<筋緊張状態の改善>
通常成人には、チザニジンとして3mgを1日3回に分けて食後に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
<痙性麻痺>
通常成人には、チザニジンとして1日3mgより投与を始め、効果をみながら1日6〜9mgまで漸増し、1日3回に分けて食後に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
反射運動能力の低下、眠気、めまい及び低血圧等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。
9.2 腎機能障害患者
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝障害のある患者
投与しないこと。本剤は主として肝で代謝される。また、肝機能の悪化が報告されている。[
2.3参照]
9.3.2 肝障害のある患者(重篤な肝障害のある患者を除く)
本剤は主として肝で代謝される。また、肝機能の悪化が報告されている。[
11.1.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で、大量投与(100mg/kg)により奇形(脳ヘルニア、小眼球)の増加及び10〜30mg/kg投与により胎児重量の低下、化骨遅延、出生児の死亡等が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
9.8 高齢者
9.8.1 高い血中濃度が持続するおそれがあるので減量するなど注意すること。本剤は主として腎から排泄される。また、一般に腎機能が低下していることが多い。[
9.2、
16.6.1参照]
9.8.2 血圧低下があらわれることがあるので、特に注意すること。[
11.1.2参照]
相互作用序文
本剤は主として肝代謝酵素チトクロームP450(CYP)1A2で代謝されるので、本酵素の活性に影響を与える薬剤を併用する場合には注意すること。特にCYP1A2を阻害する薬剤との併用により、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。また、CYP1A2を誘導する薬剤との併用により、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
薬物代謝酵素用語
CYP1A2
10.1 併用禁忌
フルボキサミン (ルボックス、デプロメール) シプロフロキサシン (シプロキサン等) [2.2参照] | フルボキサミン又はシプロフロキサシンとの併用により、本剤の血中濃度が上昇し、AUCがそれぞれ33倍、10倍に上昇したとの報告がある。 臨床症状として、著しい血圧低下、傾眠、めまい及び精神運動能力の低下等があらわれることがあるので併用しないこと。 | これらの薬剤がCYP1A2を阻害し、本剤の血中濃度を上昇させると考えられる。 |
10.2 併用注意
降圧剤 降圧利尿剤等 [11.1.2参照] | 低血圧及び徐脈があらわれることがある。 | 本剤の中枢性α2刺激作用により降圧作用が増強されるため。 |
中枢神経抑制剤 アルコール | 眠気等の副作用が増強されるおそれがある。 | いずれも中枢神経抑制作用を有するため。 |
抗不整脈剤 アミオダロン メキシレチン プロパフェノン シメチジン ニューキノロン系抗菌剤 エノキサシン ノルフロキサシン 黄体・卵胞ホルモン剤 経口避妊薬 チクロピジン | 本剤の血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがある。 | これらの薬剤がCYP1A2を阻害し、本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。 |
CYP1A2を誘導する薬剤 リファンピシン 喫煙等 | 本剤の血中濃度が低下し、本剤の作用が減弱するおそれがある。 リファンピシンとの併用により本剤の血中濃度が50%低下することがあるため、併用投与の必要がある場合には、慎重に用量調節(増量)を行うこと。 また、男性喫煙者(>10本/日)に本剤を投与したことにより、本剤のAUCが約30%減少したとの報告がある。 | これらの薬剤がCYP1A2を誘導することにより、本剤の血中濃度が低下し、本剤の治療効果が減弱するおそれがある。 |
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(頻度不明)
血圧低下、徐脈、顔面蒼白、冷汗、呼吸困難、意識消失等があらわれることがある。
11.1.2 急激な血圧低下(頻度不明)
投与開始初期に急激な血圧低下があらわれることがある。特に高齢者及び降圧剤との併用例では注意すること。[
9.8.2、
10.2参照]
11.1.3 心不全(頻度不明)
11.1.4 呼吸障害(頻度不明)
喘鳴、喘息発作、呼吸困難等があらわれることがある。
11.1.5 肝炎、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALT等の著しい上昇、悪心・嘔吐、食欲不振、全身倦怠感等を伴う肝炎、肝機能障害、黄疸があらわれることがある。[
9.3.2参照]
注)使用成績調査を含む
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 |
循環器 | 血圧低下 | 徐脈、動悸 | 失神 |
精神神経系 | 眠気、頭痛・頭重感、めまい(回転性めまい、浮動性めまい)・ふらつき | 知覚異常(しびれ感等)、構音障害(ろれつがまわらない等)、不眠 | 幻覚、錯乱 |
消化器 | 口渇、悪心、食欲不振、胃部不快感、腹痛、下痢 | 胃もたれ、便秘、口内炎、舌のあれ、口中苦味感、流涎 | − |
肝臓 | AST、ALTの上昇 | ALPの上昇 | − |
過敏症 | 発疹、皮膚そう痒感 | 蕁麻疹、紅斑 | 血管性浮腫 |
その他 | 脱力・倦怠感 | 浮腫、尿閉、霧視 | 眼瞼下垂 |
13.1 症状
悪心、嘔吐、血圧低下、徐脈、QT延長、めまい、縮瞳、呼吸窮迫、不穏、傾眠、昏睡等
13.2 処置
活性炭投与あるいは、強制利尿などにより薬物除去を行う。
15.2 非臨床試験に基づく情報
動物実験(サル)により精神依存の形成が示唆されたとの報告がある。
16.1 血中濃度
健康成人にテルネリン錠1mgを2錠又は顆粒0.2%を1g(チザニジンとして2mg)それぞれ1回経口投与した場合の血漿中濃度の推移は次のとおりである。
また、薬物動態パラメータから両剤の生物学的同等性が確認された。
| Tmax(h) | Cmax(ng/mL) | AUC0→10(ng・h/mL) | T1/2(h) |
顆粒 | 0.75 | 1.75 | 4.84 | 1.51 |
錠剤 | 1 | 1.83 | 4.77 | 1.58 |
チザニジン2mg(テルネリン錠剤2錠又は顆粒剤1g)を1回投与後の血漿中濃度の推移(平均値±S.E.,n=24)
16.4 代謝
チザニジンは吸収後速やかに代謝され、主代謝経路はイミダゾリン環の酸化又は芳香環の酸化とそれに続くグルクロン酸抱合体あるいは硫酸抱合体の形成であった(外国人のデータ)。
16.5 排泄
健康成人に14Cチザニジン5mgを1回経口投与後の総放射能排泄率は尿中53.0%及び糞中23.2%であった(120時間値)。尿、糞中への未変化体の排泄はわずかであった(外国人のデータ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎不全患者における薬物動態
腎不全患者(クレアチニンクリアランス25mL/分以下)及び健康成人(クレアチニンクリアランス90mL/分以上)に本剤4mgを1回経口投与した後の薬物動態を比較したところ、腎不全患者ではAUCは約7倍、最高血中濃度は約2倍であり、血中濃度の上昇が観察された
1)(外国人のデータ)。[
9.2、
9.8.1参照]
18.1 作用機序
チザニジンは中枢性のアドレナリンα2作動効果を有し、脊髄及び脊髄上位中枢に作用して、固縮緩解作用、脊髄反射抑制作用等の筋緊張緩和作用を有する。
18.2 行動薬理学的検討
一般行動(サル)、斜面法(マウス)及び回転円筒法(マウス)等における行動観察により本剤の筋弛緩作用が認められる。
18.3 実験的固縮緩解作用
骨格筋の異常緊張モデルである貧血性除脳固縮(α-固縮)及び上丘・下丘間除脳固縮(γ-固縮)を緩解する(ラット)。
18.4 脊髄反射抑制作用
脊髄後根刺激による多シナプス反射電位を抑制するが、単シナプス反射電位を抑制する作用は弱い(ラット、ネコ)。
また、多シナプス反射の一つである脚の交差性伸展反射を抑制する(ヒヨコ)。
18.5 γ-運動ニューロンに対する抑制
筋紡錘を直接に抑制しないが、脊髄からのγ-運動ニューロンを抑制して二次的に筋紡錘の感度を低下する(ラット)。
18.6 抗侵害受容作用
侵害刺激に対する脊髄後角ニューロンの興奮を抑制するが、非侵害刺激に対する反応は抑制しない(ネコ)。
<錠>
20.1 アルカリ性薬剤と配合しないこと。アルカリ性薬剤(アミノフィリン等)との配合により外観が黄色に変化することがある。
<顆粒>
20.2 アルカリ性薬剤、吸湿性の薬剤と配合しないこと。アルカリ性薬剤(アミノフィリン等)との配合により外観が黄色に変化することがある。また、吸湿性の薬剤との配合により固化することがある。