医療用医薬品 : グリセリン

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医薬品情報


総称名 グリセリン
一般名 グリセリン
欧文一般名 Glycerin
製剤名 ディスポーザブル浣腸
薬効分類名 グリセリン製剤
薬効分類番号 2357
ATCコード A06AG04 A06AX01
KEGG DRUG
D00028 グリセリン
KEGG DGROUP
DG01770 便秘薬
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2022年6月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
グリセリン浣腸「オヲタ」小児用30 GLYCERIN ENEMAS 「OHTA」 帝國製薬 2357701K3043 102.8円/個
グリセリン浣腸「オヲタ」60 GLYCERIN ENEMAS 「OHTA」 帝國製薬 2357701K6050 124.2円/個
グリセリン浣腸「オヲタ」120 GLYCERIN ENEMAS 「OHTA」 帝國製薬 2357701K8045 156.8円/個
グリセリン浣腸「オヲタ」150 GLYCERIN ENEMAS 「OHTA」 帝國製薬 2357701K9041 184.2円/個

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 腸管内出血、腹腔内炎症のある患者、腸管に穿孔又はそのおそれのある患者[腸管外漏出による腹膜炎の誘発、蠕動運動亢進作用による症状の増悪、グリセリンの吸収による溶血、腎不全を起こすおそれがある。][9.1.1参照]
2.2 全身衰弱の強い患者[強制排便により衰弱状態を悪化させ、ショックを起こすおそれがある。]
2.3 下部消化管術直後の患者[蠕動運動亢進作用により腸管縫合部の離解をまねくおそれがある。]
2.4 吐気、嘔吐又は激しい腹痛等、急性腹症が疑われる患者[症状を悪化させるおそれがある。]

4. 効能または効果

便秘、腸疾患時の排便

6. 用法及び用量

通常、1回1個を直腸内に注入する。なお、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

連用による耐性の増大等のため効果が減弱し、薬剤に頼りがちになることがあるので長期連用を避けること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 局所(腸管、肛門)に炎症・創傷のある患者
出血を促しグリセリンが吸収され溶血を、また、腎不全を起こすおそれがある。[2.1参照]
9.1.2 腸管麻痺のある患者
蠕動運動亢進作用により腹痛等の症状を増悪させるおそれがある。
9.1.3 重症の硬結便のある患者
浣腸剤では十分な効果が得られず、腹痛等の症状を増悪させるおそれがある。
9.1.4 重篤な心疾患のある患者
症状を増悪させるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性に投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。子宮収縮を誘発して流早産を起こすおそれがある。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
乳児に投与する場合は慎重に投与すること。患児側の反応を十分に把握できない場合、過量投与に陥りやすい。
9.8 高齢者
少量から開始するなど慎重に投与すること。高齢者では過度の瀉下作用により体液量の減少等をきたし、脱水等を起こすおそれがある。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症発疹等
消化器腹痛、腹鳴、腹部膨満感、直腸不快感、肛門部違和感・熱感、残便感等
循環器血圧変動

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 浣腸用にのみ使用すること。
14.1.2 注入に際し、直腸粘膜を損傷することがあるので、慎重に挿入すること。
挿入時、損傷を起こし、出血がみられた場合、グリセリンが血管内に入り、溶血を起こすおそれがある。
14.1.3 患者の状態を観察しながら投与し、異常が認められた場合には直ちに投与を中止すること。
14.2 薬剤交付時の注意
連続の使用を避け、1個を1回で使用し、使用残液は容器ごと廃棄すること。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
グリセリン浣腸「オヲタ」60について国内1施設で実施された一般臨床試験32例中、87.5%(28/32)に有効性が認められた。
また、挿入時の痛み、出血等の副作用の発生はなかった1)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
浣腸目的としての希薄溶液では、直腸内の水分を奪取することにより局所を刺激し、また便の軟化潤滑作用により排便を促す。
18.2 瀉下作用
Wistar系雄性ラットを用いて、グリセリン浣腸「オヲタ」60を肛門部より直腸内投与して2時間にわたり便の状態を観察し、瀉下効果発現率から50%瀉下効果量を算出した結果は、1.3mL/kgであった2)
18.3 腸管運動に対する作用
日本白色種雄性ウサギを用いて、グリセリン浣腸「オヲタ」60を結腸内に投与して腸管の収縮頻度及び最大収縮力を検討した結果、収縮頻度においては生理食塩水投与群と統計学的に差は認められなかったが、最大収縮力は生理食塩水投与群に対して有意な収縮力の増大を示した2)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. グリセリン

一般的名称 グリセリン
一般的名称(欧名) Glycerin
分子式 C3H8O3
分子量 92.09
物理化学的性状 無色澄明の粘性の液である。水又はエタノール(99.5)と混和する。吸湿性である。
KEGG DRUG D00028

22. 包装

<グリセリン浣腸「オヲタ」150>
150mL×10
<グリセリン浣腸「オヲタ」120>
120mL×10
<グリセリン浣腸「オヲタ」60>
60mL×10
<グリセリン浣腸「オヲタ」小児用30>
30mL×20

23. 主要文献

  1. 勝健一ほか, 基礎と臨床, 15 (11), 149-52, (1981)
  2. 帝國製薬株式会社 社内資料(薬効薬理に関する資料)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日医工株式会社 お客様サポートセンター
〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21
電話:0120-517-215
FAX:076-442-8948
製品情報問い合わせ先
日医工株式会社 お客様サポートセンター
〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21
電話:0120-517-215
FAX:076-442-8948

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
帝國製薬株式会社
香川県東かがわ市三本松567番地
26.2 販売元
日医工株式会社
富山市総曲輪1丁目6番21

その他の説明

本剤の使用方法
本剤は薬液の完全密封構造になっています。ご使用の際は下記の方法に従い、お使いください。詳細は、添付の「取り扱い方法と注意点」をご覧ください。
<60、120、150> ※成人用
姿勢
[1]左側を下に横向きに寝て、ひざを軽くお腹の方に曲げ、やや前屈の姿勢をとります
●正しい姿勢をとることで、腸のカーブしている部分の角度がゆるやかになり、チューブ挿入の際に腸を傷つける危険を軽減します。
立った状態での浣腸処置は危険ですので行わないでください
●立った状態では、お腹に圧力がかかることによって腸のカーブしている部分の角度が鋭角になり、チューブ挿入の際に腸を傷つけてしまうおそれがあります。
温度
[2]袋ごとお湯(50℃未満)に入れ、体温程度に温めます
●体温より高い温度で注入するとやけどするおそれがあるのでご注意ください。
●チューブは折り曲げず、必ず袋ごと温めてください。
ストッパーの調節
[3]ストッパーの先端を5〜7に合わせます
●成人の場合、チューブ挿入の長さの目安は5〜7cmです。
肛門から約6〜7cm挿入すると、腸のカーブしている部分にぶつかります。そのため、7cmを超えてのチューブの挿入は危険です。(設定したストッパー位置より深く挿入しないことが重要です)
開栓
[4]チューブを上向きにして、アダプターを左右どちらかに1回転して開栓します
●アダプターを、曲げるようにして無理に回すと、液漏れをおこすことがあります。ご注意ください。
●アダプターの根元は強く押さえないでください。
●アダプターは回しすぎてもはずれる心配はありません。
無理な力を加えたり曲げたりしない
キャップ
[5]キャップを回しながらはずします
●キャップ内側の潤滑剤をチューブ先端全体に塗布できます。
●キャップをつけたまま挿入すると、腸を傷つけるおそれがあります。キャップのはずし忘れにご注意ください。
挿入
[6]初めにチューブの先端を持って1〜2cm挿入し、その後ストッパーを持ちながら、ゆっくり挿入します
●挿入途中で抵抗を感じたり、不快感が生じた場合は、ただちに中止してください。
●挿入に際して抵抗が感じられる場合には便や痔などに衝突している可能性があります。無理に挿入したり、勢いをつけて挿入すると、腸を傷つけたり、腸に穴をあけてしまったりする危険があります。
注入
[7]少しずつゆっくりと浣腸液を注入します
●挿入・注入中は、大きく呼吸し、お腹の力を抜いてリラックスしてください。
●挿入・注入中に抵抗を感じたり、不快感が生じた場合には、ただちに中止し、医師に相談してください。
抜管
[8]ストッパーを確認しながら、ゆっくりチューブを抜き取ります
●肛門部をティッシュ等で押さえ、便意が強まってから排便させるようにしてください。
観察
[9]チューブを抜き取った後、チューブとストッパーに血液の付着などが無いか確認します
●通常、グリセリンは腸粘膜から吸収されることはありませんが、腸の粘膜が傷ついて傷口からグリセリン液が吸収されると、血液中の赤血球を破壊したり、腎臓に障害を起こしたりするおそれがあります。
チューブやストッパーに血液が付着している場合、直腸粘膜が傷ついている可能性がありますので、速やかに医師に相談してください。
●排便に伴い血圧変動などで気分が悪くなることがありますので充分な観察が必要です。
<小児用 30>
姿勢
[1]下のような姿勢をとります
乳児(オムツ年齢)
あおむけにし、両足をもちあげます
幼児以上
左側を下に横向きに寝かせ、ひざを軽くお腹の方に曲げてやや前屈の姿勢にします
温度
[2]袋ごとお湯(50℃未満)に入れ、体温程度に温めます
●体温より高い温度で注入するとやけどするおそれがあるのでご注意ください。
●チューブは折り曲げず、必ず袋ごと温めてください。
ストッパーの調節
[3]ストッパーの先端を3〜4に合わせます
●小児の場合、チューブ挿入の長さの目安は3〜4cmです。
●深く挿入しすぎると、腸のカーブしている部分にぶつかり、腸を傷つけるおそれがあり危険です。(設定したストッパー位置より深く挿入しないことが重要です)
開栓
[4]チューブを上向きにして、アダプターを左右どちらかに1回転して開栓します
●アダプターを、曲げるようにして無理に回すと、液漏れをおこすことがあります。ご注意ください。
●アダプターの根元は強く押さえないでください。
●アダプターは回しすぎてもはずれる心配はありません。
無理な力を加えたり曲げたりしない
キャップ
[5]キャップを回しながらはずします
●キャップ内側の潤滑剤をチューブ先端全体に塗布できます。
●キャップをつけたまま挿入すると、腸を傷つけるおそれがあります。キャップのはずし忘れにご注意ください。
挿入
[6]ストッパーを持ちながら、ゆっくり挿入します
●挿入途中で抵抗を感じたり、小児が不快感を訴えた場合は、ただちに中止してください。
●挿入に際して抵抗が感じられる場合には便や痔などに衝突している可能性があります。無理に挿入したり、勢いをつけて挿入すると、腸を傷つけたり、腸に穴をあけてしまったりする危険があります。
注入
[7]少しずつゆっくりと浣腸液を注入します
●挿入・注入中は、大きく呼吸し、お腹の力を抜くようにさせてください。
●挿入・注入中に抵抗を感じたり、小児が不快感を訴えた場合には、ただちに中止し、医師に相談してください。
抜管
[8]ストッパーを確認しながら、ゆっくりチューブを抜き取ります
●肛門部をティッシュ等で押さえ、便意が強まってから排便させるようにしてください。
観察
[9]チューブを抜き取った後、チューブとストッパーに血液の付着などが無いか確認します
●通常、グリセリンは腸粘膜から吸収されることはありませんが、腸の粘膜が傷ついて傷口からグリセリン液が吸収されると、血液中の赤血球を破壊したり、腎臓に障害を起こしたりするおそれがあります。
チューブやストッパーに血液が付着している場合、直腸粘膜が傷ついている可能性がありますので、速やかに医師に相談してください。
●排便に伴い血圧変動などで気分が悪くなることがありますので充分な観察が必要です。

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版