<アレルギー性鼻炎>
17.1.1 国内長期投与試験(成人)
通年性アレルギー性鼻炎に対してロラタジン錠10mgを1日1回9週間投与したときの最終全般改善率(中等度改善以上)は65.3%(32/49)であった。
副作用は53例中8例(15.1%)に認められた。副作用は、眠気6例(11.3%)、倦怠感、嘔気及び発疹が各1例(1.9%)であった
18)。
17.1.2 国内第III相比較試験(メキタジンを対照とした比較試験)(成人)
通年性アレルギー性鼻炎を対象とした二重盲検比較試験において、ロラタジン錠10mg(1日1回)あるいはメキタジン3mg(1日2回)を1週間投与したときの最終全般改善率(中等度改善以上)はそれぞれ49.4%(39/79)と45.8%(38/83)であった。
副作用は100例中7例(7.0%)に認められた。副作用は、眠気4例(4.0%)、倦怠感2例(2.0%)、胃部不快感、嘔気及び発疹が各1例(1.0%)であった
19)。
17.1.3 国内第III相比較試験(プラセボ及びケトチフェンフマル酸塩を対照とした比較試験)(成人)
通年性アレルギー性鼻炎を対象とした二重盲検比較試験において、ロラタジン錠(10mg/日)、ケトチフェンフマル酸塩(ケトチフェンとして2mg/日)あるいはプラセボを2週間投与したときの最終全般改善率(中等度改善以上)はロラタジン群54.9%(56/102)、ケトチフェンフマル酸塩群55.1%(59/107)、プラセボ群39.1%(27/69)であった。また、5鼻症状スコア
※1(くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉、鼻内そう痒感、後鼻漏)の投与前値及び投与2週後(又は中止時)の変化量を下表に示した。
| 投与群 | n | 投与前(標準誤差) | 変化量 | 比較※2 |
| ロラタジン | 102 | 8.23(0.22) | −2.84 | ロラタジンvsケトチフェン 95%CI:−0.62〜0.69 |
| ケトチフェン | 107 | 7.41(0.22) | −2.48 |
| プラセボ | 69 | 7.90(0.25) | −1.77 |
※1:各症状の程度を+++:3、++:2、+:1、−:0にスコア化して合計したスコア。
※2:投与前値を共変量とした共分散分析により、変化量の差(ロラタジン−ケトチフェン)の95%両側信頼区間(95%CI)を算出した。
副作用は103例中26例(25.2%)に認められた。主な副作用は、眠気14例(13.6%)、口渇感3例(2.9%)、咽頭痛、鼻の乾燥感及び倦怠感が各2例(1.9%)等であった
20)。
17.1.4 国内第III相比較試験(ケトチフェンフマル酸塩を対照とした比較試験)(小児)
通年性アレルギー性鼻炎を対象とした二重盲検比較試験において、ロラタジンシロップ(3〜6歳:ロラタジンとして5mg/日、7〜15歳:ロラタジンとして10mg/日、非売品)あるいはケトチフェンフマル酸塩(3〜6歳:ケトチフェンとして1.2mg/日、7〜15歳:ケトチフェンとして2mg/日)を2週間投与した。4鼻症状スコア
※1(くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉、鼻内そう痒感)の投与前値及び投与2週後(又は中止時)の変化量を下表に示した。
| 投与群 | n | 投与前(標準誤差) | 変化量(標準誤差) | 比較※2 |
| ロラタジン | 96 | 7.08(0.19) | −2.53(0.25) | 差の点推定値 −0.39 95%CI:−1.04〜0.25 |
| ケトチフェン | 91 | 6.36(0.22) | −1.74(0.26) |
※1:各症状の程度を+++:3、++:2、+:1、−:0にスコア化して合計したスコア。
※2:投与前値及び年齢層を共変量とした共分散分析により、変化量の差(ロラタジン−ケトチフェン)とその95%両側信頼区間(95%CI)を算出した。
副作用は96例中12例(12.5%)に認められた。主な副作用は、傾眠6例(6.3%)、腹痛2例(2.1%)等であった
21)。
<蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒>
17.1.5 国内長期投与試験(成人)
慢性じん麻疹に対してロラタジン錠10mgを1日1回8週間投与したときの最終治療効果(有効以上)は87.4%(76/87)であった。
副作用は92例中10例(10.9%)に認められた。副作用は、眠気6例(6.5%)、倦怠感3例(3.3%)、心窩部不快感、腹部膨満感、下痢及び生理遅延が各1例(1.1%)であった
22)。
17.1.6 国内第III相比較試験(メキタジンを対照とした比較試験)(成人)
慢性じん麻疹を対象とした二重盲検比較試験において、ロラタジン錠10mg(1日1回)あるいはメキタジン3mg(1日2回)を7日間投与したときの最終全般改善率(中等度改善以上)はそれぞれ71.3%(82/115)と66.7%(78/117)であった。
副作用は119例中12例(10.1%)に認められた。副作用は、眠気8例(6.7%)、口渇2例(1.7%)、倦怠感、食欲亢進、腹部不快感及び舌のびらん・疼痛が各1例(0.8%)であった
23)。
17.1.7 国内第III相比較試験(シュードプラセボ及びケトチフェンフマル酸塩を対照とした比較試験)(成人)
慢性じん麻疹を対象とした二重盲検比較試験において、ロラタジン錠(10mg/日)、ケトチフェンフマル酸塩(ケトチフェンとして2mg/日)あるいはシュードプラセボ(ロラタジンとして1mg/日)を2週間投与したところ、投与2週後(又は中止時)の全般改善率(中等度改善以上)は、それぞれ80.5%、62.1%、43.8%であった(ロラタジンとケトチフェンの改善率の差の点推定値18.4%、95%両側信頼区間7.4%〜29.3%)。また、皮膚症状スコア
※の投与前値及び投与2週後(又は中止時)の変化量を下表に示した。
そう痒スコア
| 投与群 | n | 投与前(標準誤差) | 変化量 |
| ロラタジン | 128 | 1.98(0.06) | −1.48 |
| ケトチフェン | 124 | 1.97(0.06) | −1.20 |
| シュードプラセボ | 80 | 2.08(0.07) | −0.79 |
発斑スコア
| 投与群 | n | 投与前(標準誤差) | 変化量 |
| ロラタジン | 128 | 1.95(0.06) | −1.41 |
| ケトチフェン | 124 | 1.87(0.06) | −1.11 |
| シュードプラセボ | 80 | 1.91(0.07) | −0.82 |
※:そう痒、発斑の程度をそれぞれ+++:3、++:2、+:1、±:0.5、−:0にスコア化した。
副作用は128例中27例(21.1%)に認められた。主な副作用は、眠気17例(13.3%)、めまい・立ちくらみ・ふらつき感、口渇感及び胃痛が各2例(1.6%)等であった
24)。
17.1.8 国内一般臨床試験(成人)
湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症に対してロラタジン錠10mgを1日1回7日間投与したときの最終治療効果(有効以上)は61.0%(161/264)であった。
副作用は284例中22例(7.7%)に認められた。副作用は、眠気15例(5.3%)、倦怠感4例(1.4%)、口渇3例(1.1%)、頭痛、肩こり、胃部不快感及び食欲不振が各1例(0.4%)であった
25)。
17.1.9 国内第III相比較試験(ケトチフェンフマル酸塩を対照とした比較試験)(小児)
代表的なそう痒性皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎を対象とした二重盲検比較試験において、ロラタジンドライシロップ(3〜6歳:ロラタジンとして5mg/日、7〜15歳:ロラタジンとして10mg/日)あるいはケトチフェンフマル酸塩(3〜6歳:ケトチフェンとして1.2mg/日、7〜15歳:ケトチフェンとして2mg/日)を2週間投与した。主要そう痒スコア
※1の投与前値及び投与2週後(又は中止時)の変化量を下表に示した。
| 投与群 | n | 投与前(標準誤差) | 変化量(標準誤差) | 比較※2 |
| ロラタジン | 101 | 2.50(0.06) | −0.51(0.08) | 差の点推定値 0.03 95%CI:−0.18〜0.25 |
| ケトチフェン | 100 | 2.56(0.06) | −0.58(0.08) |
※1:そう痒の程度を++++:4、+++:3、++:2、+:1、−:0にスコア化し、日中は夜間の高い方を主要そう痒スコアとした。
※2:投与前値及び年齢層を共変量とした共分散分析により、変化量の差(ロラタジン−ケトチフェン)とその95%両側信頼区間(95%CI)を算出した。
副作用は101例中4例(4.0%)に認められた。副作用は、ALT増加及びAST増加が各2例(2.0%)、γ-GTP増加、肝機能検査値異常及び傾眠が各1例(1.0%)であった
26)。
17.3.1 眠気及び運転・機械操作能力に対する影響
ロラタジン服用後の諸動作はプラセボ服用時と類似し、ロラタジンの運転・機械操作能力に対する影響は認められなかった。
(1)健康成人男女(20例)を対象にパソコンでの数字入力作業による精神運動機能に及ぼす影響を検討したとき、ロラタジン10mg及び20mg
注)投与時の正入力数はプラセボ投与時と有意差がなく、精神運動機能に影響を与えなかった
27)。
(2)通年性アレルギー性鼻炎に対する二重盲検比較試験の結果、ロラタジン10mg(103例)の眠気の発現頻度は、プラセボ(70例)と同程度であった
20)。
(3)健康成人男女(16例)を対象に入眠までの時間を比較したとき、ロラタジン10mg投与時の平均入眠時間はプラセボ投与時と有意差がなかった
28)(外国人データ)。
(4)健康成人男性(20例)を対象にサーキット上での自動車運転能力に及ぼす影響を検討したとき、ロラタジン10mg及び20mg
注)投与時の運転能力はプラセボ投与時と有意差がなく、運転能力に影響を与えなかった
29)(外国人データ)。
(5)空軍パイロット及び民間航空会社パイロット(40例)を対象にフライトシミュレーション試験を実施した結果、ロラタジン10mgは、プラセボと比較してパイロットの航空機操作能力に影響を与えなかった
30)(外国人データ)。
17.3.2 心血管系に及ぼす影響
健康成人男性(50例)にロラタジン40mg
注)を1日1回13週間投与したとき、プラセボ(20例)と比較してQTc間隔を含む心電図及び心拍数への影響は認められなかった
31)(外国人データ)。
注)本剤の成人における承認用量は、「通常、ロラタジンとして1回10mgを1日1回、食後に経口投与する。」である。