5.1 他の治療にて十分な効果が得られない場合、又は忍容性に問題があると考えられる場合に使用すること。
5.2 血小板数、臨床症状からみて出血リスクが高いと考えられる場合に使用すること。
5.3 診療ガイドライン等の最新の情報を参考に、本剤の投与が適切と判断される患者に使用すること。
通常、成人及び1歳以上の小児には、エルトロンボパグとして初回投与量12.5mgを1日1回、食事の前後2時間を避けて空腹時に経口投与する。なお、血小板数、症状に応じて適宜増減する。また、1日最大投与量は50mgとする。
7.1 本剤は食事とともに服用すると血中濃度が低下することがあるので、食事の前後2時間を避けて空腹時に服用すること。[
16.2.1参照]
7.2 制酸剤、乳製品、多価陽イオン(鉄、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、セレン、亜鉛等)含有製剤等とともに服用すると本剤の血中濃度が低下するので、本剤服用の前4時間及び後2時間はこれらの摂取を避けること。[
10.2、
16.2.1、
16.7.1参照]
7.3 本剤の投与中は、血液検査及び肝機能検査を定期的に実施し、本剤の用量は下記7.3.1-7.3.7を参照の上、調節すること。本剤の投与開始時及び用量調節時には血小板数及び末梢血塗抹標本検査を含む全血球計算を、血小板数が安定する(血小板数50,000/μL以上が少なくとも4週間)までは毎週、安定した後は毎月検査することが望ましい。
7.3.1 本剤は治療上必要最小限の用量で使用すること。
7.3.2 本剤の効果は、通常1〜2週間であらわれるので、効果の確認のためには少なくとも2週間は同一用量を維持すること。ただし、肝障害のある患者では、血小板数が定常状態に達するまでの期間が長くなるため、効果の確認のためには少なくとも3週間は同一用量を維持すること。
7.3.3 血小板数50,000/μLを目安とし、血小板数がそれを下回る場合には増量を考慮すること。
7.3.4 血小板数が50,000/μL〜200,000/μLの場合には、出血のリスクを低下できる治療上必要最小限の用量となるよう、適宜減量も考慮すること。
7.3.5 血小板数が200,000/μL〜400,000/μLの場合には本剤を減量すること。
7.3.6 血小板数が400,000/μLを超えた場合には本剤を休薬すること。この場合血小板数の測定は週に2回実施することが望ましい。休薬後、血小板数が150,000/μLまで減少した場合には休薬前の投与量よりも原則として一段階用量を減量した上で投与を再開すること。
7.3.7 本剤の投与量を調節する場合には、通常、12.5mg/日ずつとする。
7.4 本剤を1日50mg、4週間投与しても血小板数が増加せず、臨床的に問題となる出血傾向の改善が認められない場合には、本剤の投与中止を考慮すること。
8.1 本剤は、血液疾患の治療に十分な経験を持つ医師のもとで使用すること。
8.2 本剤の投与により肝機能障害があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び用量調節時は2週間毎、用量の変更がなければ1ヵ月毎に肝機能検査(AST、ALT、ビリルビン等)を実施すること。[
11.1.1参照]
8.3 血小板数が正常範囲以下であっても血栓塞栓症が認められているため、血小板数にかかわらず血栓塞栓症の発現に注意すること。また、血小板数が正常範囲を超えると、血栓塞栓症のリスクが増加する可能性があるので、観察を十分に行い、血小板数が治療の目標とするレベルを超えた場合には、本剤の減量又は休薬を考慮する等注意すること。[
11.1.2参照]
8.4 本剤の投与中止後2週間以内に血小板数が投与開始前の値まで低下し、出血を生じることがあるので、本剤の投与中止後4週間程度は頻回に血小板数を測定すること。[
11.1.3参照]
8.5 本剤を含むトロンボポエチン受容体作動薬には、骨髄のレチクリン線維の形成及び線維化を進行させる可能性があるので、本剤の投与開始前には末梢血塗抹標本検査を行い、細胞の形態学的異常を確認すること。また、本剤の投与中は、毎月白血球分画を含む全血球計算を検査し、未熟細胞又は異型細胞が観察された場合には、末梢血塗抹標本検査を行い、形態学的異常(涙滴赤血球、有核赤血球、未熟白血球等)の発現を確認し、血球減少の有無も確認すること。これらの異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、骨髄生検(染色による骨髄線維化の評価等)の実施を考慮すること。[
11.1.4参照]
8.6 トロンボポエチン受容体作動薬には、既存の骨髄異形成症候群等の血液悪性腫瘍を進行させる可能性がある。
8.7 げっ歯類を用いた毒性試験において、白内障がみられた。また、臨床試験において白内障が報告されているので、白内障に対する眼科的な検査を定期的に行うことが望ましい。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 アンチトロンビンIII欠損、抗リン脂質抗体症候群等の血栓塞栓症の素因のある患者
9.2 腎機能障害患者
血小板数の推移に加えて安全性についても慎重に観察すること。腎機能障害患者を対象に有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。[
16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
肝機能障害が悪化するおそれがある。また、血中濃度-時間曲線下面積(AUC)が増加する可能性がある。[
16.6.2参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後11日間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[
9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。胎児の血小板への影響は不明である。動物試験(ラット)において母体毒性用量で胚致死、胎児体重の低値及び低頻度の頸肋(変異)の増加が報告されている。[
9.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物試験(ラット)で乳汁中への移行が示唆されている。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児、乳児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら注意して投与すること。一般に生理機能が低下している。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 肝機能障害
AST(3.3%)、ALT(16.7%)、ALP(5.6%)、ビリルビン(25.6%)の増加等があらわれることがある。[
8.2参照]
11.1.2 血栓塞栓症
肺塞栓症(頻度不明)、深部静脈血栓症(頻度不明)、一過性脳虚血発作(1.1%)、心筋梗塞(頻度不明)、虚血性脳卒中(頻度不明)等があらわれることがある。[
8.3参照]
11.1.4 骨髄線維化(頻度不明)[
8.5参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| | 5%未満 | 頻度不明 |
| 消化器 | 悪心、腹痛、嘔吐 | 下痢、口内乾燥 |
| 皮膚 | 発疹、皮膚変色 | 脱毛症 |
| 筋骨格 | 筋肉痛、四肢痛 | 背部痛、筋骨格系胸痛、筋骨格痛 |
| 感染症 | − | 咽頭炎、尿路感染 |
| その他 | 頭痛、疲労、浮動性めまい、血小板数増加、低カリウム血症、白内障 | − |
エルトロンボパグは赤〜褐色であるため、臨床検査に影響を及ぼす可能性がある。本剤を投与された患者において、血清の変色や総ビリルビン及びクレアチニン検査に影響が認められたとの報告がある。
13.1 症状
本剤5,000mgを過量投与した症例では、軽度の発疹、一過性の徐脈、疲労、AST及びALT上昇が報告され、血小板数は929,000/μLまで増加した。
13.2 処置
吸収を抑えるために、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム等の多価陽イオンを含有する製剤の経口投与を考慮すること。また、血小板数の検査を頻回に行い、患者の状態を十分に観察すること。
14.1 薬剤調製時の注意
14.2 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
本剤はヒト及びチンパンジー以外のトロンボポエチン受容体に対し親和性をもたず、ヒト及びチンパンジー以外の動物に対して薬理活性を示さない。このため毒性試験において、薬理活性に付随する影響は評価されていない。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II/III相試験(成人)
既治療の慢性特発性血小板減少性紫斑病患者(血小板数が30,000/μL未満)23例を対象として、二重盲検下でエルトロンボパグ錠12.5又は25mgを1日1回空腹時に、7週間投与した。投与は12.5mgから開始し、投与3週目の血小板数に応じて25mgに用量調節した。その結果、投与6週目におけるエルトロンボパグ錠の有効率(血小板数が50,000/μL以上、400,000/μL以下に増加した患者の割合[95%信頼区間])は60%[32.29,83.66]であり、プラセボ(0%[0.00,36.94])に比べて明らかな血小板数増加効果が認められた。二重盲検期終了後は、エルトロンボパグ錠の投与期間が26週間になるようにエルトロンボパグ錠を継続投与した。用量は血小板数に応じて12.5、25又は50mgに調節した。その結果、投与5週目から26週目までの血小板数(中央値)は50,000/μLを超えて推移し、血小板数の増加に伴い出血症状が改善した
10)11)。
副作用発現頻度はエルトロンボパグ錠投与群で48%(11/23例)であった。主な副作用は、疲労、ALT増加、血小板数増加、低カリウム血症各9%(2/23例)であった。
17.1.2 国内第III相試験(成人)
上記23例中19例が国内長期継続投与試験に移行した。用量は血小板数に応じて12.5〜50mgに調節し、19例中10例では異なる用量の組み合わせや投与間隔の調節も行った。その結果、長期継続投与試験でも血小板数の増加と出血症状の改善が示された。投与期間の中央値は27.5ヵ月(範囲:9.9〜32.3ヵ月)であった(最終報告時)
22)23)。
国内長期継続投与試験に移行した26%(5/19例)に副作用が報告された。主な副作用は、白内障、胸痛各11%(2/19例)であった(最終報告時)。
17.1.3 海外第III相試験(成人)
既治療の慢性特発性血小板減少性紫斑病患者(血小板数が30,000/μL未満)197例を対象として、エルトロンボパグ錠25、50又は75mgを1日1回空腹時に、26週間投与する二重盲検試験を実施した(エルトロンボパグ錠135例、プラセボ62例)。投与は50mgから開始し、血小板数に応じて25、50又は75mgに用量調節した。その結果、エルトロンボパグ錠群のプラセボ群に対する血小板数増加効果のオッズ比[99%信頼区間]は8.2[3.59,18.73]であり、有意に高かった(p<0.001)。また、エルトロンボパグ錠群の血小板数(中央値)は、投与1週目より増加し、投与2〜26週目まで50,000/μLを超えて推移した。エルトロンボパグ錠投与により出血症状(WHO Bleeding Scaleを用いて評価、Grade2〜4)が認められた患者の割合について、エルトロンボパグ錠群のプラセボ群に対するオッズ比[95%信頼区間]は0.35[0.19,0.64]であり、エルトロンボパグ錠群の方が有意に低下した(p<0.001)
24)25)26)。
副作用発現頻度は、エルトロンボパグ錠投与群で37%(50/135例)であった。主な副作用は、頭痛11%(15/135例)、ALT増加4%(6/135例)、悪心4%(6/135例)、白内障4%(5/135例)、下痢3%(4/135例)であった。
(本剤の国内承認用量は12.5〜50mgを1日1回投与である。)