医療用医薬品 : アシアロシンチ

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医薬品情報


総称名 アシアロシンチ
薬効分類名 放射性医薬品
肝機能診断薬
薬効分類番号 4300
ATCコード V09GA04
KEGG DRUG
D08759 ガラクトシル人血清アルブミンジエチレントリアミン五酢酸テクネチウム
KEGG DGROUP
DG01192 テクネチウム(99mTc)ヒトアルブミン
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年11月 改訂(第2版)


本剤は,貴重な血液を原料として製剤化されたものです。問診,感染症関連の検査等の安全対策を講じていますが,血液を原料としていることに由来する感染症の伝播等の危険性を完全に排除することはできないことから,疾病の診断上の必要性を十分に検討の上,必要最小限の使用にとどめるようお願いします。

商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
アシアロシンチ注 ASIALOSCINTI Injection 日本メジフィジックス 4300435A1020 84.1円/MBq 生物由来製品, 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

シンチグラフィによる肝臓の機能及び形態の診断

6. 用法及び用量

通常,成人には185MBq(1mL)を静脈内投与し,胸腹部前面に検出器を向け,投与直後から経時的にシンチグラムを得ると共に,データ収集及び処理を行うことにより,肝機能指標を得る。

8. 重要な基本的注意

診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断される場合にのみ投与することとし,投与量は最小限度にとどめること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には,診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
診断上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し,授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症発疹
消化器嘔吐,嘔気
その他顔面潮紅

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健常成人男子において,本剤は,静脈内投与された後,血中から2相性を示しながら急速に消失した1)
16.3 分布
16.3.1 健常成人男子において,本剤は,静脈内投与された後,肝臓に集積した。
投与直後から24時間まで,主たる集積臓器は肝臓であり,シンチグラム上,血液プール並びに肝臓〜腸管及び腎臓〜膀胱の排泄系以外の臓器への放射能の集積は認められなかった1)
16.3.2 吸収線量
MIRD法により算出した吸収線量は次のとおりである。
 吸収線量(mGy/MBq)
肝臓0.054
胆のう0.065
小腸0.026
大腸上部0.049
大腸下部0.030
腎臓8.1×10−3
膀胱0.015
赤色骨髄5.4×10−3
卵巣0.010
精巣1.1×10−3
全身4.6×10−3
16.4 代謝
血中の放射化学的成分は,その80%前後が本剤の未変化体であると考えられるたん白成分であり,本剤は血液中で比較的安定に存在することが示唆された。また,尿中の放射化学的成分はほとんどが低分子成分であり,肝臓で分解されて生じた低分子成分が再び血液中に放出された後,尿中に排泄されたものと考えられた1)
16.5 排泄
投与後24時間までの累積尿中排泄率は17〜28%,累積糞中排泄率は24〜46%で,主排泄経路は胆道〜糞中であった1)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験
肝疾患患者460例を対象に有効性が検討され,460例中判定不能とされた1例を除く459例(99.8%)で本剤の有効性が次のとおり認められた。
急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変,アルコール性慢性肝炎,脂肪肝,閉塞性黄疸,肝腫瘍,その他の肝疾患
疾患名有効例数/症例数有効率
急性肝炎13/13100%
慢性肝炎372/37399.7%
閉塞性黄疸13/13100%
肝腫瘍35/35100%
その他の肝疾患26/26100%
更に,本剤のシンチグラム所見によって,肝の形態のみならず肝機能障害の重症度を視覚的に判定することも可能であった2)
本剤の血中消失及び肝集積に基づく肝機能指標の臨床的有効性について,以下のような知見が得られた2)
・慢性肝疾患では肝障害の進行に伴って有意な変化を示し,従来の肝機能検査,特に肝予備能を反映するとされているICG検査,CTCスコアと高い相関を示し,新しい肝機能指標として有効であると考えられた。
・急性肝疾患では病態の重症度に応じた値が得られ,血液凝固系の臨床検査値とも有意な相関を示し,急性期の病態を反映した肝機能評価が可能であった。
・高度の黄疸を有する患者でも,血清中のビリルビンに影響されることなく肝機能を評価することが可能であった。
・肝切除術前後では,術前後の肝細胞数の変化を反映すると考えられる肝機能指標が得られた。
全576例に対し,本剤に起因する異常所見は認められなかった。

18. 薬効薬理

18.1 測定法
本剤の有効成分に含まれる放射性核種から放出される放射線(ガンマ線)が核医学検査装置により画像化される。
18.2 集積機序
アシアロ糖たん白(ASGP)受容体は,哺乳類の肝細胞にのみ存在し,ASGPのガラクトース残基を認識してASGPを肝細胞内に取り込む3)。アルブミンにガラクトースを結合させた本剤のような合成糖たん白も,天然のASGPと生理的に等価にASGP受容体に取り込まれる4)。ASGP受容体量は肝疾患の病態によって減少することが知られており5),放射性核種で標識した合成糖たん白を投与し体内での肝集積の様相を評価することによって肝機能を診断することができる1)2)6)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1.

核物理学的特性 99mTcとして):
・物理的半減期:6.0067時間
・主γ線エネルギー:141keV(89.1%)
理化学知見その他 19.1 ガラクトシル人血清アルブミンジエチレントリアミン五酢酸テクネチウム(99mTc)

20. 取扱い上の注意

本剤は,医療法その他の放射線防護に関する法令,関連する告示及び通知等を遵守し,適正に使用すること。

22. 包装

185MBq(1mL)[1バイアル]

23. 主要文献

  1. 鳥塚莞爾,他, 核医学, 28, 1321-1331, (1991) »PubMed
  2. 鳥塚莞爾,他, 核医学, 29, 159-181, (1992) »PubMed
  3. Ashwell G,et al., Advan Enzymol, 41, 99-128, (1974) »PubMed
  4. Stowell CP,et al., J Biol Chem, 253, 6107-6110, (1978) »PubMed
  5. Sawamura T,et al., Gastroenterology, 87, 1217-1221, (1984) »PubMed
  6. 鳥塚莞爾,他, 核医学, 29, 85-95, (1992) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日本メジフィジックス株式会社 メディカルインフォメーション担当
〒136-0075 東京都江東区新砂3丁目4番10号
電話:0120-07-6941(フリーダイヤル)
製品情報問い合わせ先
日本メジフィジックス株式会社 メディカルインフォメーション担当
〒136-0075 東京都江東区新砂3丁目4番10号
電話:0120-07-6941(フリーダイヤル)

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
日本メジフィジックス株式会社
東京都江東区新砂3丁目4番10号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版