医療用医薬品 : ケトチフェン

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医薬品情報


総称名 ケトチフェン
一般名 ケトチフェンフマル酸塩
欧文一般名 Ketotifen Fumarate
製剤名 ケトチフェンフマル酸塩カプセル
薬効分類名 アレルギー性疾患治療剤
薬効分類番号 4490
ATCコード R06AX17
KEGG DRUG
D01332 ケトチフェンフマル酸塩
KEGG DGROUP
DG01482 ヒスタミンH1受容体拮抗薬
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2025年2月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ケトチフェンカプセル1mg「ツルハラ」 (後発品) Ketotifen Capsules 1mg「TSURUHARA」 鶴原製薬 4490003M1409 6.1円/カプセル

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 てんかん又はその既往歴のある患者[9.1.1参照]

4. 効能または効果

気管支喘息
アレルギー性鼻炎
○湿疹・皮膚炎、蕁麻疹、皮膚そう痒症

6. 用法及び用量

通常、成人にはケトチフェンとして1回1mg(1カプセル)を1日2回朝食後及び就寝前に経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。
<気管支喘息>
8.2 本剤はすでに起こっている発作を速やかに軽減する薬剤ではないので、このことを患者に十分説明しておく必要がある。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 てんかんを除く痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者
痙攣閾値を低下させることがある。[2.2参照]
9.1.2 長期ステロイド療法を受けている患者
本剤投与によりステロイドの減量をはかる場合は十分な管理下で徐々に行うこと。
9.3 肝機能障害患者
肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
乳児、幼児に投与する場合には、観察を十分に行い慎重に投与すること。痙攣、興奮等の中枢神経症状があらわれることがある。[11.1参照]
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般的に生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.2 併用注意
中枢神経抑制剤
(鎮静剤、催眠剤等)
抗ヒスタミン剤
アルコール
眠気、精神運動機能低下等を起こすことがある。
アルコール性飲料の摂取を制限すること。
いずれも中枢神経抑制作用を有するため。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
11.1.1 痙攣、興奮(頻度不明)
乳児、幼児では特に注意すること。[9.7参照]
11.1.2 肝機能障害、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、ALP、LDH、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
 0.1%〜5%未満0.1%未満頻度不明
泌尿器頻尿、排尿痛、血尿、残尿感等の膀胱炎様症状
過敏症発疹、蕁麻疹浮腫、多形紅斑
精神神経系眠気、けん怠感、口渇めまい、ふらつき、頭痛、味覚異常、しびれ感一過性の意識消失、易刺激性、不眠、神経過敏、鎮静
消化器悪心、腹痛、下痢、嘔吐、胃部不快感、食欲不振、便秘、口内炎
肝臓AST、ALT、ALPの上昇LDH、γ-GTPの上昇
その他体重増加、鼻出血ほてり、動悸、月経異常

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

本剤は、アレルゲン皮内反応を抑制するため、アレルゲン皮内反応検査を実施する3〜5日前より本剤の投与を中止することが望ましい1)

13. 過量投与

13.1 徴候、症状
傾眠、見当識障害、チアノーゼ、呼吸困難、発熱、錯乱、痙攣、頻脈、徐脈、低血圧、眼振、可逆性昏睡等。特に小児では、興奮性亢進、痙攣2)

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 ケトチフェンカプセル(ケトチフェンとして2mg注))を経口投与した場合、2.8時間で最高血中濃度に達し、血中消失半減期は6.7時間である3)
16.1.2 生物学的同等性試験
ケトチフェンカプセル1mg「ツルハラ」とザジテンカプセル1mgをクロスオーバー法により、ケトチフェンとして2mg注)(カプセル2カプセル、ドライシロップ2g)を健康成人男子に絶食時単回経口投与して血漿中総ケトチフェン濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.8)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された4)
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-24(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)t1/2(hr)
ケトチフェンカプセル1mg「ツルハラ」68.4±2.18.8±0.22.0±0.13.9±0.2
ザジテンカプセル1mg74.3±2.58.9±0.32.2±0.16.2±0.8
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.3 分布
血漿タンパク結合率は75%以上である3)
16.4 代謝
主要代謝物はグルクロン酸抱合体で、その他N-酸化体、脱メチル化体ができる3)5)(外国人データ)。
16.5 排泄
経口投与後120時間までの尿中排泄率は71%、糞中排泄率は26%である3)
注)本剤の承認された通常成人一回用量は1mgである。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
抗原抗体反応に伴って起こる肥満細胞からのヒスタミンやロイコトリエンC4・D4などのケミカルメディエーターの遊離を抑制すると共に、これらの作用に拮抗することにより、アレルギー症状を緩和する3)
18.2 抗アナフィラキシー作用
ケトチフェンはPCA(受動的皮膚アナフィラキシー)反応、実験的気管支喘息モデルにおけるアナフィラキシー反応を抑制する(ラット)6)。ヒスタミン及びSRS-A等ケミカルメディエーターの遊離を抑制する(ラット腹腔・皮膚肥満細胞6)7)、ヒト白血球中好塩基球・好中球8)9)、ヒト肺10)in vitro)。また、抗SRS-A作用を有する(モルモット気管支筋in vivo、回腸in vitro9)10)
18.3 抗ヒスタミン作用
ケトチフェンはヒスタミンによる気管支収縮(モルモット)、血管透過性亢進、皮膚反応(ラット)等を抑制する6)
18.4 PAF(血小板活性化因子)による気道反応の抑制
ケトチフェンはPAFによる気管支収縮、気道反応性亢進を抑制する(モルモット)11)12)
18.5 好酸球に対する作用
PAFによる好酸球の気道への集積を防止する(モルモット12)、ヒヒ13))。アレルギー性疾患患者においてケトチフェンは抗原刺激による好酸球の脱顆粒を防止する(in vitro14)
ケトチフェンはアレルギー性疾患患者の末梢血好酸球を減少させる15)16)17)
また、臨床症状の改善に伴って低比重好酸球比率の減少がみられる15)
18.6 誘発試験による過敏反応の抑制
アレルギー性疾患患者において、ケトチフェンは抗原誘発による気道、鼻粘膜、皮膚等の過敏反応を抑制する18)19)20)21)22)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ケトチフェンフマル酸塩

一般的名称 ケトチフェンフマル酸塩
一般的名称(欧名) Ketotifen Fumarate
化学名 4-(1-Methylpiperidin-4-ylidene)-4H-benzo[4,5]cyclohepta[1,2-b]thiophen-10(9H)-one monofumarate
分子式 C19H19NOS・C4H4O4
分子量 425.50
融点 約190℃(分解)
物理化学的性状 白色〜淡黄白色の結晶性の粉末である。
メタノール又は酢酸(100)にやや溶けにくく、水、エタノール(99.5)又は無水酢酸に溶けにくい。
KEGG DRUG D01332

22. 包装

PTP
100カプセル(10カプセル×10)
1,200カプセル(10カプセル×120、乾燥剤入り)

23. 主要文献

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  2. Le Blaye,I.et al, Drug Safety, 7 (5), 387-392, (1992) »PubMed
  3. 第十八改正日本薬局方解説書, C-1928-C-1931, (2021), (廣川書店)
  4. 社内資料:生物学的同等性試験
  5. Kennedy,G.R., Res.Clin.Forums, 4 (1), 17-20, (1982)
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  9. 岸本真知子他, アレルギーの臨床, 4 (2), 149-151, (1984)
  10. Ney,U.M.et al., Res.Clin.Forums, 4 (1), 9-16, (1982)
  11. Mazzoni,L.et al., Br.J.Pharmacol., 86 (S), 571, (1985)
  12. Morley,J.et al., Agents Actions, 23 (S), 187-194, (1988)
  13. Arnoux,B.et al., Am.Rev.Respir.Dis., 137 (4), 855-860, (1988) »PubMed
  14. Podleski,W.K.et al., Agents Actions, 15 (3-4), 177-181, (1984) »PubMed
  15. 宮里稔他, 炎症, 8 (3), 260-262, (1988) »DOI
  16. 笹本明義他, 小児科臨床, 39 (11), 3275-3281, (1986)
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  19. 山田政功他, アレルギーの臨床, 4 (2), 137-140, (1984)
  20. 臼井信郎他, 耳鼻咽喉科展望, 27 (S1), 107-114, (1984)
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  22. Giesen,H.K.et al., Med.Welt, 30 (37), 1359-1360, (1979) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
鶴原製薬株式会社 医薬情報部
〒563-0036 大阪府池田市豊島北1丁目16番1号
電話:072-761-1456(代表)
FAX:072-760-5252
製品情報問い合わせ先
鶴原製薬株式会社 医薬情報部
〒563-0036 大阪府池田市豊島北1丁目16番1号
電話:072-761-1456(代表)
FAX:072-760-5252

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
鶴原製薬株式会社
大阪府池田市豊島北1丁目16番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版