医療用医薬品 : セレコキシブ

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医薬品情報


総称名 セレコキシブ
一般名 セレコキシブ
欧文一般名 Celecoxib
製剤名 セレコキシブ錠
薬効分類名 非ステロイド性消炎・鎮痛剤(COX-2選択的阻害剤)
薬効分類番号 1149
ATCコード M01AH01
KEGG DRUG
D00567 セレコキシブ
KEGG DGROUP
DG01504 非ステロイド性抗炎症薬 (NSAID)
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年2月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
セレコキシブ錠100mg「ダイト」 CELECOXIB Tablets ダイト 11490A6F1249 劇薬, 処方箋医薬品注)
セレコキシブ錠200mg「ダイト」 CELECOXIB Tablets ダイト 11490A6F2245 劇薬, 処方箋医薬品注)

1. 警告

外国において、シクロオキシゲナーゼ(COX)-2選択的阻害剤等の投与により、心筋梗塞、脳卒中等の重篤で場合によっては致命的な心血管系血栓塞栓性事象のリスクを増大させる可能性があり、これらのリスクは使用期間とともに増大する可能性があると報告されている。[7.28.18.29.1.111.1.317.3.1参照]

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分又はスルホンアミドに対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 アスピリン喘息(非ステロイド性消炎・鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者[重症喘息発作を誘発するおそれがある。][9.1.6参照]
2.3 消化性潰瘍のある患者[消化性潰瘍を悪化させるおそれがある。][9.1.4参照]
2.4 重篤な肝障害のある患者[9.3.1参照]
2.5 重篤な腎障害のある患者[9.2.1参照]
2.6 重篤な心機能不全のある患者[プロスタグランジン合成阻害作用に基づくナトリウム・水分貯留傾向があるため心機能を悪化させるおそれがある。][9.1.2参照]
2.7 冠動脈バイパス再建術の周術期患者[外国において、類薬で心筋梗塞及び脳卒中の発現が増加するとの報告がある。][9.1.1参照]
2.8 妊娠末期の女性[9.5.1参照]

4. 効能または効果

○下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、腱・腱鞘炎
○手術後、外傷後並びに抜歯後の消炎・鎮痛

6. 用法及び用量

<関節リウマチ>
通常、成人にはセレコキシブとして1回100〜200mgを1日2回、朝・夕食後に経口投与する。
<変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、腱・腱鞘炎>
通常、成人にはセレコキシブとして1回100mgを1日2回、朝・夕食後に経口投与する。
<手術後、外傷後並びに抜歯後の消炎・鎮痛>
通常、成人にはセレコキシブとして初回のみ400mg、2回目以降は1回200mgとして1日2回経口投与する。なお、投与間隔は6時間以上あけること。
頓用の場合は、初回のみ400mg、必要に応じて以降は200mgを6時間以上あけて経口投与する。ただし、1日2回までとする。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 慢性疾患(関節リウマチ、変形性関節症等)に対する使用において、本剤の投与開始後2〜4週間を経過しても治療効果に改善が認められない場合は、他の治療法の選択について考慮すること。
7.2 本剤の1年を超える長期投与時の安全性は確立されておらず、外国において、本剤の長期投与により、心筋梗塞、脳卒中等の重篤で場合によっては致命的な心血管系血栓塞栓性事象の発現を増加させるとの報告がある。[1.参照]
7.3 他の消炎・鎮痛剤(心血管系疾患予防の目的で使用するアスピリンを除く)との併用は避けることが望ましい。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤を使用する場合は、有効最小量を可能な限り短期間投与することに留め、長期にわたり漫然と投与しないこと。[1.参照]
8.2 本剤の投与により、心筋梗塞、脳卒中等の重篤で場合によっては致命的な心血管系血栓塞栓性事象が発現するおそれがあるので、観察を十分に行い、これらの徴候及び症状の発現には十分に注意すること。[1.、9.1.1参照]
8.3 本剤には血小板に対する作用がないので、心血管系疾患予防の目的でアスピリンの代替薬として使用しないこと。抗血小板療法を行っている患者については、本剤投与に伴い、その治療を中止してはならない。
8.4 国内で患者を対象に実施した臨床試験ではCOX-2に対して選択性の高い本剤と選択性の低い非ステロイド性消炎・鎮痛剤による消化管の副作用発現率に差は認められなかった。特に、消化管障害発生のリスクファクターの高い患者への投与に際しては副作用の発現に十分な観察を行うこと。[18.3参照]
8.5 肝不全、肝炎、AST、ALT、ビリルビン等の上昇、黄疸の発現が報告されているので、定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行うこと。[11.1.5参照]
8.6 急性腎障害、間質性腎炎等の重篤な腎障害の発現が報告されているので、定期的に腎機能検査を行うなど観察を十分に行うこと。[11.1.7参照]
8.7 本剤の投与により、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)等の重篤で場合によっては致命的な皮膚症状が発現するおそれがあり、多くの場合、これらの事象は投与開始後1カ月以内に発現しているので、治療初期には特に注意すること。[11.1.8参照]
8.8 慢性疾患(関節リウマチ、変形性関節症等)に対し本剤を用いる場合には、次の事項を考慮すること。
・定期的あるいは必要に応じて臨床検査(尿検査、血液検査、腎機能検査、肝機能検査、心電図検査及び便潜血検査等)を行うこと。
・消炎・鎮痛剤による治療は原因療法ではなく、対症療法であることに留意すること。また、薬物療法以外の療法も考慮すること。
8.9 急性疾患(手術後、外傷後並びに抜歯後の消炎・鎮痛)に対し本剤を用いる場合には、次の事項を考慮すること。
・急性炎症及び疼痛の程度を考慮し、投与すること。
・原則として長期投与を避けること。
・原因療法があればこれを行い、本剤を漫然と投与しないこと。
・初回の投与量が2回目以降と異なることに留意し、患者に対し服用方法について十分説明すること。
8.10 本剤で報告されている薬理作用により、感染症を不顕性化するおそれがあるので、感染症の発現に十分に注意し慎重に投与すること。
8.11 浮動性めまい、回転性めまい、傾眠等が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う作業に従事する場合には注意させること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 心血管系疾患又はその既往歴のある患者(冠動脈バイパス再建術の周術期患者を除く)[1.、2.78.2参照]
9.1.2 心機能障害のある患者(重篤な心機能不全のある患者を除く)
水、ナトリウムの貯留が起こる可能性があり、心機能障害を悪化させるおそれがある。[2.6参照]
9.1.3 高血圧症のある患者
水、ナトリウムの貯留が起こる可能性があり、血圧を上昇させるおそれがある。
9.1.4 消化性潰瘍の既往歴のある患者
消化性潰瘍を再発させるおそれがある。[2.3参照]
9.1.5 非ステロイド性消炎・鎮痛剤の長期投与による消化性潰瘍のある患者で、本剤の長期投与が必要であり、かつミソプロストールによる治療が行われている患者
本剤を継続投与する場合には、十分経過を観察し、慎重に投与すること。ミソプロストールは非ステロイド性消炎・鎮痛剤により生じた消化性潰瘍を効能又は効果としているが、ミソプロストールによる治療に抵抗性を示す消化性潰瘍もある。
9.1.6 気管支喘息のある患者(アスピリン喘息又はその既往歴のある患者を除く)
喘息発作を誘発するおそれがある。[2.2参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎障害のある患者
投与しないこと。腎障害を悪化させるおそれがある。[2.5参照]
9.2.2 腎障害又はその既往歴のある患者(重篤な腎障害のある患者を除く)
腎血流量低下及び水、ナトリウムの貯留が起こる可能性があり、腎障害を悪化又は再発させるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝障害のある患者
投与しないこと。肝障害を悪化させるおそれがある。[2.4参照]
9.3.2 肝障害又はその既往歴のある患者(重篤な肝障害のある患者を除く)
用量を減らすなど慎重に投与すること。血中濃度が高くなるとの報告がある。[16.6.1参照]
9.5 妊婦
9.5.1 妊娠末期の女性
投与しないこと。妊娠末期のマウス1)及びヒツジ2)への投与において、胎児の動脈管収縮が報告されている。[2.8参照]
9.5.2 妊婦(妊娠末期を除く)又は妊娠している可能性のある女性
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。投与する際には、必要最小限にとどめ、適宜羊水量を確認するなど慎重に投与すること。シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)を妊婦に使用し、胎児の腎機能障害及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が起きたとの報告がある。培養細胞を用いた染色体異常試験において、細胞毒性が認められる濃度で染色体の数的異常(核内倍加細胞の増加)が、生殖発生毒性試験で着床後死亡数や死産の増加、横隔膜ヘルニア、胎児体重減少等が認められている。またラットにおいて本剤が胎児に移行することが報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中への移行が報告されている3)4)
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

相互作用序文
本剤は、主として薬物代謝酵素CYP2C9で代謝される。また、本剤はCYP2D6の基質ではないが、CYP2D6の阻害作用を有する。[16.4参照]
薬物代謝酵素用語
CYP2C9
薬物代謝酵素用語
CYP2D6
10.2 併用注意
ACE阻害剤
エナラプリルマレイン酸塩
イミダプリル塩酸塩
テモカプリル塩酸塩

アンジオテンシンII受容体拮抗剤
カンデサルタンシレキセチル
バルサルタン
ロサルタンカリウム
非ステロイド性消炎・鎮痛剤(NSAID)はアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤の降圧効果を減弱させる可能性があるとの報告がある。本剤とACE阻害剤又はアンジオテンシンII受容体拮抗剤との相互作用は明らかではないが、併用する場合は相互作用の起こる可能性を考慮すること。(なお、リシノプリルを併用した臨床試験では、顕著な血圧変化は認められなかったとの報告がある)他のNSAIDでは、腎臓におけるプロスタグランジン合成阻害によると考えられている。
フロセミド
チアジド系利尿剤
トリクロルメチアジド
ヒドロクロロチアジド
患者によっては他のNSAIDがフロセミド及びチアジド系利尿剤のナトリウム排泄作用を低下させることが示されている。本剤と、フロセミド又はチアジド系利尿剤との相互作用は明らかではないが、併用する場合は相互作用の起こる可能性を考慮すること。他のNSAIDでは、腎臓におけるプロスタグランジン合成阻害によると考えられている。
アスピリン本剤と低用量アスピリン(1日325mg以下)を併用した場合、本剤のみを服用したときに比べて消化性潰瘍・消化管出血等の発生率が高くなることが報告されている。アスピリンの併用によりNSAIDの消化性潰瘍・消化管出血等を助長させると考えられている。
抗血小板薬
クロピドグレル
本剤と抗血小板薬を併用した場合、本剤のみを服用したときに比べて消化管出血の発生率が高くなることが報告されている。これらの薬剤は血小板凝集抑制作用を有するため、NSAIDの消化管出血を助長させると考えられている。
リチウム
16.7.1参照]
リチウムの血漿中濃度が上昇し、リチウムの作用が増強するおそれがある。リチウムを使用中の患者に本剤の投与を開始又は中止するときには十分に患者をモニターすること。機序は明らかではないが、腎排泄を阻害するためと考えられている。
フルコナゾール
16.7.2参照]
本剤の血漿中濃度が上昇し、本剤の作用が増強するおそれがある。フルコナゾールを使用中の患者には本剤の投与を低用量から開始すること。CYP2C9による本剤の代謝を阻害すると考えられている。
フルバスタチン
16.7.3参照]
本剤及びフルバスタチンの血漿中濃度が上昇し、本剤及びフルバスタチンの作用が増強するおそれがある。CYP2C9による本剤の代謝を阻害するため、また本剤と同じCYP2C9で代謝されるためと考えられている。
クマリン系抗凝血剤
ワルファリン
16.7.4参照]
プロトロンビン時間が延長するおそれがある。海外で特に高齢者において、重篤で場合によっては致命的な出血が報告されている。ワルファリンを使用中の患者に本剤の投与を開始あるいは用法を変更する際には十分注意して観察すること。CYP2C9を介する代謝の競合阻害によると考えられている。
パロキセチン
16.7.5参照]
本剤の血漿中濃度が低下し、パロキセチンの血漿中濃度が上昇した。本剤の作用が減弱し、パロキセチンの作用が増強するおそれがある。CYP2D6の阻害作用によると考えられている。
デキストロメトルファン
16.7.6参照]
デキストロメトルファンの血漿中濃度が上昇し、デキストロメトルファンの作用が増強するおそれがある。CYP2D6の阻害作用によると考えられている。
制酸剤
アルミニウム製剤
マグネシウム製剤

16.7.7参照]
本剤の血漿中濃度が低下し、本剤の作用が減弱するおそれがある。機序は明らかでない。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
ショック、アナフィラキシー、呼吸困難、血管浮腫、血管炎、気管支痙攣等の重篤な過敏症の発現が報告されている。
11.1.2 消化性潰瘍(0.2%)、消化管出血(0.1%未満)、消化管穿孔(頻度不明)
吐血、下血(メレナ)等の症状が認められた場合は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.3 心筋梗塞、脳卒中(いずれも頻度不明)
心筋梗塞、脳卒中等の重篤で場合によっては致命的な心血管系血栓塞栓性事象が報告されている。[1.参照]
11.1.4 心不全、うっ血性心不全(いずれも頻度不明)
11.1.5 肝不全、肝炎(いずれも頻度不明)、肝機能障害(0.1%未満)、黄疸(頻度不明)
肝不全、肝炎、AST、ALT、ビリルビン等の上昇、黄疸の発現が報告されている。[8.5参照]
11.1.6 再生不良性貧血、汎血球減少症、無顆粒球症(いずれも頻度不明)
再生不良性貧血、汎血球減少症、無顆粒球症、白血球減少症、血小板減少症の発現が報告されている。
11.1.7 急性腎障害、間質性腎炎(いずれも頻度不明)
急性腎障害、間質性腎炎等の重篤な腎障害の発現が報告されている。[8.6参照]
11.1.8 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑、急性汎発性発疹性膿疱症、剥脱性皮膚炎(いずれも頻度不明)
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑、急性汎発性発疹性膿疱症、剥脱性皮膚炎等の重篤で場合によっては致命的な皮膚症状の発現が報告されているので、発疹、粘膜障害もしくは他の過敏症に関連する徴候が認められた場合は直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。[8.7参照]
11.1.9 間質性肺炎(頻度不明)
咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上1〜5%未満0.1〜1%未満0.1%未満頻度不明
全身  倦怠感、口渇、末梢性浮腫悪寒、全身浮腫、疲労、ほてり、体重増加インフルエンザ様疾患
精神神経系 傾眠頭痛、浮動性めまい、味覚異常酩酊感、体位性めまい、感覚鈍麻、意識レベルの低下不眠症、睡眠障害、錯乱状態、不安、幻覚、筋緊張亢進、無嗅覚
肝胆道系 ALT増加AST増加、γ-GTP増加、Al-P増加、血中ビリルビン増加、尿ウロビリノーゲン陽性  
代謝・栄養 BUN増加CK増加、食欲不振、LDH増加、尿糖陽性糖尿病血中カリウム増加、血中ナトリウム増加
消化器 腹痛、口内炎、下痢、便潜血陽性悪心、鼓腸、消化不良、便秘、胃炎、口内乾燥、舌障害、嘔吐、口角びらん、腹部膨満、上腹部痛、胃不快感胃腸障害、舌炎、口腔内痛、食道炎、口の感覚鈍麻、アフタ性口内炎、口腔粘膜水疱形成、心窩部不快感、胃腸炎歯の脱落、口腔内潰瘍、嚥下障害、胃食道逆流性疾患、膵炎、憩室、過敏性腸症候群、痔出血、排便回数増加
泌尿器β2-マイクログロブリン増加NAG増加、尿潜血陽性尿蛋白陽性多尿、尿閉、頻尿、腎機能障害腎結石症、良性前立腺肥大症、前立腺炎、PSA増加、血中クレアチニン増加
循環器  高血圧、潮紅、動悸高血圧増悪、循環虚脱不整脈、頻脈、洞性徐脈、狭心症、不安定狭心症、大動脈弁閉鎖不全症、冠動脈硬化症、心室肥大、深部静脈血栓症、血腫
呼吸器   咽頭炎、鼻出血、鼻咽頭炎気管支炎、咳嗽、鼻炎、副鼻腔炎、呼吸困難、発声障害
皮膚 発疹そう痒症、顔面浮腫、紅斑性皮疹、湿疹、蕁麻疹、薬疹点状出血、斑状丘疹状皮疹、皮膚乾燥、頭部粃糠疹、多汗、皮膚炎、紅斑斑状出血、光線過敏性反応、脱毛症、水疱性皮膚炎
感覚器  耳鳴、回転性めまい耳痛、霧視、眼そう痒症硝子体浮遊物、結膜出血、聴力低下
その他   背部痛、筋硬直、関節痛、四肢痛、不正子宮出血、月経障害、ウイルス感染、細菌性腸炎、頚部痛貧血、ヘマトクリット減少、ヘモグロビン増加、真菌感染、細菌感染、ヘリコバクター感染、尿路感染、上気道感染、耳感染、帯状疱疹、丹毒、創傷感染、歯肉感染、迷路炎、アレルギー増悪、無菌性髄膜炎、筋痙縮、脂肪腫、ガングリオン、膣出血、乳房圧痛、卵巣のう胞、閉経期症状、血中テストステロン減少、上顆炎、腱断裂、骨折、損傷

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
外国におけるクロスオーバー二重盲検比較試験において、本剤非投与時に比べて本剤投与時に排卵障害の割合が増加したとの報告がある。また、他の非ステロイド性消炎・鎮痛剤を長期間投与されている女性において、一時的な不妊が認められたとの報告がある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 生物学的同等性試験
<セレコキシブ錠100mg「ダイト」>
健康成人男子にセレコキシブ錠100mg「ダイト」とセレコックス錠100mgのそれぞれ1錠(セレコキシブとして100mg)を、絶食時単回経口投与して血漿中セレコキシブ濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された(クロスオーバー法)5)
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC(0→48)(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
セレコキシブ錠100mg「ダイト」4305.23±1298.08686.41±255.832.3±1.16.7±2.4
セレコックス錠100mg4306.24±1272.53728.18±255.652.1±1.06.0±1.9
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
<セレコキシブ錠200mg「ダイト」>
健康成人男子にセレコキシブ錠200mg「ダイト」とセレコックス錠200mgのそれぞれ1錠(セレコキシブとして200mg)を、絶食時単回経口投与して血漿中セレコキシブ濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された(クロスオーバー法)6)
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC(0→48)(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
セレコキシブ錠200mg「ダイト」9712.10±2335.211247.41±430.532.2±1.07.8±2.2
セレコックス錠200mg9335.50±2191.891217.70±403.792.8±1.38.5±2.9
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.4 代謝
In vitro7)及びin vivo8)試験の結果から、セレコキシブは主として薬物代謝酵素CYP2C9を介して代謝されることが明らかとなっている。
CYP2C9には遺伝多型が存在し、Ile359→Leu359のアミノ酸置換により薬剤によっては代謝速度が低下する場合がある。日本人218例を対象としたCYP2C9の研究では、Ile359→Leu359のホモ接合体(CYP2C93/3)は存在しなかったが、Leu359のヘテロ接合体(CYP2C91/3)は218例中9例(4.1%)存在したとの報告がある9)
CYP2C9の遺伝多型(CYP2C93)の影響として、セレコキシブを単回又は反復投与したとき、CYP2C9のヘテロ接合体(Ile359→Leu359、CYP2C91/3)を有する健康成人15例のAUCは野生型(CYP2C91/1)の健康成人137例に比べて約1.6倍と高値を示した10)
健康成人にセレコキシブ100mgを単回投与注)したとき、CYP2C91/1(4例)と比較し、CYP2C93/3(3例)のAUCは約3倍高値を示し11)(外国人データ)、健康成人にセレコキシブ200mgを1日1回注)7日間反復投与したとき、CYP2C91/1(7例)と比較し、CYP2C93/3(3例)のCmaxは約4倍、AUCは約7倍高値を示すことが報告されている12)(外国人データ)。[10.参照]
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝障害患者
肝障害患者及び健康成人にセレコキシブ100mgを1日2回、食後5日間反復投与したとき、軽度肝障害患者(Child-Pugh Class A:12例)のAUC0-12hは健康成人(12例)に比べて約1.3倍に、中等度肝障害患者(Child-Pugh Class B:11例)では健康成人(11例)に比べて約2.7倍に上昇した13)(外国人データ)。[9.3.2参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 リチウム
健康成人24例にセレコキシブ200mgとリチウム450mgを1日2回、食後7日間併用したとき、定常状態におけるリチウムのCmax及びAUCは併用によりいずれも約1.2倍に上昇した14)(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.2 フルコナゾール
健康成人17例にフルコナゾール200mgを1日1回、7日間投与した後に、セレコキシブ200mgを空腹下単回併用投与したとき、セレコキシブのCmax及びAUCは併用によりそれぞれ約1.7倍及び約2.3倍に上昇した8)15)(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 フルバスタチン
健康成人15例にセレコキシブ200mgとフルバスタチン20mgを1日2回、食後7日間併用したとき、セレコキシブのCmax及びAUCは併用によりいずれも約1.3倍に上昇した。また、健康成人13例にセレコキシブ200mgとフルバスタチン20mgを1日2回、食後7日間併用したとき、フルバスタチンのCmaxは併用により約1.2倍に上昇したが、AUCは影響を受けなかった16)17)(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.4 ワルファリン
健康成人12例にワルファリンを事前投与した後に、セレコキシブ200mgを1日2回とワルファリン1〜5mgを1日1回、7日間併用したとき、セレコキシブはワルファリンの血漿中濃度及びプロトロンビン時間に影響を及ぼさなかった。しかしながら、海外で特に高齢者において、セレコキシブとワルファリンを併用している患者に、プロトロンビン時間の延長を伴う重篤で場合によっては致命的な出血が報告されている18)(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.5 パロキセチン
健康成人18例にパロキセチン20mgを1日1回、食後7日間投与した後に、セレコキシブ200mgを空腹下単回併用投与したとき、セレコキシブのCmaxは併用により約0.7倍に低下したが、AUCは影響を受けなかった17)19)。また、健康成人18例にセレコキシブ200mgを1日2回、食後7日間投与した後に、パロキセチン20mgを空腹下単回併用投与したとき、パロキセチンのCmax及びAUCは併用によりそれぞれ約1.5倍及び約1.8倍に上昇した17)20)(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.6 デキストロメトルファン
健康成人14例にセレコキシブ200mgとデキストロメトルファン30mgを1日2回、食後7日間併用したとき、デキストロメトルファンのCmax及びAUCは併用によりそれぞれ約2.4倍及び約2.6倍に上昇した17)21)(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.7 制酸剤
健康成人24例にセレコキシブ200mgと制酸剤(アルミニウム・マグネシウム含有製剤)を空腹下単回併用投与したとき、セレコキシブのCmaxは併用により約0.6倍に低下したが、AUCは影響を受けなかった22)23)(外国人データ)。[10.2参照]
注)本剤の承認された用法及び用量は関節リウマチ:100〜200mgを1日2回、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、腱・腱鞘炎:100mgを1日2回、手術後、外傷後、抜歯後の消炎・鎮痛:初回のみ400mg、2回目以降は1回200mgとして1日2回経口投与する。なお、投与間隔は6時間以上あけること。頓用の場合は、初回のみ400mg、必要に応じて以降は200mgを6時間以上あけて経口投与する。ただし、1日2回までとする。

17. 臨床成績

17.3 その他
17.3.1 長期予防投与試験(プラセボ比較大腸ポリープ再発予防試験)
外国において、セレコキシブの大腸ポリープ再発予防(本剤の効能又は効果ではない)の検討を目的とする2試験が実施され、このうちAPC試験(散発性大腸腺腫再発予防試験)では、3年間の治療期間中にプラセボと比較し、セレコキシブ投与での複合評価項目(心血管事象による死亡、心筋梗塞又は脳卒中)の発現率に用量相関的な増加が認められた。複合評価項目のプラセボに対するセレコキシブの相対リスクは400mg1日2回投与で3.4(95%CI:1.4-8.5)、200mg1日2回投与で2.8(95%CI:1.1-7.2)であった。3年間の複合評価項目の累積発現率では、プラセボでは0.9%(6/679)、セレコキシブ400mg1日2回投与で3.0%(20/671)、200mg1日2回投与で2.5%(17/685)であった。一方、PreSAP試験(大腸腺腫性ポリープ再発予防試験)では、複合評価項目についてプラセボと比較した相対リスクは400mg1日1回投与で1.2(95%CI:0.6-2.4)で有意なリスクの増大は認められなかった。3年間の複合評価項目の累積発現率では、プラセボでは1.9%(12/628)、セレコキシブ400mg1日1回投与で2.3%(21/933)であった24)25)26)(外国人データ)。[1.参照]
注)本剤の承認された用法及び用量は関節リウマチ:100〜200mgを1日2回、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、腱・腱鞘炎:100mgを1日2回、手術後、外傷後、抜歯後の消炎・鎮痛:初回のみ400mg、2回目以降は1回200mgとして1日2回経口投与する。なお、投与間隔は6時間以上あけること。頓用の場合は、初回のみ400mg、必要に応じて以降は200mgを6時間以上あけて経口投与する。ただし、1日2回までとする。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
セレコキシブは、シクロオキシゲナーゼ(COX)に対する阻害活性を検討するためのヒト遺伝子組換え酵素を用いた実験及びCOX-1、COX-2をそれぞれ発現したヒト由来細胞を用いた実験において、COX-2に対して選択的な阻害作用を示した(in vitro 試験)27)28)。セレコキシブは、炎症局所に誘導されるCOX-2を選択的に阻害し、COX-2由来のプロスタグランジン類の合成を抑制することにより、消炎・鎮痛作用を示すと考えられる。
18.2 抗炎症及び鎮痛作用
セレコキシブは、慢性炎症モデルであるラットのアジュバント関節炎モデルにおいて、ロキソプロフェン及びインドメタシンと同程度の抗炎症及び鎮痛作用を示した29)
18.3 消化管に対する作用
セレコキシブは、ラットに対して胃及び小腸粘膜障害作用を示さなかった。一方、インドメタシン、ロキソプロフェン、ジクロフェナク及びナプロキセンは用量依存的に胃及び小腸粘膜障害を惹起した28)30)。[8.4参照]
18.4 血小板凝集に対する作用
セレコキシブは、ヒト末梢血血小板においてアラキドン酸惹起血小板凝集を抑制しなかった。一方、ロキソプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナク及びイブプロフェンは濃度依存的に血小板凝集を抑制した28)in vitro 試験)。
18.5 ニューキノロン系抗菌薬との併用
一部のニューキノロン系抗菌薬は、ある種の非ステロイド性消炎・鎮痛剤を併用することで、まれに痙攣を誘発することが知られている31)
セレコキシブとエノキサシン等のニューキノロン系抗菌薬をマウスに併用投与しても、痙攣は誘発されなかった32)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. セレコキシブ

一般的名称 セレコキシブ
一般的名称(欧名) Celecoxib
化学名 4-[5-(4-Methylphenyl)-3-(trifluoromethyl)-1H-pyrazol-1-yl]benzenesulfonamide
分子式 C17H14F3N3O2S
分子量 381.37
融点 161〜164℃
物理化学的性状 白色の粉末又は結晶性の粉末である。メタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けやすく、水にほとんど溶けない。
結晶多形が認められる。
KEGG DRUG D00567

22. 包装

<セレコキシブ錠100mg「ダイト」>
100錠[10錠(PTP)×10]
<セレコキシブ錠200mg「ダイト」>
100錠[10錠(PTP)×10]

23. 主要文献

  1. Sakai M et al., Mol.Hum.Reprod., 7 (6), 595-602, (2001)
  2. Takahashi Y et al., Am.J.Physiol.Regul.Integr.Comp.Physiol., 278 (6), R1496-R1505, (2000)
  3. Knoppert DC et al., Pharmacotherapy., 23 (1), 97-100, (2003)
  4. Hale TW et al., J.Hum.Lact., 20 (4), 397-403, (2004)
  5. 社内資料:生物学的同等性試験(セレコキシブ錠100mg「ダイト」)
  6. 社内資料:生物学的同等性試験(セレコキシブ錠200mg「ダイト」)
  7. Tang C et al., J.Pharmacol.Exp.Ther., 293 (2), 453-459, (2000)
  8. 海外健康成人・代謝及び薬物相互作用(セレコックス錠:2007年1月26日承認、申請資料概要2.7.2.2)
  9. Nasu K et al., Pharmacogenetics., 7 (5), 405-409, (1997)
  10. CYP2C93の影響(セレコックス錠:2007年1月26日承認、申請資料概要2.7.2.3)
  11. Kirchheiner J et al., Pharmacogenetics., 13 (8), 473-480, (2003)
  12. Lundblad MS et al., Clin.Pharmacol.Ther., 79 (3), 287-288, (2006)
  13. 肝障害患者における薬物動態試験(外国)(セレコックス錠:2007年1月26日承認、申請資料概要2.7.2.2)
  14. リチウムとの薬物相互作用試験(セレコックス錠:2007年1月26日承認、申請資料概要2.7.6.20)
  15. 海外健康成人・代謝及び薬物相互作用(セレコックス錠:2007年1月26日承認、申請資料概要2.7.6.18)
  16. フルバスタチンとの薬物相互作用試験(セレコックス錠:2007年1月26日承認、申請資料概要2.7.6.27)
  17. 薬物相互作用試験の要約(セレコックス錠:2007年1月26日承認、申請資料概要2.7.2.5)
  18. Karim A et al., J.Clin.Pharmacol., 40 (6), 655-663, (2000)
  19. パロキセチンとの薬物相互作用(外国,パロキセチンの影響)(セレコックス錠:2007年1月26日承認、申請資料概要2.7.6.30)
  20. パロキセチンとの相互作用試験(外国,セレコキシブの影響)(セレコックス錠:2007年1月26日承認、申請資料概要2.7.6.31)
  21. デキストロメトルファンとの薬物相互作用試験(外国)(セレコックス錠:2007年1月26日承認、申請資料概要2.7.6.28)
  22. 食事及び制酸剤の影響試験(外国)(セレコックス錠:2007年1月26日承認、申請資料概要2.7.6.25)
  23. 食事及び制酸剤の影響試験(外国)(セレコックス錠:2007年1月26日承認、申請資料概要2.7.2.2)
  24. Bertagnolli MM et al., N.Engl.J.Med., 355 (9), 873-884, (2006)
  25. Arber N et al., N.Engl.J.Med., 355 (9), 885-895, (2006)
  26. Solomon SD et al., Circulation., 114 (10), 1028-1035, (2006)
  27. Penning TD et al., J.Med.Chem., 40 (9), 1347-1365, (1997)
  28. Yoshino T et al., Arzneimittel-Forschung/Drug Res., 55 (7), 394-402, (2005)
  29. Noguchi M et al., Eur.J.Pharmacol., 513 (3), 229-235, (2005)
  30. 消化管粘膜に対する作用(セレコックス錠:2007年1月26日承認、申請資料概要2.6.2.2)
  31. 厚生省薬務局, 医薬品副作用情報No.98, (1989)
  32. Yoshino T et al., Eur.J.Pharmacol., 507 (1-3), 69-76, (2005)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
共創未来ファーマ株式会社 お客様相談室
〒155-8655 東京都世田谷区代沢5-2-1
電話:050-3383-3846
製品情報問い合わせ先
共創未来ファーマ株式会社 お客様相談室
〒155-8655 東京都世田谷区代沢5-2-1
電話:050-3383-3846

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
ダイト株式会社
富山県富山市八日町326番地
26.2 販売元
共創未来ファーマ株式会社
東京都品川区広町1-4-4

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2024/04/17 版