血友病の患者[出血時間を延長させるおそれがある。]
(1)パントテン酸欠乏症の予防及び治療
(2)パントテン酸の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給
(消耗性疾患、甲状腺機能亢進症、妊産婦、授乳婦等)
(3)下記疾患のうち、パントテン酸の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合
・ストレプトマイシン及びカナマイシンによる副作用の予防及び治療
・術後腸管麻痺
上記(3)に対して、効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない。
通常、成人にはパンテノールとして1回20〜100mgを1日1〜2回、術後腸管麻痺には1回50〜500mgを1日1〜3回、必要に応じては6回まで、皮下、筋肉内又は静脈内注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
9.7 小児等
9.7.1 低出生体重児、新生児に使用する場合には十分注意すること。外国において、ベンジルアルコールの静脈内大量投与(99〜234mg/kg)により、中毒症状(あえぎ呼吸、アシドーシス、痙攣等)が低出生体重児に発現したとの報告がある。本剤は添加剤としてベンジルアルコールを含有している。
9.7.2 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 副交感神経興奮剤(ネオスチグミン等)使用後は12時間、また、サクシニルコリン投与後は1時間の間隔を置いて投与することが望ましい。
14.1.2 筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため、下記の点に配慮すること。
・神経走行部位を避けるよう注意すること。
・繰り返し注射する場合には、例えば左右交互に注射するなど、注射部位をかえて行うこと。
なお、乳児・幼児・小児には連用しないことが望ましい。
・注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
低カリウム血症、機械的腸閉塞症の患者には臨床効果は得られない。
18.1 作用機序
生体内にとり入れられたパンテノールは、体内で容易に酸化されてパントテン酸となる。パントテン酸はさらにCoenzymeA(CoA)→アセチルCoAとなって、TCAサイクルにおけるオキザロ酢酸のアセチル化、神経刺激伝達に不可欠であるアセチルコリンの生成、その他酢酸、芳香族アミン、グルコサミン、アミノ酸等体内重要物質のアセチル化に関与している。
18.2 腸運動亢進作用
パンテノールは健常ウサギの呼吸、循環系、腸運動にほとんど作用を示さないが、実験的に虫垂を切除したウサギの腸運動を亢進することが認められている
4)。
18.3 体内利用時間の延長
ラットを用いた試験において、非経口投与されたパンテノールの尿中排泄はパントテン酸カルシウムと比較して緩徐であり、体内利用時間の延長が示唆されることが報告されている
5)。