医療用医薬品 : アプレゾリン

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医薬品情報


総称名 アプレゾリン
一般名 ヒドララジン塩酸塩
欧文一般名 Hydralazine Hydrochloride
薬効分類名 血圧降下剤
薬効分類番号 2142
ATCコード C02DB02
KEGG DRUG
D01302 ヒドララジン塩酸塩
KEGG DGROUP
DG03231 血圧降下薬
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年7月 改訂(第3版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
アプレゾリン錠10mg Apresoline Tablets サンファーマ 2142004F1053 9.7円/錠 処方箋医薬品注)
アプレゾリン錠25mg Apresoline Tablets サンファーマ 2142004F2025 10.1円/錠 処方箋医薬品注)
10%アプレゾリン散「SUN」 Apresoline Powder サンファーマ 2142004B2163 8.4円/g 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 虚血性心疾患のある患者[反射性交感神経亢進により、心臓の仕事量が増加し、症状を悪化させるおそれがある。]
2.2 大動脈弁狭窄、僧帽弁狭窄及び拡張不全(肥大型心筋症、収縮性心膜炎、心タンポナーデ等)による心不全のある患者[本剤の反射性交感神経亢進作用及び血管拡張作用により、症状を悪化させるおそれがある。]
2.3 高度の頻脈及び高心拍出性心不全(甲状腺中毒症等)のある患者[本剤の反射性交感神経亢進作用及び血管拡張作用により、症状を悪化させるおそれがある。]
2.4 肺高血圧症による右心不全のある患者[本剤の反射性交感神経亢進作用及び血管拡張作用により、症状を悪化させるおそれがある。]
2.5 解離性大動脈瘤のある患者[本剤の反射性交感神経亢進作用及び血管拡張作用により、症状を悪化させるおそれがある。]
2.6 頭蓋内出血急性期の患者[本剤の血管拡張作用により、頭蓋内出血を悪化させるおそれがある。]
2.7 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

本態性高血圧症妊娠高血圧症候群による高血圧

6. 用法及び用量

ヒドララジン塩酸塩として、最初は、通常成人1日30〜40mgを3〜4回に分割経口投与し、血圧値をみながら漸次増量する。維持量は各個人により異なるが通常成人1回20〜50mg、1日30〜200mgである。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 降圧作用に基づくめまい等があらわれ、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に支障を来すことがあるので注意すること。
8.2 定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行うこと。[11.1.2参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 虚血性心疾患の既往歴のある患者
心仕事量の増大により、虚血性心疾患を誘発するおそれがある。
9.1.2 うっ血性心不全のある患者
心仕事量の増大により、症状が悪化するおそれがある。[11.1.3参照]
9.1.3 脳血管障害のある患者
過度の降圧により脳血流量が減少し、症状が悪化するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
投与量、投与間隔の調節を考慮すること。本剤の代謝・排泄が遅延することにより、降圧作用及び副作用が増大するおそれがある。[11.1.616.5参照]
9.3 肝機能障害患者
投与量、投与間隔の調節を考慮すること。本剤の代謝・排泄が遅延することにより、降圧作用及び副作用が増大するおそれがある。[11.1.216.416.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(マウス)で催奇形作用が報告されている。またヒト胎児においても経胎盤的に移行し、新生児に血小板減少等を起こすおそれがある1)
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行する2)
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起こるおそれがある。

10. 相互作用

10.2 併用注意
MAO阻害剤過度の血圧低下をきたすおそれがあるので、用量に注意すること。機序は不明であるが、MAO阻害剤が本剤の代謝を阻害すると考えられている。
他の降圧剤
利尿降圧剤等
ジアゾキシド
過度の血圧低下をきたすおそれがあるので、用量に注意すること。いずれも血圧降下作用を有するため。
フェノチアジン系精神神経用剤過度の血圧低下をきたすおそれがあるので、用量に注意すること。フェノチアジン系精神神経用剤により血圧低下を生じることがあるため。
β-遮断剤
メトプロロール
プロプラノロール
これらの薬剤の作用が増強されることがある。これらの薬剤の肝臓での初回通過効果が減少し、血中濃度が上昇するおそれがある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 SLE様症状(発熱、紅斑、関節痛、胸部痛等)(いずれも頻度不明)
11.1.2 劇症肝炎、肝炎、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
劇症肝炎、肝炎、AST、ALT、ALP、γ-GTP、LDH、ビリルビン等の著しい上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。[8.29.3参照]
11.1.3 うっ血性心不全、狭心症発作誘発(いずれも頻度不明)[9.1.2参照]
11.1.4 麻痺性イレウス(頻度不明)
11.1.5 呼吸困難(頻度不明)
11.1.6 急性腎障害(頻度不明)[9.2参照]
11.1.7 溶血性貧血、汎血球減少(いずれも頻度不明)
11.1.8 多発性神経炎(頻度不明)
11.1.9 血管炎(頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
血液ヘモグロビン減少、赤血球減少、白血球減少、顆粒球減少、血小板減少、紫斑、LE細胞陽性、好酸球増多
肝臓肝脾腫
精神神経系頭痛、眠気、不安、抑うつ、めまい、倦怠感、末梢神経障害(知覚異常等)、神経過敏、振戦、激越、幻覚
循環器頻脈、心悸亢進、心電図異常、起立性低血圧、胸内苦悶、逆説的血圧上昇
消化器悪心・嘔吐、食欲不振、下痢、口渇、便秘
流涙、結膜炎、眼球突出
泌尿器排尿困難、糸球体腎炎
過敏症発疹、発熱
その他顔面潮紅、鼻閉、筋肉痛、リンパ節腫、関節痛、浮腫、体重減少

13. 過量投与

13.1 徴候、症状
主要な症状は心血管系障害(頻脈、心悸亢進、低血圧、心筋虚血、不整脈、狭心症、循環虚脱、ショック等)である。他に乏尿、無尿、意識障害、振戦、痙攣、低体温、嘔吐、全身潮紅、発汗等。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
<散>
諸種金属との接触により変色することがあるので金属器具との接触は避けること。
14.2 薬剤交付時の注意
<錠>
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.3 他剤配合時の注意
<散>
ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウムゲル、炭酸水素ナトリウム等の金属塩、並びにビタミンC末、アセチルサリチル酸等と配合した場合、変色することがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人4例に100mg経口投与後、血漿中濃度のピークは1〜2時間後にみられ、0.4〜1.3μg/mLである。血漿半減期は個々で大きく異なり、2〜4時間および6〜8時間であった(外国人のデータ)。
16.4 代謝
主に肝臓でN-acetyltransferaseによりアセチル化され不活化する。ヒドララジンの主な代謝物は芳香環の水酸化体とそのグルクロン酸抱合体及びN-アセチル抱合体であるが、ヒトでの代謝経路としてはN-アセチル化が重要であり、アセチル化能が生体内利用率に、影響を及ぼすと考えられている3)(外国人のデータ)。[9.3参照]
16.5 排泄
14C-ヒドララジンを経口投与あるいは静脈内投与した場合、その尿中排泄率にはほとんど差がなく、放射活性は50〜80%が尿中に、3〜12%が糞中に排泄される4)5)(外国人のデータ)。[9.29.3参照]

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
降圧作用機序については、まだ十分に解明されていないが、末梢細動脈の血管平滑筋に直接作用し、血管を拡張することが主作用であると考えられている6)。ヒドララジンによる心拍数・心拍出量の増加は血管抵抗減少に伴う反射性の交感神経緊張によるものと考えられている7)。これらの心刺激作用はβ-アドレナリン受容体遮断剤又は節遮断剤により抑制される8)。また腎・脳血流量に関しては血管抵抗の減少とともに維持又は増加させる9)10)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ヒドララジン塩酸塩

一般的名称 ヒドララジン塩酸塩
一般的名称(欧名) Hydralazine Hydrochloride
化学名 Phthalazin-1-ylhydrazine monohydrochloride
分子式 C8H8N4・HCl
分子量 196.64
融点 約275℃(分解)
物理化学的性状 白色の結晶性の粉末で、においはなく、味は苦い。水にやや溶けやすく、エタノール(95)に溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
KEGG DRUG D01302

20. 取扱い上の注意

開封後は湿気を避けて保存すること。

22. 包装

<アプレゾリン錠10mg>
100錠[10錠(PTP)×10]
<アプレゾリン錠25mg>
100錠[10錠(PTP)×10]
<10%アプレゾリン散「SUN」>
100g

23. 主要文献

  1. Widerlov,E.et al., N.Engl.J.Med., 303 (21), 1235, (1980) »PubMed
  2. Liedholm,H.et al., Eur.J.Clin.Pharmacol., 21 (5), 417-419, (1982) »PubMed
  3. McIsaac,W.M.et al., J.Pharmacol.Exp.Ther., 143, 7-13, (1964) »PubMed
  4. Zak,S.B.et al., J.Pharm.Sci., 63 (2), 225-229, (1974) »PubMed
  5. O'Malley,K.et al., Clin.Pharmacol.Ther., 18, 581-586, (1975) »PubMed
  6. Ablad,B., Acta Pharmacol.Toxicol., 20 (Suppl.1), 1-53, (1963)
  7. Moyer,J.H., Arch.Intern.Med., 91 (4), 419-439, (1953)
  8. Brunner,H.et al., Experientia., 21 (3), 136-137, (1965) »PubMed
  9. 田崎義昭, 慶応医学, 31 (7), 252-257, (1954)
  10. Mader,I.J.et al., Am.Heart J., 50 (4), 556-566, (1955) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
サンファーマ株式会社 くすり相談センター
〒105-0011 東京都港区芝公園1-7-6
電話:0120-22-6880 受付時間:9時〜17時(土、日、祝日、その他当社の休業日を除く)
URL:https://jp.sunpharma.com/
製品情報問い合わせ先
サンファーマ株式会社 くすり相談センター
〒105-0011 東京都港区芝公園1-7-6
電話:0120-22-6880 受付時間:9時〜17時(土、日、祝日、その他当社の休業日を除く)
URL:https://jp.sunpharma.com/

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
サンファーマ株式会社
東京都港区芝公園1-7-6

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版