2.1 頭蓋内圧が著明な亢進を示しており,乳頭浮腫が認められる患者[脳ヘルニアを起こすおそれがある。]
2.2 後頭蓋窩の腫瘍が疑われる患者(乳頭浮腫の有無にかかわらず)[脳ヘルニアを起こすおそれがある。]
通常,成人にはインジウム-111として18.5〜37MBqを脳脊髄液腔内に投与し,シンチカメラまたはシンチスキャナにより,経時的にシンチグラムをとる。
なお,年齢,体重により適宜増減する。
診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断される場合にのみ投与することとし,投与量は最小限度にとどめること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 感染症を有する患者
9.1.2 穿刺部位に湿疹・かぶれ・床ずれなどを有する患者
9.1.3 極度に細菌感染抵抗性の低下していると思われる患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には,診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
診断上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し,授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
9.8 高齢者
患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
14.1 薬剤投与時の注意
本剤は脳脊髄液腔内に投与するものであるので,手技及び注射針・注射筒の管理に十分注意すること。
16.1 血中濃度
血中濃度は投与後3時間で最高値を示す。以後投与後6時間までは急速な消失を示し(血中消失半減期2時間),その後緩やかに消失し(血中消失半減期約15時間),腎(糸球体)を経て尿中に排泄される。
16.3 分布
16.3.1 腰椎穿刺により脊髄液腔内に投与された本剤は,半減期5時間及び12時間の2相性の消失曲線に従い脳槽に移行する。一部は脊髄液腔で吸収される(初期血中出現)。脳槽に移行した本剤は,髄液流に従い脳槽を上行し,上矢状洞から吸収され半減期26時間で静脈相に移行する。
また,経時的な全身シンチグラフィにより,脊髄液腔から脳槽,血中を経て膀胱への111In-DTPAの移行は明らかであり,またそれ以外に111In-DTPAの集積は認めない。
16.3.2 吸収線量
MIRD法により算出した吸収線量は次のとおりである。
| 吸収線量(mGy/37MBq) |
脊髄索 | 30 |
脳 | 41 |
卵巣 | 0.8 |
精巣 | 0.6 |
腎臓 | 1.2 |
骨髄 | 1.5 |
全身 | 1.5 |
18.1 測定法
本剤の有効成分に含まれる放射性核種から放出される放射線(ガンマ線)が核医学検査装置により画像化される。
18.2 集積機序
脳脊髄液と生理的に類似した本剤をくも膜下腔に注入すると,生理的な脳脊髄液の流れに従い循環し吸収されるため
1),本剤を用いることにより,脳脊髄液の動態,脊髄くも膜下腔の形態を経時的に観察することができる。
18.3 疾患特性
脳脊髄液は,その大部分が脳室系の脈絡叢から絶えず分泌され,脳室内を循環した後,Magendie孔及びLuschka孔より流出してくも膜絨毛から吸収され,脳静脈洞に還流する。
本剤は,医療法その他の放射線防護に関する法令,関連する告示及び通知等を遵守し,適正に使用すること。