医療用医薬品 : カルディオダイン

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医薬品情報


総称名 カルディオダイン
薬効分類名 放射性医薬品
心疾患診断薬
薬効分類番号 4300
KEGG DRUG
D06608 ヨードフィルト酸
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2022年3月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
カルディオダイン注 CARDIODINE Injection 日本メジフィジックス 4300438A1023 318円/MBq 処方箋医薬品注)

4. 効能または効果

脂肪酸代謝シンチグラフィによる心疾患の診断

6. 用法及び用量

通常,成人には本剤74〜148MBqを静脈内投与する。投与後15〜30分より被検部に検出器を向け,撮像もしくはデータ収集を行いシンチグラムを得る。
投与量は年齢,体重により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断される場合にのみ投与することとし,投与量は最小限度にとどめること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には,診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
診断上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し,授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
過敏症発疹,そう痒感
呼吸器呼吸困難
消化器嘔気
循環器血圧上昇,血圧低下
精神神経系痙攣,失神,意識低下
その他異臭,味覚異常口内異常感,注射部疼痛顔面蒼白,脱力感,注射部腫脹

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
注射漏れをおこすと投与部位に痛みを生じることがあるので,投与に際しては薬液が血管外に漏出しないように注意すること。

16. 薬物動態

16.3 分布
16.3.1 健常成人男子において本剤111MBqを静注後,血中から半減期2.5分で速やかに消失し,心筋,肝臓及び全身の筋肉など脂肪酸代謝が営まれる主な臓器に集積した。心筋集積率は静注後1.5時間及び3時間でそれぞれ5.4%及び5.1%であり,心筋からの洗い出しは緩徐であった。肝臓での集積率は静注後1.5時間及び3時間でそれぞれ10.0%及び8.7%であり,洗い出しは心筋に比しやや速やかであった1)
16.3.2 吸収線量
MIRD法により算出した吸収線量は次のとおりである。
 吸収線量(mGy/MBq)
心臓0.057
肝臓0.038
腎臓0.011
脾臓0.010
膀胱0.043
赤色骨髄0.013
卵巣0.011
精巣7.6×10−3
全身0.010
16.4 代謝
健常成人男子において本剤111MBqを静注した場合,血中での未変化体(123I-BMIPP)は,静注後60分では14.0%まで経時的に減少したが,主な代謝物である4-ヨードフェニル酢酸(123I)(123I-PIPA)は約70%を占めた。
尿中では未変化体は認められなかった。また,主な放射化学的成分は123I-PIPAのグルタミン抱合体及びグルクロン酸抱合体であった。本剤は静注後,各組織に取り込まれて123I-PIPAに代謝された後,肝臓等でグルタミン抱合又はグルクロン酸抱合を受けて,水溶性物質として主に尿中に排泄されると考えられた。
16.5 排泄
累積尿中排泄率は静注後6時間及び24時間においてそれぞれ約10%及び約22%であった1)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相臨床試験
以下の心疾患を対象に有効性が検討され,546例中540例(98.9%)において本剤の有効性が認められた2)
全587例に対し,副作用を21例に認め,その内訳は異臭,味覚異常等19例,注射部疼痛2例であった。
・急性心筋梗塞,陳旧性心筋梗塞,狭心症,心筋症,高血圧性心疾患,心臓弁膜疾患,心筋炎,その他の心疾患
疾患名有効例数/症例数有効率
虚血性心疾患注1288/28999.7%
心筋症184/18897.9%
その他の心疾患注268/6998.6%
本剤の心疾患診断における臨床的有効性に関する,以下のような知見が得られている。
・虚血性心疾患
心筋梗塞において201Tlによる血流検査と比較したとき,急性心筋梗塞や血行再建術後症例では,血流障害範囲に比し,より広範な代謝異常又は血流回復後にも持続する脂肪酸代謝異常を示し,また,時間経過と共に脂肪酸代謝や,壁運動の回復を評価することが可能であった2)3)
狭心症では労作性狭心症や不安定狭心症など各々の狭心症の病態における重症度を反映した所見が得られ,責任冠動脈の同定が可能であった4)
虚血性心疾患において,安静時における本剤と201Tlの集積乖離領域は負荷201Tlの再分布領域と一致し,障害心筋の生存能評価に有用であった5)
・心筋症
心筋症では,201Tlより相対的に集積低下が大きく,特に肥大型心筋症においては肥大心における血流障害に先行して発現すると考えられる広範な代謝異常を捉えることが可能であった。また,Ca拮抗薬における治療効果の判定にも有用であった6)
・その他の心疾患
弁膜性心疾患,高血圧性心疾患及び心筋炎などの疾患において,左室負荷による利用エネルギー基質の変化や,冠血流異常に先行した代謝異常を把握することが可能であった。

18. 薬効薬理

18.1 測定法
本剤の有効成分に含まれる放射性核種から放出される放射線(ガンマ線)が核医学検査装置により画像化される。
18.2 集積機序
本剤は,脂肪酸として細胞内に取り込まれた後,アシルCoA合成酵素によって活性化され,トリグリセリド及びミトコンドリアに取り込まれる。脂肪酸のβ位にメチル基が導入されているためにα酸化,β酸化を受けて代謝されるが,第一段階で直接β酸化を受けるわけではないので心筋細胞内に長くとどまる7)。本剤の局所心筋内分布は心筋細胞内のATP濃度8),トリグリセリド含有量9)及びミトコンドリア機能10)の変化を反映するなど,脂肪酸としての特徴を有する。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1.

核物理学的特性 123Iとして):
・物理的半減期:13.2235時間
・主γ線エネルギー:159keV(83.3%)
理化学知見その他 19.1 15-(4-ヨードフェニル)-3(R,S)-メチルペンタデカン酸(123I)

20. 取扱い上の注意

本剤は,医療法その他の放射線防護に関する法令,関連する告示及び通知等を遵守し,適正に使用すること。

22. 包装

111MBq(1.5mL)[1シリンジ],
148MBq(2mL)[1シリンジ]

23. 主要文献

  1. 鳥塚莞爾,他, 核医学, 28, 681-690, (1991) »PubMed
  2. 鳥塚莞爾,他, 核医学, 29, 413-433, (1992) »PubMed
  3. 植原敏勇,他, 核医学, 29, 347-358, (1992) »PubMed
  4. 岡俊明,他, 核医学, 33, 279-284, (1996) »PubMed
  5. 河本雅秀,他, 核医学, 28, 1081-1089, (1991) »PubMed
  6. 両角隆一,他, 核医学, 30, 1037-1047, (1993) »PubMed
  7. Yamamichi Y,et al., J Nucl Med, 36, 1043-1050, (1995) »PubMed
  8. Fujibayashi Y,et al., J Nucl Med, 31, 1818-1822, (1990) »PubMed
  9. 藤林靖久,他, 核医学, 25, 1131-1135, (1988) »PubMed
  10. 緒方雅彦, 核医学, 26, 69-76, (1989) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日本メジフィジックス株式会社 メディカルインフォメーション担当
〒136-0075 東京都江東区新砂3丁目4番10号
電話:0120-07-6941(フリーダイヤル)
製品情報問い合わせ先
日本メジフィジックス株式会社 メディカルインフォメーション担当
〒136-0075 東京都江東区新砂3丁目4番10号
電話:0120-07-6941(フリーダイヤル)

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
日本メジフィジックス株式会社
東京都江東区新砂3丁目4番10号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版