価項目
主要な解析時点であるロタウイルス胃腸炎が28件以上集積された時点、及び全被験者が生後2歳児になるまでの時点における医療機関への受診が必要なロタウイルス胃腸炎に対する予防効果は下記のとおりであった
5)。
表1 ロタウイルス胃腸炎に対するワクチン予防効果
| 投与群 | ロタウイルス胃腸炎発現頻度(%) (95%信頼区間) | 予防効果(%)注1) (95%信頼区間) (p値)注2) |
28件以上集積時点 | 本剤(498例) | 1.8(0.8,3.4) | 81.9(60.0,92.6) (p<0.001) |
プラセボ(250例) | 10.0(6.6,14.4) |
生後2歳時まで | 本剤(498例) | 2.8(1.5,4.7) | 79.3(60.5,89.8) (p<0.001) |
プラセボ(250例) | 13.6(9.6,18.5) |
(2)副次評価項目
医療機関への受診が必要な重症ロタウイルス胃腸炎(Vesikari score
6)が11点以上)に対するロタウイルス胃腸炎が28件以上集積された時点、及び全被験者が生後2歳児になるまでの時点における予防効果は下記のとおりであった
5)。
表2 重症ロタウイルス胃腸炎に対するワクチン予防効果
| 投与群 | 重症ロタウイルス胃腸炎発現頻度(%) (95%信頼区間) | 予防効果(%)注1) (95%信頼区間) (p値)注2) |
28件以上集積時点 | 本剤(498例) | 0.2(0.0,1.1) | 95.4(68.6,99.9) (p<0.001) |
プラセボ(250例) | 4.4(2.2,7.7) |
生後2歳時まで | 本剤(498例) | 0.4(0.0,1.4) | 91.6(62.4,99.1) (p<0.001) |
プラセボ(250例) | 4.8(2.5,8.2) |
G1型及び非G1型に対する医療機関への受診が必要なロタウイルス胃腸炎の予防効果(95%信頼区間:p値,条件付正確検定によるp値(両側検定、症例数の条件下))については、ロタウイルス胃腸炎が28件以上集積された時点において、それぞれ91.6%(31.0,99.8:p=0.014)及び78.9%(49.4,92.0:p<0.001)であった。同様に、生後2歳時までは、それぞれ84.6%(50.0,96.3:p<0.001)及び76.1%(47.0,89.9:p<0.001)であった。
G1型及び非G1型に対する医療機関への受診が必要な重症ロタウイルス胃腸炎の予防効果(95%信頼区間:p値,条件付正確検定によるp値(両側検定、症例数の条件下))については、ロタウイルス胃腸炎が28件以上集積された時点において、それぞれ100%(24.0,100.0:p=0.025)及び92.8%(44.2,99.8:p=0.005)であった。同様に、生後2歳時までは、それぞれ91.6%(31.0,99.8:p=0.014)及び91.6%(31.0,99.8:p=0.014)であった。
本剤接種症例508例中、接種後8日間(接種当日を含む)における副反応の発現頻度は12.2%(62/508例)であった。主なものは、易刺激性/ぐずり7.3%(37/508例)、下痢3.5%(18/508例)、咳嗽/鼻漏3.3%(17/508例)であった。
17.1.2 海外第III相試験(有効性(予防効果)を検討した大規模臨床試験:Rota-036試験)
健康乳児3874例(本剤群2572例、プラセボ群1302例)を対象とした二重盲検比較試験におけるロタウイルス胃腸炎及び重症ロタウイルス胃腸炎(Vesikari scoreが11点以上)に対する型別の予防効果は下記のとおりであった
7)。
本剤接種後8日間(接種当日を含む)の安全性調査を行った914例における副反応の発現頻度は57.8%(528/914例)であった。主なものは、易刺激性/ぐずり43.2%(395/914例)、発熱25.6%(234/914例)、食欲不振22.1%(202/914例)であった。
表3 ロタウイルス型別の予防効果
本剤(2572例) プラセボ(1302例) | ロタウイルス胃腸炎予防効果(%)注1) (95%信頼区間:p値)注2) | 重症ロタウイルス胃腸炎予防効果(%)注1) (95%信頼区間:p値)注2) |
主要評価項目:生後1年目までの有効性 |
全ての型 | 87.1 (79.6,92.1:p<0.001) | 95.8 (89.6,98.7:p<0.001) |
探索的評価項目:生後2年目までの有効性 |
全ての型 | 78.9 (72.7,83.8:p<0.001) | 90.4 (85.1,94.1:p<0.001) |
G1P[8] | 89.5 (82.5,94.1:p<0.001) | 96.4 (90.4,99.1:p<0.001) |
G2P[4] | 58.3 (10.1,81.0:p=0.02) | 85.5 (24.0,98.5:p=0.009) |
G3P[8] | 84.8 (41.0,97.3:p=0.002) | 93.7 (52.8,99.9:p=0.001) |
G4P[8] | 83.1 (55.6,94.5:p<0.001) | 95.4 (68.3,99.9:p<0.001) |
G9P[8] | 72.5 (58.6,82.0:p<0.001) | 84.7 (71.0,92.4:p<0.001) |
17.1.3 海外第III相試験(早期産児を対象に安全性を検討した臨床試験:Rota-054試験)
在胎27〜36週で出生した早期産児(1009例)を対象とした二重盲検試験において、主要評価項目である重篤な有害事象の発現頻度に本剤群とプラセボ群で違いは認められず、また安全性プロファイルも同様であった。
本剤接種後31日間(接種当日を含む)における副反応の発現頻度は8.5%(57/670例)であった。主なものは、発熱3.4%(23/670例)、易刺激性/ぐずり1.0%(7/670例)、胃腸炎1.0%(7/670例)であった。
17.1.4 海外第III相試験(3年までの有効性を検討した臨床試験:Rota-028/029/030試験)
健康乳児10519例(本剤群5263例、プラセボ群5256例)を対象とした二重盲検比較試験において、副次評価項目である3歳になるまでの流行株による重症ロタウイルス胃腸炎に対する予防効果(95%信頼区間:p値)は96.9%(88.3,99.6:p<0.001)であった。
本剤群における重篤な有害事象の発現頻度1868/10000(1001/5359例)であり、主なものは細気管支炎319.1/10000(171/5359例)、胃腸炎253.8/10000(136/5359例)、上気道感染235.1/10000(126/5359例)であった。
17.1.5 海外第II相試験(HIV感染乳児を対象に安全性を検討した臨床試験:Rota-022試験)
無症候性又は軽症のHIV感染乳児(100例)を対象とした二重盲検試験において、主要評価項目である接種後の有害事象(グレード2又は3の発熱、嘔吐又は下痢)の発現頻度は、本剤群52.0%(26/50例)とプラセボ群56.0%(28/50例)で同様であった
8)。
本剤接種後31日間(接種当日を含む)における副反応の発現頻度は2.0%(1/50例)であり、腹痛1例であった。[
8.4、
9.1.4参照]
17.1.6 海外第III相試験(腸重積症発症リスクを検討した大規模臨床試験:Rota-023試験)
健康乳児63225例(本剤群31673例、プラセボ群31552例)を対象に、各接種後31日以内での腸重積症発症を安全性主要評価項目とした二重盲検試験において、本剤群ではプラセボ群と比較して腸重積症発症リスクの増加は認められず(表4参照)、また、1歳時までの相対リスクは0.28(95%信頼区間:0.10,0.81)であった。有効性の主要評価項目である1歳になるまでの重症ロタウイルス胃腸炎(Vesikari scoreが11点以上)に対する予防効果は84.7%(95%信頼区間:71.7,92.4:p<0.001)であった(有効性評価部分集団17867例:本剤群9009例、プラセボ群8858例)
2)3)。[
15.1.2、
15.1.3参照]
本剤接種後の重篤な有害事象の発現頻度は506.9/10000(468/9233例)であり、主なものは胃腸炎126.7/10000(117/9233例)、肺炎110.5/10000(102/9233例)、細気管支炎67.2/10000(62/9233例)であった。
表4 接種後31日以内における腸重積症発症リスク増加に関する安全性の要約
| 腸重積症発症例数及び率 | リスク差 | 相対リスク | p値注2) |
本剤 | プラセボ | /10000 (95%CI)注1) | 値 (95%CI)注1) |
例 | /10000 | 例 | /10000 |
いずれかの接種回 | 6 | 1.9 | 7 | 2.2 | −0.32 (−2.91,2.18) | 0.85 (0.30,2.42) | 0.776 |
1回目接種後 | 1 | 0.3 | 2 | 0.6 | −0.32 (−2.03,1.20) | 0.50 (0.07,3.80) | 0.561 |
2回目接種後 | 5 | 1.7 | 5 | 1.7 | −0.01 (−2.48,2.45) | 0.99 (0.31,3.21) | 0.994 |
17.1.7 海外第III相試験(双生児を対象にワクチン株の水平伝播を検討した臨床試験:Rota-052試験)
健康双生児(100組、計200例)を対象とした二重盲検試験(双生児の一方に本剤、他方にプラセボを接種)において、プラセボ接種者18.8%(95%信頼区間:10.9,29.0)の糞便検体にワクチン由来株が認められた
9)(主要評価項目)。また、安全性プロファイルは本剤接種群とプラセボ群において同様であり、ワクチン株の水平伝播と胃腸症状などに関連性は認められなかった。
副反応の発現頻度は本剤接種群2.0%(2/100例)であり、発熱1例、鼻づまり1例であった。[
15.1.1参照]
17.2.1 国内製造販売後臨床試験(沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ(ソークワクチン)混合ワクチン(DPT-IPVワクチン)との同時接種を検討した製造販売後臨床試験:Rota-079試験)
生後6〜12週の健康乳児(同時接種群147例、交互接種群145例)に対する非盲検比較試験において、本剤を生後2及び3ヵ月時に、DPT-IPVワクチンを生後3、4及び6ヵ月時に接種する同時接種群と、本剤を生後2及び3.5ヵ月時に、DPT-IPVワクチンを生後3、4.5及び6ヵ月時に接種する交互接種群で、DPT-IPVワクチンの免疫原性及び安全性を評価した。本剤との同時接種によりDPT-IPVワクチンの各抗原の免疫原性(主要評価項目)への影響は認められなかった。
同時接種群147例中、接種後8日間(接種当日を含む)における副反応の発現頻度は、50.3%(74/147例)であった。主なものは、易刺激性/ぐずり34.7%(51/147例)、発熱19.0%(28/147例)、下痢12.9%(19/147例)であった。交互接種群145例の副反応の発現状況は、同時接種群と同様であった
10)。