医療用医薬品 : ヒポカ

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医薬品情報


総称名 ヒポカ
一般名 バルニジピン塩酸塩
欧文一般名 Barnidipine Hydrochloride
製剤名 バルニジピン塩酸塩カプセル
薬効分類名 持効性Ca拮抗剤
薬効分類番号 2149
ATCコード C08CA12
KEGG DRUG
D01104 バルニジピン塩酸塩
KEGG DGROUP
DG01928 ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬
DG03231 血圧降下薬
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2023年5月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ヒポカ5mgカプセル Hypoca 5mg Capsules LTLファーマ 2149030N1027 23.2円/カプセル 劇薬, 処方箋医薬品注)
ヒポカ10mgカプセル Hypoca 10mg Capsules LTLファーマ 2149030N2023 36.8円/カプセル 劇薬, 処方箋医薬品注)
ヒポカ15mgカプセル Hypoca 15mg Capsules LTLファーマ 2149030N3020 53.8円/カプセル 劇薬, 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

4. 効能または効果

高血圧症、腎実質性高血圧症、腎血管性高血圧症

6. 用法及び用量

通常、成人にはバルニジピン塩酸塩として10〜15mgを1日1回朝食後に経口投与する。ただし、1日5〜10mgより投与を開始し、必要に応じ漸次増量する。

8. 重要な基本的注意

8.1 Ca拮抗剤の投与を急に中止したとき、症状が悪化した症例が報告されているので、本剤の休薬を要する場合は徐々に減量し、観察を十分に行うこと。また患者に医師の指示なしに服薬を中止しないように注意すること。
8.2 降圧作用に基づくめまい等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎機能障害のある患者
降圧に伴い腎機能が低下する可能性がある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝機能障害のある患者
本剤は肝臓で代謝される。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で、出生児の発育抑制が報告されている。[2.参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
低用量から投与を開始し、経過を十分に観察しながら慎重に投与することが望ましい。一般的に過度の降圧は好ましくないとされている。

10. 相互作用

相互作用序文
本剤は、主としてCYP3A4で代謝される。[16.4参照]
薬物代謝酵素用語
CYP3A4
10.2 併用注意
他の血圧降下剤血圧降下作用が増強することがある。薬理学的な相加作用による。
ジゴキシンジゴキシンの作用を増強し、中毒症状(嘔気、嘔吐、めまい、徐脈、不整脈等)があらわれることがある。必要に応じジゴキシンを減量する。主に腎でのクリアランスを減少させ、ジゴキシンの血中濃度が上昇する。
フェニトイン(1)フェニトインの作用を増強し、中毒症状(神経的)があらわれることがある。必要に応じフェニトインを減量する。
(2)本剤の作用が減弱されることがある。必要に応じ本剤を増量する。
(1)本剤の蛋白結合率が高いため、血漿蛋白結合競合により、遊離型フェニトインが上昇する。
(2)CYP3A4が誘導され、本剤の代謝が促進される。
リファンピシン本剤の作用が減弱されることがある。必要に応じ本剤を増量する。CYP3A4が誘導され、本剤の代謝が促進される。
シメチジン本剤の作用が増強され、血圧低下、頻脈等があらわれることがある。必要に応じ本剤を減量する。これらの薬剤によりCYP3A4が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する。
HIVプロテアーゼ阻害剤
サキナビル
リトナビル 等
本剤の血中濃度が上昇し、本剤の作用が増強されるおそれがある。これらの薬剤によりCYP3A4が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する。
アゾール系抗真菌薬
イトラコナゾール 等
本剤の血中濃度が上昇し、本剤の作用が増強されるおそれがある。これらの薬剤によりCYP3A4が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する。
マクロライド系抗生物質
エリスロマイシン 等
本剤の血中濃度が上昇し、本剤の作用が増強されるおそれがある。これらの薬剤によりCYP3A4が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する。
グレープフルーツジュース本剤の血中濃度が上昇し、本剤の作用が増強されるおそれがある。これらの薬剤によりCYP3A4が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 アナフィラキシー(頻度不明)
アナフィラキシー(呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等)があらわれることがある。
11.1.2 過度の血圧低下(頻度不明)
11.1.3 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST・ALT・γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。
発現頻度は、承認時までの臨床試験及び使用成績調査結果に基づいている。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
肝臓AST上昇、ALT上昇γ-GTP上昇、Al-P上昇、LDH上昇 
腎臓 尿酸上昇、BUN上昇、クレアチニン上昇、頻尿 
消化器嘔気嘔吐、便秘、胸やけ、下痢 
循環器動悸、顔面潮紅、ほてり、浮腫脱力感、倦怠感、胸部圧迫感、頻脈 
精神神経系頭痛、頭重、めまい・ふらふら感しびれ感 
過敏症発赤・発疹そう痒感光線過敏症
口腔 歯肉肥厚 
血液 好酸球増多 
その他 耳鳴、CK上昇、血清コレステロール上昇女性化乳房

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.1.2 体内動態が変わる可能性があるので、かみくだいたり、カプセルを開けて服用しないよう注意すること。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人に本剤15mgを経口投与したとき、血漿中未変化体濃度は投与後約1時間及び6時間にピークを示し、消失半減期は約10時間であった。また、血漿中濃度は非直線的な増加を示した。本剤15mgを1日1回7日間連続経口投与したときの血漿中未変化体濃度は初回投与時とほとんど変わらず蓄積性はみられなかった1)
 AUC0-24(ng・h/mL)Tmax1(h)Tmax2(h)Cmax1(ng/mL)Cmax2(ng/mL)t1/2(h)
1日目3.341.06.50.280.4011.0
7日目4.112.86.00.270.649.4
本剤15mg/日、7日間反復経口投与時の血漿中未変化体濃度
16.4 代謝
健康成人に本剤を経口投与したときの尿中主代謝物は、側鎖のエステルが加水分解され、ジヒドロピリジン環が酸化されたものであった2)。ヒトにおいては、本剤は主としてCYP3A4で代謝される3)。[10.参照]
16.5 排泄
健康成人に本剤を経口投与したとき、尿中に未変化体は検出されなかった2)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II、III相試験
高血圧症4)、腎実質性高血圧症5)及び腎血管性高血圧症6)7)について検討した。本剤5〜15mgを1日1回漸増法にて2〜8週間投与した検証的試験の概要は次のとおりである。
疾患名「下降」以上の有効率
高血圧症軽・中等症本態性高血圧症(判定不能24例を除く)84.2%(422/501)
重症高血圧症87.5%(35/40)
腎実質性高血圧症(判定不能1例を除く)81.3%(26/32)
腎血管性高血圧症(判定不能1例を除く)66.7%(10/15)
また、高血圧症に対する二重盲検比較試験の結果、本剤5〜15mg1日1回投与で有効性が認められた8)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
細胞膜の膜電位依存性Caチャンネルに特異的に作用し、細胞内へのCa2+の流入を抑制することにより、末梢血管や冠血管の平滑筋を選択的に弛緩させる。
18.2 血圧降下作用
各種高血圧病態モデル(高血圧自然発症ラット、腎性高血圧ラット及びDOCA-食塩高血圧ラット)において、持続的で著明な降圧作用を示した。また、長期投与によっても耐性は認められなかった9)。本態性高血圧症患者に投与した場合、血圧日内変動に影響を及ぼさず、1日1回投与で夜間の血圧を下げ過ぎることなく、24時間にわたり降圧効果が持続し、また、翌朝の血圧上昇に対しても有効に作用することを確認した10)11)
18.3 血管拡張作用
麻酔イヌにおいて、用量依存的に全末梢血管抵抗及び冠血管抵抗を低下させた。また、冠動脈、椎骨動脈、大腿動脈及び腎動脈などの血管を拡張し、これら臓器への血流量を増加させた12)
本態性高血圧症患者において、全末梢血管抵抗、腎血管及び肝血管抵抗を有意に減少させた13)
18.4 腎機能に対する作用
生理食塩液負荷高血圧自然発症ラットにおいて、尿量及び尿中電解質排泄量を増加させるとともに尿中ナトリウム/カリウム比を上昇させた14)
麻酔イヌでの腎動脈内投与実験において、低用量では主に尿細管でのナトリウム再吸収の抑制、また、高用量では腎血流量及び糸球体濾過量の増加を示した15)
18.5 高血圧病変に対する作用
無麻酔脳卒中易発症高血圧自然発症ラットを用いた試験において、腎臓及び血管の高血圧性病変を抑制した16)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. バルニジピン塩酸塩

一般的名称 バルニジピン塩酸塩
一般的名称(欧名) Barnidipine Hydrochloride
化学名 (+)-(3'S,4S)-1-Benzyl-3-pyrrolidinyl methyl 1,4-dihydro-2,6-dimethyl-4-(3-nitrophenyl)-3,5-pyridinedicarboxylate hydrochloride
分子式 C27H29N3O6・HCl
分子量 528.00
融点 約229℃(分解)
物理化学的性状 バルニジピン塩酸塩は淡帯緑黄色の結晶性の粉末である。メタノール又は酢酸(100)にやや溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けにくく、水又は無水酢酸に溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。光によって変化する。
KEGG DRUG D01104

20. 取扱い上の注意

本品は高防湿性の内袋により品質保持をはかっているので、内袋開封後は湿気を避けて保存すること。

22. 包装

<ヒポカ5mgカプセル>
100カプセル[10カプセル(PTP)×10、乾燥剤入り]
<ヒポカ10mgカプセル>
100カプセル[10カプセル(PTP)×10、乾燥剤入り]
<ヒポカ15mgカプセル>
100カプセル[10カプセル(PTP)×10、乾燥剤入り]

23. 主要文献

  1. 橋本敬太郎 他, 基礎と臨床, 24 (9), 4443-4458, (1990)
  2. Teramura,T.et al., Xenobiotica., 25 (11), 1237-1246, (1995) »PubMed
  3. Teramura,T.et al., Xenobiotica., 27 (9), 885-900, (1997) »PubMed
  4. 吉永 馨 他, 診療と新薬, 27 (9), 1657-1670, (1990)
  5. 吉永 馨 他, 腎と透析, 29 (6), 1045-1058, (1990)
  6. 吉永 馨 他, 腎と透析, 30 (1), 121-126, (1991)
  7. 吉永 馨 他, Ther.Res., 15 (8), 3267-3275, (1994)
  8. 吉永 馨 他, 医学のあゆみ, 156 (8), 543-560, (1991)
  9. 稲垣 治 他, 基礎と臨床, 24 (10), 5271-5284, (1990)
  10. 吉永 馨 他, 医学と薬学, 23 (6), 1377-1387, (1990)
  11. 吉永 馨 他, 基礎と臨床, 24 (9), 4495-4507, (1990)
  12. 稲垣 治 他, 基礎と臨床, 26 (7), 3171-3178, (1992)
  13. 野田汎史 他, 基礎と臨床, 24 (8), 4047-4053, (1990)
  14. 稲垣 治 他, 基礎と臨床, 26 (7), 3163-3169, (1992)
  15. 稲垣 治 他, 基礎と臨床, 24 (10), 5285-5294, (1990)
  16. Kawashima,K.et al., Gen.Pharmacol., 22 (2), 263-266, (1991) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
LTLファーマ株式会社 コールセンター
〒160-0023 東京都新宿区西新宿6丁目10番1号
電話:フリーダイヤル 0120-303-711
製品情報問い合わせ先
LTLファーマ株式会社 コールセンター
〒160-0023 東京都新宿区西新宿6丁目10番1号
電話:フリーダイヤル 0120-303-711

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売
LTLファーマ株式会社
東京都新宿区西新宿6丁目10番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/10/22 版