15.1.1 尋常性乾癬(乾癬性関節炎を合併した患者を含む)を対象としたウステキヌマブ皮下投与用製剤の国内臨床試験は、72週間までの期間で実施されている。また、尋常性乾癬を対象としたウステキヌマブ皮下投与用製剤の海外臨床試験は、5年間までの期間で実施されており、乾癬性関節炎を対象とした海外臨床試験は24ヵ月までの期間で実施されている。これらの期間を超えたウステキヌマブ製剤の長期投与時の安全性は確立していない。
15.1.2 尋常性乾癬(乾癬性関節炎を合併した患者を含む)を対象とした国内臨床試験において、本剤投与により153例中10例(6.5%)が72週目までに抗ウステキヌマブ抗体陽性となり、尋常性乾癬及び乾癬性関節炎を対象とした海外臨床試験においても、本剤投与により5.2〜12.4%の患者が抗ウステキヌマブ抗体陽性となった。抗ウステキヌマブ抗体が陽性となった患者では効果が減弱化する傾向がみられた。抗ウステキヌマブ抗体が陽性となった患者では効果が減弱化する可能性がある。
15.1.3 尋常性乾癬を対象とした海外臨床試験において、糖尿病を合併する患者では皮下投与後の血清中ウステキヌマブのトラフ濃度が低く、効果が低い傾向がみられた。
15.1.4 尋常性乾癬に対し免疫抑制剤又は光線療法と併用した場合の安全性及び有効性は確立していない。
15.1.5 本剤との関連性は明らかではないが、海外において可逆性後白質脳症症候群(RPLS)の症例が報告されている。
15.1.6 海外の尋常性乾癬、乾癬性関節炎、クローン病
注)、潰瘍性大腸炎
注)を対象とした臨床試験(第II相及び第III相試験)において、プラセボ対照期間の非黒色腫皮膚癌を除く悪性腫瘍の発現頻度は、本剤投与群が0.11/100人年(1例/929人年)、プラセボ投与群が0.23/100人年(1例/434人年)であった。非黒色腫皮膚癌の発現頻度は、本剤投与群が0.43/100人年(4例/929人年)、プラセボ投与群が0.46/100人年(2例/433人年)であった。また、対照及び非対照期間において、6710名(15205人年)に本剤が投与された。その追跡調査中央値は1.2年で、尋常性乾癬を対象とした臨床試験では3.2年、乾癬性関節炎を対象とした臨床試験では1.5年、クローン病
注)を対象とした臨床試験では0.6年、潰瘍性大腸炎
注)を対象とした臨床試験では2.3年であった。非黒色腫皮膚癌を除く悪性腫瘍の発現頻度は、0.50/100人年(76例/15205人年)で、主なものは前立腺癌、黒色腫、結腸直腸癌、乳癌であった。本剤投与群で報告された悪性腫瘍の発現頻度は、一般人口で予測される発現頻度と同様であった(標準化発生比:0.94[95%信頼区間:0.73、1.18]年齢、性別、人種により補正)。非黒色腫皮膚癌の発現頻度は0.46/100人年(56例/11545人年)であった。皮膚基底細胞癌と皮膚有棘細胞癌の発現比率は3:1であり一般人口で予測される発現頻度と同様であった。[
1.1、
8.3参照]
注)本剤の効能・効果は「尋常性乾癬、乾癬性関節炎」である。
15.2.1 げっ歯類のIL-12及びIL-23に対して中和活性を示さないため、がん原性試験は実施されていない。げっ歯類のモデルにおいて、IL-12/IL-23p40の阻害により、悪性腫瘍の増大が報告されている
4)。また、IL-12及びIL-23の両方の遺伝子を欠損させたマウスでは、紫外線による皮膚癌の発生時期が早まり、発生頻度も増加することが報告されている
5)。