2.1 腸管内出血、腹腔内炎症のある患者、腸管に穿孔又はそのおそれのある患者[腸管外漏出による腹膜炎の誘発、蠕動運動亢進作用による症状の増悪、グリセリンの吸収による溶血、腎不全を起こすおそれがある。][
9.1.1参照]
2.2 全身衰弱の強い患者[強制排便により衰弱状態を悪化させ、ショックを起こすおそれがある。]
2.3 下部消化管術直後の患者[蠕動運動亢進作用により腸管縫合部の離解をまねくおそれがある。]
2.4 吐気、嘔吐又は激しい腹痛等、急性腹症が疑われる患者[症状を悪化させるおそれがある。]
通常、1回1個を直腸内に注入する。なお、症状により適宜増減する。
連用による耐性の増大等のため効果が減弱し、薬剤に頼りがちになることがあるので長期連用を避けること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 局所(腸管、肛門)に炎症・創傷のある患者
出血を促しグリセリンが吸収され溶血を、また、腎不全を起こすおそれがある。[
2.1参照]
9.1.2 腸管麻痺のある患者
蠕動運動亢進作用により腹痛等の症状を増悪させるおそれがある。
9.1.3 重症の硬結便のある患者
浣腸剤では十分な効果が得られず、腹痛等の症状を増悪させるおそれがある。
9.1.4 重篤な心疾患のある患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性に投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。子宮収縮を誘発して流早産を起こすおそれがある。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
乳児に投与する場合は慎重に投与すること。患児側の反応を十分に把握できない場合、過量投与に陥りやすい。
9.8 高齢者
少量から開始するなど慎重に投与すること。高齢者では過度の瀉下作用により体液量の減少等をきたし、脱水等を起こすおそれがある。
14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 浣腸用にのみ使用すること。
14.1.2 注入に際し、直腸粘膜を損傷することがあるので、慎重に挿入すること。
挿入時、損傷を起こし、出血がみられた場合、グリセリンが血管内に入り、溶血を起こすおそれがある。
14.1.3 患者の状態を観察しながら投与し、異常が認められた場合には直ちに投与を中止すること。
14.2 薬剤交付時の注意
連続の使用を避け、1個を1回で使用し、使用残液は容器ごと廃棄すること。
18.1 作用機序
浣腸目的としての希薄溶液では、直腸内の水分を奪取することにより局所を刺激し、また便の軟化潤滑作用により排便を促す。
18.2 瀉下作用
Wistar系雄性ラットを用いて、グリセリン浣腸「オヲタ」60を肛門部より直腸内投与して2時間にわたり便の状態を観察し、瀉下効果発現率から50%瀉下効果量を算出した結果は、1.3mL/kgであった
2)。
18.3 腸管運動に対する作用
日本白色種雄性ウサギを用いて、グリセリン浣腸「オヲタ」60を結腸内に投与して腸管の収縮頻度及び最大収縮力を検討した結果、収縮頻度においては生理食塩水投与群と統計学的に差は認められなかったが、最大収縮力は生理食塩水投与群に対して有意な収縮力の増大を示した
2)。