医療用医薬品 : テルネリン |
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総称名 | テルネリン |
一般名 | チザニジン塩酸塩 |
欧文一般名 | Tizanidine Hydrochloride |
製剤名 | チザニジン塩酸塩製剤 |
薬効分類名 | 筋緊張緩和剤 |
薬効分類番号 | 1249 |
ATCコード | M03BX02 |
KEGG DRUG |
D00776
チザニジン塩酸塩
商品一覧 米国の商品 相互作用情報 |
JAPIC | 添付文書(PDF) |
販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
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テルネリン顆粒0.2% | Ternelin | サンファーマ | 1249010D1025 | 22.3円/g | 処方箋医薬品 |
テルネリン錠1mg | Ternelin | サンファーマ | 1249010F1026 | 11円/錠 | 処方箋医薬品 |
次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
フルボキサミン又はシプロフロキサシンを投与中の患者(「3.相互作用」の項参照)
重篤な肝障害のある患者〔本剤は主として肝で代謝される。また、肝機能の悪化が報告されている。〕
下記疾患による筋緊張状態の改善
頸肩腕症候群、腰痛症
下記疾患による痙性麻痺
テルネリン顆粒0.2%
筋緊張状態の改善の場合
通常成人には、チザニジンとして3mg(顆粒剤の場合1.5g)を1日3回に分けて食後に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
痙性麻痺の場合
通常成人には、チザニジンとして1日3mg(顆粒剤の場合1.5g)より投与を始め、効果をみながら1日6〜9mg(顆粒剤の場合3〜4.5g)まで漸増し、1日3回に分けて食後に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
テルネリン錠1mg
筋緊張状態の改善の場合
通常成人には、チザニジンとして3mg(錠剤の場合3錠)を1日3回に分けて食後に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
痙性麻痺の場合
通常成人には、チザニジンとして1日3mg(錠剤の場合3錠)より投与を始め、効果をみながら1日6〜9mg(錠剤の場合6〜9錠)まで漸増し、1日3回に分けて食後に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
慎重投与
肝障害のある患者〔本剤は主として肝で代謝される。また、肝機能の悪化が報告されている。〕
腎障害のある患者〔腎からの排泄が遅延し、高い血中濃度が持続するとの報告がある。(【薬物動態】の項参照)〕
重要な基本的注意
投与初期に急激な血圧低下があらわれることがあるので注意すること。
反射運動能力の低下、眠気、めまい及び低血圧等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。
相互作用
相互作用序文
本剤は主として肝代謝酵素チトクロームP450(CYP)1A2で代謝されるので、本酵素の活性に影響を与える薬剤を併用する場合には注意すること。特にCYP1A2を阻害する薬剤との併用により、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。また、CYP1A2を誘導する薬剤との併用により、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
薬物代謝酵素用語
併用禁忌
フルボキサミン (ルボックス、デプロメール) シプロフロキサシン (シプロキサン等) | フルボキサミン又はシプロフロキサシンとの併用により、本剤の血中濃度が上昇し、AUCがそれぞれ33倍、10倍に上昇したとの報告がある。 臨床症状として、著しい血圧低下、傾眠、めまい及び精神運動能力の低下等があらわれることがあるので併用しないこと。 | これらの薬剤がCYP1A2を阻害し、本剤の血中濃度を上昇させると考えられる。 |
併用注意
降圧剤 降圧利尿剤等 | 低血圧及び徐脈があらわれることがある。 | 本剤の中枢性α2刺激作用により降圧作用が増強されるため。 |
中枢神経抑制剤 アルコール | 眠気等の副作用が増強されるおそれがある。 | いずれも中枢神経抑制作用を有するため。 |
抗不整脈剤 アミオダロン メキシレチン プロパフェノン シメチジン ニューキノロン系抗菌剤 エノキサシン ノルフロキサシン 黄体・卵胞ホルモン剤 経口避妊薬 チクロピジン | 本剤の血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがある。 | これらの薬剤がCYP1A2を阻害し、本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。 |
CYP1A2を誘導する薬剤 リファンピシン 喫煙等 | 本剤の血中濃度が低下し、本剤の作用が減弱するおそれがある。 リファンピシンとの併用により本剤の血中濃度が50%低下することがあるため、併用投与の必要がある場合には、慎重に用量調節(増量)を行うこと。 また、男性喫煙者(>10本/日)に本剤を投与したことにより、本剤のAUCが約30%減少したとの報告がある。 | これらの薬剤がCYP1A2を誘導することにより、本剤の血中濃度が低下し、本剤の治療効果が減弱するおそれがある。 |
副作用
副作用発現状況の概要
総例14,627例中何らかの副作用が報告されたのは770例(5.3%)であった。主な副作用は、眠気318件(2.2%)、口渇133件(0.9%)、脱力感101件(0.7%)、けん怠感94件(0.6%)、めまい・ふらつき63件(0.4%)、胃部不快感42件(0.3%)、悪心33件(0.2%)、食欲不振28件(0.2%)、腹痛27件(0.2%)、発疹26件(0.2%)、ALT(GPT)上昇27件(0.2%)、AST(GOT)上昇23件(0.2%)等であった。(承認時まで及び再審査終了時までの集計)
重大な副作用及び副作用用語
重大な副作用
(頻度不明)
ショック
ショック(血圧低下、徐脈、顔面蒼白、冷汗、呼吸困難、意識消失等)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
急激な血圧低下
投与開始初期に急激な血圧低下があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。特に高齢者及び降圧剤との併用例では注意すること。
心不全
心不全(心拡大、肺水腫等)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
呼吸障害
呼吸障害(喘鳴、喘息発作、呼吸困難等)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
肝炎、肝機能障害、黄疸
AST(GOT)、ALT(GPT)等の著しい上昇、悪心・嘔吐、食欲不振、全身けん怠感等を伴う肝炎、肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
頻度不明 | 0.1%〜5%未満 | 0.1%未満 | |
循環器 | 失神 | 血圧低下 | 徐脈、動悸 |
精神神経系 | 幻覚、錯乱 | 眠気、頭痛・頭重感、めまい(回転性めまい、浮動性めまい)・ふらつき | 知覚異常(しびれ感等)、構音障害(ろれつがまわらない等)、不眠 |
消化器 | − | 口渇、悪心、食欲不振、胃部不快感、腹痛、下痢 | 胃もたれ、便秘、口内炎、舌のあれ、口中苦味感、流涎 |
肝臓 | − | AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇 | ALPの上昇 |
過敏症注) | 血管性浮腫 | 発疹、皮膚そう痒感 | 蕁麻疹、紅斑 |
その他 | 眼瞼下垂 | 脱力・けん怠感 | 浮腫、尿閉、霧視 |
高齢者への投与
本剤は主として腎から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがあるので減量するなど注意すること。(【薬物動態】の項参照)
本剤により血圧低下があらわれることがあるので、高齢者では特に注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔動物実験(ラット)で、大量投与(100mg/kg)により奇形(脳ヘルニア、小眼球)の増加及び10〜30mg/kg投与により胎児重量の低下、化骨遅延、出生児の死亡等が報告されている。〕
授乳中の婦人には投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。〔動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。〕
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児又は幼児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
過量投与
徴候、症状
悪心、嘔吐、血圧低下、徐脈、QT延長、めまい、縮瞳、呼吸窮迫、不穏、傾眠、昏睡等
処置
活性炭投与あるいは、強制利尿などにより薬物除去を行う。また必要により対症療法を行う。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)
その他の注意
動物実験(サル)により精神依存の形成が示唆されたとの報告がある。
血中濃度
健康成人にテルネリン錠1mgを2錠又は顆粒0.2%を1g(チザニジンとして2mg)それぞれ1回経口投与した場合の血漿中濃度の推移は次のとおりである。
また、薬物動態パラメータから両剤の生物学的同等性が確認された。
Tmax(h) | Cmax(ng/mL) | AUC0→10(ng・h/mL) | T1/2(h) | |
顆粒 | 0.75 | 1.75 | 4.84 | 1.51 |
錠剤 | 1 | 1.83 | 4.77 | 1.58 |
チザニジン2mg(テルネリン錠剤2錠又は顆粒剤1g)を1回投与後の血漿中濃度の推移(平均値±S.E.,n=24)
代謝
チザニジンは吸収後速やかに代謝され、主代謝経路はイミダゾリン環の酸化又は芳香環の酸化とそれに続くグルクロン酸抱合体あるいは硫酸抱合体の形成であった。(外国人のデータ)
排泄
健康成人に14Cチザニジン5mgを1回経口投与後の総放射能排泄率は尿中53.0%及び糞中23.2%であった(120時間値)。尿、糞中への未変化体の排泄はわずかであった。(外国人のデータ)
腎不全患者における薬物動態1)
腎不全患者(クレアチニンクリアランス25mL/分以下)及び健康成人(クレアチニンクリアランス90mL/分以上)に本剤4mgを1回経口投与した後の薬物動態を比較したところ、腎不全患者ではAUCは約7倍、最高血中濃度は約2倍であり、血中濃度の上昇が観察された。(外国人のデータ)
二重盲検比較試験を含む筋緊張性疾患(頸肩腕症候群、腰痛症)776例及び痙性麻痺828例における本剤の臨床試験成績の概要は次のとおりである。
頸肩腕症候群、腰痛症における筋緊張状態の改善に対する本剤の有効率は54.7%(333/609)で、やや有効以上を含めると80.1%であった。投与量は3mg/日が大部分であった。
また、頸肩腕症候群、腰痛症患者を対象とした二重盲検比較試験において、本剤の有用性が確認された。
脳血管障害、痙性脊髄麻痺等の種々の脳性・脊髄性疾患に伴う痙性麻痺に対する本剤の有効率は35.6%(223/627)で、やや有効以上を含めると81.0%であった。投与維持量は6〜9mg/日が大部分であった。
また、痙性麻痺患者を対象とした二重盲検比較試験において、本剤の有用性が確認された。
チザニジンは中枢性のアドレナリンα2作動効果を有し、脊髄及び脊髄上位中枢に作用して、固縮緩解作用、脊髄反射抑制作用等の筋緊張緩和作用を有する。
行動薬理学的検討
一般行動(サル)、斜面法(マウス)及び回転円筒法(マウス)等における行動観察により本剤の筋弛緩作用が認められる。
実験的固縮緩解作用
骨格筋の異常緊張モデルである貧血性除脳固縮(α-固縮)及び上丘・下丘間除脳固縮(γ-固縮)を緩解する(ラット)。
脊髄反射抑制作用
脊髄後根刺激による多シナプス反射電位を抑制するが、単シナプス反射電位を抑制する作用は弱い(ラット、ネコ)。
また、多シナプス反射の一つである脚の交差性伸展反射を抑制する(ヒヨコ)。
γ-運動ニューロンに対する抑制
筋紡錘を直接に抑制しないが、脊髄からのγ-運動ニューロンを抑制して二次的に筋紡錘の感度を低下する(ラット)。
抗侵害受容作用
侵害刺激に対する脊髄後角ニューロンの興奮を抑制するが、非侵害刺激に対する反応は抑制しない(ネコ)。
テルネリン錠1mg
アルカリ性薬剤と配合しないこと。〔アルカリ性薬剤(アミノフィリン等)との配合により外観が黄色に変化することがある。〕
テルネリン顆粒0.2%
アルカリ性薬剤、吸湿性の薬剤と配合しないこと。〔アルカリ性薬剤(アミノフィリン等)との配合により外観が黄色に変化することがある。また、吸湿性の薬剤との配合により固化することがある。〕
テルネリン錠1mg
100錠(PTP) 500錠(PTP) 1,000錠(PTP・バラ) 2,100錠(PTP)
テルネリン顆粒0.2%
100g(瓶)
1. | Kirch,W.et al., In 3rd Europian Congr.Biopharmaceutics and Pharmacokinetics.Proc., 3, 6-10, (1987) |
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5. | 田中 守, 新薬と臨床, 42 (2), 283, (1993) |
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7. | 黒岩義五郎ほか, 臨牀と研究, 62 (10), 3295, (1985) |
8. | 西 克典, Prog.Med., 5 (9), 2572, (1985) |
9. | 木下真男ほか, 薬理と治療, 13 (10), 5945, (1985) |
10. | 篠原幸人ほか, 臨床成人病, 16 (4), 591, (1986) |
11. | 中島八十一, Prog.Med., 13 (2), 395, (1993) |
12. | 橋本朋子ほか, 臨牀と研究, 70 (6), 1934, (1993) |
改訂履歴 |
2017年2月 改訂 |
文献請求先 |
サンファーマ株式会社 |
業態及び業者名等 |
製造販売元 |
[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] | 2021/4/20 版 |