医療用医薬品 : エピナスチン塩酸塩

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医薬品情報


総称名 エピナスチン塩酸塩
一般名 エピナスチン塩酸塩
欧文一般名 Epinastine Hydrochloride
製剤名 エピナスチン塩酸塩点眼液
薬効分類名 抗アレルギー点眼剤
薬効分類番号 1319
KEGG DRUG
D01713 エピナスチン塩酸塩
KEGG DGROUP
DG01482 ヒスタミンH1受容体拮抗薬
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2025年9月 作成(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
エピナスチン塩酸塩LX点眼液0.1%「トーワ」 EPINASTINE HYDROCHLORIDE LX OPHTHALMIC SOLUTION 0.1%“TOWA” 東和薬品 13197C6Q1068

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

アレルギー性結膜炎

6. 用法及び用量

通常、1回1滴、1日2回(朝、夕)点眼する。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤の使用により効果が認められない場合には、漫然と長期にわたり投与しないよう注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠前及び妊娠初期試験(ラット:経口)では受胎率の低下が、器官形成期試験(ウサギ:経口)では胎児致死作用が、いずれも高用量で認められている1)
9.7 小児等
12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜1%未満頻度不明
結膜充血眼刺激、眼の異物感、羞明、眼瞼炎、眼痛、流涙、点状角膜炎、眼のそう痒感、眼脂

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
患者に対し以下の点に注意するよう指導すること。
・薬液汚染防止のため、点眼のとき、容器の先端が直接目に触れないように注意すること。
・患眼を開瞼して結膜嚢内に点眼し、1〜5分間閉瞼して涙嚢部を圧迫させた後、開瞼すること。
・点眼したときに液が眼瞼皮膚等についた場合には、すぐにふき取ること。
・他の点眼剤を併用する場合には、少なくとも5分以上間隔をあけてから点眼すること。
・本剤に含まれているベンザルコニウム塩化物は、ソフトコンタクトレンズに吸着されることがあるので、ソフトコンタクトレンズを装用している場合は、点眼前にレンズを外し、点眼5分以上経過後に再装用すること。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人男性6例に0.3%エピナスチン塩酸塩点眼液注)を片眼に1回2滴、1日4回7日間反復点眼したときの血漿中エピナスチン濃度は、最終点眼後10分において、すべての被験者で定量下限(1ng/mL)未満であった。2)
注)本剤が承認されている濃度は0.1%である。
16.3 分布
・サルの両眼に0.05%14C-エピナスチン塩酸塩点眼液を単回点眼したとき、主に外眼部組織に高濃度で分布し、その濃度は眼瞼、虹彩、結膜、角膜、強膜、毛様体の順であった。また、メラニン含有組織である虹彩、毛様体及び網脈絡膜中濃度の経時的な減少は、点眼後24時間以内において認められなかった。3)
・ラットの両眼に0.05%及び0.1%エピナスチン塩酸塩点眼液を単回点眼したとき、結膜中エピナスチン濃度はいずれも最初の測定時点である点眼後1時間にCmaxを示した後、時間経過とともに低下した。結膜中エピナスチンのCmaxは用量依存的に増加した。4)
16.4 代謝
・健康成人男性に経口投与した場合の尿及び糞抽出物中の代謝物量を検討したところ、ほとんど未変化体であった(外国人データ)。5)
・エピナスチンの代謝にCYP3A4、CYP2D6及びCYP2B6の関与が示唆された(in vitro)。6)
16.5 排泄
健康成人男性に経口投与したとき、主に尿中及び糞中に排泄され、排泄率はそれぞれ25.4%及び70.4%であった(外国人データ)。7)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験(抗原誘発試験)
無症状期のアレルギー性結膜炎患者(68例)を対象に、片眼に0.05%エピナスチン塩酸塩点眼液(以下、0.05%製剤。34例)、0.1%エピナスチン塩酸塩点眼液(以下、0.1%製剤。34例)、他眼にプラセボ点眼液を無作為に割付け、各眼に各点眼液を1回1滴点眼した。各点眼液点眼4時間後又は8時間後にスギ花粉抗原溶液を点眼し、症状について評価した。その結果、眼そう痒感スコア及び結膜充血スコアにおいて、0.1%製剤のプラセボ点眼液に対する優越性が示された(表1)。休薬期間を設けた後、片眼に前回とは異なるエピナスチン塩酸塩点眼液(0.05%製剤34例、0.1%製剤34例)、他眼にプラセボ点眼液を、1回1滴点眼し、各点眼液点眼4時間後又は8時間後にスギ花粉抗原溶液を点眼し、クロスオーバー比較を行った。その結果、眼そう痒感スコアにおいて、0.1%製剤(1日2回点眼相当)の0.05%製剤(1日4回点眼相当)に対する非劣性が示された(表2)。
0.1%製剤群及び0.05%製剤群のいずれも副作用は認められなかった。8)
表1. プラセボとの比較:抗原誘発を行ったときの眼そう痒感スコア及び結膜充血スコア(被験者間比較、3時点平均スコア)
 0.1%製剤
(34例)
プラセボ
(34例)
群間差
[95%信頼区間]
P値注)
眼そう痒感スコア0.4±0.62.0±0.7−1.6
[−1.87,−1.27]
P<0.001
結膜充血スコア2.5±1.44.2±1.2−1.7
[−2.30,−1.01]
P<0.001
表2. 0.05%製剤との比較:抗原誘発を行ったときの眼そう痒感スコア(被験者内比較、3時点平均スコア)
 0.1%製剤
(1日2回点眼相当)
(68例)
0.05%製剤
(1日4回点眼相当)
(68例)
0.1%製剤-0.05%製剤
群間差
[95%信頼区間]注)
眼そう痒感スコア0.4±0.50.3±0.40.1
[−0.07,0.23]
17.1.2 国内第III相試験(環境試験)
アレルギー性結膜炎患者(121例)を対象に、環境下で0.1%エピナスチン塩酸塩点眼液を1回1滴、1日2回(朝、夕)8週間点眼する非盲検非対照試験(長期投与試験)を実施した結果、眼そう痒感スコア(平均値±標準偏差)はベースライン3.1±0.4(121例)、7日目2.0±1.0(121例)、14日目1.8±1.0(120例)、28日目1.5±0.9(120例)、42日目0.8±0.8(120例)、56日目0.6±0.8(120例)であった。眼瞼結膜充血スコア(平均値±標準偏差)はベースライン1.4±0.7(117例)、7日目1.1±0.8(117例)、14日目1.1±0.7(116例)、28日目0.9±0.7(116例)、42日目0.8±0.7(116例)、56日目0.5±0.6(116例)であった。眼球結膜充血スコア(平均値±標準偏差)はベースライン1.2±0.7(103例)、7日目0.8±0.5(103例)、14日目0.7±0.5(103例)、28日目0.4±0.5(103例)、42日目0.4±0.5(103例)、56日目0.3±0.5(103例)であった。
副作用は、眼充血0.8%(1/121例)であった。9)
17.1.3 臨床効果の類似性を確認する試験(抗原誘発試験)
無症状期のアレルギー性結膜炎患者(130例)を対象に、本剤65例とアレジオンLX点眼液0.1%65例を無作為に割付け、各点眼液を1回1滴点眼した。各点眼液点眼8時間後にスギ花粉抗原溶液を点眼し、眼そう痒感スコアについて評価した。その結果、本剤及びアレジオンLX点眼液0.1%の眼そう痒感スコアの平均値の差の点推定値は±0.5の範囲内であり、両剤の臨床効果の類似性が確認された。
本剤群で副作用は認められなかった。10)
眼そう痒感スコア(被験者間比較、3時点平均スコア)
 エピナスチン塩酸塩
LX点眼液0.1%「トーワ」
(65例)
アレジオン
LX点眼液0.1%
(65例)
平均値の差の
点推定値
眼そう痒感スコア0.7±0.660.6±0.690.1±0.67

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
エピナスチン塩酸塩は、ヒスタミンH1受容体拮抗作用を主作用とし、更に肥満細胞からのメディエーター遊離抑制作用を有する。11)12)13)14)
18.2 抗ヒスタミン作用
・ラット脳−膜標本を用いた受容体結合実験でヒスタミンH1受容体に対する高い親和性を示した(in vitro)。11)
・モルモットでのヒスタミン誘発による結膜の血管透過性亢進を抑制した。12)
18.3 メディエーター遊離抑制作用
ラットのアレルギー性結膜炎モデルで肥満細胞の脱顆粒及びヒスタミンの遊離を抑制した。13)14)
18.4 実験的アレルギー性結膜炎モデルに対する効果
モルモットのアレルギー性結膜炎モデルで結膜の血管透過性亢進を抑制した。15)
18.5 薬理効果の同等性を評価する試験
モルモットヒスタミン誘発結膜炎モデルを用いて、静脈内投与したエバンスブルー色素の結膜への漏出色素量から算出した漏出色素量抑制率を指標とし、本剤とアレジオンLX点眼液0.1%の薬理効果の同等性を90%信頼区間法にて統計解析を行った。その結果、平均値の差の90%信頼区間は同等性の許容域としたアレジオンLX点眼液0.1%群の平均値の±20%である±13.334%の範囲内であったことから、両剤の薬理効果の同等性が確認された。16)
非臨床同等性判定パラメータ(漏出色素量抑制率)
 エピナスチン塩酸塩LX点眼液0.1%「トーワ」
(18例)
アレジオンLX点眼液0.1%
(18例)
平均値の差の90%信頼区間
漏出色素量抑制率(%)68.22±10.1066.67±10.09−4.1394〜7.2416

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. エピナスチン塩酸塩

一般的名称 エピナスチン塩酸塩
一般的名称(欧名) Epinastine Hydrochloride
化学名 (R,S)-3-Amino-9,13b-dihydro-1H-dibenz[c,f]imidazo[1,5-a]azepine hydrochloride
分子式 C16H15N3・HCl
分子量 285.77
物理化学的性状 白色〜微黄色の結晶性の粉末である。
KEGG DRUG D01713

22. 包装

プラスチック点眼容器
5mL×10本

23. 主要文献

  1. Niggeschulze A,et al., 応用薬理, 41, 355-369, (1991)
  2. 臨床第I相試験−連続投与試験−(アレジオン点眼液0.05%:2013年9月20日承認、申請資料概要2.7.6.2)
  3. 薬物動態試験概要−サル単回投与試験−(アレジオン点眼液0.05%:2013年9月20日承認、申請資料概要2.6.4.4)
  4. 眼組織分布試験(アレジオンLX点眼液0.1%:2019年9月20日承認、審査報告書)
  5. 代謝(アレジオンドライシロップ1%:2005年1月19日承認、申請資料概要ヘ.3.1.1、ヘ.3.1.3)
  6. Kishimoto W,et al., Res Commun Mol Pathol Pharmacol., 98, 273-292, (1997) »PubMed
  7. 排泄 単回投与(アレジオンドライシロップ1%:2005年1月19日承認、申請資料概要ヘ.3.1.1、ヘ.3.1.4)
  8. 国内第III相試験(アレジオンLX点眼液0.1%:2019年9月20日承認、審査報告書)
  9. 国内長期投与試験(アレジオンLX点眼液0.1%:2019年9月20日承認、審査報告書)
  10. 社内資料:臨床効果の類似性確認試験(抗原誘発試験)
  11. Fugner A,et al., Arzneimittel-Forschung/Drug Research., 38, 1446-1453, (1988) »PubMed
  12. モルモットのヒスタミン誘発による結膜炎モデルの血管透過性亢進に対する作用(アレジオン点眼液0.05%:2013年9月20日承認、申請資料概要2.6.2.2)
  13. 正常又は受動感作アレルギー性結膜炎モデルラットの結膜肥満細胞の脱顆粒に対する作用(アレジオン点眼液0.05%:2013年9月20日承認、申請資料概要2.6.2.2)
  14. ラット受動感作アレルギー性結膜炎モデルの摘出結膜からのヒスタミン遊離に対する作用(アレジオン点眼液0.05%:2013年9月20日承認、申請資料概要2.6.2.2)
  15. 能動感作アレルギー性結膜炎モデルにおける血管透過性亢進抑制作用(アレジオンLX点眼液0.1%:2019年9月20日承認、審査報告書)
  16. 社内資料:薬理効果の非臨床同等性試験

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
東和薬品株式会社 学術部DIセンター
〒570-0081 大阪府守口市日吉町2丁目5番15号
電話:0120-108-932
FAX:06-7177-7379
製品情報問い合わせ先
東和薬品株式会社 学術部DIセンター
〒570-0081 大阪府守口市日吉町2丁目5番15号
電話:0120-108-932
FAX:06-7177-7379

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
東和薬品株式会社
大阪府門真市新橋町2番11号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/09/17 版