医療用医薬品 : 球形吸着炭

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医薬品情報


総称名 球形吸着炭
薬効分類名 慢性腎不全用剤
薬効分類番号 3929
KEGG DRUG
D08750 球形吸着炭
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年7月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
球形吸着炭細粒「マイラン」 (後発品) Spherical Adsorptive Carbon Fine Granules ヴィアトリス・ヘルスケア 3929003C1059 37.2円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
消化管に通過障害を有する患者[排泄に支障をきたすおそれがある。]

4. 効能または効果

下記の疾患における尿毒症症状の改善及び透析導入の遅延
慢性腎不全(進行性)

5. 効能または効果に関連する注意

5.1 進行性の慢性腎不全と診断された保存療法期の患者を対象とすること。
本剤適用の前には血清クレアチニンの上昇により進行性の慢性腎不全であることを確認した上で、適用を考慮すること。
5.2 透析導入の遅延に関しては、本剤適用前の血清クレアチニン(S-Cr)の上昇の割合が中等度以上(1ヵ月当りの1/S-Crの変化が0.01dL/mg以上)であることを確認した上で、本剤の適用を考慮すること。これに相当する血清クレアチニン値の変化の目安は次表の通りである。
1ヵ月前の血清クレアチニン値→現在の血清クレアチニン値
2.9mg/dL→3.0mg/dL
4.8mg/dL→5.0mg/dL
6.5mg/dL→7.0mg/dL

6. 用法及び用量

通常、成人に1日6gを3回に分割し、経口投与する。

7. 用法及び用量に関連する注意

本剤服用中においては、血清クレアチニン及び尿毒症症状の変化等の経過を適宜観察し、投与開始6ヵ月を目標に投与継続の適否を検討する。改善が見られない場合には、中止又は他の療法を考慮する等の適切な処置を行うこと。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤服用中において改善が望めない状態に至った時は、透析療法導入等の適切な処置を行うこと。
8.2 他剤を併用する場合、本剤は吸着剤であることを考慮し、本剤との同時服用は避けること。[10.2参照]
8.3 ビタミンやホルモン等の生体内における恒常性については、これまでに特記すべき異常は認められていないが、本剤は吸着剤であることを考慮して、特に長期投与の際には、全身状態等に注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 消化管潰瘍、食道静脈瘤を有する患者
固体のまま消化管を通過するので、患部を刺激するおそれがある。
9.1.2 便秘を起こしやすい患者
便秘を増悪するおそれがあり、また基礎疾患に肝障害を有する患者では血中アンモニア値の上昇があらわれることがある。
9.5 妊婦
妊娠又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
一般に生理機能が低下しており、副作用があらわれやすい。

10. 相互作用

10.2 併用注意
8.2参照]

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、症状があらわれた場合には減量又は休薬する等の適切な処置を行うこと1)
 1〜2%未満1%未満
皮膚 そう痒感
皮疹
消化器便秘
食欲不振
悪心・嘔吐
腹部膨満感
胃重感
腹痛
下痢

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
本剤は吸湿性が強いので分包の状態で保存するよう指導すること。

16. 薬物動態

16.2 吸収
14C-標識球形吸着炭細粒をマウスに連日10日間の反復経口投与したとき、生体内への吸収、蓄積性は認められなかった2)
16.5 排泄
14C-標識球形吸着炭細粒をマウスに単回経口投与したとき、24時間後にほぼ全量が糞中に排泄された2)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験(一般臨床試験)
保存療法期の慢性腎不全患者566例を対象として、球形吸着炭細粒の投与を1日3〜6g(分3)より開始し、主治医の判断により増減して実施された。その結果、透析導入時期は球形吸着炭細粒投与で非投与群に比し延長されることが認められた3)
17.1.2 国内第III相試験(二重盲検比較試験)
プラセボを対照薬として、進行性の慢性腎不全患者244例(球形吸着炭細粒群124例、プラセボ群120例)を対象とし、1日6g(分3)、24週間の投与で実施された。その結果、球形吸着炭細粒群では血清クレアチニンの逆数〜時間プロットの傾斜(S-Cr逆数傾斜)が試験後に有意に緩やかになり、また尿毒症症状は投与2週後より球形吸着炭細粒群がプラセボ群に比し優れた改善を示した。球形吸着炭細粒群の全般改善度は改善以上45%(55/122)、やや改善以上71%(87/122)であり、プラセボ群の22%(26/119)、33%(39/119)に比べ有意に優れていた4)
S-Cr逆数傾斜の試験開始前後の比較
傾斜(10−5dL/mg・週)(Mean±SD)
 症例数W検定
A群119−329±245−222±378p<0.001
P群118−293±184−274±279N.S.

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
球形吸着炭は、内服により慢性腎不全における尿毒症毒素を消化管内で吸着し、便とともに排泄されることにより、尿毒症症状の改善や透析導入を遅らせる効果をもたらす5)
18.2 慢性腎不全に対する作用
18.2.1 腎不全モデルラットに投与したとき、腎不全病態悪化抑制(摂餌量・体重の維持、血清クレアチニン・尿素窒素の上昇抑制、糸球体濾過機能の低下抑制、腎組織病変の悪化抑制)が得られ、生存日数が延長する6)7)8)
18.2.2 保存期慢性腎不全患者に投与したとき、血清クレアチニンの上昇が抑制され、尿毒症症状が改善され、透析導入までの期間が延長される3)4)
18.3 イオン性有機化合物の吸着
腎不全時に血中濃度が上昇するイオン性有機化合物に対する球形吸着炭細粒「マイラン」とクレメジン細粒分包2gの吸着力を比較した結果、その吸着力は同等であった9)in vitro)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1.

化学名 炭素
物理化学的性状 黒色球形の粒子である。

22. 包装

84包[2g×84]

23. 主要文献

  1. 秋澤忠男ほか, 腎と透析, 45 (3), 373-388, (1998)
  2. 菅野三喜男ほか, 基礎と臨床, 21 (5), 2411-2417, (1987)
  3. 越川昭三ほか, 腎と透析, 23 (2), 373-381, (1987)
  4. 小出桂三ほか, 臨床評価, 15 (3), 527-564, (1987)
  5. 小出桂三ほか, 日本臨牀, 43 (特別号), 422-440, (1985)
  6. 越川昭三ほか, 腎と透析, 21 (1), 199-206, (1986)
  7. Kanai F,et al., Japanese Journal of Nephrology., 28 (9), 1249-1259, (1986) »PubMed
  8. 酒井糾ほか, 日本腎臓学会誌, 31 (4), 359-365, (1989) »DOI
  9. 社内資料:薬効薬理試験(球形吸着炭細粒「マイラン」)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
扶桑薬品工業株式会社 研究開発センター 学術室 (9:00〜17:30/土日祝を除く)
〒536-8523 大阪市城東区森之宮二丁目3番30号
電話:06-6964-2763
FAX:06-6964-2706
製品情報問い合わせ先
扶桑薬品工業株式会社 研究開発センター 学術室 (9:00〜17:30/土日祝を除く)
〒536-8523 大阪市城東区森之宮二丁目3番30号
電話:06-6964-2763
FAX:06-6964-2706

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
ヴィアトリス・ヘルスケア合同会社
東京都港区麻布台一丁目3番1号
26.2 販売元
扶桑薬品工業株式会社
大阪市城東区森之宮二丁目3番11号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版