医療用医薬品 : エフィナコナゾール

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医薬品情報


総称名 エフィナコナゾール
一般名 エフィナコナゾール
欧文一般名 Efinaconazole
製剤名 エフィナコナゾール外用液
薬効分類名 爪白癬治療剤
薬効分類番号 6290
ATCコード D01AC19
KEGG DRUG
D10021 エフィナコナゾール
KEGG DGROUP
DG01523 トリアゾール系抗真菌薬
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2025年8月 作成(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
エフィナコナゾール爪外用液10%「サワイ」 EFINACONAZOLE Solution[SAWAI] 沢井製薬 62907A2Q1022 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

<適応菌種>
<適応症>

5. 効能または効果に関連する注意

5.1 直接鏡検又は培養等に基づき爪白癬であると確定診断された患者に使用すること。
5.2 重症患者における本剤の有効性及び安全性は確認されていない。[17.1.117.1.2参照]

6. 用法及び用量

1日1回罹患爪全体に塗布する。

7. 用法及び用量に関連する注意

本剤を長期間使用しても改善が認められない場合は使用中止を考慮するなど、漫然と長期にわたって使用しないこと(48週を超えて使用した場合の有効性・安全性は確立していない)。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット皮下投与)で乳汁中へ移行することが報告されている1)
9.7 小児等
小児等を対象とした国内臨床試験は実施していない。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 1%以上0.10〜1%未満
適用部位
(投与部位)
皮膚炎、水疱紅斑、腫脹、疼痛、そう痒、皮膚剥脱、異常感覚、爪甲脱落、変色、湿疹
その他 鼻咽頭炎、頭痛

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
患者に対し、次の点に注意するよう指導すること。
・本剤は抗真菌薬のため、新しい爪が伸びてこない限り、一旦変色した爪所見を回復させるものではない。このため、治療には相応の期間(爪が生えかわるまでの期間)が必要になること。
・爪白癬の原因菌は爪甲及びその下の皮膚に存在するため、この部位に薬剤が行きわたるよう皮膚との境界部も含め爪全体に十分に塗布し、周囲の皮膚に付着した薬剤は拭き取ること。
・適用部位周辺に傷口がある場合には注意して使用すること。
・爪白癬の罹患爪以外には使用しないこと。
・治療中の爪には化粧品等を使用しないこと。
・眼科用として角膜、結膜には使用しないこと。誤って眼に入った場合には、直ちによく水洗すること。
・保存及び使用の際には火気を避けること。[20.3参照]

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
日本人健康成人の背部皮膚表面にエフィナコナゾール56.9mgを単回投与(48時間貼付)したとき、最高血漿中濃度は0.684±0.204ng/mL、最高血漿中濃度到達時間は22.4±4.9時間、消失半減期は算出できなかった2)
また、日本人爪真菌症患者を対象として、趾爪10個全てにエフィナコナゾール外用液を1日1回就寝前に28日間塗布したところ、爪中濃度は5,961±3,895μg/gであった。28日間連日投与後の血漿中濃度は1.350±1.226ng/mLであった3)4)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第III相試験
感染面積が20〜50%の爪真菌症患者870例(日本人患者243例を含む)を対象に、エフィナコナゾール外用液又は基剤を感染趾爪に1日1回48週間塗布する無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。52週目の完全治癒率は、以下のとおりであり、エフィナコナゾール外用液群と基剤群との対比較において、統計学的に有意な差が認められた5)6)7)
52週目の完全治癒率
 エフィナコナゾール外用液群基剤群群間差[95%信頼区間]
全体17.8%
(117/656例)
3.3%
(7/214例)
14.6[10.8,18.3]%注)
 日本28.8%
(53/184例)
11.9%
(7/59例)
16.9[6.4,27.5]%
副作用発現頻度はエフィナコナゾール外用液群で7.5%(49/653例)であった。主な副作用は適用部位にみられ、皮膚炎3.4%(22/653例)、水疱1.8%(12/653例)、紅斑0.8%(5/653例)、そう痒0.6%(4/653例)、腫脹、疼痛、皮膚剥脱各0.5%(3/653例)等であった8)。[5.2参照]
17.1.2 海外第III相試験
感染面積が20〜50%の爪真菌症患者781例を対象に、エフィナコナゾール外用液又は基剤を感染趾爪に1日1回48週間塗布する無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。52週目の完全治癒率は、以下のとおりであり、エフィナコナゾール外用液群と基剤群との対比較において、統計学的に有意な差が認められた6)7)
52週目の完全治癒率
エフィナコナゾール外用液群基剤群群間差[95%信頼区間]
15.2%
(88/580例)
5.5%
(11/201例)
9.7[5.4,14.0]%注)
副作用発現頻度はエフィナコナゾール外用液群で5.1%(29/574例)であった。主な副作用は適用部位にみられ、水疱1.0%(6/574例)、皮膚炎、紅斑、腫脹、疼痛、皮膚剥脱各0.7%(4/574例)、そう痒、爪甲脱落各0.5%(3/574例)等であった8)。[5.2参照]
17.3 その他
17.3.1 皮膚刺激性
日本人健康成人を対象としたパッチテストで塗布局所の皮膚刺激性を検討した結果、軽度な皮膚刺激性がみられた2)
また、外国人健康成人を対象として接触感作性を検討した結果、接触感作の誘導はみられなかった9)
17.3.2 生物学的同等性試験(クレナフィン爪外用液10%に対する非劣性試験)
感染面積が20〜50%の爪白癬症患者400例を対象に、エフィナコナゾール爪外用液10%「サワイ」又はクレナフィン爪外用液10%を感染趾爪に1日1回48週間塗布する無作為化単盲検並行群間比較試験を実施した。投与36週目の真菌学的治癒率及び投与52週目の健康領域の新たな伸長は以下のとおりであり、いずれの評価項目においても群間差の95%信頼区間の下限が事前に設定した非劣性マージンを下回らなかったことから、エフィナコナゾール爪外用液10%「サワイ」のクレナフィン爪外用液10%に対する非劣性が検証された10)
各製剤投与時の臨床効果
 エフィナコナゾール爪外用液10%「サワイ」
(139例)
クレナフィン爪外用液10%
(144例)
群間差
[95%信頼区間]
非劣性マージン
投与36週目の真菌学的治癒率(%)69.0667.361.70
[−9.15,12.55]
−17.5
投与52週目の健康領域の新たな伸長(mm)4.48±3.82注)4.56±3.91注)−0.08
[−0.98,0.83]
−2.0
副作用発現頻度はエフィナコナゾール爪外用液10%「サワイ」群で15.0%(30/200例)であった。主な副作用は、接触皮膚炎7.0%(14/200例)、皮膚炎及び紅斑各2.0%(4/200例)、爪甲剥離症1.5%(3/200例)等であった。
血漿中薬物濃度の平均値の90%信頼区間の上限は、全ての測定時点(12週/24週/36週/48週)において許容域上限(7.05ng/mL)を上回らず、エフィナコナゾール爪外用液10%「サワイ」投与時の曝露量は安全性に問題ないと判定された。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
エフィナコナゾールは、真菌細胞膜のエルゴステロール生合成経路上におけるラノステロールの14位メチル基の脱メチル化反応を阻害し、抗真菌作用を発揮する11)
18.2 抗真菌作用
18.2.1 抗真菌活性
エフィナコナゾールはTrichophyton rubrumTrichophyton mentagrophytesに対して抗真菌活性を示した12)in vitro)。
菌種株数MIC50/MIC90(μg/mL)
(最小〜最大)
T.rubrum1300.002/0.008
(0.001〜0.015)
T.mentagrophytes1290.004/0.015
(0.001〜0.03)
また、上記以外のTrichophyton属の皮膚糸状菌に対しても抗真菌活性を示した(MIC:0.0039〜0.063μg/mL)。
18.2.2 実験的爪白癬に対する作用
T.mentagrophytesによるモルモット爪白癬モデルに、エフィナコナゾール10%液剤を1日1回4週間反復爪塗布したところ、感染無処置対照群に比べて有意な爪中菌数の減少を示した13)
18.3 爪における抗真菌活性作用
18.3.1 爪中及び爪甲下での抗真菌活性
ヒト爪を用いたin vitro試験において、爪中や爪甲下で増殖するT.rubrumに対して、爪上面への塗布により菌数の減少を示した4)13)
18.3.2 ケラチン親和性
爪の主成分であるケラチンに対するエフィナコナゾールの親和性を検討した結果、吸着率は添加量に対し85.7%、遊離率は吸着量に対し46.0%であった。
一方、同様の方法で検討したアモロルフィン塩酸塩、シクロピロクス オラミン、テルビナフィン塩酸塩及びイトラコナゾールの吸着率は98.1〜99.5%、遊離率は1.7〜6.9%であった13)14)in vitro)。
18.4 薬剤耐性
エフィナコナゾール存在下で12代継代培養したT.rubrumは感受性を示した15)in vitro)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. エフィナコナゾール

一般的名称 エフィナコナゾール
一般的名称(欧名) Efinaconazole
化学名 (2R,3R)-2-(2,4-Difluorophenyl)-3-(4-methylenepiperidin-1-yl)-1-(1H-1,2,4-triazol-1-yl)butan-2-ol
分子式 C18H22F2N4O
分子量 348.39
物理化学的性状 白色〜微黄色の結晶、結晶性の粉末又は塊である。メタノール又はエタノール(99.5)に溶けやすく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D10021

20. 取扱い上の注意

20.1 開封後はしっかりとキャップをしめ保存すること。
20.2 開封後12週間経過した場合は、残液を使用しないこと。
20.3 本剤は可燃性である。(第一石油類 危険等級II 非水溶性 火気厳禁)[14.1参照]

22. 包装

プラスチック容器
3.56g(4.1mL)[5本、10本]

23. 主要文献

  1. エフィナコナゾールの薬物動態試験(クレナフィン爪外用液:2014年7月4日承認、申請資料概要2.6.4)
  2. 日本人健康成人における第I相臨床試験(KP-103-02)(クレナフィン爪外用液:2014年7月4日承認、申請資料概要2.7.6.1)
  3. 日本人爪真菌症患者における第I相臨床試験(KP-103-03)(クレナフィン爪外用液:2014年7月4日承認、申請資料概要2.7.6.5)
  4. Sakamoto,M.et al., J.Drugs Dermatol., 13 (11), 1388-1392, (2014) »PubMed
  5. 渡辺晋一他, 西日本皮膚科, 77 (3), 256-264, (2015) »DOI
  6. Elewski,B.E.et al., J.Am.Acad.Dermatol., 68 (4), 600-608, (2013) »PubMed
  7. 臨床的有効性(クレナフィン爪外用液:2014年7月4日承認、申請資料概要2.7.3)
  8. 有害事象(クレナフィン爪外用液:2014年7月4日承認、申請資料概要2.7.4.2)
  9. Del Rosso,J.Q.et al., J.Clin.Aesthet.Dermatol., 6 (3), 20-24, (2013) »PubMed
  10. 社内資料:生物学的同等性試験(クレナフィン爪外用液10%に対する非劣性試験)
  11. Tatsumi,Y.et al., Antimicrob.Agents Chemother., 57 (5), 2405-2409, (2013) »PubMed
  12. Jo Siu,W.J.et al., Antimicrob.Agents Chemother., 57 (4), 1610-1616, (2013) »PubMed
  13. Sugiura,K.et al., Antimicrob.Agents Chemother., 58 (7), 3837-3842, (2014) »PubMed
  14. エフィナコナゾールの薬理試験(クレナフィン爪外用液:2014年7月4日承認、申請資料概要2.6.2)
  15. Iwata,A.et al., Antimicrob.Agents Chemother., 58 (8), 4920-4922, (2014) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
沢井製薬株式会社 医薬品情報センター
〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30
電話:0120-381-999
FAX:06-7708-8966
製品情報問い合わせ先
沢井製薬株式会社 医薬品情報センター
〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30
電話:0120-381-999
FAX:06-7708-8966

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
沢井製薬株式会社
大阪市淀川区宮原5丁目2-30

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/09/17 版