医療用医薬品 : ホスミシン

List   Top

医薬品情報


総称名 ホスミシン
一般名 ホスホマイシンカルシウム水和物
欧文一般名 Fosfomycin Calcium Hydrate
薬効分類名 ホスホマイシン系抗生物質製剤
薬効分類番号 6135
ATCコード J01XX01 S02AA17
KEGG DRUG
D02187 ホスホマイシンカルシウム水和物
KEGG DGROUP
DG00633 ホスホマイシン
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
日米の医薬品添付文書はこちらから検索することができます。

添付文書情報2023年7月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ホスミシンドライシロップ200 FOSMICIN DRYSYRUP Meiji Seikaファルマ 6135001R1025 77.1円/g 処方箋医薬品注)
ホスミシンドライシロップ400 FOSMICIN DRYSYRUP Meiji Seikaファルマ 6135001R2110 86.2円/g 処方箋医薬品注)

4. 効能または効果

<適応菌種>
<適応症>
深在性皮膚感染症、膀胱炎、腎盂腎炎、感染性腸炎、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、中耳炎、副鼻腔炎

5. 効能または効果に関連する注意

<感染性腸炎、中耳炎、副鼻腔炎>
「抗微生物薬適正使用の手引き」1)を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。

6. 用法及び用量

通常、小児はホスホマイシンとして1日量40〜120mg(力価)/kgを3〜4回に分け経口投与する。
なお、年齢、症状に応じて適宜増減する。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 体重あたりの1日投与量は以下のとおりである。
体重(kg)1日投与量[mg(力価)]投与法(以下の1日量を3〜4回に分けて投与)
ホスホマイシンカルシウム水和物200mg(力価)/gホスホマイシンカルシウム水和物400mg(力価)/g
5200〜6001〜3g0.5〜1.5g
10400〜1,2002〜6g1〜3g
15600〜1,8003〜9g1.5〜4.5g

8. 重要な基本的注意

本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.3 肝機能障害患者
肝障害が悪化するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では、一般に腎機能が低下している。[16.5参照]

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎(0.1%未満)
腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
肝臓 AST、ALT、Al-P、LDHの上昇等の肝機能異常 
消化器下痢・軟便食欲不振、嘔気、嘔吐、腹痛 
腎臓 浮腫、BUN上昇 
皮膚発疹蕁麻疹、そう痒感 
血液 好酸球増多、血小板減少 
神経系 頭痛、耳鳴、眩暈 
菌交代症 口内炎 
その他 ほてり、発赤、発熱、心悸亢進、倦怠感菌交代により非感受性のクレブシエラ・オキシトカがあらわれることがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
小児(n=5)にクロスオーバー法で本剤200mg(力価)/g製剤又は400mg(力価)/g製剤を40mg(力価)/kg1回経口投与したときの血中濃度及び薬物動態パラメータは、表1に示すとおりであった2)
表1 血中濃度及び薬物動態パラメータの製剤間比較
(40mg(力価)/kg投与)
製剤血中濃度(μg/mL)Tmax(時間)Cmax(μg/mL)
1時間3時間6時間
200mg(力価)/g3.395.342.5535.34
400mg(力価)/g2.956.402.0636.40
16.3 分布
16.3.1 蛋白結合
平衡透析法により測定したヒト血清蛋白との結合率は2.16%であった。
16.4 代謝
ホスホマイシンは、体内で代謝されずに、大部分が未変化体のまま尿中に排泄される。
16.5 排泄
小児(n=5)にクロスオーバー法で本剤200mg(力価)/g製剤又は400mg(力価)/g製剤を40mg(力価)/kg1回経口投与したときの投与後6時間までの尿中排泄率は、表2に示すとおりであった2)。[9.8参照]
表2 尿中排泄率の製剤間比較
(40mg(力価)/kg投与)
製剤尿中排泄率(0〜6時間)
200mg(力価)/g9.60%
400mg(力価)/g9.53%

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 比較試験及び一般臨床試験
カプセル剤、ドライシロップ剤における比較試験及び一般臨床試験での臨床効果は次のとおりであった3)4)5)6)7)8)9)10)11)12)
・深在性皮膚感染症(せつ、せつ症)に対して78.4%(40/51例)の有効率を示した。
・感染性腸炎(腸炎、細菌性赤痢)に対して96.0%(406/423例)の有効率を示した。
・膀胱炎、腎盂腎炎に対して74.7%(280/375例)の有効率を示した。
・麦粒腫、瞼板腺炎、涙嚢炎に対して93.8%(91/97例)の有効率を示した。
・中耳炎に対して68.6%(153/223例)、副鼻腔炎に対して81.8%(81/99例)の有効率を示した。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ホスホマイシンは、UDP-GlcNAcエノールピルビン酸エーテル生成を触媒するUDP-GlcNAcエノールピルビルトランスフェラーゼを不可逆的に失活させ、細胞壁ペプチドグリカン生合成の初期反応を阻害することにより抗菌活性を示す13)
18.2 in vitro抗菌作用
ホスホマイシンは、グラム陽性菌、グラム陰性菌に対して殺菌的に作用した14)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ホスホマイシンカルシウム水和物

一般的名称 ホスホマイシンカルシウム水和物
一般的名称(欧名) Fosfomycin Calcium Hydrate
略号 FOM
化学名 Monocalcium(2R,3S)-3-methyloxiran-2-ylphosphonate monohydrate
分子式 C3H5CaO4P・H2O
分子量 194.14
物理化学的性状 ホスホマイシンカルシウム水和物は白色の結晶性の粉末である。
本品は水に溶けにくく、メタノール又はエタノール(99.5)にほとんど溶けない。
分配係数
(log10 1-オクタノール層/水層、20±5℃)
pH2.0〜10.0
<−3.0
KEGG DRUG D02187

22. 包装

<ホスミシンドライシロップ200>
ボトル(乾燥剤入) 100g
<ホスミシンドライシロップ400>
ボトル(乾燥剤入) 100g
分包 1g×100包(4連包×25)

23. 主要文献

  1. 厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き
  2. 佐藤 肇ほか, Jpn.J.Antibiot., 29 (4), 351-357, (1976) »PubMed
  3. 松原義雄ほか, 感染症学雑誌, 49 (12), 843-855, (1975) »PubMed
  4. 真下啓明ほか, Chemotherapy, 23 (5), 1713-1716, (1975) »DOI
  5. 安田利顕ほか, 臨床皮膚科, 29 (12), 1081-1088, (1975)
  6. 石神襄次ほか, 泌尿紀要, 21 (10), 971-977, (1975)
  7. 石神襄次ほか, 泌尿紀要, 24 (9), 757-778, (1978)
  8. 宍戸仙太郎ほか, 泌尿紀要, 24 (9), 779-797, (1978)
  9. 平石 浩ほか, 感染症学雑誌, 54 (7), 343-352, (1980) »PubMed
  10. 馬場駿吉ほか, 耳鼻と臨床, 29 (5), 584-617, (1983) »DOI
  11. 富岡 昌ほか, 耳鼻臨床, 76 (4), 1291-1305, (1983) »DOI
  12. 大石正夫ほか, 眼科臨床医報, 77 (7), 1095-1104, (1983)
  13. 泉 孝英ほか, ホスホマイシン−新たなる展開−(臨床医薬研究協会), 28-33, (1995)
  14. 宮内慶之輔ほか, Jpn.J.Antibiot., 28 (3), 320-330, (1975) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
Meiji Seikaファルマ株式会社 くすり相談室
〒104-8002 東京都中央区京橋2-4-16
電話:フリーダイヤル0120-093-396
03-3273-3539
FAX:03-3272-2438
製品情報問い合わせ先
Meiji Seikaファルマ株式会社 くすり相談室
〒104-8002 東京都中央区京橋2-4-16
電話:フリーダイヤル0120-093-396
03-3273-3539
FAX:03-3272-2438

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
Meiji Seikaファルマ株式会社
東京都中央区京橋2-4-16

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/08/20 版