医療用医薬品 : デキストロメトルファン臭化水素酸塩

List   Top

医薬品情報


総称名 デキストロメトルファン臭化水素酸塩
一般名 デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物
欧文一般名 Dextromethorphan Hydrobromide Hydrate
製剤名 デキストロメトルファン臭化水素酸塩錠
薬効分類名 鎮咳剤
薬効分類番号 2223
ATCコード R05DA09
KEGG DRUG
D00848 デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
日米の医薬品添付文書はこちらから検索することができます。

添付文書情報2025年2月 改訂(第3版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
デキストロメトルファン臭化水素酸塩錠15mg「トーワ」 (後発品) DEXTROMETHORPHAN HYDROBROMIDE TABLETS 15mg"TOWA" 東和薬品 2223001F2145 5.9円/錠

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

○下記疾患に伴う咳嗽
感冒、急性気管支炎、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺炎、肺結核、上気道炎(咽喉頭炎、鼻カタル)
○気管支造影術および気管支鏡検査時の咳嗽

6. 用法及び用量

デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物として、通常成人1回15〜30mgを1日1〜4回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

相互作用序文
本剤は、主に肝代謝酵素CYP2D6で代謝される。[16.4参照]
薬物代謝酵素用語
CYP2D6
10.2 併用注意
選択的MAO-B阻害剤
セレギリン塩酸塩
ラサギリンメシル酸塩
サフィナミドメシル酸塩
セロトニン症候群があらわれることがある。本剤及びこれらの薬剤は脳内のセロトニン濃度を上昇させる作用を有するため、併用によりセロトニンの濃度が更に高くなるおそれがある。
薬物代謝酵素(CYP2D6)を阻害する薬剤
キニジン
アミオダロン
テルビナフィン等
本剤の血中濃度が上昇することがある。これらの薬剤の薬物代謝酵素(CYP2D6)阻害作用により、本剤の代謝が阻害されるため。
セロトニン作用薬
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)等
セロトニン症候群等のセロトニン作用による症状があらわれることがある。セロトニン作用が増強するおそれがある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 呼吸抑制(0.1%未満)
11.1.2 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
呼吸困難、蕁麻疹、血管浮腫等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
過敏症  発疹
精神神経系眠気、頭痛、眩暈不眠不快
消化器悪心・嘔吐、便秘食欲不振、口渇、おくび腹痛

13. 過量投与

13.1 症状
嘔気、嘔吐、尿閉、運動失調、錯乱、興奮、神経過敏、幻覚、呼吸抑制、嗜眠等を起こすことがある。
13.2 処置
ナロキソンの投与により改善したとの報告がある。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 健康成人10例にデキストロメトルファン臭化水素酸塩60mg注)を単回経口投与したときのデキストロメトルファン及びその主代謝物であるデキストルファンの薬物動態パラメータを表16-1に示す(外国人データ)。1)
表16-1 薬物動態パラメータ
 Cmax(ng/mL)Tmax(hr)AUC0-∞(ng・hr/mL)T1/2(hr)CL(mL/hr/kg)
デキストロメトルファン5.2±1.8〜5.8±1.72.1±0.3〜2.6±0.435.1±13.9〜42.0±13.23.2±0.3〜3.6±0.352004±16300〜94492±39500
デキストルファン774.2±54.3〜879.1±59.71.6±0.1〜1.7±0.13590.2±209.9〜3984.8±200.82.7±0.4〜4.0±0.6226.8±18.2〜238.6±14.7
注)本剤の承認された1回用量はデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物として15〜30mgである。
16.1.2 生物学的同等性試験
デキストロメトルファン臭化水素酸塩錠15mg「トーワ」とメジコン錠15mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ2錠(デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物として30mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して非抱合体の血漿中濃度及び非抱合体と抱合体の合計の血漿中濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。2)
(1)非抱合体
表16-2 薬物動態パラメータ
 製剤投与量
(デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物として)
判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-48(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
デキストロメトルファン臭化水素酸塩錠15mg「トーワ」2錠
(30mg)
87±7037.2±26.32.06±2.071.79±1.13※1
メジコン錠15mg2錠
(30mg)
89±7938.9±28.91.63±1.401.26±0.38※2
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
(2)非抱合体+抱合体
表16-3 薬物動態パラメータ
 製剤投与量
(デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物として)
判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-48(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
デキストロメトルファン臭化水素酸塩錠15mg「トーワ」2錠
(30mg)
3867±1150592.2±133.12.25±0.459.19±6.57
メジコン錠15mg2錠
(30mg)
3803±915588.5±112.91.94±0.449.20±7.12
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.4 代謝
デキストロメトルファンは肝臓で大部分が代謝され、O-脱メチル体(デキストルファン)、N-脱メチル体及びNO-脱メチル体となる(外国人データ)。
デキストロメトルファンの肝代謝に関するCYP分子種は、O-脱メチル化ではCYP2D6、N-脱メチル化ではCYP3Aである。3)4)5)10.参照]
16.5 排泄
ヒトに14C-標識デキストロメトルファンを経口投与したとき、投与後24時間以内の尿中及び糞中回収率は、総投与放射活性に対してそれぞれ42.71%、0.12%であった(外国人データ)。6)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
デキストロメトルファンは、延髄にある咳中枢に直接作用し、咳反射を抑制することにより鎮咳作用を示す。7)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物

一般的名称 デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物
一般的名称(欧名) Dextromethorphan Hydrobromide Hydrate
化学名 (9S,13S,14S)-3-Methoxy-17-methylmorphinan monohydrobromide monohydrate
分子式 C18H25NO・HBr・H2O
分子量 370.32
融点 約126℃(116℃の浴液中に挿入し、1分間に約3℃上昇するように加熱を続ける。)
物理化学的性状 白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノールに極めて溶けやすく、エタノール(95)又は酢酸(100)に溶けやすく、水にやや溶けにくい。
KEGG DRUG D00848

22. 包装

100錠[10錠×10:PTP]
1000錠[10錠×100:PTP]
1000錠[バラ、乾燥剤入り]

23. 主要文献

  1. Silvasti,M.et al., Int.J.Clin.Pharmacol.Ther.Toxicol., 25, 493-497, (1987) »PubMed
  2. 社内資料:生物学的同等性試験
  3. Willner,K.et al., Arzneim.-Forsch., 13, 26-29, (1963) »PubMed
  4. 野口英世, 薬物動態, 10, 407-412, (1995) »DOI
  5. 第十八改正日本薬局方解説書, C-3333, (2021)
  6. Calesnick,B.et al., Clin.Pharmacol.Ther., 8, 374-380, (1967) »PubMed
  7. 谷山紘太郎ほか, NEW薬理学(田中千賀子ほか編), 442-445, (2002), (東京:南江堂)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
東和薬品株式会社 学術部DIセンター
〒570-0081 大阪府守口市日吉町2丁目5番15号
電話:0120-108-932
FAX:06-7177-7379
製品情報問い合わせ先
東和薬品株式会社 学術部DIセンター
〒570-0081 大阪府守口市日吉町2丁目5番15号
電話:0120-108-932
FAX:06-7177-7379

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
東和薬品株式会社
大阪府門真市新橋町2番11号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版