医療用医薬品 : カーボスター

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医薬品情報


総称名 カーボスター
薬効分類名 人工腎臓透析用粉末製剤
薬効分類番号 3410
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2025年3月 作成(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
カーボスター透析剤2号・P CARBOSTAR 2・P for Dialysis 陽進堂 3410545D2021 1908円/組 処方箋医薬品注)
カーボスター透析剤2号・P CARBOSTAR 2・P for Dialysis 陽進堂 3410545D1025 1908円/組 処方箋医薬品注)

4. 効能または効果

慢性腎不全における透析型人工腎臓の灌流液として、以下の要因を持つものに用いる。
○無糖の透析液では、血糖値管理の困難な場合
○カルシウム濃度の高い透析液では、高カルシウム血症を起こすおそれのある場合

5. 効能または効果に関連する注意

5.1 本剤は慢性腎不全に対する通常の血液透析に使用するが、本剤の特徴や次の事項を考慮して使用すること。[8.1-8.3参照]
5.1.1 本剤はブドウ糖を含む製剤(使用時:150mg/dL)であるので、ブドウ糖を含まない透析液では、透析中血糖値の急激な低下等、良好な血糖コントロールの困難な場合に使用する。
5.1.2 本剤はカルシウム濃度の低い製剤であるので、活性型ビタミンD3製剤やリン吸着剤としてカルシウム製剤等の薬剤使用中で、カルシウム濃度の高い透析液では、高カルシウム血症を起こすおそれのある場合に使用する。

6. 用法及び用量

用時、本剤のA剤1包を精製水に溶かして10Lの水溶液(A液)とする。
本剤のB剤1包を精製水に溶かして12.6Lの水溶液(B液)とする。B液1容に対し水26容を加えて希釈し、この希釈液34容に対してA液1容を加えて希釈して用いる。
用量は、透析時間により異なるが、通常、灌流液として150〜300Lを用いる。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤の使用に際しては、定期的に血液検査(電解質、酸・塩基平衡、BUN、クレアチニン、尿酸、血糖等)を行うことが望ましい。[5.1参照]
8.2 透析中や透析後に過度のアルカローシスとなることがあり、嘔気・嘔吐等の症状や、長期的には異所性石灰化を起こすおそれがあるので観察を十分に行うこと。[5.1参照]
8.3 長期使用する場合には、以下の事項を考慮して使用する。[5.1参照]
・透析中や透析後に低カルシウム血症を引き起こすおそれがあるので観察を十分に行うこと。
・透析中や透析後に血中クエン酸濃度が上昇するおそれがあるので観察を十分に行うこと。
・透析中や透析後にPo2の低下及びPco2の上昇が起こるおそれがあるので観察を十分に行うこと。
・骨代謝異常があらわれることがあるので、定期的に臨床検査(生化学検査、X線検査等)を行い、活性型ビタミンD3製剤投与等の適切な処置を行うこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 アルミニウム骨症の患者
骨塩量を定期的に測定し、低下する場合はカルシウム濃度の高い透析液を用いること。骨塩量が低下することがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

10.2 併用注意
ジギタリス強心配糖体
ジゴキシン
メチルジゴキシン等
ジギタリス中毒を起こすおそれがある。本剤を使用した透析により、血清カリウム値が低下する可能性がある。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用や透析療法により次の症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
循環器血圧低下、ショック、血圧上昇
呼吸器Po2低下
代謝・電解質異常血液pH上昇、カルシウムイオン減少、カルシウムイオン増加、血中重炭酸塩増加、血中重炭酸塩減少、血中ブドウ糖増加、低カリウム血症、低血糖、骨粗鬆症、骨軟化症、線維性骨炎、異所性石灰沈着症
肝臓AST上昇、ALT上昇、LDH上昇
消化器口渇
その他悪心、頭痛、不均衡症候群(意識混濁、痙攣、悪心、嘔吐、頭痛、不快、倦怠等)

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 透析用水の水質は、(一社)日本透析医学会が定める最新の透析液水質基準を参照すること。
14.1.2 調製時には、以下の点に注意すること。
・A剤(電解質・ブドウ糖)及びB剤(炭酸水素ナトリウム)は、各々単独では使用しないこと。
・A剤とB剤は直接混合し溶解しないこと。
・溶解したA剤(A液)及びB剤(B液)は、濃厚液の状態で混合しないこと。
14.1.3 定められた希釈液として調製すること。希釈濃度が不正確な場合は、以下のような症状を起こすことがあるので注意すること。特にB剤の希釈濃度が高すぎた場合は、急性代謝性アルカローシスを起こし、テタニー、意識障害、精神障害、呼吸抑制、悪心・嘔吐等を起こすことがある。
・濃度が高すぎた場合
代謝性アルカローシス、意識障害、血圧上昇、動悸、頭痛
・濃度が低すぎた場合
意識障害、急激な血圧低下、胸内苦悶、全身倦怠、四肢のしびれ感
14.1.4 使用前に透析液の電解質濃度を測定し、それらが適正であることを確認すること。
14.1.5 透析液の浸透圧比が0.9〜1.1の範囲にあることを確認すること。
浸透圧比は生理食塩液の浸透圧に対する透析液の浸透圧測定値の比より求める。
14.1.6 透析液のpHは透析用水等の影響で若干の変動があり得るので、使用前にpH7.5〜8.0の範囲内にあることを確認すること。
14.1.7 本剤は用時調製用の製剤であり、希釈調製後の透析液は速やかに使用すること。
14.1.8 残液は使用しないこと。
14.2 薬剤使用時の注意
14.2.1 本剤は注射又は腹膜灌流に用いないこと。
14.2.2 血清浸透圧と透析液浸透圧とのバランスを保つこと。
14.2.3 透析液中の沈殿の有無を透析器前の透析液回路で確認し、沈殿を生じた透析液は使用しないこと。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験(比較臨床試験)
血液透析を施行中の慢性腎不全患者65例を対象として、非盲検クロスオーバー法で本剤及び対照薬のカーボスター透析剤・Lを各8週間使用した。透析は週3回、1回3〜5時間とした。高窒素血症物質(BUN、クレアチニン、尿酸)の8週目の除去効果は、本剤と対照薬で類似していることが確認された。なお、本剤使用時に副作用は認められなかった1)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
透析液は血液透析療法に用いられ、透析液と血液が透析器の透析膜を介して接することで拡散と限外濾過を行い体液の異常を是正する2)
18.2 尿毒症物質除去効果、代謝性アシドーシス改善効果及び血中電解質濃度是正効果
腎不全イヌに本剤を用いて血液透析を行った結果、窒素代謝産物(クレアチニン及び尿素窒素)除去効果、電解質及び酸塩基平衡の是正効果を示した3)

20. 取扱い上の注意

20.1 粉漏れの原因となるので、強い衝撃や鋭利なものとの接触等を避けること。
20.2 袋又はボトルから粉末が漏れている場合は使用しないこと。

22. 包装

袋(A剤・B剤)×3
A剤 2,954g
B剤 971g
ボトル(A剤・B剤)×4
A剤 2,954g
B剤 971g

23. 主要文献

  1. (株)陽進堂社内資料:AYD001第III相比較臨床試験(2025年3月27日承認、申請資料概要2.7.6.2)
  2. 松村治, 透析療法合同専門委員会編集委員会編:血液浄化療法ハンドブック[2022], 122, (2022), (協同医書出版)
  3. (株)陽進堂社内資料:効力を裏付ける試験(2025年3月27日承認、申請資料概要2.6.2.2)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
株式会社陽進堂 お客様相談室
富山県富山市婦中町萩島3697番地8号
電話:0120-647-734
製品情報問い合わせ先
株式会社陽進堂 お客様相談室
富山県富山市婦中町萩島3697番地8号
電話:0120-647-734

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
株式会社陽進堂
富山県富山市婦中町萩島3697番地8号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/09/17 版