医療用医薬品 : フルスルチアミン

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医薬品情報


総称名 フルスルチアミン
一般名 フルスルチアミン塩酸塩
欧文一般名 Fursultiamine Hydrochloride
製剤名 フルスルチアミン塩酸塩注射液
薬効分類名 ビタミンB1誘導体製剤
薬効分類番号 3122
KEGG DRUG
D03321 フルスルチアミン塩酸塩
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2025年6月 改訂(第3版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
フルスルチアミン静注50mg「トーワ」 (後発品) FURSULTIAMINE INTRAVENOUS INJECTION 50mg"TOWA" 東和薬品 3122401A4153 61円/管 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

○ビタミンB1欠乏症の予防及び治療
○ビタミンB1の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、甲状腺機能亢進症、妊産婦、授乳婦、はげしい肉体労働時等)
ウェルニッケ脳症
脚気衝心
○下記疾患のうちビタミンB1の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合
・神経痛
・筋肉痛、関節痛
・末梢神経炎、末梢神経麻痺
・心筋代謝障害
・便秘等の胃腸運動機能障害
・術後腸管麻痺
ビタミンB1欠乏症の予防及び治療、ビタミンB1の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給、ウェルニッケ脳症脚気衝心以外の効能・効果に対して、効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない。

6. 用法及び用量

フルスルチアミンとして、通常成人1日5〜100mgを静脈内注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 薬物過敏症の既往歴のある患者
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(頻度不明)
血圧低下、胸内苦悶、呼吸困難等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症発疹、そう痒感
消化器悪心、嘔吐、舌炎、下痢
その他頭痛、頻尿

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 静脈内注射により、血管痛を起こすことがあるので、注射速度はできるだけ遅くすること。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
フルスルチアミンは高い血中ビタミンB1濃度を持続する(健康人)。1)
16.3 分布
フルスルチアミンはリポイド易溶性で組織に対する親和性が強く、血球等によく移行する。また、体内貯留性がよい(健康人)。2)3)
16.4 代謝
フルスルチアミンは細胞内で速やかに非酵素的にビタミンB1に復元した後エステル化され、多量の結合型B1(コカルボキシラーゼ)を生成する(健康人)。4)5)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ビタミンB1に比べ細胞内によく取り込まれ、多量のコカルボキシラーゼを生成して、諸種代謝活性をたかめる。また、腸管内アウエルバッハ神経叢内の腸運動亢進ニューロンへ作用し、腸管の蠕動運動を亢進させる。5)
18.2 神経機能障害改善作用
ビタミンB1は神経組織の形態保持上重要であり、また、神経インパルス伝導に際してビタミンB1が遊離消費されること等が示されている。6)7)
フルスルチアミンは神経組織へ移行するとともに、神経細胞の増殖促進(in vitro)、神経再生促進(ウサギ)、骨格筋活動電位の増加(ラット)等の作用が認められており、ビタミンB1の欠乏又は代謝障害と関連する神経機能障害を改善する。3)8)9)10)
18.3 心筋代謝障害改善作用
フルスルチアミンはビタミンB1に比べて心筋細胞へのとりこみがよく、心筋内ではほとんどがコカルボキシラーゼとして存在すること(ラット)、麻酔イヌで心筋代謝障害改善作用が認められていることより、心筋内でコカルボキシラーゼとなって、心筋代謝障害を改善すると考えられている。11)12)
18.4 腸管蠕動運動亢進作用
フルスルチアミンは腸管蠕動運動亢進作用を示す(イヌ)が、この作用は腸管内アウエルバッハ神経叢内に存在すると考えられる腸運動亢進ノイロンへの作用によるとされている(イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット)。なお、ビタミンB1ではこの亢進作用はほとんど認められていない(イヌ)。13)14)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. フルスルチアミン塩酸塩

一般的名称 フルスルチアミン塩酸塩
一般的名称(欧名) Fursultiamine Hydrochloride
化学名 N-(4-Amino-2-methylpyrimidin-5-ylmethyl)-N-{(1Z)-4-hydroxy-1-methyl-2-[(2RS)-tetrahydrofuran-2-ylmethyldisulfanyl]but-1-en-1-yl}formamide monohydrochloride
分子式 C17H26N4O3S2・HCl
分子量 435.00
物理化学的性状 白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはないか、又は僅かに特異なにおいがあり、味は苦い。水、メタノール又はエタノール(95)に溶けやすい。結晶多形が認められる。
KEGG DRUG D03321

20. 取扱い上の注意

外箱開封後は遮光して保存すること。

22. 包装

20mL×10管
20mL×50管

23. 主要文献

  1. Yano R., Med.Klin., 59, 1396-1398, (1964) »PubMed
  2. 福富久之, ビタミン, 33, 144-150, (1966) »DOI
  3. 桐田良人, 臨牀と研究, 43, 1889-1896, (1966)
  4. 阿部達夫, 日本臨牀, 20, 1957-1966, (1962)
  5. 第十八改正日本薬局方解説書, C-4874-4878, (2021), (廣川書店)
  6. 糸川嘉則, ビタミン, 49, 415-427, (1975) »DOI
  7. Muralt A., Ann.N.Y.Acad.Sci., 98, 499-507, (1962)
  8. 成実重彦 他, ビタミン, 49, 308, (1975)
  9. 中沢恒幸 他, アリナミン基礎文献集, 3, 117-120, (1966)
  10. 中原正雄 他, 新薬と臨牀, 15, 1297-1298, (1966)
  11. Iida S., Biochem.Pharmacol., 15, 1139-1145, (1966) »PubMed
  12. 佐々木一彦, 久留米医学会雑誌, 27, 875-894, (1964)
  13. 中山 沃 他, ビタミン, 28, 235-237, (1963) »DOI
  14. 福原 武 他, ビタミン, 31, 494-499, (1965) »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
東和薬品株式会社 学術部DIセンター
〒570-0081 大阪府守口市日吉町2丁目5番15号
電話:0120-108-932
FAX:06-7177-7379
製品情報問い合わせ先
東和薬品株式会社 学術部DIセンター
〒570-0081 大阪府守口市日吉町2丁目5番15号
電話:0120-108-932
FAX:06-7177-7379

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
東和薬品株式会社
大阪府門真市新橋町2番11号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/09/17 版