医療用医薬品 : セフスパン

List   Top

医薬品情報


総称名 セフスパン
一般名 セフィキシム水和物
欧文一般名 Cefixime Hydrate
薬効分類名 経口用セフェム系製剤
薬効分類番号 6132
ATCコード J01DD08
KEGG DRUG
D07640 セフィキシム水和物
KEGG DGROUP
DG01488 セフェム系抗生物質
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
日米の医薬品添付文書はこちらから検索することができます。

添付文書情報2024年9月 改訂(第3版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
セフスパン細粒50mg Cefspan Fine Granules 50mg 長生堂製薬 6132008C1022 41.8円/g 処方箋医薬品注)
セフスパンカプセル50mg Cefspan Capsules 50mg 長生堂製薬 6132008M1028 87.4円/カプセル 処方箋医薬品注)
セフスパンカプセル100mg Cefspan Capsules 100mg 長生堂製薬 6132008M2024 69.6円/カプセル 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

<適応菌種>
<適応症>
急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎、胆嚢炎、胆管炎、中耳炎、副鼻腔炎、猩紅熱

5. 効能または効果に関連する注意

<急性気管支炎、中耳炎、副鼻腔炎>
「抗微生物薬適正使用の手引き」1)を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。

6. 用法及び用量

<セフスパン細粒50mg>
通常、小児に対しては、セフィキシムとして1回1.5〜3mg(力価)/kgを1日2回経口投与する。
なお、症状に応じて適宜増減するが、重症又は効果不十分と思われる症例には、セフィキシムとして1回6mg(力価)/kgを1日2回経口投与する。
<セフスパンカプセル50mg>
通常、成人及び体重30kg以上の小児に対しては、セフィキシムとして1回50〜100mg(力価)を1日2回経口投与する。
なお、年齢、体重、症状に応じて適宜増減するが、重症又は効果不十分と思われる症例には、セフィキシムとして1回200mg(力価)を1日2回経口投与する。
<セフスパンカプセル100mg>
通常、成人及び体重30kg以上の小児に対しては、セフィキシムとして1回50〜100mg(力価)を1日2回経口投与する。
なお、年齢、体重、症状に応じて適宜増減するが、重症又は効果不十分と思われる症例には、セフィキシムとして1回200mg(力価)を1日2回経口投与する。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
8.2 ショックがあらわれるおそれがあるので、十分な問診を行うこと。[11.1.1参照]
8.3 無顆粒球症、溶血性貧血、血小板減少、汎血球減少症、急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。[11.1.411.1.5参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 セフェム系又はペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)
9.1.2 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者
9.1.3 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者
観察を十分に行うこと。ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 高度の腎障害のある患者
腎障害の程度に応じて投与量を減量し、投与の間隔をあけて使用すること。血中濃度が持続する。[16.6.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。
・生理機能が低下していることが多く、副作用が発現しやすい。
・ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。

10. 相互作用

10.2 併用注意
ワルファリンカリウムワルファリンカリウムの作用が増強されるおそれがある。ただし、本剤に関する症例報告はない。腸内細菌によるビタミンKの産生を抑制することがある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(0.1%未満)
不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴、発汗等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[8.2参照]
11.1.2 アナフィラキシー(0.1%未満)
呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等があらわれることがある。
11.1.3 皮膚障害
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN、0.1%未満)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群、0.1%未満)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、頭痛、関節痛、皮膚や粘膜の紅斑・水疱、皮膚の緊張感・灼熱感・疼痛等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.4 血液障害
無顆粒球症(0.1%未満、初期症状:発熱、咽頭痛、頭痛、倦怠感等)、溶血性貧血(0.1%未満、初期症状:発熱、ヘモグロビン尿、貧血症状等)、血小板減少(0.1%未満、初期症状:点状出血、紫斑等)、汎血球減少があらわれることがある。[8.3参照]
11.1.5 腎障害
急性腎障害等の重篤な腎障害(0.1%未満)があらわれることがある。[8.3参照]
11.1.6 大腸炎
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎(0.1%未満)があらわれることがある。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.7 間質性肺炎、PIE症候群
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群(各0.1%未満)等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.8 肝機能障害、黄疸
AST、ALT、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害(0.1%未満)、黄疸(0.1%未満)があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満
過敏症発疹、蕁麻疹、紅斑そう痒、発熱、浮腫
血液好酸球増多顆粒球減少
肝臓AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇 
腎臓 BUN上昇
消化器下痢、胃部不快感悪心、嘔吐、腹痛、胸やけ、食欲不振、腹部膨満感、便秘
菌交代症 口内炎、カンジダ症
ビタミン欠乏症 ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)
その他 頭痛、めまい

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

12.1 テステープ反応を除くベネディクト試薬、フェーリング試薬による尿糖検査では偽陽性を呈することがあるので注意すること。
12.2 直接クームス試験陽性を呈することがあるので注意すること。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
<カプセル>
14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
<細粒>
14.1.2 牛乳、ジュース等に懸濁したまま放置しないよう指導すること。

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報
幼若ラットに経口投与した試験において、1,000mg/kg以上で精子形成抑制作用が発現したとの報告がある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
<成人>
健康成人に50、100、200mg(力価)を空腹時1回経口投与すると、約4時間後に最高血清中濃度が得られ、それぞれ0.69、1.13、1.95μg/mLであり、血清中濃度半減期は2.3〜2.5時間であった2)
<小児>
腎機能正常な小児患者に1.5、3.0、6.0mg(力価)/kgを1回経口投与したとき、約3〜4時間後に最高血清中濃度が得られ、それぞれ1.14、2.01、3.97μg/mLで、血清中濃度半減期は3.2〜3.7時間であった3)
16.3 分布
16.3.1 組織内移行
患者喀痰中5)、扁桃組織6)、上顎洞粘膜組織7)、中耳分泌物8)、胆汁9)、胆嚢組織9)等への移行は良好である。
16.4 代謝
ヒトの血清、尿中には抗菌活性代謝物質は認められていない2)
16.5 排泄
主として腎より排泄される。
<成人>
健康成人(空腹時)における50、100、200mg(力価)経口投与時の尿中排泄率(0〜12時間)は約20〜25%で、最高尿中濃度はそれぞれ42.9(4〜6時間)、62.2(4〜6時間)、82.7μg/mL(4〜6時間)であった2)
<小児>
腎機能正常な小児患者における1.5、3.0、6.0mg(力価)/kg経口投与時の尿中排泄率(0〜12時間)は約13〜20%であった3)
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
中等度腎機能障害群(30≦Ccr<60mL/min、n=3)と高度腎機能障害群(10≦Ccr<30mL/min、n=4)とで、セフスパン(CFIX)100mgを単回服用させて比較した。ピーク値は中等度障害群では投与後6時間で2.04μg/mL、高度障害群では投与後8時間で2.27μg/mLであり、12時間後の血清中濃度もそれぞれ0.71μg/mL、1.83μg/mLと高度障害群ほど遷延しており、半減期はそれぞれ4.15時間及び11.05時間であった4)。[9.2.1参照]

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎、胆嚢炎、胆管炎、中耳炎、副鼻腔炎、猩紅熱>
17.1.1 国内一般臨床試験
1,467例の一般臨床試験における成績概要は次のとおりである。なお、一般臨床試験における1日投与量は主として成人では200mg(力価)(分2)、小児では3.0〜9.9mg(力価)/kg(分2〜3)であった。
疾患名有効例/症例数有効率(%)
呼吸器感染症急性気管支炎118/14084.3
肺炎118/13686.8
慢性呼吸器病変の二次感染145/20471.1
 慢性気管支炎87/12171.9
気管支拡張症の感染時29/4170.7
慢性呼吸器疾患の二次感染29/4269.0
尿路感染症膀胱炎407/50380.9
腎盂腎炎84/10778.5
尿道炎(淋菌性尿道炎)93/10192.1
胆道感染症胆嚢炎18/1994.7
胆管炎20/3066.7
耳鼻科感染症中耳炎116/15077.3
副鼻腔炎30/4075.0
猩紅熱37/37100
合計1,186/1,46780.8
<急性気管支炎、慢性呼吸器病変の二次感染>
17.1.2 国内比較臨床試験
細菌性気管支炎患者を対象とした二重盲検比較試験において、本剤の有用性が認められている。
副作用発現頻度は2.1%(2/96例)であり、発現した副作用は腹痛1.0%(1/96例)、嘔吐1.0%(1/96例)であった10)
<肺炎>
17.1.3 国内比較臨床試験
細菌性肺炎患者を対象とした二重盲検比較試験において、本剤の有用性が認められている。
副作用発現頻度は2.0%(2/101例)であり、発現した副作用は下痢1.0%(1/101例)、腹痛1.0%(1/101例)であった11)
<膀胱炎、腎盂腎炎>
17.1.4 国内比較臨床試験
複雑性尿路感染症患者を対象とした二重盲検比較試験において、本剤の有用性が認められている。
副作用発現頻度は3.3%(5/152例)であり、発現した副作用は発疹1.3%(2/152例)、嘔気・嘔吐0.7%(1/152例)、胃痛0.7%(1/152例)、頭痛0.7%(1/152例)であった12)
<中耳炎>
17.1.5 国内比較臨床試験
急性化膿性中耳炎と診断された小児患者を対象とした二重盲検比較試験において、本剤の有用性が認められている。
副作用発現頻度は0.8%(1/120例)であり、発現した副作用は下痢0.8%(1/120例)であった13)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
作用機序は細菌細胞壁の合成阻害であり、その作用点は菌種により異なるが、ペニシリン結合蛋白(PBP)の1(1a、1b、1c)及び3に親和性が高い14)15)16)
18.2 抗菌作用
18.2.1 グラム陽性菌及びグラム陰性菌に広範囲な抗菌スペクトラムを有し、特にグラム陽性菌ではレンサ球菌属、肺炎球菌、グラム陰性菌では淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、クレブシエラ属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌等に対して他の経口用セフェム剤よりも強い抗菌力を示し、その作用は殺菌的である14)17)18)19)20)21)in vitro)。
18.2.2 各種細菌の産生するβ-lactamaseに極めて安定で、β-lactamase産生菌にも優れた抗菌力を示す15)16)17)18)in vitro)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. セフィキシム水和物

一般的名称 セフィキシム水和物
一般的名称(欧名) Cefixime Hydrate
略号 CFIX
化学名 (6R,7R)-7-[(Z)-2-(2-Aminothiazol-4-yl)-2-(carboxymethoxyimino)acetylamino]-8-oxo-3-vinyl-5-thia-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylic acid trihydrate
分子式 C16H15N5O7S2・3H2O
分子量 507.50
融点 約240℃(分解)
物理化学的性状 白色〜淡黄色の結晶性の粉末である。
メタノール又はジメチルスルホキシドに溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。
分配係数 2.9×10−3(1-オクタノール/水系)
KEGG DRUG D07640

22. 包装

<セフスパンカプセル50mg>
100カプセル[10カプセル(PTP)×10]
<セフスパンカプセル100mg>
100カプセル[10カプセル(PTP)×10]
<セフスパン細粒50mg>
100g[瓶、バラ、乾燥剤入り]

23. 主要文献

  1. 厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き
  2. Nakashima,M.et al., J.Clin.Pharmacol., 27 (5), 425-431, (1987) »PubMed
  3. Jpn.J.Antibiot., 39 (4), (1986), (Cefixime特集号より集計)
  4. 前田浩志 他, Jpn.J.Antibiot., 39 (10), 2716-2720, (1986) »PubMed
  5. 林 泉 他, 日本化学療法学会雑誌, 33 (S-6), 253-267, (1985)
  6. 藤巻 豊 他, 日本化学療法学会雑誌, 33 (S-6), 796-806, (1985)
  7. 木下治二 他, 日本化学療法学会雑誌, 33 (S-6), 817-827, (1985)
  8. 大西信治郎 他, 日本化学療法学会雑誌, 33 (S-6), 807-816, (1985)
  9. 谷村 弘 他, 日本化学療法学会雑誌, 33 (S-6), 499-518, (1985)
  10. 今野 淳 他, 日本化学療法学会雑誌, 34 (11), 1150-1183, (1986)
  11. 今野 淳 他, 日本化学療法学会雑誌, 34 (11), 1184-1218, (1986)
  12. 荒川創一 他, 西日本泌尿器科, 48 (2), 645-674, (1986)
  13. 馬場駿吉 他, Jpn.J.Antibiot., 40 (1), 1-24, (1987) »PubMed
  14. 横田 健 他, 日本化学療法学会雑誌, 33 (S-6), 13-19, (1985)
  15. 小川道雄 他, 日本化学療法学会雑誌, 33 (S-6), 103-108, (1985)
  16. 松本佳巳 他, 日本化学療法学会雑誌, 33 (S-6), 123-133, (1985)
  17. 井上松久 他, 日本化学療法学会雑誌, 33 (S-6), 1-12, (1985)
  18. 五島瑳智子 他, 日本化学療法学会雑誌, 33 (S-6), 29-45, (1985)
  19. 西野武志 他, 日本化学療法学会雑誌, 33 (S-6), 75-96, (1985)
  20. 上村利明 他, 日本化学療法学会雑誌, 33 (S-6), 109-122, (1985)
  21. 星野和夫 他, Pharma Med., 20 (9), 213-224, (2002)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日本ジェネリック株式会社 お客さま相談室
〒108-0014 東京都港区芝五丁目33番11号
電話:0120-893-170
FAX:0120-893-172
製品情報問い合わせ先
日本ジェネリック株式会社 お客さま相談室
〒108-0014 東京都港区芝五丁目33番11号
電話:0120-893-170
FAX:0120-893-172

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
長生堂製薬株式会社
徳島市国府町府中92番地
26.2 販売元
日本ジェネリック株式会社
東京都港区芝五丁目33番11号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/10/22 版