医療用医薬品 : ヒブサーゴ

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医薬品情報


総称名 ヒブサーゴ
一般名 ベピロビルセンナトリウム
欧文一般名 Bepirovirsen Sodium
製剤名 ベピロビルセンナトリウム製剤
薬効分類名 B型肝炎治療用アンチセンス核酸医薬
薬効分類番号 6250
KEGG DRUG
D12615 ベピロビルセンナトリウム
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
医薬品情報の概要は KEGG DRUG ページをご覧ください。

添付文書情報2026年8月 作成(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ヒブサーゴ皮下注150mgシリンジ HIBSAGO Syringes for S.C. injection グラクソ・スミスクライン 62504B0G1021 劇薬, 処方箋医薬品

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 肝硬変(Child-Pugh分類A、B又はC)のある患者[8.49.3.1参照]
2.3 本剤の投与開始前の血小板数が100,000/μL未満の患者[8.5参照]

4. 効能または効果

B型肝炎ウイルス持続感染における機能的治癒

5. 効能または効果に関連する注意

本剤は、本剤投与開始前の6ヵ月間以上にわたって核酸アナログ治療を受けており、本剤投与開始時のHBs抗原量が3000IU/mL以下かつHBV DNA量が90IU/mL(1.95logIU/mL)未満のB型肝炎ウイルス(HBV)持続感染者に使用すること。[17.1.117.1.2参照]

6. 用法及び用量

通常、成人にはベピロビルセンとして1回300mgを投与1週目及び2週目は3〜4日毎に週2回、投与3週目以降は24週目まで週1回、皮下注射する。投与に際しては、必ず核酸アナログと併用すること。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤は投与1週目及び2週目は週2回、投与3週目以降は24週目まで週1回投与する薬剤であり、それぞれ同一曜日に投与することが望ましい。
7.2 投与を忘れた場合は、可能な限り速やかに投与すること。気づいた時点で次回の投与予定日までの期間が3日間未満である場合は投与せず、次回の投与を予定通りに行うこと。
7.3 早期の治療反応(本剤投与開始時のHBs抗原量1000IU/mL以下の患者は12週時点でHBs抗原量1IU/mL未満、本剤投与開始時のHBs抗原量1000IU/mL超の患者は12週時点でHBs抗原量0.05IU/mL未満の達成)が得られない場合は、本剤の投与中止を検討すること。[8.217.1.3参照]
7.4 本剤の24週間投与が完了した後も、核酸アナログの投与を更に24週間継続すること。その後、HBe抗原が陰性であり、HBV DNA量が定量下限未満(20IU/mL未満)かつHBs抗原が不検出(0.05IU/mL未満)、及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値が基準値上限の2倍以下を示す患者では、核酸アナログの投与中止を検討することができる。ただし核酸アナログを投与中止する際は、国内のガイドライン等の最新情報も併せて確認すること。加えて、併用薬剤の電子添文も参照すること。[8.29.1.317.1.117.1.2参照]
7.5 本剤投与中に血液学的検査及び尿検査で異常が認められた場合は、下表を参考に本剤を休薬又は永続的に投与中止すること。なお、24週間を超えて本剤を投与したときの安全性は確認されていない。[8.38.58.711.1.411.1.5参照]
表1 肝機能検査値による本剤の休薬又は投与中止基準
ALT値及び総ビリルビン値対応
ALT値が基準値上限の12倍以上、かつ総ビリルビン値が基準値上限の1.5倍未満の場合休薬する。休薬後、ALT値が基準値上限の10倍未満に回復した場合、150mg週1回で投与を再開する。その後ALT値が低下した場合、300mg週1回の投与に変更する。
ALT値が基準値上限の3倍以上、かつ総ビリルビン値が基準値上限の1.5〜2倍未満の場合休薬する。休薬後、ALT値が基準値上限の10倍未満であり、かつ総ビリルビン値が基準値上限の1.5倍未満に回復した場合、150mg週1回で投与を再開する。その後ALT値が低下傾向にある場合、300mg週1回の投与に変更する。
ALT値が基準値上限の3倍以上かつ総ビリルビン値が基準値上限の2倍以上の場合、又はALT値が基準値上限の10倍以上のまま4週間以上継続する場合永続的に投与中止する。
表2 血小板数による本剤の休薬又は投与中止基準
血小板数対応
50,000/μL以上100,000/μL未満休薬する。100,000/μL以上へ回復した場合、300mg週1回の投与を再開する。
50,000/μL未満永続的に投与中止する。
表3 腎機能検査値による本剤の休薬又は投与中止基準
検査値基準対応
推算糸球体濾過量(eGFR)値本剤投与前の値から30%超の低下が2回以上連続して確認される休薬する。投与開始前の15%以内までeGFR値が上昇した場合、300mg週1回の投与を再開する。
尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)500mg/g以上2000mg/g未満休薬する。UACRが500mg/g未満に回復した場合、又は別の原因が特定された場合は、300mg週1回の投与を再開する。
2000mg/g以上休薬する。別の原因が特定された場合、300mg週1回の投与を再開する。特定されなかった場合は、永続的に投与中止する。
7.6 本剤とインターフェロンとの併用に対する有効性及び安全性のデータはない。[10.2参照]
7.7 本剤単独投与時の機能的治癒の達成を評価した臨床試験は実施していない。併用する核酸アナログの用法及び用量、使用上の注意等は、併用する核酸アナログの電子添文に従うこと。[17.1.117.1.2参照]

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤による治療は、HBV持続感染に対する十分な知識と治療経験を有する医師のもとで行うこと。
8.2 HBs抗原量の経時的変化を踏まえて本剤の治療反応を適切に評価するため、本剤投与中及び本剤投与終了後も定期的にHBs抗原定量検査を行うこと。[7.37.4参照]
8.3 本剤の投与によりALT値が上昇することがあるので、生化学的検査(ALT及び総ビリルビン)を本剤の投与開始前に行い、投与開始後12週間までは毎週、投与開始後24週間までは2週間に1回、その後は投与開始後28、36及び48週目に定期的に行うこと。肝機能検査値の異常により本剤の用量を調節した場合、及びALT値が基準値上限の10〜12倍未満かつ総ビリルビン値が基準値上限の1.5倍未満の場合は、ALT値の低下傾向が認められるまで生化学的検査を週2回行うこと。ALT値の上昇はHBs抗原量の低下と関連する可能性があるため、ALT値の上昇の原因を特定する必要がある場合にはHBs抗原定量検査の実施を検討すること。[7.5参照]
8.4 本剤の投与開始前の血小板数が正常下限値未満の場合は、特に注意して肝硬変がないことを確認すること。[2.2参照]
8.5 本剤の投与により血小板減少があらわれることがあるので、血小板数を本剤の投与開始前に測定し、投与開始後24週間までは2週間に1回、その後は投与開始後28週目に定期的に測定し、患者の状態を観察すること。血小板数に基づいて、表1を参考に適切な処置を行うこと。血小板減少症の徴候や症状があらわれた場合は、本剤を休薬し、速やかに血小板数を測定すること。[2.37.58.69.1.210.211.1.5参照]
表1 血小板数に基づく検査頻度
血小板数処置
100,000/μL以上かつ連続する測定で30%以上減少した場合次回の投与前に血小板数を測定すること。
75,000/μL以上140,000/μL未満血小板数を毎週測定すること。
25,000/μL以上75,000/μL未満3回連続して75,000/μL以上へ回復するまで血小板数を2〜3日に1回測定すること。
50,000/μL未満の場合は、コルチコステロイドを投与するなどの適切な処置を行うこと。
25,000/μL未満2回連続して25,000/μL以上へ回復するまで血小板数を毎日測定すること。コルチコステロイドを投与するなどの適切な処置を行うこと。
8.6 異常な出血の徴候や脳出血が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。[8.510.2参照]
8.7 海外で他のアンチセンスオリゴヌクレオチド製剤の投与後に腎毒性が報告されている。本剤の投与によりeGFR値が低下することがあるので、投与開始前に生化学的検査(eGFR及び尿中アルブミン/クレアチニン比)を行うこと。本剤の投与開始後24週間まではeGFR値の測定を2週間に1回、尿検査(尿蛋白)を4週間に1回定期的に行い、その後はeGFR値の測定及び尿検査を投与開始後28及び36週目に行うこと。尿検査で異常が認められた場合は、尿中アルブミン/クレアチニン比を測定すること。糸球体腎炎が疑われる又は確定診断された場合は、免疫抑制療法の早期開始を考慮すること。生化学的検査値の異常により本剤の用量を調節した場合は、eGFR値及び尿中アルブミン/クレアチニン比が安定化するか投与前のレベルに回復するまで生化学的検査を毎週行うこと。[7.59.2.110.2参照]
8.8 がん原性試験(マウス)において、本剤に関連すると考えられる悪性腫瘍が認められている。悪性腫瘍の発現に注意すること。[15.2参照]
8.9 本剤による治療により他者へのHBV感染が避けられることは証明されていないことから、他者への感染を防ぐために必要な措置を講じるよう患者を指導すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 炎症及び免疫関連反応があらわれやすい以下の患者
・臓器移植を受けた患者
・自己免疫性肝炎患者
・血管炎の既往歴又は血管炎に関連する疾患(全身性エリテマトーデス、クリオグロブリン血症、関節リウマチ等)のある患者
・HBVへの免疫応答に関連する肝外合併症(ネフローゼ症候群、糸球体腎炎等)が疑われる患者又はその既往歴のある患者
投与に際してはリスクとベネフィットを十分考慮すること。本剤の投与により炎症及び免疫関連反応のリスクが高まるおそれがある。[11.1.1参照]
9.1.2 出血のリスクのある以下の患者
・高齢者
・出血傾向又は凝固障害のある患者
・出血性素因による重篤な出血の既往歴のある患者
・抗血小板薬、抗凝固薬又は血小板数を減少させる薬剤を投与中の患者
投与に際してはリスクとベネフィットを十分考慮すること。本剤の投与により出血リスクが高まるおそれがある。[8.59.810.2参照]
9.1.3 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)/HBV重複感染患者
HIV/HBV重複感染患者を対象とした臨床試験成績は得られておらず、当該患者は免疫が抑制されている可能性があること等から、当該患者への投与に当たってはHIV感染症の担当医と相談し、投与の適否を検討すること。また、HIV/HBV重複感染患者に対して継続している治療の変更等の検討に当たっては、HIV感染症の担当医と相談すること。[7.4参照]
9.1.4 HBV/D型肝炎ウイルス重複感染患者
投与は推奨しない。ALT値が上昇するリスクが増大する可能性がある。臨床試験ではD型肝炎ウイルスに重複感染している患者は除外されていた。
9.1.5 HBV/C型肝炎ウイルス重複感染患者
投与に際してはリスクとベネフィットを十分考慮すること。HBV単独感染患者と比較してALT値が高い可能性がある。臨床試験ではC型肝炎ウイルスに重複感染している患者は除外されていた。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 末期腎不全患者[eGFR 15未満(mL/min/1.73m2)]を含む中等度以上の腎機能障害[eGFR 60未満(mL/min/1.73m2)]のある患者
投与に際してはリスクとベネフィットを十分考慮すること。本剤投与により腎機能が低下するおそれがある。中等度以上の腎機能障害患者は臨床試験から除外されていた。[8.710.2参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝硬変(Child-Pugh分類A、B又はC)のある患者
投与しないこと。本剤投与によりALT値の上昇が認められており、非代償性肝硬変のリスクが増加する可能性がある。[2.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(マウス及びウサギ)において胎盤への移行が認められている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト乳汁への移行性に関するデータはないが、動物実験(マウス)で乳汁中への移行が認められている。
9.7 小児等
18歳未満の患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
9.1.2参照]

10. 相互作用

10.2 併用注意
抗凝固剤、抗血小板剤及び血小板減少作用のある薬剤
アスピリン、クロピドグレル硫酸塩、ワルファリン、アピキサバン、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、ヘパリン等
8.58.69.1.2参照]
出血があらわれるおそれがあるため、併用する際は患者の状態を十分に観察すること。本剤により血小板減少があらわれることがあり、併用により出血のリスクを増加させる可能性がある。
腎機能低下作用のある薬剤
アスピリン、非ステロイド性抗炎症薬、利尿剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体拮抗剤、バンコマイシン塩酸塩、アミノグリコシド系薬剤、βラクタム系薬剤、フルオロキノロン系薬剤、アシクロビル、ガンシクロビル、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩等
8.79.2.1参照]
腎機能障害を起こすおそれがあるため、腎機能を十分に観察すること。本剤によりeGFR値の低下があらわれることがあり、併用により腎機能障害のリスクを増加させる可能性がある。
インターフェロン
7.6参照]
ALT値の上昇、血小板減少及び免疫関連反応があらわれるおそれがあるため、併用は避けることが望ましい。本剤によりALT値の上昇、血小板減少又は免疫関連反応があらわれることがあり、併用によりこれらのリスクを増加させる可能性がある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 血管炎(0.2%)、皮膚血管炎(0.2%)
血管炎/皮膚血管炎の徴候又は症状があらわれ、他の要因が特定されない場合は本剤の投与を中止すること。[9.1.1参照]
11.1.2 IgA腎症(0.1%)
血尿、腎機能低下等のIgA腎症が疑われる異常があらわれた場合は、本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.3 自己免疫性溶血性貧血(0.1%)
倦怠感、息切れ、動悸、黄疸、褐色尿等の自己免疫性溶血性貧血が疑われる症状があらわれた場合は、血液検査等を実施し、本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.4 肝障害
アラニンアミノトランスフェラーゼ増加(21.6%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加(14.8%)があらわれることがある。本剤の投与開始後24週間までに基準値上限の3倍以上のALT値の上昇が認められており、総ビリルビン値の上昇を伴う例も報告されている。肝機能検査値の著しい悪化が認められた場合には、本剤の休薬又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[7.5参照]
11.1.5 血小板減少症
血小板減少症(7.7%)及び血小板数減少(14.5%)が報告されている。本剤の投与開始後24週目までに血小板数が100,000/μL未満に減少した例が報告されている。血小板数が100,000/μL未満に減少した場合は本剤を休薬する、また、50,000/μL未満に減少した場合は本剤の投与を中止し、コルチコステロイドを投与するなど適切な処置を行うこと。[7.58.5参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 10%以上1〜10%未満1%未満
血液およびリンパ系障害 白血球数減少、好中球数減少好中球減少症、白血球減少症
免疫系障害  過敏症
胃腸障害 悪心嘔吐
皮膚および皮下組織障害 そう痒症、発疹 
筋骨格系および結合組織障害 筋肉痛 
腎および尿路障害 糸球体濾過率減少 
一般・全身障害および投与部位の状態注射部位反応(54.0%)、発熱注射部位変色、疲労、無力症、悪寒、倦怠感 

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与前の注意
14.1.1 使用するシリンジを投与30分以上前に冷蔵庫から取り出し、暗所で室温に戻してから投与すること。
14.1.2 使用前に不溶性異物や変色がないことを目視により確認すること。濁り、変色又は不溶性異物が認められる場合には使用しないこと。
14.1.3 外箱から取り出したシリンジは、6時間以内に投与すること。6時間以内に投与しなかった場合は廃棄すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 本剤は皮下にのみ投与すること。
14.2.2 1回300mgを投与する場合、150mgシリンジ2本を1本ずつ速やかに皮下投与すること。
14.2.3 注射部位は腹部、大腿部又は上腕部とし、本剤2本はそれぞれ別の部位に投与すること。同じ部位に投与する場合は各注射部位を5cm以上離すこと。
14.2.4 注射部位反応があらわれることがあるので、投与毎に注射部位を変えること。また、皮膚が敏感な部位、内出血、発赤又は硬結のある部位には注射しないこと。
14.2.5 他の薬剤と混合しないこと。
14.2.6 本剤は1回で全量を使用する製剤であり、再使用しないこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
本剤の国際共同第III相試験(202009試験及び219288試験)において、特定の集団(65歳以上、HBe抗原陽性、HBs抗原量>1000IU/mLかつ≦3000IU/mL、又はHBVジェノタイプCの集団)では、全体集団と比較して全治療中止後24週間にわたる機能的治癒の達成割合が低い傾向が認められた。
15.2 非臨床試験に基づく情報
マウスにベピロビルセン3、10、30mg/kg/回を104週間(1、4、8、11日、その後、15日から週1回)皮下投与したがん原性試験において、3mg/kg/回以上(体表面積換算で臨床用量の0.05倍以上)で血管肉腫/血管腫、10mg/kg/回以上(体表面積換算で臨床用量の0.16倍以上)で肝細胞癌/肝細胞腺腫及び投与部位における線維肉腫の発現頻度の増加が認められている。[8.8参照]

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
日本人HBV持続感染者(各6例)に本剤150mg注)又は300mgを週1回皮下投与(投与4日目及び11日目には同量を負荷投与)した時、定常状態における血漿中ベピロビルセン濃度推移は図1、薬物動態パラメータは表1のとおりであった。なお、本剤の週1回皮下投与に加え、4日目及び11日目に負荷投与した時、血漿中ベピロビルセン濃度は約2週目までに定常状態に達した。
図1 日本人HBV持続感染者に本剤150mg又は300mgを週1回皮下投与した時の定常状態の血漿中ベピロビルセン濃度推移
(平均値±標準偏差)
定量下限:1ng/mL
表1 日本人HBV持続感染者に本剤150mg又は300mgを週1回皮下投与した時の定常状態の薬物動態パラメータ
用量例数Cmax(μg/mL)AUC0-τ(μg・hr/mL)tmax(hr)
150mg68.17±1.2979.6±12.33.12[3.00,4.02]
300mg616.3±6.21155±42.53.01[2.00,3.80]
16.3 分布
ベピロビルセンのヒト血漿タンパク結合率は、5μg/mLで99.0%、150μg/mLで94.9%であった(in vitro)。
16.4 代謝
本剤は組織中でエンドヌクレアーゼ及びエキソヌクレアーゼによる加水分解を介して代謝される。
16.5 排泄
本剤は組織中で代謝され短鎖化代謝物となり、腎排泄を介して消失すると想定される。
HBV持続感染者(日本人を含む)における本剤300mg皮下投与後の血漿中ベピロビルセンの消失半減期(ノンコンパートメント解析)は約29日であった。
本剤300mg皮下投与後24時間以内の未変化体の尿中排泄率は、投与量の2%未満であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能低下者
母集団薬物動態解析の結果、軽度の腎機能低下者[eGFR:60以上90未満(mL/min/1.73m2)]でのベピロビルセンの薬物動態は、正常な腎機能の患者[eGFR:90以上(mL/min/1.73m2)]と比べて特段の差は認められなかった。
16.6.2 肝機能低下者
HBV感染のない中等度の肝機能低下者(Child-Pugh分類B)に本剤300mgを単回皮下投与した時のCmax及びAUC0-infは、肝機能正常者に比べて、約33%及び31%低値であった(外国人データ)。軽度(Child-Pugh分類A)及び重度(Child-Pugh分類C)の肝機能低下者を対象とした薬物動態試験は実施していない。
16.7 薬物相互作用
核酸アナログの併用により本剤の薬物動態は影響を受けず、本剤は併用により核酸アナログの薬物動態に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
注)本剤の承認された用法及び用量は、「通常、成人にはベピロビルセンとして1回300mgを投与1週目及び2週目は3〜4日毎に週2回、投与3週目以降は24週目まで週1回、皮下注射する。投与に際しては、必ず核酸アナログと併用すること。」である。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第III相試験(202009試験)(jRCT2071220078)
18歳以上の肝硬変のないHBV持続感染者(6ヵ月以上安定した核酸アナログ治療を受けており、HBs抗原量が>100かつ≦3000IU/mL及びHBV DNA量<90IU/mL)を対象に、核酸アナログと併用で本剤300mg又はプラセボを週1回24週間投与(4日目及び11日目に負荷投与)するプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験(日本人患者72例を含む981例)を実施した。適格な患者は、48週時点で核酸アナログを投与中止した注1)。主要評価項目であるベースラインHBs抗原量≦3000IU/mL集団における72週時の機能的治癒(FC)注2)の達成割合は、本剤群19.5%(127/650例)及びプラセボ群0%(0/328例)であり、本剤群はプラセボ群と比較して、FC達成割合について統計的な有意差が認められた(p<0.001、有意水準両側5%、正確CMH検定)。副次評価項目であるベースラインHBs抗原量≦1000IU/mL集団での72週時のFC達成割合は、本剤群24.6%(105/426例)及びプラセボ群0%(0/214例)、ベースラインHBs抗原量>1000IU/mLかつ≦3000IU/mL集団での72週時のFC達成割合は、本剤群9.8%(22/224例)及びプラセボ群0%(0/114例)であった。[5.、7.47.7参照]
副作用は本剤群で79%(514/652例)に認められた。主な副作用は、注射部位紅斑30%(193/652例)、注射部位疼痛20%(128/652例)、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加22%(146/652例)であった。
17.1.2 国際共同第III相試験(219288試験)(jRCT2061220074)
18歳以上の肝硬変のないHBV持続感染者(6ヵ月以上安定した核酸アナログ治療を受けており、HBs抗原量が>100かつ≦3000IU/mL及びHBV DNA量<90IU/mL)を対象に、核酸アナログと併用で本剤300mg又はプラセボを週1回24週間投与(4日目及び11日目に負荷投与)するプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験(日本人患者77例を含む857例)を実施した。適格な患者は、48週時点で核酸アナログを投与中止した注1)。主要評価項目であるベースラインHBs抗原量≦3000IU/mL集団における72週時のFC注2)の達成割合は、本剤群18.6%(106/570例)及びプラセボ群0%(0/286例)であり、本剤群はプラセボ群と比較して、FC達成割合について統計的な有意差が認められた(p<0.001、有意水準両側5%、正確CMH検定)。副次評価項目であるベースラインHBs抗原量≦1000IU/mL集団での72週時のFC達成割合は、本剤群27.8%(95/342例)及びプラセボ群0%(0/179例)、ベースラインHBs抗原量>1000IU/mLかつ≦3000IU/mL集団での72週時のFC達成割合は、本剤群4.8%(11/228例)及びプラセボ群0%(0/107例)であった。[5.、7.47.7参照]
副作用は本剤群で82%(470/571例)に認められた。主な副作用は、注射部位紅斑33%(187/571例)、注射部位疼痛26%(146/571例)、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加21%(118/571例)であった。
注1)核酸アナログ投与中止基準は以下のとおりである。
・36週で肝硬変が認められていない
・HBs抗原の不検出かつHBV DNA量<定量下限が24週から46週まで持続している
・46週でALT値が基準値上限の2倍以下かつHBe抗原陰性
・48週まで安定した核酸アナログ治療が継続されている
注2)FCの定義は、すべてのHBV治療中止後、レスキュー薬なしで、HBs抗体の有無を問わずHBs抗原の不検出(<0.05IU/mL)及びHBV DNA量の定量下限未満(<20IU/mL)が24週間以上持続した状態とした。
17.1.3 国際共同第III相試験の併合解析(202009試験及び219288試験)
早期の治療反応を特定するため、202009試験及び219288試験の併合解析を実施した。ベースラインHBs抗原量≦1000IU/mLの集団では本剤投与開始後12週のHBs抗原量<1IU/mL、ベースラインHBs抗原量>1000IU/mLの集団では本剤投与開始後12週のHBs抗原量<0.05IU/mLを達成した場合、72週時点のFC達成割合は、それぞれ42%(179/426例)及び20.8%(22/106例)、達成しなかった場合、72週時点のFC達成割合は、それぞれ2.5%(7/280例)及び1.4%(4/287例)であった。[7.3参照]

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ベピロビルセンは、HBVが産生するプレゲノムRNAを含むすべてのmRNAに共通して存在する配列(20塩基)に相補的な2'-O-(2-メトキシエチル)修飾ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、抗ウイルス作用を有する。ベピロビルセンが標的mRNAに結合すると生体内のRNase Hによって標的mRNAの切断がおこり、HBV DNA及びHBs抗原等のウイルス蛋白質量が減少する。
18.2 複製阻害作用
18.2.1 In vitro試験
(1)HBVゲノムを組み込んだヒト肝癌由来細胞株HepG2.2.15をベピロビルセンで処理することにより、細胞内HBV mRNAの発現量は濃度依存的に減少した(EC50は122nM)。
(2)HBVを感染させた初代ヒト肝細胞をベピロビルセンで処理すると、培養上清中に分泌されるHBs抗原及びHBe抗原量が濃度依存的に減少した(EC50はそれぞれ47.1及び29.8nM)。
(3)HBVゲノムを組み込んだHepG2.2.15細胞株において、ベピロビルセンをエンテカビル又はテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩と併用すると、HBV DNA量に対する減少作用が増強した。
18.2.2 In vivo試験
HBVトランスジェニックマウスにベピロビルセンを皮下投与することにより、肝臓中HBV mRNA及びDNA量、並びに血清中ウイルスマーカー(HBV DNA、HBs抗原及びHBe抗原量)が減少した。
18.3 耐性
18.3.1 非臨床試験成績
臨床試験で本剤結合部位に同定された変異(G1588A、C1589A、T1590A、T1590G、C1595T又はC1600T)を導入したHBV感染初代ヒト肝細胞におけるベピロビルセンのEC50(HBs抗原量減少作用)は、野生型HBV感染時の1.2〜4.1倍であった。これらの変異体でみられたベピロビルセンに対する感受性低下の臨床的な影響は不明である。
18.3.2 臨床試験成績
202009試験及び219288試験の本剤投与患者における本剤投与後に発現した本剤結合部位の塩基多型の頻度は表1のとおりであった。これら塩基多型が臨床的有効性に及ぼす影響は不明である。
表1 本剤投与後に発現した本剤結合部位の塩基多型を有する患者割合
 本剤投与後に発現した塩基多型注1)割合%(n/N)注2)
HBs抗原量3000IU/mL以下
202009試験C1589A、A1593C5%(2/42)
219288試験T1586G、A1593C6%(2/31)
HBs抗原量1000IU/mL以下
202009試験C1589A5%(1/22)
219288試験検出無し0%(0/10)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ベピロビルセンナトリウム

一般的名称 ベピロビルセンナトリウム
一般的名称(欧名) Bepirovirsen Sodium
分子式 C230H290N88Na19O115P19S19
分子量 7761.83
物理化学的性状 白色〜黄色の固体
理化学知見その他 ベピロビルセンナトリウムは、B型肝炎ウイルス(HBV)によって産生されるプレゲノムRNAを含むすべてのmRNAに共通して存在する領域に相補的な配列を有するRNA分解型(ギャップマー型)アンチセンスオリゴヌクレオチドであり、部分的に化学修飾された20個のヌクレオチド残基からなる。
KEGG DRUG D12615

20. 取扱い上の注意

20.1 遮光を保つため外箱に入れた状態で保管すること。凍結を避けて冷蔵庫(2〜8℃)で保管すること。
20.2 本剤を振とうしないこと。

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

1mL[1シリンジ]×2

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
グラクソ・スミスクライン株式会社 メディカル・インフォメーション
東京都港区赤坂1-8-1
電話:0120-561-007 (9:00〜17:45/土日祝日及び当社休業日を除く)
URL:https://jp.gsk.com
製品情報問い合わせ先
グラクソ・スミスクライン株式会社 メディカル・インフォメーション
東京都港区赤坂1-8-1
電話:0120-561-007 (9:00〜17:45/土日祝日及び当社休業日を除く)
URL:https://jp.gsk.com

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
グラクソ・スミスクライン株式会社
東京都港区赤坂1-8-1

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2026/09/16 版