医療用医薬品 : ボトックス

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3. 組成・性状


3.1 組成

ボトックス注用50単位

販売名ボトックス注用50単位
有効成分注1) 1バイアル中
A型ボツリヌス毒素50単位注2)
添加剤塩化ナトリウム 0.45mg
人血清アルブミン 0.25mg
注1)A型ボツリヌス菌によって産生される。製造工程において、ウシ(心臓、血液、乳、骨格筋、膵臓)、ヒツジ(血液)及びブタ(血液、膵臓、胃、皮膚)由来成分を使用している。注2)1単位はマウス腹腔内投与LD50値

ボトックス注用100単位

販売名ボトックス注用100単位
有効成分注1) 1バイアル中
A型ボツリヌス毒素100単位注2)
添加剤塩化ナトリウム 0.9mg
人血清アルブミン 0.5mg
注1)A型ボツリヌス菌によって産生される。製造工程において、ウシ(心臓、血液、乳、骨格筋、膵臓)、ヒツジ(血液)及びブタ(血液、膵臓、胃、皮膚)由来成分を使用している。注2)1単位はマウス腹腔内投与LD50値

3.2 製剤の性状

ボトックス注用50単位

販売名ボトックス注用50単位
剤形・性状白色の乾燥注射剤で、生理食塩液に溶解したとき、無色〜微黄色澄明の液
pH本剤を生理食塩液1.4mLで溶解した場合、生理食塩液のpH±0.5以内
浸透圧比(生理食塩液に対する比)本剤を生理食塩液2.0mLで溶解した場合、0.95〜1.10

【色】
白色
無色〜微黄色澄明
【剤形】
乾燥製剤/散剤/注射

ボトックス注用100単位

販売名ボトックス注用100単位
剤形・性状白色の乾燥注射剤で、生理食塩液に溶解したとき、無色〜微黄色澄明の液
pH本剤を生理食塩液2.8mLで溶解した場合、生理食塩液のpH±0.5以内
浸透圧比(生理食塩液に対する比)本剤を生理食塩液4.0mLで溶解した場合、0.95〜1.10

【色】
白色
無色〜微黄色澄明
【剤形】
乾燥製剤/散剤/注射


規格単位毎の明細 (ボトックス注用50単位)

販売名和名 : ボトックス注用50単位

規格単位 : 50単位1瓶

欧文商標名 : BOTOX for injection

規制区分

規制区分名称 : 生物由来製品

規制区分

規制区分名称 : 毒薬

規制区分

規制区分名称 : 処方箋医薬品注)

規制区分備考 : 注)注意−医師等の処方箋により使用すること

日本標準商品分類番号 : 871229

日本標準商品分類番号 : 87259

承認番号 : 22100AMX00488

販売開始年月 : 2009年2月

貯法及び期限等

貯法 : 5℃以下で保存

有効期間 : 3年

3.組成・性状

3.1 組成

ボトックス注用50単位

販売名ボトックス注用50単位
有効成分注1) 1バイアル中
A型ボツリヌス毒素50単位注2)
添加剤塩化ナトリウム 0.45mg
人血清アルブミン 0.25mg
注1)A型ボツリヌス菌によって産生される。製造工程において、ウシ(心臓、血液、乳、骨格筋、膵臓)、ヒツジ(血液)及びブタ(血液、膵臓、胃、皮膚)由来成分を使用している。注2)1単位はマウス腹腔内投与LD50値

添加剤 : 塩化ナトリウム

添加剤 : 人血清アルブミン

3.2 製剤の性状

ボトックス注用50単位

販売名ボトックス注用50単位
剤形・性状白色の乾燥注射剤で、生理食塩液に溶解したとき、無色〜微黄色澄明の液
pH本剤を生理食塩液1.4mLで溶解した場合、生理食塩液のpH±0.5以内
浸透圧比(生理食塩液に対する比)本剤を生理食塩液2.0mLで溶解した場合、0.95〜1.10

【色】
白色
無色〜微黄色澄明
【剤形】
乾燥製剤/散剤/注射

規格単位毎の効能効果及び用法用量

効能効果対用法用量

4.効能又は効果

○眼瞼痙攣、○片側顔面痙攣、○痙性斜頸、○上肢痙縮、○下肢痙縮、○2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、○重度の原発性腋窩多汗症、○斜視、○痙攣性発声障害、○既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁、○既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁

6.用法及び用量

<眼瞼痙攣>

通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として初回1.25〜2.5単位/部位を、1眼当たり眼輪筋6部位の筋肉内に注射する。また、眼輪筋切除術施行後の患者に投与する場合には、筋電計を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。効果は通常3〜4ヵ月間持続するが、症状再発の場合には再投与する。ただし、投与間隔は8週以上とすること。また、再投与は初回投与量の2倍までの用量を用いることができるが、本剤の薬理作用である筋麻痺作用が予想以上に強く発現した結果と見られる閉瞼不全、眼瞼下垂等の副作用が現れた場合には、再投与時の用量を適宜減量すること。
また、1ヵ月間に累積で45単位を超える投与は避けること。

<注射部位>

<片側顔面痙攣>

通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として以下の用量を痙攣筋※に筋肉内注射する。痙攣筋が複数ある場合は、分割して投与する。

・初回投与の場合には合計で10単位を投与する。

・初回投与後4週間観察し、効果が不十分な場合には、さらに追加で合計20単位を上限として投与することができる。

・症状再発の場合には、合計で30単位を上限として再投与することができる。ただし、投与間隔は8週以上とすること。

※痙攣筋:眼輪筋、皺眉筋、前頭筋、口輪筋、大頬骨筋、小頬骨筋、笑筋、広頸筋、オトガイ筋等

<痙性斜頸>

通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として以下の用量を緊張筋※に筋肉内注射する。緊張筋が複数ある場合は、分割して投与する。

・初回投与の場合には合計で30〜60単位を投与する。

・初回投与後4週間観察し、効果が不十分な場合には、さらに追加で合計180単位を上限として投与することができる。

・症状再発の場合には、合計で240単位を上限として再投与することができる。ただし、投与間隔は8週以上とすること。

※緊張筋:胸鎖乳突筋、僧帽筋、板状筋、斜角筋、僧帽筋前縁、肩甲挙筋、傍脊柱筋、広頸筋等

<上肢痙縮>

通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋※に合計400単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は400単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。

※緊張筋:上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋、橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、深指屈筋、浅指屈筋、長母指屈筋、母指内転筋等

<下肢痙縮>

通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋※に合計300単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は300単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。

※緊張筋:腓腹筋(内側頭、外側頭)、ヒラメ筋、後脛骨筋等

<2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足>

通常、2歳以上の小児にはA型ボツリヌス毒素として4単位/kgを、罹患している腓腹筋の内側頭・外側頭の各々2ヵ所に筋肉内注射する。両下肢に投与する場合は、4単位/kgを両肢に分割して投与する。初回投与以後、効果不十分な場合にはヒラメ筋、後脛骨筋等へ投与することができる。なお、症状に応じて適宜増減することができる。ただし、1回の総投与量は200単位を超えないこととし、再投与は前回の効果が消失した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。

<重度の原発性腋窩多汗症>

通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として片腋窩あたり50単位を、複数の部位(10〜15ヵ所)に1〜2cm間隔で皮内投与する。再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は16週以上とすること。

<斜視>

通常、成人及び12歳以上の小児にはA型ボツリヌス毒素として以下の用量を外眼筋に筋肉内注射する。

・初回投与

(1)上下斜視の場合

上直筋又は下直筋に1.25〜2.5単位

(2)20プリズムジオプトリー未満の水平斜視の場合

内直筋又は外直筋に1.25〜2.5単位

(3)20〜50プリズムジオプトリーの水平斜視の場合

内直筋又は外直筋に2.5〜5.0単位

(4)1ヵ月以上持続する外転神経麻痺の場合

内直筋に1.25〜2.5単位

・初回投与後4週間観察し、効果が不十分な場合には、さらに追加で初回投与量の2倍までの用量を上限として投与することができる。

・前回の効果が減弱した場合には、過去に投与された1回投与量の2倍までの用量を上限として再投与することができる。ただし、投与間隔は12週以上とすること。

・1回の投与における1つの筋あたりの投与量は10単位を超えないこと。

<痙攣性発声障害>

通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として以下の用量を内喉頭筋に筋肉内注射する。

・内転型痙攣性発声障害

初回投与

片側の甲状披裂筋に2.5単位を投与する。

再投与

前回の効果が減弱した場合には、片側又は両側の甲状披裂筋に再投与することができる。ただし、投与間隔は12週以上とすること。なお、症状に応じて投与量を適宜増減することができるが、片側あたり2.5単位を超えないこと。

・外転型痙攣性発声障害

初回投与

片側の後輪状披裂筋に5.0単位を投与する。

再投与

前回の効果が減弱した場合には、片側の後輪状披裂筋に再投与することができる。ただし、投与間隔は12週以上とすること。なお、症状に応じて投与量を適宜増減することができるが、5.0単位を超えないこと。

<既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁>

通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として100単位を排尿筋に分割して注射する。再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。

<既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁>

通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として200単位を排尿筋に分割して注射する。再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。

5.効能又は効果に関連する注意

<上肢痙縮、下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足>

5.1 本剤は理学療法、作業療法等の標準的治療の代替とはならないため、これらの治療と併用して使用すること。

5.2 本剤は非可逆的拘縮状態となった関節の可動域の改善に対しては効果を有しない。

5.3 痙縮の原因となる疾患の診断及び治療を併せて行うこと。

<重度の原発性腋窩多汗症、痙攣性発声障害>

5.4 診断及び本剤による治療は、国内外のガイドライン1)2)等の情報を参考にして慎重に行うこと。

<斜視>

5.5 陳旧性の麻痺性斜視の改善に対しては効果を有しない(外科的手術の施行時に拮抗筋の拘縮を緩和する場合を除く)。

5.6 50プリズムジオプトリーを超える斜視、拘束型斜視、外直筋の弱化を伴うデュアン症候群、過去の後転術による過矯正から生じた二次性斜視に対する安全性及び有効性は確立されていないことから、これらの患者に本剤を使用する場合には、その必要性を慎重に検討すること。

<過活動膀胱>

5.7 以下に示す患者に本剤の投与を考慮すること。

・抗コリン薬又はβ3アドレナリン受容体作動薬による薬物療法及び行動療法を行っても、効果不十分な患者

・抗コリン薬又はβ3アドレナリン受容体作動薬の投与が副作用の発現により困難な患者

・抗コリン薬又はβ3アドレナリン受容体作動薬の投与が禁忌とされる患者

5.8 下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者では、下部尿路閉塞(前立腺の肥大等)の消失等、改善が十分に得られていることが確認されてもなお、過活動膀胱の症状が改善しない場合に、本剤の投与を考慮すること。

<神経因性膀胱>

5.9 以下に示す患者に本剤の投与を考慮すること。

・抗コリン薬による薬物療法及び行動療法を行っても、効果不十分な患者

・抗コリン薬の投与が副作用の発現により困難な患者

・抗コリン薬の投与が禁忌とされる患者

5.10 下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者では、下部尿路閉塞疾患に対する治療を優先すること。また、投与前の残尿量にも注意し、本剤投与の可否を慎重に判断すること。

7.用法及び用量に関連する注意

<効能共通>

7.1 複数の適応に本剤を同時投与した場合の安全性は確立されていないため、複数の適応に本剤を同時に投与しないことが望ましい。やむを得ず同時に投与する場合には、それぞれの効能又は効果で規定されている投与量の上限及び投与間隔を厳守するとともに、12週間のA型ボツリヌス毒素の累積投与量として400単位を上限とすること。海外臨床試験において、成人を対象に上肢痙縮及び下肢痙縮に合計400単位を同時に投与した経験はあるが、国内臨床試験では、複数の適応に本剤を同時投与した経験はない。

7.2 本剤の力価(単位)は、A型ボツリヌス毒素製剤特有のもので、B型ボツリヌス毒素製剤とは異なること、また換算もできないことに留意し、必ず本剤の投与量を慎重に確認してから投与すること。

7.3 本剤と他のボツリヌス毒素製剤の同時投与は原則として避けること。本剤と他のボツリヌス毒素製剤を同時投与した経験はなく、安全性及び有効性は確立しておらず、同時に投与した場合には、神経筋接合部の麻痺等が増強し、呼吸困難、嚥下障害等の重篤な副作用が発現するおそれがある。[10.2参照]

7.4 他のボツリヌス毒素製剤を投与後に本剤を使用する場合には、少なくとも他のボツリヌス毒素製剤の用法及び用量で規定されている投与間隔をあけるとともに、患者の症状を十分に観察した上で、効果が消失し、安全性上の問題がないと判断された場合にのみ投与すること。他のボツリヌス毒素製剤の投与後に本剤を投与した場合の安全性及び有効性は確立されていない。先に投与された他のボツリヌス毒素の効果が消失する前に本剤を投与した場合には、神経筋接合部の麻痺等が増強し、呼吸困難、嚥下障害等の重篤な副作用が発現するおそれがある。[10.2参照]

<眼瞼痙攣>

7.5 眼瞼下垂があらわれることがあるので、上眼瞼挙筋周囲への投与を避けること。

<片側顔面痙攣>

7.6 痙攣筋の同定が困難な場合には、筋電計を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。

7.7 筋ごとの適切な部位及び投与量に留意し、痙攣している筋肉内に注射する。臨床成績等から、以下のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。

 投与筋1部位当たりの投与量(単位/部位)投与部位数(部位)
初回投与眼輪筋1.254
その他の筋痙攣筋に眼輪筋とあわせて合計10単位を分割投与
初回投与後の追加投与及び再投与眼輪筋2.5注1) 4
皺眉筋2.51
前頭筋2.51
口輪筋2.52
大頬骨筋5.01
小頬骨筋5.01
笑筋5.01
オトガイ筋5.01
広頸筋注2) 2.5上限4
注1)臨床試験では、追加投与及び再投与時には眼輪筋に対して1部位当たり5単位まで投与された症例がある。なお、眼輪筋に対して2.5単位を超えて投与する場合には、特に副作用の発現に留意しながら慎重に投与すること。注2)広頸筋に対しては筋緊張によりスジ状として隆起している部位に投与する。なお、薄い皮筋であるため穿通しないよう注意すること。

<痙性斜頸>

7.8 緊張筋が深部であるなど、触診で緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。

7.9 投与による効果が認められない場合は、用量及び投与部位について再検討した上で追加投与を行うこと。

7.10 本剤注射により投与筋の筋緊張が低下したのち、その協働筋側の緊張が亢進し、異常姿勢を来すことがあるため、初回投与以降では緊張が亢進している筋を注意深く同定し、投与すること。[8.2.10参照]

7.11 初回及び初回後の追加投与を含む240単位までの投与により全く効果が認められない場合は、より高頻度・高投与量で投与を行っても効果が期待できない場合があるため、本剤の投与中止を考慮すること。

7.12 筋ごとの適切な部位及び投与量に留意し、注射する。臨床成績等から、以下のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。

投与筋初回投与量注3)、投与部位数最高投与量注4)
胸鎖乳突筋注1) 15-50単位を2ヵ所以上に分割100単位
僧帽筋30-60単位を2ヵ所以上に分割100単位
板状筋25-50単位を2ヵ所以上に分割100単位
斜角筋15-25単位50単位
僧帽筋前縁15-30単位100単位
肩甲挙筋注2) 20-30単位80単位
傍脊柱筋20単位50単位
広頸筋20-30単位80単位
注1)胸鎖乳突筋に投与する場合は、嚥下障害発現のリスクを軽減するため、両側への投与を避けること。注2)肩甲挙筋へ投与する場合は、嚥下障害及び呼吸器感染のリスクが増大する可能性があるので注意すること。注3)各筋に対し、初めて投与する場合の投与量を示す。注4)各投与部位への投与量は30単位を上限とすること。

<上肢痙縮>

7.13 緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計、超音波検査やスティミュレーター等を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。

7.14 筋ごとの適切な部位及び投与量に留意すること。臨床成績等から、以下のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。

投与筋投与量(単位/筋)投与部位数(部位/筋)
上腕二頭筋702
上腕筋451
腕橈骨筋451
橈側手根屈筋501
尺側手根屈筋501
深指屈筋501
浅指屈筋501
長母指屈筋201
母指内転筋201

<下肢痙縮>

7.15 緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計、超音波検査やスティミュレーター等を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。

7.16 筋ごとの適切な部位及び投与量に留意すること。臨床成績等から、以下のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。

投与筋投与量(単位/筋)投与部位数(部位/筋)
腓腹筋(内側頭)753
腓腹筋(外側頭)753
ヒラメ筋753
後脛骨筋753

<2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足>

7.17 緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計、超音波検査やスティミュレーター等を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。

7.18 筋ごとの適切な部位及び投与量に留意し、注射する。

(他の筋肉図については、<下肢痙縮>を参照)

<重度の原発性腋窩多汗症>

7.19 投与前にMinor'sヨウ素デンプン反応等の染色法を使用して目標とする発汗部位を同定すること。

7.20 注射針は針先端の斜め部分を上にして、皮膚表面に対し45°の角度で約2mmの深さへの皮内注射が推奨されている。また、効果のない部分を最小限にとどめるため、注射位置を下図のように等間隔でジグザグ状に配置することが推奨されている。

<斜視>

7.21 外眼筋に投与する際には、筋電計等の使用や外眼筋の外科的露出により、注意深く目標とする部位を同定すること。

7.22 本剤投与前に点眼麻酔薬の投与が推奨されている。

7.23 薬液量は1つの筋あたり0.05〜0.15mLが推奨されている。

7.24 筋ごとの適切な部位及び投与量に留意すること。臨床成績等から、初回投与では以下のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。

投与筋初回投与量(単位/筋)投与部位数(部位/筋)
内直筋1.25〜2.5注1)又は2.5〜5.0注2) 1
外直筋1.25〜2.5注1)又は2.5〜5.0注2) 1
上直筋1.25〜2.5注3) 1
下直筋1.25〜2.5注3) 1
注1)20プリズムジオプトリー未満の水平斜視注2)20〜50プリズムジオプトリーの水平斜視注3)上下斜視

<痙攣性発声障害>

7.25 内喉頭筋に投与する際には、筋電計を用いて注意深く目標とする筋を同定すること。

7.26 薬液量は片側あたり0.1mLが推奨されている。

7.27 内転型痙攣性発声障害の治療では、患者を背臥位とし、輪状軟骨上縁の正中より約5mm外側(投与側)に注射針を経皮的に刺入した後、輪状甲状間膜を貫通させて甲状披裂筋へと到達させる。両側投与を行った場合には嚥下障害等の有害事象がより長期間持続することがあるので、再投与時の両側投与の要否は、片側投与による治療効果と有害事象の発現状況を確認した後に慎重に検討すること。

7.28 外転型痙攣性発声障害では、投与前の内視鏡検査により、左右の声帯の可動性及び声門間隙の大きさを確認し、通常、病的運動が強い側の後輪状披裂筋に投与する。注射の際には患者を背臥位とし、投与側の反対側へ頭部を回旋させた上で、輪状軟骨の後面に向けて外側方向から経皮的に注射針を刺入する。投与側の声帯が動かなくなった場合に声門の閉鎖又は狭窄による呼吸困難等が生じないよう、反対側の声帯が十分動く場合にのみ投与することとし、両側への投与は行わないこと。

7.29 混合型痙攣性発声障害における有効性及び安全性は確立していない。甲状披裂筋及び後輪状披裂筋への同時投与後に重篤な呼吸困難が報告されていることから、甲状披裂筋及び後輪状披裂筋への同時投与は避けること。

<過活動膀胱、神経因性膀胱>

7.30 排尿筋に投与する際には、硬性膀胱鏡又は軟性膀胱鏡を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。

7.31 本剤投与前には、必要に応じて局所麻酔薬の注入による膀胱粘膜麻酔や鎮静薬の投与を行うこと。局所麻酔薬を注入した場合は投与前に除去し、膀胱内を生理食塩液で洗浄すること。自律神経異常反射を来しやすい背景を有する神経因性膀胱患者では、全身麻酔等の適切な麻酔を行うこと。[1.7、9.1.5参照]

7.32 膀胱壁における注射部位を十分に確認するため、本剤の投与直前に膀胱内に生理食塩液を注入し、膀胱を適度に拡張する。その際、膀胱を拡張しすぎると、投与時に薄くなった膀胱壁を注射針で穿通するおそれがあるため、生理食塩液の過量注入に注意すること。投与終了後、自排尿不能な患者では膀胱内に注入した生理食塩液を直ちに除去し、自排尿可能な患者では膀胱内に注入した生理食塩液を自ら排出できることを確認すること。

7.33 本剤100単位を投与する際は薬液10mLを20ヵ所に、本剤200単位を投与する際は薬液30mLを30ヵ所に分割して注射することが推奨されている。各注射部位の間隔は約1cm、注射針の刺入深度は約2mmとし、膀胱三角部への注射は避けること。[14.1.1参照]

規格単位毎の明細 (ボトックス注用100単位)

販売名和名 : ボトックス注用100単位

規格単位 : 100単位1瓶

欧文商標名 : BOTOX for injection

規制区分

規制区分名称 : 生物由来製品

規制区分

規制区分名称 : 毒薬

規制区分

規制区分名称 : 処方箋医薬品注)

規制区分備考 : 注)注意−医師等の処方箋により使用すること

日本標準商品分類番号 : 871229

日本標準商品分類番号 : 87259

承認番号 : 22100AMX00489

販売開始年月 : 1997年4月

貯法及び期限等

貯法 : 5℃以下で保存

有効期間 : 3年

3.組成・性状

3.1 組成

ボトックス注用100単位

販売名ボトックス注用100単位
有効成分注1) 1バイアル中
A型ボツリヌス毒素100単位注2)
添加剤塩化ナトリウム 0.9mg
人血清アルブミン 0.5mg
注1)A型ボツリヌス菌によって産生される。製造工程において、ウシ(心臓、血液、乳、骨格筋、膵臓)、ヒツジ(血液)及びブタ(血液、膵臓、胃、皮膚)由来成分を使用している。注2)1単位はマウス腹腔内投与LD50値

添加剤 : 塩化ナトリウム

添加剤 : 人血清アルブミン

3.2 製剤の性状

ボトックス注用100単位

販売名ボトックス注用100単位
剤形・性状白色の乾燥注射剤で、生理食塩液に溶解したとき、無色〜微黄色澄明の液
pH本剤を生理食塩液2.8mLで溶解した場合、生理食塩液のpH±0.5以内
浸透圧比(生理食塩液に対する比)本剤を生理食塩液4.0mLで溶解した場合、0.95〜1.10

【色】
白色
無色〜微黄色澄明
【剤形】
乾燥製剤/散剤/注射

規格単位毎の効能効果及び用法用量

効能効果対用法用量

4.効能又は効果

○眼瞼痙攣、○片側顔面痙攣、○痙性斜頸、○上肢痙縮、○下肢痙縮、○2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、○重度の原発性腋窩多汗症、○斜視、○痙攣性発声障害、○既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁、○既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁

6.用法及び用量

<眼瞼痙攣>

通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として初回1.25〜2.5単位/部位を、1眼当たり眼輪筋6部位の筋肉内に注射する。また、眼輪筋切除術施行後の患者に投与する場合には、筋電計を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。効果は通常3〜4ヵ月間持続するが、症状再発の場合には再投与する。ただし、投与間隔は8週以上とすること。また、再投与は初回投与量の2倍までの用量を用いることができるが、本剤の薬理作用である筋麻痺作用が予想以上に強く発現した結果と見られる閉瞼不全、眼瞼下垂等の副作用が現れた場合には、再投与時の用量を適宜減量すること。
また、1ヵ月間に累積で45単位を超える投与は避けること。

<注射部位>

<片側顔面痙攣>

通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として以下の用量を痙攣筋※に筋肉内注射する。痙攣筋が複数ある場合は、分割して投与する。

・初回投与の場合には合計で10単位を投与する。

・初回投与後4週間観察し、効果が不十分な場合には、さらに追加で合計20単位を上限として投与することができる。

・症状再発の場合には、合計で30単位を上限として再投与することができる。ただし、投与間隔は8週以上とすること。

※痙攣筋:眼輪筋、皺眉筋、前頭筋、口輪筋、大頬骨筋、小頬骨筋、笑筋、広頸筋、オトガイ筋等

<痙性斜頸>

通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として以下の用量を緊張筋※に筋肉内注射する。緊張筋が複数ある場合は、分割して投与する。

・初回投与の場合には合計で30〜60単位を投与する。

・初回投与後4週間観察し、効果が不十分な場合には、さらに追加で合計180単位を上限として投与することができる。

・症状再発の場合には、合計で240単位を上限として再投与することができる。ただし、投与間隔は8週以上とすること。

※緊張筋:胸鎖乳突筋、僧帽筋、板状筋、斜角筋、僧帽筋前縁、肩甲挙筋、傍脊柱筋、広頸筋等

<上肢痙縮>

通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋※に合計400単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は400単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。

※緊張筋:上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋、橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、深指屈筋、浅指屈筋、長母指屈筋、母指内転筋等

<下肢痙縮>

通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋※に合計300単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は300単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。

※緊張筋:腓腹筋(内側頭、外側頭)、ヒラメ筋、後脛骨筋等

<2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足>

通常、2歳以上の小児にはA型ボツリヌス毒素として4単位/kgを、罹患している腓腹筋の内側頭・外側頭の各々2ヵ所に筋肉内注射する。両下肢に投与する場合は、4単位/kgを両肢に分割して投与する。初回投与以後、効果不十分な場合にはヒラメ筋、後脛骨筋等へ投与することができる。なお、症状に応じて適宜増減することができる。ただし、1回の総投与量は200単位を超えないこととし、再投与は前回の効果が消失した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。

<重度の原発性腋窩多汗症>

通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として片腋窩あたり50単位を、複数の部位(10〜15ヵ所)に1〜2cm間隔で皮内投与する。再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は16週以上とすること。

<斜視>

通常、成人及び12歳以上の小児にはA型ボツリヌス毒素として以下の用量を外眼筋に筋肉内注射する。

・初回投与

(1)上下斜視の場合

上直筋又は下直筋に1.25〜2.5単位

(2)20プリズムジオプトリー未満の水平斜視の場合

内直筋又は外直筋に1.25〜2.5単位

(3)20〜50プリズムジオプトリーの水平斜視の場合

内直筋又は外直筋に2.5〜5.0単位

(4)1ヵ月以上持続する外転神経麻痺の場合

内直筋に1.25〜2.5単位

・初回投与後4週間観察し、効果が不十分な場合には、さらに追加で初回投与量の2倍までの用量を上限として投与することができる。

・前回の効果が減弱した場合には、過去に投与された1回投与量の2倍までの用量を上限として再投与することができる。ただし、投与間隔は12週以上とすること。

・1回の投与における1つの筋あたりの投与量は10単位を超えないこと。

<痙攣性発声障害>

通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として以下の用量を内喉頭筋に筋肉内注射する。

・内転型痙攣性発声障害

初回投与

片側の甲状披裂筋に2.5単位を投与する。

再投与

前回の効果が減弱した場合には、片側又は両側の甲状披裂筋に再投与することができる。ただし、投与間隔は12週以上とすること。なお、症状に応じて投与量を適宜増減することができるが、片側あたり2.5単位を超えないこと。

・外転型痙攣性発声障害

初回投与

片側の後輪状披裂筋に5.0単位を投与する。

再投与

前回の効果が減弱した場合には、片側の後輪状披裂筋に再投与することができる。ただし、投与間隔は12週以上とすること。なお、症状に応じて投与量を適宜増減することができるが、5.0単位を超えないこと。

<既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁>

通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として100単位を排尿筋に分割して注射する。再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。

<既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁>

通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として200単位を排尿筋に分割して注射する。再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。

5.効能又は効果に関連する注意

<上肢痙縮、下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足>

5.1 本剤は理学療法、作業療法等の標準的治療の代替とはならないため、これらの治療と併用して使用すること。

5.2 本剤は非可逆的拘縮状態となった関節の可動域の改善に対しては効果を有しない。

5.3 痙縮の原因となる疾患の診断及び治療を併せて行うこと。

<重度の原発性腋窩多汗症、痙攣性発声障害>

5.4 診断及び本剤による治療は、国内外のガイドライン1)2)等の情報を参考にして慎重に行うこと。

<斜視>

5.5 陳旧性の麻痺性斜視の改善に対しては効果を有しない(外科的手術の施行時に拮抗筋の拘縮を緩和する場合を除く)。

5.6 50プリズムジオプトリーを超える斜視、拘束型斜視、外直筋の弱化を伴うデュアン症候群、過去の後転術による過矯正から生じた二次性斜視に対する安全性及び有効性は確立されていないことから、これらの患者に本剤を使用する場合には、その必要性を慎重に検討すること。

<過活動膀胱>

5.7 以下に示す患者に本剤の投与を考慮すること。

・抗コリン薬又はβ3アドレナリン受容体作動薬による薬物療法及び行動療法を行っても、効果不十分な患者

・抗コリン薬又はβ3アドレナリン受容体作動薬の投与が副作用の発現により困難な患者

・抗コリン薬又はβ3アドレナリン受容体作動薬の投与が禁忌とされる患者

5.8 下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者では、下部尿路閉塞(前立腺の肥大等)の消失等、改善が十分に得られていることが確認されてもなお、過活動膀胱の症状が改善しない場合に、本剤の投与を考慮すること。

<神経因性膀胱>

5.9 以下に示す患者に本剤の投与を考慮すること。

・抗コリン薬による薬物療法及び行動療法を行っても、効果不十分な患者

・抗コリン薬の投与が副作用の発現により困難な患者

・抗コリン薬の投与が禁忌とされる患者

5.10 下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者では、下部尿路閉塞疾患に対する治療を優先すること。また、投与前の残尿量にも注意し、本剤投与の可否を慎重に判断すること。

7.用法及び用量に関連する注意

<効能共通>

7.1 複数の適応に本剤を同時投与した場合の安全性は確立されていないため、複数の適応に本剤を同時に投与しないことが望ましい。やむを得ず同時に投与する場合には、それぞれの効能又は効果で規定されている投与量の上限及び投与間隔を厳守するとともに、12週間のA型ボツリヌス毒素の累積投与量として400単位を上限とすること。海外臨床試験において、成人を対象に上肢痙縮及び下肢痙縮に合計400単位を同時に投与した経験はあるが、国内臨床試験では、複数の適応に本剤を同時投与した経験はない。

7.2 本剤の力価(単位)は、A型ボツリヌス毒素製剤特有のもので、B型ボツリヌス毒素製剤とは異なること、また換算もできないことに留意し、必ず本剤の投与量を慎重に確認してから投与すること。

7.3 本剤と他のボツリヌス毒素製剤の同時投与は原則として避けること。本剤と他のボツリヌス毒素製剤を同時投与した経験はなく、安全性及び有効性は確立しておらず、同時に投与した場合には、神経筋接合部の麻痺等が増強し、呼吸困難、嚥下障害等の重篤な副作用が発現するおそれがある。[10.2参照]

7.4 他のボツリヌス毒素製剤を投与後に本剤を使用する場合には、少なくとも他のボツリヌス毒素製剤の用法及び用量で規定されている投与間隔をあけるとともに、患者の症状を十分に観察した上で、効果が消失し、安全性上の問題がないと判断された場合にのみ投与すること。他のボツリヌス毒素製剤の投与後に本剤を投与した場合の安全性及び有効性は確立されていない。先に投与された他のボツリヌス毒素の効果が消失する前に本剤を投与した場合には、神経筋接合部の麻痺等が増強し、呼吸困難、嚥下障害等の重篤な副作用が発現するおそれがある。[10.2参照]

<眼瞼痙攣>

7.5 眼瞼下垂があらわれることがあるので、上眼瞼挙筋周囲への投与を避けること。

<片側顔面痙攣>

7.6 痙攣筋の同定が困難な場合には、筋電計を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。

7.7 筋ごとの適切な部位及び投与量に留意し、痙攣している筋肉内に注射する。臨床成績等から、以下のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。

 投与筋1部位当たりの投与量(単位/部位)投与部位数(部位)
初回投与眼輪筋1.254
その他の筋痙攣筋に眼輪筋とあわせて合計10単位を分割投与
初回投与後の追加投与及び再投与眼輪筋2.5注1) 4
皺眉筋2.51
前頭筋2.51
口輪筋2.52
大頬骨筋5.01
小頬骨筋5.01
笑筋5.01
オトガイ筋5.01
広頸筋注2) 2.5上限4
注1)臨床試験では、追加投与及び再投与時には眼輪筋に対して1部位当たり5単位まで投与された症例がある。なお、眼輪筋に対して2.5単位を超えて投与する場合には、特に副作用の発現に留意しながら慎重に投与すること。注2)広頸筋に対しては筋緊張によりスジ状として隆起している部位に投与する。なお、薄い皮筋であるため穿通しないよう注意すること。

<痙性斜頸>

7.8 緊張筋が深部であるなど、触診で緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。

7.9 投与による効果が認められない場合は、用量及び投与部位について再検討した上で追加投与を行うこと。

7.10 本剤注射により投与筋の筋緊張が低下したのち、その協働筋側の緊張が亢進し、異常姿勢を来すことがあるため、初回投与以降では緊張が亢進している筋を注意深く同定し、投与すること。[8.2.10参照]

7.11 初回及び初回後の追加投与を含む240単位までの投与により全く効果が認められない場合は、より高頻度・高投与量で投与を行っても効果が期待できない場合があるため、本剤の投与中止を考慮すること。

7.12 筋ごとの適切な部位及び投与量に留意し、注射する。臨床成績等から、以下のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。

投与筋初回投与量注3)、投与部位数最高投与量注4)
胸鎖乳突筋注1) 15-50単位を2ヵ所以上に分割100単位
僧帽筋30-60単位を2ヵ所以上に分割100単位
板状筋25-50単位を2ヵ所以上に分割100単位
斜角筋15-25単位50単位
僧帽筋前縁15-30単位100単位
肩甲挙筋注2) 20-30単位80単位
傍脊柱筋20単位50単位
広頸筋20-30単位80単位
注1)胸鎖乳突筋に投与する場合は、嚥下障害発現のリスクを軽減するため、両側への投与を避けること。注2)肩甲挙筋へ投与する場合は、嚥下障害及び呼吸器感染のリスクが増大する可能性があるので注意すること。注3)各筋に対し、初めて投与する場合の投与量を示す。注4)各投与部位への投与量は30単位を上限とすること。

<上肢痙縮>

7.13 緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計、超音波検査やスティミュレーター等を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。

7.14 筋ごとの適切な部位及び投与量に留意すること。臨床成績等から、以下のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。

投与筋投与量(単位/筋)投与部位数(部位/筋)
上腕二頭筋702
上腕筋451
腕橈骨筋451
橈側手根屈筋501
尺側手根屈筋501
深指屈筋501
浅指屈筋501
長母指屈筋201
母指内転筋201

<下肢痙縮>

7.15 緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計、超音波検査やスティミュレーター等を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。

7.16 筋ごとの適切な部位及び投与量に留意すること。臨床成績等から、以下のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。

投与筋投与量(単位/筋)投与部位数(部位/筋)
腓腹筋(内側頭)753
腓腹筋(外側頭)753
ヒラメ筋753
後脛骨筋753

<2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足>

7.17 緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計、超音波検査やスティミュレーター等を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。

7.18 筋ごとの適切な部位及び投与量に留意し、注射する。

(他の筋肉図については、<下肢痙縮>を参照)

<重度の原発性腋窩多汗症>

7.19 投与前にMinor'sヨウ素デンプン反応等の染色法を使用して目標とする発汗部位を同定すること。

7.20 注射針は針先端の斜め部分を上にして、皮膚表面に対し45°の角度で約2mmの深さへの皮内注射が推奨されている。また、効果のない部分を最小限にとどめるため、注射位置を下図のように等間隔でジグザグ状に配置することが推奨されている。

<斜視>

7.21 外眼筋に投与する際には、筋電計等の使用や外眼筋の外科的露出により、注意深く目標とする部位を同定すること。

7.22 本剤投与前に点眼麻酔薬の投与が推奨されている。

7.23 薬液量は1つの筋あたり0.05〜0.15mLが推奨されている。

7.24 筋ごとの適切な部位及び投与量に留意すること。臨床成績等から、初回投与では以下のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。

投与筋初回投与量(単位/筋)投与部位数(部位/筋)
内直筋1.25〜2.5注1)又は2.5〜5.0注2) 1
外直筋1.25〜2.5注1)又は2.5〜5.0注2) 1
上直筋1.25〜2.5注3) 1
下直筋1.25〜2.5注3) 1
注1)20プリズムジオプトリー未満の水平斜視注2)20〜50プリズムジオプトリーの水平斜視注3)上下斜視

<痙攣性発声障害>

7.25 内喉頭筋に投与する際には、筋電計を用いて注意深く目標とする筋を同定すること。

7.26 薬液量は片側あたり0.1mLが推奨されている。

7.27 内転型痙攣性発声障害の治療では、患者を背臥位とし、輪状軟骨上縁の正中より約5mm外側(投与側)に注射針を経皮的に刺入した後、輪状甲状間膜を貫通させて甲状披裂筋へと到達させる。両側投与を行った場合には嚥下障害等の有害事象がより長期間持続することがあるので、再投与時の両側投与の要否は、片側投与による治療効果と有害事象の発現状況を確認した後に慎重に検討すること。

7.28 外転型痙攣性発声障害では、投与前の内視鏡検査により、左右の声帯の可動性及び声門間隙の大きさを確認し、通常、病的運動が強い側の後輪状披裂筋に投与する。注射の際には患者を背臥位とし、投与側の反対側へ頭部を回旋させた上で、輪状軟骨の後面に向けて外側方向から経皮的に注射針を刺入する。投与側の声帯が動かなくなった場合に声門の閉鎖又は狭窄による呼吸困難等が生じないよう、反対側の声帯が十分動く場合にのみ投与することとし、両側への投与は行わないこと。

7.29 混合型痙攣性発声障害における有効性及び安全性は確立していない。甲状披裂筋及び後輪状披裂筋への同時投与後に重篤な呼吸困難が報告されていることから、甲状披裂筋及び後輪状披裂筋への同時投与は避けること。

<過活動膀胱、神経因性膀胱>

7.30 排尿筋に投与する際には、硬性膀胱鏡又は軟性膀胱鏡を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。

7.31 本剤投与前には、必要に応じて局所麻酔薬の注入による膀胱粘膜麻酔や鎮静薬の投与を行うこと。局所麻酔薬を注入した場合は投与前に除去し、膀胱内を生理食塩液で洗浄すること。自律神経異常反射を来しやすい背景を有する神経因性膀胱患者では、全身麻酔等の適切な麻酔を行うこと。[1.7、9.1.5参照]

7.32 膀胱壁における注射部位を十分に確認するため、本剤の投与直前に膀胱内に生理食塩液を注入し、膀胱を適度に拡張する。その際、膀胱を拡張しすぎると、投与時に薄くなった膀胱壁を注射針で穿通するおそれがあるため、生理食塩液の過量注入に注意すること。投与終了後、自排尿不能な患者では膀胱内に注入した生理食塩液を直ちに除去し、自排尿可能な患者では膀胱内に注入した生理食塩液を自ら排出できることを確認すること。

7.33 本剤100単位を投与する際は薬液10mLを20ヵ所に、本剤200単位を投与する際は薬液30mLを30ヵ所に分割して注射することが推奨されている。各注射部位の間隔は約1cm、注射針の刺入深度は約2mmとし、膀胱三角部への注射は避けること。[14.1.1参照]


[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2022/9/21 版