2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 ワクチン等の生物学的製剤に対し過敏症の既往歴のある患者
○
神経芽腫に対するジヌツキシマブ(遺伝子組換え)の抗腫瘍効果の増強
<血管肉腫>
通常、成人にはテセロイキン(遺伝子組換え)として1日70万単位を、1日1〜2回に分けて連日点滴静注する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが最大投与量は1日140万単位とする。
<腎癌>
通常、成人にはテセロイキン(遺伝子組換え)として1日70万単位を、1日1〜2回に分けて連日点滴静注する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが最大投与量は1日210万単位とする。
増量することにより、肝機能検査値異常、体液貯留が発現しやすくなるため、注意すること。
<神経芽腫に対するジヌツキシマブ(遺伝子組換え)の抗腫瘍効果の増強>
ジヌツキシマブ(遺伝子組換え)及びフィルグラスチム(遺伝子組換え)との併用において、通常、テセロイキン(遺伝子組換え)として1日1回75万単位/m2(体表面積)又は1日1回100万単位/m2(体表面積)を24時間持続点滴静注する。28日間を1サイクルとし、2、4、6サイクルの1〜4日目に1日1回75万単位/m2(体表面積)、8〜11日目に1日1回100万単位/m2(体表面積)を投与する。
8.1 本剤を投与する場合には、臨床効果及び副作用の程度を考慮し、効果が認められない場合には投与を中止すること。
8.2 過敏症等の反応を予測するため、使用に際しては十分な問診を行うとともに、あらかじめ本剤によるプリック試験を行うことが望ましい。[
9.1.1参照]
8.3 本剤の投与により、投与直後から発熱等の全身症状があらわれやすいので、患者の状態を十分に観察し、必要に応じて解熱剤の投与等の適切な処置を行うこと。
8.4 動物試験(マウス)では、本剤の投与によりインターロイキン-5の産生が誘導されることによると思われる好酸球増多が認められている。臨床においても、本剤の投与により著明な好酸球増多があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、必要に応じて減量・休薬等の適切な処置を行うこと。
8.5 本剤の皮下投与時の有効性は確立していない。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 アレルギー素因のある患者[
8.2参照]
9.1.2 心疾患又はその既往歴のある患者
9.2 腎機能障害患者
症状が悪化することがある。また、本剤は主として腎において代謝・排泄されるため、腎機能低下例では副作用が強く発現する可能性がある。
9.3 肝機能障害患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠の可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物試験(ウサギ)で流産並びに母動物に対する毒性の二次的な影響と思われる胎児奇形の報告がある。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物試験(ラット)で乳汁中移行の報告がある。[
16.3.3参照]
9.7 小児等
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。本剤は主として腎において代謝・排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがある。なお、承認時(血管肉腫及び腎癌)において、65歳以上の高齢者103例中、副作用は発熱72例(69.9%)、体液貯留13例(12.6%)、血圧低下5例(4.9%)に認められ、臨床検査値の異常変動は、好酸球増多74例(71.8%)、肝機能検査値異常19例(18.4%)、腎機能検査値異常6例(5.8%)であった。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 体液貯留(12.4%)
毛細血管漏出症候群(capillary leak syndrome)によると思われる体液貯留〔体重増加(5.8%)、浮腫(4.3%)、胸水・腹水・肺水腫等の水分貯留(3.5%)、尿量減少(1.6%)〕あるいは循環血漿量の減少による血圧低下(2.7%)等があらわれることがある。なお、体液貯留は投与開始1〜2週目に発現することが多いので注意すること。
11.1.2 うっ血性心不全(0.4%)
11.1.3 抑うつ(0.8%)、自殺企図(頻度不明)
11.1.4 誘発感染症、感染症の増悪(いずれも頻度不明)
大量投与により、好中球機能が抑制され、誘発感染症、感染症の増悪を起こしやすくなるとの報告がある
4)。
11.1.5 自己免疫現象(頻度不明)
自己免疫現象によると思われる症状・徴候(強皮症、溶血性貧血、糖尿病)があらわれたとの報告がある
5)6)7)。
発現頻度は血管肉腫及び腎癌に対する国内臨床試験の併合解析に基づく。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 10%以上 | 5〜10%未満 | 0.1〜5%未満 | 頻度不明 |
循環器 | | | 血圧低下、不整脈、動悸、頻脈、下肢冷感 | |
インフルエンザ様症状注) | 発熱(73.3%)、悪寒・戦慄(39.9%)、全身倦怠感(34.9%)、頭痛・頭重感 | 筋肉痛、関節痛 | | |
血液 | 好酸球増多(69.4%) | | 好中球減少、白血球増加、白血球減少、リンパ球減少、貧血(赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少)、血小板減少、フィブリノーゲン減少 | |
肝臓 | ALT上昇、AST上昇 | Al-P上昇 | γ-GTP上昇、ビリルビン上昇、LDH上昇、コリンエステラーゼ低下 | |
腎臓 | | | BUN上昇、血清クレアチニン上昇 | |
消化器 | 食欲不振(36.8%)、悪心・嘔吐 | | 下痢、腹部膨満感、腹痛、腹部不快感、胃潰瘍、口内乾燥、口腔内アフタ | |
皮膚 | | そう痒感 | 紅斑、発疹、脂漏性皮膚炎、潮紅、皮膚腫脹、皮膚落屑 | |
呼吸器 | | | 呼吸困難、喘息発作、咳・痰、鼻閉、鼻汁 | |
精神神経系 | | | 見当識障害、発汗、しびれ感、めまい、ふらつき | |
注射部位 | | | 発赤 | 静脈炎、疼痛 |
その他 | | | 膀胱炎様症状、耳鳴、血清総蛋白の減少、血清アルブミン減少、蛋白尿、CRP上昇、高カリウム血症、LAP上昇、IgG増多、IgA増多、IgE増多 | |
13.1 徴候、症状
通常投与量の10倍以上の投与により、重篤な低血圧、腎不全、呼吸不全、肺うっ血、精神状態の変化、心筋虚血、心筋炎・壊死、消化管出血、腸管穿孔・閉塞等が認められている。
13.2 処置
海外において、他の遺伝子組換え型インターロイキン-2製剤の過量投与による生命にかかわる重篤な副作用が、副腎皮質ホルモン剤の静脈内投与により、緩和されたとの報告がある。
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤1瓶(テセロイキン35万単位)あたり、添付の日局注射用水1mLを加え、溶解する。
14.1.2 本剤の1回投与量を生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液等の200〜500mLに加えて点滴静注する。
14.1.3 用時調製し、溶解後は速やかに使用すること。
15.2 非臨床試験に基づく情報
臨床において、本剤によりリンパ系腫瘍の増悪を来したとの報告はないが、in vitroにおいてリンパ系腫瘍細胞の増殖を促進したとの報告があるため、リンパ系腫瘍を合併している症例に投与するときには注意すること。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
<血管肉腫>
17.1.1 国内一般臨床試験
承認時における一般臨床試験での有効性評価対象例は11例であり、奏効率は36.4%(CR1例及びPR3例)であった
13)。
表17-1 臨床成績(血管肉腫)
疾患名 | 有効性評価対象例数 | 奏効率(%) | 臨床評価(評価例数) |
CR+PR | CR | PR | MR | NC | PD |
血管肉腫 | 11 | 36.4 | 1 | 3 | 0 | 3 | 4 |
<腎癌>
17.1.2 国内一般臨床試験
承認時における一般臨床試験での有効性評価対象例は119例であり、奏効率は14.3%(CR3例及びPR14例)であった。そのうち、インターフェロン(IFN)無効例が66例あり、その奏効率は13.6%(CR1例及びPR8例)であった。
表17-2 臨床成績(腎癌)
疾患名 | 有効性評価対象例数 | 奏効率(%) | 臨床評価(評価例数) |
CR+PR | CR | PR | MR | NC | PD | NE |
腎癌 | 119 | 14.3 | 3 | 14 | 3 | 46 | 44 | 9 |
腎癌(IFN無効) | 66 | 13.6 | 1 | 8 | 3 | 29 | 22 | 3 |
<神経芽腫に対するジヌツキシマブ(遺伝子組換え)の抗腫瘍効果の増強>
17.1.3 国内第IIb相臨床試験(GD2-PII試験)
初回診断時に31歳未満の大量化学療法を含む集学的治療施行後に疾患進行が認められない高リスク群神経芽腫患者
注1)35例を対象として、本剤、ジヌツキシマブ及びフィルグラスチムの併用投与
注2)(DIN/FIL/TEC群)と、ジヌツキシマブ、sargramostim、aldesleukin及びisotretinoinの併用投与(米国レジメン群)の有効性及び安全性を検討する非盲検無作為化比較試験を実施した。主要評価項目である治験責任医師判定による2年無イベント生存率[95%信頼区間]は、DIN/FIL/TEC群で80.8[51.4〜93.4]%、米国レジメン群で62.3[36.7〜80.0]%であった。
DIN/FIL/TEC群16例において、副作用が全例(100%)に認められた。主な副作用は、発熱16例(100%)、低アルブミン血症15例(93.8%)、ALT増加14例(87.5%)、GGT増加、嘔吐、好中球数減少、貧血、AST増加、顔面浮腫[以上13例(81.3%)]、血小板数減少、便秘[以上12例(75.0%)]、倦怠感、食欲減退[以上11例(68.8%)]、腹痛、疼痛[以上10例(62.5%)]、下痢9例(56.3%)、血中尿素増加、咳嗽[以上8例(50.0%)]であった(2019年9月6日データカットオフ)
14)。
注1)臨床試験に組み入れられた患者の年齢は2〜8歳であった。
注2)28日間を1サイクルとして、[1]ジヌツキシマブ17.5mg/m2を第1、3、5サイクルの第4〜7日目及び第2、4、6サイクルの第8〜11日目に静脈内投与、[2]フィルグラスチム5μg/kgを第1、3、5サイクルの第1〜14日目に皮下投与、[3]本剤75万単位/m2を第2、4、6サイクルの第1〜4日目、及び100万単位/m2を同サイクルの第8〜11日目に静脈内投与
図17-1 無イベント生存期間の主要解析時のKaplan-Meier曲線
18.1 作用機序
主としてT細胞やNK細胞に結合し、活性化することにより、細胞障害能の高いキラー細胞を誘導して腫瘍を障害する。更にB細胞やマクロファージにも結合し、免疫を賦活する。
18.2 薬理作用
18.2.1 抗腫瘍作用
(1)健康成人6例(男性5例、女性1例)から得られた末梢血リンパ球に70単位/mLを加えて72時間培養したとき、ヒト腎癌培養細胞3株に対する強い細胞障害活性が誘導された。しかし、正常細胞(ConA刺激ヒト正常リンパ球)に対する作用は示さなかった(in vitro)。
(2)Renca(自然発生マウス腎癌)に対し、生存期間の延長と転移抑制効果を示した
15)。
また、化学発癌のマウス腎癌に対して著しい転移抑制効果を示した
16)(
in vivo)。
本製剤を、神経芽腫に対するジヌツキシマブ(遺伝子組換え)の抗腫瘍効果の増強に用いる場合は、ジヌツキシマブ(遺伝子組換え)及びフィルグラスチム(遺伝子組換え)との併用療法を行う場合に限り使用されるものであること。(令和3年6月23日付け保医発0623第1号厚生労働省保険局医療課長通知)