医療用医薬品 : ポビドンヨード

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医薬品情報


総称名 ポビドンヨード
一般名 ポビドンヨード
欧文一般名 Povidone-Iodine
製剤名 ポビドンヨード液
薬効分類名 外用殺菌消毒剤
薬効分類番号 2612
ATCコード D08AG02 D09AA09 D11AC06 G01AX11 R02AA15 S01AX18
KEGG DRUG
D00863 ポビドンヨード
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2025年7月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ポビドンヨード液10%消毒用カートリッジ「オーツカ」25mL (後発品) Povidone Iodine Solution 10% Antiseptic Cartridges Otsuka 大塚製薬工場 2612701Q6031 16.8円/管

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤又はヨウ素に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

手術部位(手術野)の皮膚の消毒、手術部位(手術野)の粘膜の消毒、皮膚・粘膜の創傷部位の消毒、熱傷皮膚面の消毒、感染皮膚面の消毒

6. 用法及び用量

<手術部位(手術野)の皮膚の消毒、手術部位(手術野)の粘膜の消毒>
本剤を塗布する。
<皮膚・粘膜の創傷部位の消毒、熱傷皮膚面の消毒、感染皮膚面の消毒>
本剤を患部に塗布する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 甲状腺機能に異常のある患者
血中ヨウ素の調節ができず甲状腺ホルモン関連物質に影響を与えるおそれがある。
9.1.2 重症の熱傷患者
ヨウ素の吸収により、血中ヨウ素値が上昇することがある。
9.5 妊婦
妊婦または妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
長期にわたる広範囲の使用を避けること1)
ポビドンヨード製剤を妊婦の腟内に長期間使用し、新生児に一過性の甲状腺機能低下があらわれたとの報告がある2)
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
長期にわたる広範囲の使用を避けること1)
ポビドンヨード製剤を腟内に使用し、乳汁中の総ヨウ素値が一過性に上昇したとの報告がある3)
9.7 小児等
ポビドンヨード製剤を新生児に使用し、一過性の甲状腺機能低下を起こしたとの報告がある4)

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも0.1%未満)
呼吸困難、不快感、浮腫、潮紅、蕁麻疹等があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1%未満
過敏症発疹
皮膚接触皮膚炎、そう痒感、灼熱感、皮膚潰瘍、皮膚変色
甲状腺血中甲状腺ホルモン値(T3、T4値等)の上昇あるいは低下などの甲状腺機能異常

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

酸化反応を利用した潜血試験において、本剤が検体に混入すると偽陽性を示すことがある5)

14. 適用上の注意

14.1 薬剤使用時の注意
14.1.1 本剤は外用殺菌消毒剤であるので、経口投与、吸入、注射、眼及び体腔内(腹腔内、胸腔内等)に使用しないこと。
14.1.2 使用に際しては、開封口からゆっくり開けること。
14.1.3 専用の塗布具と合わせて使用すること。
14.1.4 薬液容器開通時は薬液が専用の塗布具のハンドル内からなくなるまでフォーム面を下にし、水平に保持すること。
14.1.5 専用の塗布具のフォームに薬液を浸透させた後は速やかに使用すること。
14.1.6 大量かつ長時間の接触によって接触皮膚炎、皮膚変色があらわれることがあるので、溶液の状態で長時間皮膚と接触させないこと6)。本剤が手術時に体の下にたまった状態や、ガーゼ・シーツ等にしみ込み湿った状態で、長時間皮膚と接触しないよう消毒後は拭き取るか乾燥させるなど注意すること。
14.1.7 眼に入らないように注意すること。入った場合には、水でよく洗い流すこと。
14.1.8 石けん類は本剤の殺菌作用を弱めるので、石けん分を洗い落としてから使用すること。
14.1.9 電気的な絶縁性をもっているので、電気メスを使用する場合には、本剤が対極板と皮膚の間に入らないよう注意すること。
14.1.10 開封後の使用は一回限りとし、使用後は速やかに廃棄すること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
ポビドンヨード製剤を腟内に使用し、血中総ヨウ素値及び血中無機ヨウ素値が一過性に上昇したとの報告がある7)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
水溶液中のポビドンヨード液はヨウ素を遊離し、その遊離ヨウ素(I2)が水を酸化してH2OIが生じる。H2OIは細菌及びウイルス表面の膜タンパク(−SHグループ、チロシン、ヒスチジン)と反応することにより、細菌及びウイルスを死滅させると推定される8)
18.2 細菌等に対する効果(in vitro)
10%ポビドンヨード液(液剤)の臨床分離株に対する効果は次のとおりであった9)10)11)12)
被験菌株数10%ポビドンヨード液(液剤)の希釈倍率(PVP-I濃度)作用時間滅菌率
Staphylococcus aureus(MSSA)2020倍(0.5%)30秒99.99%以上
Staphylococcus aureus(MRSA)2020倍(0.5%)30秒99.99%以上
Escherichia coli1020倍(0.5%)30秒99.99%以上
Pseudomonas aeruginosa2020倍(0.5%)30秒99.99%以上
Serratia marcescens2020倍(0.5%)30秒99.99%以上
Burkholderia cepacia1020倍(0.5%)30秒99.99%以上
Klebsiella pneumoniae1020倍(0.5%)30秒99.99%以上
Mycobacterium avium2100倍(0.1%)30秒99.9%以上
Mycobacterium kansasii3100倍(0.1%)30秒99.9%以上
Mycobacterium tuberculosis7100倍(0.1%)30秒99.99%以上
Bordetella pertussis1050倍(0.2%)15秒99.99%以上
18.3 ウイルスに対する効果(in vitro)
10%ポビドンヨード液(液剤)のウイルスに対する効果は次のとおりであった13)14)15)16)17)18)
ウイルス10%ポビドンヨード液(液剤)の希釈倍率(PVP-I濃度)作用時間ウイルス不活化率
単純ヘルペスウイルス10倍(1.0%)30秒99.99%以上
アデノウイルス10倍(1.0%)30秒99.9%以上
風疹ウイルス10倍(1.0%)60秒99.99%以上
麻疹ウイルス10倍(1.0%)60秒99.0%以上
ムンプスウイルス10倍(1.0%)60秒99.99%以上
インフルエンザウイルス10倍(1.0%)30秒99.99%以上
ロタウイルス(サル)10倍(1.0%)30秒99.9%以上
ポリオウイルス2倍(5.0%)30秒99.9%以上
HIV200倍(0.05%)30秒99.9%以上
サイトメガロウイルス10倍(1.0%)30秒99.9%以上
SARSウイルス10倍(1.0%)60秒99.99%以上
鳥インフルエンザウイルス(高病原性)5倍(2.0%)10秒99.99%以上
鳥インフルエンザウイルス(低病原性)5倍(2.0%)10秒99.99%以上
豚インフルエンザウイルス10倍(1.0%)10秒99.99%以上
カリシウイルス(ネコ、イヌ)40倍(0.25%)10秒99.9%以上
マウスノロウイルス50倍(0.2%)15秒99.99%以上
また、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルスに対しても効果が認められた19)20)
18.4 生物学的同等性試験
本剤と同一組成のポビドンヨード液10%消毒用アプリケータ「オーツカ」と標準製剤(イソジン液10%)のS.aureus ATCC 29213又は6538、S.epidermidis ATCC 12228、E.coli ATCC 25922、P.aeruginosa ATCC 27853及びC.albicans ATCC 90028に対する最小発育阻止濃度(MIC)測定試験21)及びin vitro殺菌力評価試験22)を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ポビドンヨード

一般的名称 ポビドンヨード
一般的名称(欧名) Povidone-Iodine
化学名 Poly[1-(2-oxopyrrolidin-1-yl)ethylene]iodine
分子式 (C6H9NO)n・xI
物理化学的性状 暗赤褐色の粉末で、僅かに特異なにおいがある。
水又はエタノール(99.5)に溶けやすい。
本品1.0gを水100mLに溶かした液のpHは1.5〜3.5である。
KEGG DRUG D00863

20. 取扱い上の注意

20.1 ブリスター包装内は滅菌しているので、使用時まで開封しないこと。
20.2 ブリスター包装内に薬液が漏れている場合には使用しないこと。

22. 包装

25mL 30本

23. 主要文献

  1. Danziger Y.,et al., Arch Dis Child., 62, 295-296, (1987) »PubMed
  2. 大塚春美,他, 第30回日本新生児学会総会学術集会プログラム, 328, (1994)
  3. 北村 隆,他, Progress in Medicine., 7 (5), 1031-1034, (1987)
  4. 竹内 敏,他, 日本小児外科学会雑誌, 30 (4), 749-754, (1994) »DOI
  5. Bar-Or D.,et al., Lancet., 318, 589, (1981)
  6. Okano M., J Am Acad Derm., 20 (5), 860, (1989)
  7. 小室順義,他, 産科と婦人科, 52 (10), 1696-1702, (1985)
  8. Rackur H., J Hospital Infection., 6, 13-23, (1985)
  9. 国定孝夫,他, 環境感染, 14 (2), 142-147, (1999) »DOI
  10. 国定孝夫,他, 環境感染, 15 (2), 156-162, (2000) »DOI
  11. Rikimaru T.,et al., Dermatology., 195 (Suppl.2), 104-106, (1997)
  12. Suzuki T.,et al., J Infect Chemother., 18 (2), 272-275, (2012) »PubMed
  13. 川名林治,他, 臨床とウイルス, 26 (5), 371-386, (1998)
  14. Kariwa H.,et al., Dermatology., 212 (Suppl.1), 119-123, (2006) »PubMed
  15. Ito H.,et al., Dermatology., 212 (Suppl.1), 115-118, (2006)
  16. 伊藤啓史,他, 日本化学療法学会雑誌, 57 (6), 508-510, (2009)
  17. 遠矢幸伸,他, 日本化学療法学会雑誌, 54 (3), 260-262, (2006) »DOI
  18. Matsuhira T.,et al., Exp Anim., 61 (1), 35-40, (2012) »PubMed
  19. 栗村 敬,他, Biomedica., 2 (12), 1223-1226, (1987)
  20. 野田伸司,他, 岐衛研所報, 24, 15-21, (1979)
  21. (株)大塚製薬工場 社内資料:生物学的同等性試験・MIC測定試験
  22. (株)大塚製薬工場 社内資料:生物学的同等性試験・殺菌力評価試験

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
株式会社大塚製薬工場 輸液DIセンター
〒101-0048 東京都千代田区神田司町2-2
電話:0120-719-814
FAX:03-5296-8400
製品情報問い合わせ先
株式会社大塚製薬工場 輸液DIセンター
〒101-0048 東京都千代田区神田司町2-2
電話:0120-719-814
FAX:03-5296-8400

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
株式会社大塚製薬工場
徳島県鳴門市撫養町立岩字芥原115
26.2 販売提携
大塚製薬株式会社
東京都千代田区神田司町2-9

その他の説明

操作方法
カートリッジ(本剤)の構造
合わせて使用する医療機器:専用の塗布具
(販売名:カートリッジ用塗布具「オーツカ」)
注意
フォームには触れないこと。
1 ブリスター包装の開封口からシールをゆっくり剥がす。
注意
固定具は外さないこと。
2 本剤の挿入指示マーク(←印)を、専用の塗布具のハンドルの挿入指示マーク(←印)に合わせる。
注意
挿入指示マークを合わせないと、薬液容器が開通しない。
3 本剤を専用の塗布具に挿し込む。
注意
最後まで挿し込むと薬液容器が開通するので注意すること。
4 スリーブの先端を最後まで押し込み、薬液容器を開通させる。
注意
スリーブからの液漏れ、フォームからの液垂れ防止のため、薬液がハンドル内からなくなるまでフォーム面を下にし、水平に保持すること。
5 消毒部位に適量を塗布する。

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/08/20 版