医療用医薬品 : タービー

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医薬品情報


総称名 タービー
一般名 トアルクエタマブ(遺伝子組換え)
欧文一般名 Talquetamab(Genetical Recombination)
製剤名 トアルクエタマブ(遺伝子組換え)製剤
薬効分類名 抗悪性腫瘍剤
二重特異性抗体製剤
薬効分類番号 4291
KEGG DRUG
D12180 トアルクエタマブ
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2025年6月 作成(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
タービー皮下注3mg TALVEY Subcutaneous Injection ヤンセンファーマ 42914G6A1028 生物由来製品, 劇薬, 処方箋医薬品
タービー皮下注40mg TALVEY Subcutaneous Injection ヤンセンファーマ 42914G6A2024 生物由来製品, 劇薬, 処方箋医薬品

1. 警告

1.1 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
1.2 重度のサイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、特に治療初期は入院管理等の適切な体制下で本剤の投与を行うこと。また、サイトカイン放出症候群に対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うとともに、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するサイトカイン放出症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。[7.28.111.1.1参照]
1.3 重度の神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供する免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。[8.28.311.1.2参照]

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)

5. 効能または効果に関連する注意

5.1 本剤による治療は、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む少なくとも3つの標準的な治療が無効又は治療後に再発した患者を対象とすること。[17.1.1参照]
5.2 臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.1参照]

6. 用法及び用量

通常、成人にはトアルクエタマブ(遺伝子組換え)として、以下のA法又はB法で投与する。
A法
漸増期は、1日目に0.01mg/kg、その後は2〜4日の間隔で0.06mg/kg、0.4mg/kgの順に皮下投与する。その後の継続投与期は、0.4mg/kgを1週間間隔で皮下投与する。
B法
漸増期は、1日目に0.01mg/kg、その後は2〜4日の間隔で0.06mg/kg、0.4mg/kg、0.8mg/kgの順に皮下投与する。その後の継続投与期は、0.8mg/kgを2週間間隔で皮下投与する。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
7.2 本剤投与によるサイトカイン放出症候群を軽減させるため、漸増期の投与については、本剤投与開始1〜3時間前に副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤及び解熱鎮痛剤を投与すること。[1.28.111.1.1参照]
7.3 本剤投与により副作用が発現した場合には、以下の基準を参考に本剤を休薬又は中止すること。
副作用発現時の本剤の休薬又は中止基準
副作用重症度注)処置
サイトカイン放出症候群Grade 1又は2回復するまで休薬する。
Grade 3(初発)回復するまで休薬する。48時間以上持続する場合は投与を中止する。
Grade 3(再発)又はGrade 4投与を中止する。
免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群Grade 1、2又は3(初発)回復するまで休薬する。
Grade 3(再発)又はGrade 4投与を中止する。
免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群を除く神経毒性Grade 1回復するまで休薬する。
Grade 2又は3(初発)Grade 1以下に改善するまで休薬する。
Grade 3(再発)又はGrade 4投与を中止する。
感染症漸増期全Grade回復するまで休薬する。
継続投与期Grade 3又は4Grade 1以下に改善するまで休薬する。
血液学的毒性好中球数が500/μL未満好中球数が500/μL以上になるまで休薬する。
発熱性好中球減少症好中球数が1,000/μL以上になり、解熱するまで休薬する。
ヘモグロビンが8g/dL未満ヘモグロビンが8g/dL以上になるまで休薬する。
血小板数が25,000/μL未満
血小板数が25,000/μL以上50,000/μL以下で、かつ出血を伴う
血小板数が25,000/μL以上になり、出血が治まるまで、休薬する。
口腔毒性全Grade回復するまで休薬する、又は、投与頻度を減らすこと(週1回投与から2週に1回投与、2週に1回ではなく4週に1回)を検討する。
その他の非血液学的毒性Grade 3又は4Grade 1以下又はベースラインに改善するまで休薬する。
7.4 副作用等の理由による休薬後に本剤を再開する場合は、下表を参考に投与すること。以降は、用法及び用量の投与スケジュールに準じること。サイトカイン放出症候群発現による休薬の場合は、本剤投与開始1〜3時間前に前投与(副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤及び解熱鎮痛剤)を行うこと。サイトカイン放出症候群発現以外による休薬の場合は、下表を参考に前投与を行うこと。
休薬後に再開する場合の用量
 休薬直前の用量休薬期間再開時の用量
A法漸増用量1(0.01mg/kg)1週間(7日)以内の休薬漸増用量2(0.06mg/kg)で投与する注)
1週間(7日)を超える休薬漸増用量1(0.01mg/kg)で投与する注)
漸増用量2(0.06mg/kg)1週間(7日)以内の休薬治療用量(0.4mg/kg)で投与する注)
1週間(7日)を超え、4週間(28日)以内の休薬漸増用量2(0.06mg/kg)で投与する注)
4週間(28日)を超える休薬漸増用量1(0.01mg/kg)で投与する注)
治療用量(0.4mg/kg)5週間(35日)以内の休薬治療用量(0.4mg/kg)で投与する。
5週間(35日)を超え、8週間(56日)以内の休薬漸増用量2(0.06mg/kg)で投与する注)
8週間(56日)を超える休薬漸増用量1(0.01mg/kg)で投与する注)
B法漸増用量1(0.01mg/kg)1週間(7日)以内の休薬漸増用量2(0.06mg/kg)で投与する注)
1週間(7日)を超える休薬漸増用量1(0.01mg/kg)で投与する注)
漸増用量2(0.06mg/kg)1週間(7日)以内の休薬漸増用量3(0.4mg/kg)で投与する注)
1週間(7日)を超え、4週間(28日)以内の休薬漸増用量2(0.06mg/kg)で投与する注)
4週間(28日)を超える休薬漸増用量1(0.01mg/kg)で投与する注)
漸増用量3(0.4mg/kg)1週間(7日)以内の休薬治療用量(0.8mg/kg)で投与する注)
1週間(7日)を超え、5週間(35日)以内の休薬漸増用量3(0.4mg/kg)で投与する注)
5週間(35日)を超え、8週間(56日)以内の休薬漸増用量2(0.06mg/kg)で投与する注)
8週間(56日)を超える休薬漸増用量1(0.01mg/kg)で投与する注)
治療用量(0.8mg/kg)5週間(35日)以内の休薬治療用量(0.8mg/kg)で投与する。
5週間(35日)を超え、8週間(56日)以内の休薬漸増用量3(0.4mg/kg)で投与する注)
8週間(56日)を超える休薬漸増用量1(0.01mg/kg)で投与する注)

8. 重要な基本的注意

8.1 サイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、以下の事項に注意すること。[1.27.211.1.1参照]
8.1.1 サイトカイン放出症候群は投与初期に多く認められることから、少なくとも漸増期(初回の治療用量を含む)の各投与後48時間は必ず入院管理とし、漸増期の各投与48時間経過後、及び継続投与期(2回目の治療用量以降の投与時)についても患者の状態に応じて入院管理を検討すること。
8.1.2 サイトカイン放出症候群に対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うこと。
8.1.3 本剤の投与中は、発熱、悪寒、低血圧、頻脈、低酸素症、頭痛、肝酵素上昇(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ及びアラニンアミノトランスフェラーゼ増加)等について、観察を十分に行うこと。
8.1.4 サイトカイン放出症候群が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。
8.1.5 緊急時に備えてトシリズマブ(遺伝子組換え)を速やかに使用できるように準備しておくこと。
8.2 神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、以下の事項に注意すること。[1.311.1.2参照]
8.2.1 本剤の投与中は、失語症、意識レベルの変化、認知能力の障害、筋力低下、痙攣発作、脳浮腫等について、観察を十分に行うこと。
8.2.2 免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。
8.2.3 免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群があらわれた場合、次回の本剤投与後48時間は入院管理を検討すること。
8.3 神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)として錯乱状態、意識レベルの低下、痙攣発作等があらわれるおそれがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。特に、漸増期(初回の治療用量を含む)の各投与後48時間まで及び神経学的症状があらわれている間は、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。[1.311.1.2参照]
8.4 運動失調があらわれることがあるので、小脳症状(測定障害、歩行障害及び構語障害等)を含む神経学的な徴候又は症状の発現、若しくは既存の神経学的な徴候又は症状の変化について、観察を十分に行うこと。[11.1.3参照]
8.5 感染症(日和見感染症を含む)が発現又は悪化することがあるので、本剤投与前に適切な予防措置を考慮すること。本剤投与中は感染症の発現又は悪化に十分に注意すること。[11.1.4参照]
8.6 血球減少があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.5参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後3カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。本剤を用いた生殖発生毒性試験は実施されていない。ヒトIgG抗体に胎盤通過性があることが知られており、本剤の作用機序から、本剤の妊娠中の曝露により、サイトカイン放出に関連する二次的な炎症作用等、胎児に有害な影響を及ぼす可能性がある。[9.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト乳汁中への移行に関するデータはないが、ヒトIgGは母乳中に移行することが知られている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

10.2 併用注意
治療域の狭いCYP基質
ワルファリン、シクロスポリン、タクロリムス等
16.7.1参照]
これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるので、本剤の投与開始から初回の治療用量投与の14日後まで、並びにサイトカイン放出症候群発現時及び発現後一定期間は、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。本剤の投与によりサイトカインが放出され、CYPが抑制されることにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
生ワクチン又は弱毒生ワクチン接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には適切な処置を行う。本剤のBリンパ球傷害作用により発病するおそれがある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 サイトカイン放出症候群(76.1%)
異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するサイトカイン放出症候群管理ガイダンス等に従い、本剤の投与中止、副腎皮質ホルモン剤、トシリズマブ(遺伝子組換え)の投与等の適切な処置を行うこと。[1.27.28.1参照]
11.1.2 神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)
免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(8.6%)、頭痛(8.6%)、感覚ニューロパチー(7.0%)、浮動性めまい(3.7%)、脳症(3.3%)、錯乱状態(0.3%)、痙攣発作(頻度不明)、失神(頻度不明)等の神経学的事象があらわれることがある。異常が認められた場合には、製造販売業者が提供する免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群管理ガイダンス等に従い、本剤の投与中止、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。[1.38.28.3参照]
11.1.3 運動失調(2.0%)
異常が認められた場合には、本剤を休薬し、神経学的評価を実施するとともに、適切な処置を行うこと。[8.4参照]
11.1.4 感染症
上気道感染(12.3%)、肺炎(4.3%)、敗血症(1.7%)、尿路感染(0.7%)等があらわれることがある。[8.5参照]
11.1.5 血球減少
好中球減少症(25.2%)、貧血(24.9%)、リンパ球減少症(21.9%)、血小板減少症(20.9%)、白血球減少症(13.0%)、発熱性好中球減少症(頻度不明)等があらわれることがある。[8.6参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 30%以上10%以上30%未満10%未満
免疫系障害  低γグロブリン血症
代謝及び栄養障害 食欲減退低カリウム血症、低リン血症、低マグネシウム血症
神経系障害味覚不全(71.1%)  
呼吸器、胸郭及び縦隔障害  咳嗽、呼吸困難
胃腸障害 口内乾燥、嚥下障害、口内炎、悪心下痢、口腔内痛、嘔吐、便秘、腹痛
皮膚及び皮下組織障害爪の障害(55.5%)、皮膚障害(41.5%)、発疹そう痒症 
筋骨格系及び結合組織障害 筋骨格痛 
一般・全身障害及び投与部位の状態疲労乾燥症、発熱、注射部位反応疼痛、浮腫
臨床検査体重減少 トランスアミナーゼ上昇、γ−グルタミルトランスフェラーゼ増加

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤は規格により有効成分濃度が異なる。本剤皮下注3mgは、漸増用量1(0.01mg/kg)及び漸増用量2(0.06mg/kg)の投与のみに、本剤皮下注40mgは、漸増用量3(0.4mg/kg)及び治療用量(0.4mg/kg及び0.8mg/kg)の投与のみに使用すること。濃度の異なるバイアルを混ぜて使用しないこと。
14.1.2 本剤は希釈が不要であり、調製済みの注射液である。
14.1.3 本剤の投与には、ポリプロピレン又はポリカーボネートのシリンジと、ステンレス鋼製の注射針を用いること。
14.1.4 本剤は、無菌環境下において操作すること。
14.1.5 本剤を冷蔵庫から取り出し、15分以上放置し、15〜30℃に戻す。他の方法で温めないこと。
14.1.6 バイアルを約10秒間静かに回して混ぜる。振盪しないこと。
14.1.7 薬液入りシリンジを直ちに使用しない場合は、2〜8℃で最長24時間まで、その後15〜30℃で最長24時間まで保存できる。2〜8℃で24時間を超えて保管した場合、又は15〜30℃で24時間を超えて保管した場合は廃棄すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 投与前に、本剤に粒子や変色がないか目視により確認する。不透明粒子や変色又は異物が認められた場合は使用しないこと。
14.2.2 腹部又は大腿部などの皮下に本剤を注射する。複数回の注射が必要な場合、同一部位への反復注射は行わないこと。
14.2.3 皮膚の発赤、挫傷、圧痛、硬結又は瘢痕がある部位には注射しないこと。
14.2.4 未使用残液については適切に廃棄すること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
国際共同第I/II相試験(MMY1001試験)第II相パートのコホートA、B、C及び日本人コホートにおいて、124/323例(38.4%)に抗トアルクエタマブ抗体が認められ、60/323例(18.6%)に抗トアルクエタマブ中和抗体が認められた。本剤投与期間中に本剤の血清中濃度が定量下限未満となった中和抗体陽性例が2例認められた。1)2)

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 反復投与
(1)0.4mg/kg1週間に1回投与
日本人の再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に本剤を漸増用量である0.01及び0.06mg/kgを皮下投与後、治療用量である0.4mg/kgを1週間に1回皮下投与した際の、1回目の治療用量投与後及び7回目の治療用量投与後の血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。3)
漸増用量である0.01及び0.06mg/kgを皮下投与後、治療用量である0.4mg/kgを皮下投与した際の血清中濃度推移(平均値±標準偏差)
7回目の治療用量投与後の血清中濃度推移(平均値±標準偏差)
薬物動態パラメータ1回目の治療用量投与後7回目の治療用量投与後
Tmax(days)3.45(1.96-7.95)
(n=4)
1.95(1.81-4.94)
(n=3)
Cmax(ng/mL)1,632±701
(n=4)
2,517±949
(n=3)
Ctrough(ng/mL)247±164
(n=4)
1,457±510
(n=3)
AUCtau(ng・h/mL)211,281±113,188
(n=4)
366,491±46,363
(n=3)
(2)0.8mg/kg2週間に1回投与
日本人の再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に本剤を漸増用量である0.01、0.06及び0.3mg/kg注)を皮下投与後、治療用量である0.8mg/kgを2週間に1回皮下投与した際の、1回目の治療用量投与後及び5回目の治療用量投与後の血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。3)
注)本剤の承認された用法及び用量は、下記のとおりである。
B法:漸増期は、1日目に0.01mg/kg、その後は2〜4日の間隔で0.06mg/kg、0.4mg/kg、0.8mg/kgの順に皮下投与する。その後の継続投与期は、0.8mg/kgを2週間間隔で皮下投与する。
漸増用量である0.01、0.06及び0.3mg/kgを皮下投与後、治療用量である0.8mg/kgを皮下投与した際の血清中濃度推移(平均値±標準偏差)
5回目の治療用量投与後の血清中濃度推移(平均値±標準偏差)
薬物動態パラメータ1回目の治療用量投与後5回目の治療用量投与後
Tmax(days)3.45(1.88-6.05)
(n=6)
2.93(0.92-7.78)
(n=6)
Cmax(ng/mL)1,220±574
(n=6)
2,534±1,398
(n=6)
Ctrough(ng/mL)367±129
(n=6)
1,426±899
(n=6)
AUCtau(ng・h/mL)307,331±158,652
(n=6)
731,347±400,993
(n=6)
16.2 吸収
母集団薬物動態解析により、トアルクエタマブを皮下投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは62%と推定された。4)(外国人データ)
16.3 分布
母集団薬物動態解析により、トアルクエタマブの中央コンパートメント及び末梢コンパートメントの分布容積の平均値(変動係数%)はそれぞれ4.3L(22%)及び5.8L(83%)と推定された。4)(外国人データ)
16.5 排泄
母集団薬物動態解析により、皮下投与後の定常状態における消失相の半減期(中央値)は12.2日と推定された。4)(外国人データ)
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ミダゾラム、シンバスタチン、S-ワルファリン、オメプラゾール
生理学的薬物動態モデルによるシミュレーションにおいて、本剤の併用により、ミダゾラム及びシンバスタチン(CYP3A基質)、S-ワルファリン(CYP2C9基質)並びにオメプラゾール(CYP2C19基質)の血中濃度が上昇する可能性が示唆された。5)10.2参照]

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第I/II相試験(MMY1001試験/第II相パート)
免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む少なくとも3レジメンによる治療歴を有する、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象に、本剤単独投与の有効性及び安全性を非盲検、非対照試験で評価した。
本試験では、コホートA(122例)、コホートC(109例)及び日本人コホート(36例)は、T細胞リダイレクト療法注1)による前治療歴がない患者、コホートB(34例)は、T細胞リダイレクト療法注1)による前治療歴がある患者をそれぞれ組み入れた。
本剤の用法・用量は以下のとおりとされた。なお、いずれのコホートも、漸増用量投与から初回の治療用量投与時までの各投与の投与間隔は2〜4日間とされた。
・コホートA、B及び日本人コホート
0.01mg/kg及び0.06mg/kg(漸増用量)を漸増投与した後、1サイクルを28日間とし注2)、0.4mg/kg(治療用量)を1週間間隔で皮下投与する。
・コホートC
0.01mg/kg、0.06mg/kg及び0.3mg/kg(漸増用量)注3)を漸増投与した後、1サイクルを28日間とし注2)、0.8mg/kg(治療用量)を2週間間隔で皮下投与する。
有効性解析対象集団において、主要評価項目である独立評価委員会判定に基づく奏効率注4)(95%信頼区間)は下表のとおりであった。6)
 例数奏効例奏効率[95%信頼区間](%)
コホートAa1228973.0[64.2,80.6]
コホートBa342264.7[46.5,80.3]
コホートCb1097972.5[63.1,80.6]
日本人コホートc362877.8[60.8,89.9]
本剤が投与された安全性解析対象集団301例中299例(99.3%)に副作用が認められた。主な副作用はサイトカイン放出症候群229例(76.1%)、味覚不全214例(71.1%)、爪の障害167例(55.5%)、皮膚障害125例(41.5%)、発疹104例(34.6%)、疲労98例(32.6%)、体重減少98例(32.6%)等であった。注5)5.15.2参照]
注1)キメラ抗原受容体T細胞療法、二重特異性抗体等のT細胞の活性化を作用機序とした治療
注2)治療用量の投与開始日が第1サイクル1日目と設定された。
注3)本剤の承認された用法及び用量は、下記のとおりである。
B法:漸増期は、1日目に0.01mg/kg、その後は2〜4日の間隔で0.06mg/kg、0.4mg/kg、0.8mg/kgの順に皮下投与する。その後の継続投与期は、0.8mg/kgを2週間間隔で皮下投与する。
注4)奏効率は、国際骨髄腫ワーキンググループの効果判定基準に基づき、最良総合効果が部分奏効以上である患者の割合とした。
注5)コホートA、B及びCは2023年1月17日クリニカルカットオフ、日本人コホートは2024年5月6日クリニカルカットオフ

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
トアルクエタマブは、Gタンパク質共役型受容体ファミリーCグループ5メンバーD(GPRC5D)及びCD3に対するヒト化免疫グロブリン(Ig)G4二重特異性モノクローナル抗体である。トアルクエタマブは、T細胞の細胞膜上に発現するCD3と多発性骨髄腫(MM)細胞の細胞膜上に発現するGPRC5Dの両者に結合することによりT細胞を活性化し、GPRC5Dを発現する腫瘍細胞を傷害すると考えられる。7)
18.2 抗腫瘍効果
トアルクエタマブは、ヒトT細胞の存在下において、GPRC5Dを発現するヒトMM由来細胞株(H929、MM.1R及びOPM-2)に対して細胞傷害作用を示した(in vitro)。7)
トアルクエタマブは、GPRC5Dを発現するヒトMM由来細胞株(H929又はMM.1S)を皮下移植し、ヒト末梢血単核球を静脈内移植したインターロイキン2受容体γ鎖が完全欠損した非肥満型糖尿病/重症複合型免疫不全マウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した(in vivo)。8)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. トアルクエタマブ(遺伝子組換え)

一般的名称 トアルクエタマブ(遺伝子組換え)
一般的名称(欧名) Talquetamab(Genetical Recombination)
分子量 約147,000
理化学知見その他 トアルクエタマブは、Gタンパク質共役型受容体クラスCグループ5メンバーD(GPRC5D)及びCD3ε鎖に対する遺伝子組換え二重特異性モノクローナル抗体であり、抗GPRC5D-H鎖及び抗CD3ε-H鎖はいずれもヒトIgG4に由来する。抗GPRC5D-H鎖の3つのアミノ酸残基が置換(S226P、F232A、L233A)され、抗CD3ε-H鎖の5つのアミノ酸残基が置換(S233P、F239A、L240A、F410L、R414K)されている。トアルクエタマブは、CHO細胞により産生される。トアルクエタマブは、445個のアミノ酸残基からなる抗GPRC5D-H鎖(γ4鎖)1本、214個のアミノ酸残基からなる抗GPRC5D-L鎖(κ鎖)1本、452個のアミノ酸残基からなる抗CD3ε-H鎖(γ4鎖)1本及び215個のアミノ酸残基からなる抗CD3ε-L鎖(λ鎖)1本で構成される糖タンパク質(分子量:約147,000)である。
KEGG DRUG D12180

20. 取扱い上の注意

20.1 外箱開封後は遮光して保存すること。
20.2 凍結させないこと。

21. 承認条件

21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
21.2 緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍に関する十分な知識・経験を持つ医師のもとで、サイトカイン放出症候群の管理等の適切な対応がなされる体制下で本剤が投与されるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。

22. 包装

<タービー皮下注3mg>
1.5mL[1バイアル]
<タービー皮下注40mg>
1.0mL[1バイアル]

23. 主要文献

  1. 社内資料:トアルクエタマブの多発性骨髄腫患者に対する臨床試験(MMY1001試験コホートA,B,C主解析)(2025年6月24日承認、CTD2.7.2.2.1)
  2. 社内資料:トアルクエタマブの多発性骨髄腫患者に対する臨床試験(MMY1001試験日本人コホート)(2025年6月24日承認、CTD2.7.2.2.3)
  3. 社内資料:トアルクエタマブの多発性骨髄腫患者に対する臨床試験(MMY1003試験)(2025年6月24日承認、CTD2.7.2.2.2)
  4. 社内資料:MMY1001試験の母集団薬物動態解析(2025年6月24日承認、CTD2.7.2.3.1.1)
  5. 社内資料:MMY1001試験の生理学的薬物速度論解析(2025年6月24日承認、CTD2.7.2.3.3.1)
  6. 社内資料:トアルクエタマブの多発性骨髄腫患者に対する臨床試験(MMY1001試験)(2025年6月24日承認、CTD2.7.3.3.2)
  7. 社内資料:トアルクエタマブのin vitro薬理試験(2025年6月24日承認、CTD2.6.2.2.1)
  8. 社内資料:トアルクエタマブのin vivo薬理試験(2025年6月24日承認、CTD2.6.2.2.2)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
ヤンセンファーマ株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒101-0065 東京都千代田区西神田3-5-2
電話:フリーダイヤル 0120-183-275
URL:https://www.janssenpro.jp
製品情報問い合わせ先
ヤンセンファーマ株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒101-0065 東京都千代田区西神田3-5-2
電話:フリーダイヤル 0120-183-275
URL:https://www.janssenpro.jp

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元(輸入)
ヤンセンファーマ株式会社
〒101-0065 東京都千代田区西神田3-5-2

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版