医療用医薬品 : ロラメット

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医薬品情報


総称名 ロラメット
一般名 ロルメタゼパム
欧文一般名 Lormetazepam
製剤名 ロルメタゼパム錠
薬効分類名 睡眠導入剤
薬効分類番号 1124
ATCコード N05CD06
KEGG DRUG
D01657 ロルメタゼパム
KEGG DGROUP
DG03202 睡眠薬
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2022年6月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ロラメット錠1.0 LORAMET TABLETS あすか製薬 1124010F1030 13.8円/錠 向精神薬(第三種向精神薬), 習慣性医薬品注1), 処方箋医薬品注2)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 急性閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。]
2.2 重症筋無力症の患者[筋弛緩作用により症状が悪化するおそれがある。]
2.3 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

不眠症

6. 用法及び用量

ロルメタゼパムとして、通常、成人には1回1〜2mgを就寝前に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、高齢者には1回2mgを超えないこと。

7. 用法及び用量に関連する注意

不眠症には、就寝の直前に服用させること。また、服用して就寝した後、睡眠途中において一時的に起床して仕事等をする可能性があるときは服用させないこと。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤の影響により、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
8.2 連用により薬物依存を生じることがあるので、漫然とした継続投与による長期使用を避けること。本剤の投与を継続する場合には、治療上の必要性を十分に検討すること。[11.1.1参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 肺性心、肺気腫、気管支喘息及び脳血管障害の急性期等で呼吸機能が高度に低下している患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。炭酸ガスナルコーシスを起こしやすい。[11.1.3参照]
9.1.2 衰弱患者
作用が強くあらわれるおそれがある。
9.1.3 心障害のある患者
症状が悪化するおそれがある。
9.1.4 脳に器質的障害のある患者
作用が強くあらわれるおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
排泄が遅延するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
排泄が遅延するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.5.1 妊娠中に他のベンゾジアゼピン系化合物の投与をうけ、出生した新生児に口唇裂(口蓋裂を伴うものを含む)等が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある。
9.5.2 妊娠後期の女性にベンゾジアゼピン系化合物を投与したとき、新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神経過敏、振戦、低体温、頻脈等を起こすことが報告されている。なお、これらの症状は、離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある。また、ベンゾジアゼピン系化合物で新生児に黄疸の増強を起こすことが報告されている。
9.5.3 分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状があらわれることが、ベンゾジアゼピン系化合物で報告されている。
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。ヒト母乳中への移行が報告されている。また、新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことが他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム)で報告されており、黄疸を増強する可能性がある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
少量から投与を開始し、経過を十分に観察しながら慎重に投与すること。運動失調等の副作用が発現しやすい。

10. 相互作用

10.2 併用注意
中枢神経抑制剤
フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体、オピオイド鎮痛剤等
モノアミン酸化酵素阻害剤
眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下、鎮静、呼吸抑制、昏睡が起こることがあるので、併用する場合は、本剤を減量するなど慎重に投与すること。相互に中枢神経抑制作用を増強することがある。
アルコール(飲酒)眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下を増強することがある。相互に中枢神経抑制作用を増強することがある。
マプロチリン塩酸塩(1)眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下を増強することがある。
(2)併用中の本剤を急速に減量又は中止すると痙攣発作が起こることがある。
(1)相互に中枢神経抑制作用を増強することがある。
(2)本剤の抗痙攣作用により抑制されていたマプロチリン塩酸塩の痙攣誘発作用が本剤の減量・中止によりあらわれることがある。
ダントロレンナトリウム水和物筋弛緩作用を増強することがある。相互に筋弛緩作用を増強することがある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 依存性(頻度不明)
連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること。
また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、痙攣発作、せん妄、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。[8.2参照]
11.1.2 刺激興奮、錯乱(いずれも頻度不明)
11.1.3 呼吸抑制、炭酸ガスナルコーシス(いずれも頻度不明)
呼吸機能が高度に低下している患者に投与した場合、炭酸ガスナルコーシスを起こすことがあるので、このような場合には気道を確保し、換気をはかるなど適切な処置を行うこと。[9.1.1参照]
11.1.4 一過性前向性健忘、もうろう状態(いずれも頻度不明)
本剤を投与する場合には少量から開始するなど、慎重に行うこと。なお、十分に覚醒しないまま、車の運転、食事等を行い、その出来事を記憶していないとの報告がある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
過敏症  そう痒感発疹
精神神経系眠気、ふらつき頭重感、頭痛、めまい、不快感、健忘 意識レベル低下、激越、会話障害、味覚障害、多夢、感情鈍麻、せん妄
肝臓   肝機能異常(AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇等)
血液   白血球減少、赤血球減少、ヘモグロビン減少
消化器 食欲不振、悪心・吐気 口渇、腹痛
その他倦怠感脱力感、目・耳の変調手足のしびれ、顔のむくみ、寝汗排尿異常、疲労

13. 過量投与

13.1 症状
意識障害、呼吸抑制、低血圧等を生じ、昏睡に至ることがある。
13.2 処置
本剤の過量投与が明白又は疑われた場合の処置としてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与する場合には、使用前にフルマゼニルの使用上の注意を必ず読むこと。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
投与した薬剤が特定されないままにフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与された患者で、新たに本剤を投与する場合、本剤の鎮静・抗痙攣作用が変化、遅延するおそれがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人男子(8名)にロルメタゼパム1mgを経口投与したところ、速やかに吸収され投与後1〜2時間で血漿中有効成分濃度は約9ng/mLの最高濃度に達し、消失半減期は約10時間であった1)
16.5 排泄
主な代謝物はロルメタゼパムのグルクロン酸抱合体であり、投与24時間後までに投与量の70〜80%が尿中に排泄された1)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II相試験及び国内第III相試験
国内で実施された二重盲検比較試験2)を含む臨床試験において、評価対象総計1,087例における臨床成績は次のとおりである。
疾患名改善以上例数/評価対象例数改善率
睡眠障害567/1,08752.2%
総症例1,096例中188例(17.2%)に副作用が認められた。主な副作用は、眠気95件(8.7%)、倦怠感61件(5.6%)、ふらつき59件(5.4%)、頭重感35件(3.2%)、頭痛25件(2.3%)、めまい15件(1.4%)等であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ロルメタゼパムは、脳膜受容体標品を用いた受容体親和性試験において、ベンゾジアゼピン受容体に対し高い親和性を示しており3)、他のベンゾジアゼピン系化合物と同様にGABA系ニューロンを介して大脳辺縁系や視床下部を抑制することにより、睡眠を導入すると考えられている。
18.2 薬理作用
ロルメタゼパムは、既存のベンゾジアゼピン系化合物と類似の薬理作用スペクトルを有しており、ジアゼパムよりも強力な睡眠増強作用(マウス)4)、抗不安作用(ラット)4)とジアゼパムより弱い筋弛緩作用(マウス)5)を示した。
18.3 終夜睡眠脳波に及ぼす影響
ロルメタゼパム2mgを健康男子(6名)に経口投与したところ、入眠潜時及び中途覚醒時間の減少、全睡眠時間の増加が認められた。また、睡眠の各段階に対しては、Stage 1及びレム睡眠を軽度減少させたが、徐波睡眠(Stage 3、4)には影響を及ぼさなかった6)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ロルメタゼパム

一般的名称 ロルメタゼパム
一般的名称(欧名) Lormetazepam
化学名 (±)-7-Chloro-5-(2-chlorophenyl)-3-hydroxy-1-methyl-1H-1,4-benzodiazepin-2(3H)-one
分子式 C16H12Cl2N2O2
分子量 335.18
融点 198〜210℃(分解)
物理化学的性状 白色〜淡黄色の結晶性の粉末である。
におい及び味はない。
クロロホルムに溶けやすく、メタノール、酢酸(100)、無水酢酸又はアセトンにやや溶けにくく、エタノール(95)又はジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D01657

22. 包装

100錠[10錠(PTP)×10]
500錠[瓶、バラ]
1,000錠[10錠(PTP)×100]

23. 主要文献

  1. 社内資料:Lormetazepam製剤の健康成人における生物学的同等性試験
  2. 栗原雅直他, 臨床評価, 16 (4), 661-685, (1988)
  3. Dorow,R.G.et al., Br.J.Clin.Pharmac., 13 (4), 561-565, (1982) »PubMed
  4. 植木昭和他, 日本薬理学雑誌, 86 (2), 145-163, (1985) »PubMed
  5. 大幡勝也他, 応用薬理, 29 (6), 913-925, (1985)
  6. 小鳥居 湛他, 臨床精神医学, 14 (6), 991-1001, (1985)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
あすか製薬株式会社 くすり相談室
〒108-8532 東京都港区芝浦二丁目5番1号
電話:0120-848-339
FAX:03-5484-8358
製品情報問い合わせ先
あすか製薬株式会社 くすり相談室
〒108-8532 東京都港区芝浦二丁目5番1号
電話:0120-848-339
FAX:03-5484-8358

25. 保険給付上の注意

本剤は厚生労働省告示第107号(平成18年3月6日付)に基づき、投薬は1回30日分を限度とされています。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
あすか製薬株式会社
東京都港区芝浦二丁目5番1号
26.2 販売元
武田薬品工業株式会社
大阪市中央区道修町四丁目1番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版