○うっ血性心不全
○
気管支喘息、
喘息性気管支炎(小児
喘息性気管支炎を含む)、薬剤その他の化学物質によるアレルギー・中毒(薬疹、中毒疹を含む)、血清病
○重症感染症(化学療法と併用する)
○重症消耗性疾患の全身状態の改善(癌末期、スプルーを含む)
○結核性髄膜炎(抗結核剤と併用する)、結核性胸膜炎(抗結核剤と併用する)、結核性腹膜炎(抗結核剤と併用する)
○脳脊髄炎(脳炎、脊髄炎を含む)(ただし、一次性脳炎の場合は頭蓋内圧亢進症状がみられ、かつ他剤で効果が不十分なときに短期間用いること)、
多発性硬化症(視束脊髄炎を含む)、
小舞踏病、顔面神経麻痺
○悪性リンパ腫(リンパ肉腫症、細網肉腫症、
ホジキン病、皮膚細網症、
菌状息肉症)及び類似疾患(近縁疾患)
○特発性低血糖症
○副腎摘除、侵襲後肺水腫、副腎皮質機能不全患者に対する外科的侵襲
○蛇毒・昆虫毒(重症の虫さされを含む)
○
★湿疹・皮膚炎群(急性湿疹、亜急性湿疹、慢性湿疹、
接触皮膚炎、貨幣状湿疹、自家感作性皮膚炎、
アトピー皮膚炎、乳・幼・小児湿疹、ビダール苔癬、その他の神経皮膚炎、
脂漏性皮膚炎、進行性指掌角皮症、その他の手指の皮膚炎、陰部あるいは肛門湿疹、耳介及び外耳道の湿疹・皮膚炎、鼻前庭及び鼻翼周辺の湿疹・皮膚炎など)(ただし、重症例以外は極力投与しないこと)、
★痒疹群(小児ストロフルス、蕁麻疹様苔癬、固定蕁麻疹を含む)(ただし、重症例に限る。また、固定蕁麻疹は局注が望ましい)、蕁麻疹(慢性例を除く)(重症例に限る)、
★乾癬及び類症[
尋常性乾癬(重症例)、
乾癬性関節炎、
乾癬性紅皮症、
膿疱性乾癬、稽留性肢端皮膚炎、疱疹状膿痂疹、ライター症候群]、
★毛孔性紅色粃糠疹(重症例に限る)、
★扁平苔癬(重症例に限る)、成年性浮腫性硬化症、紅斑症(
★多形滲出性紅斑、結節性紅斑)(ただし、多形滲出性紅斑の場合は重症例に限る)、IgA血管炎(重症例に限る)、ウェーバークリスチャン病、粘膜皮膚眼症候群[開口部びらん性外皮症、
スチブンス・ジョンソン病、皮膚口内炎、フックス症候群、
ベーチェット病(眼症状のない場合)、リップシュッツ急性陰門潰瘍]、
レイノー病、
★円形脱毛症(悪性型に限る)、
天疱瘡群(
尋常性天疱瘡、
落葉状天疱瘡、Senear-Usher症候群、
増殖性天疱瘡)、
デューリング疱疹状皮膚炎(
類天疱瘡、妊娠性疱疹を含む)、
帯状疱疹(重症例に限る)、
★紅皮症(ヘブラ紅色粃糠疹を含む)
○内眼・視神経・眼窩・眼筋の炎症性疾患の対症療法(ブドウ膜炎、網脈絡膜炎、網膜血管炎、視神経炎、眼窩炎性偽腫瘍、眼窩漏斗尖端部症候群、眼筋麻痺)、外眼部及び前眼部の炎症性疾患の対症療法で点眼が不適当又は不十分な場合(
眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、強膜炎、虹彩毛様体炎)、眼科領域の術後炎症
○難治性口内炎及び舌炎(局所療法で治癒しないもの)
注)★印:外用剤を用いても効果が不十分な場合あるいは十分な効果を期待し得ないと推定される場合にのみ用いること。
トリアムシノロンとして、通常成人1日4〜48mgを1〜4回に分割経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
<効能共通>
8.1 本剤の投与により、誘発感染症、続発性副腎皮質機能不全、消化性潰瘍、糖尿病、精神障害等の重篤な副作用があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、次の注意が必要である。
・投与に際しては特に適応、症状を考慮し、他の治療法によって十分に治療効果が期待できる場合には、本剤を投与しないこと。また、局所的投与で十分な場合には、局所療法を行うこと。
・投与中は副作用の出現に対し、常に十分な配慮と観察を行い、また、患者をストレスから避けるようにし、事故、手術等の場合には増量するなど適切な処置を行うこと。
・連用後、投与を急に中止すると、ときに発熱、頭痛、食欲不振、脱力感、筋肉痛、関節痛、ショック等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。離脱症状があらわれた場合には、直ちに再投与又は増量すること。
8.2 本剤の長期あるいは大量投与中の患者、又は投与中止後6ヵ月以内の患者では、免疫機能が低下していることがあり、生ワクチンの接種により、ワクチン由来の感染を増強又は持続させるおそれがあるので、これらの患者には生ワクチンを接種しないこと。[
11.1.1参照]
8.3 特に、本剤投与中に水痘又は麻疹に感染すると、致命的な経過をたどることがあるので、次の注意が必要である。[
11.1.1参照]
・本剤投与前に水痘又は麻疹の既往や予防接種の有無を確認すること。
・水痘又は麻疹の既往のない患者においては、水痘又は麻疹への感染を極力防ぐよう常に十分な配慮と観察を行うこと。感染が疑われる場合や感染した場合には、直ちに受診するよう指導し、適切な処置を講ずること。
・水痘又は麻疹の既往や予防接種を受けたことがある患者であっても、本剤投与中は、水痘又は麻疹を発症する可能性があるので留意すること。
8.4 本剤の連用により眼圧亢進、緑内障、後
のう白内障を来すことがあるので、定期的に検査をすることが望ましい。[
9.1.1、
11.1.6参照]
<強皮症>
8.5 強皮症腎クリーゼの発現率は、副腎皮質ホルモン剤投与患者で高いとの報告がある。本剤を投与する場合は、血圧及び腎機能を慎重にモニターし、強皮症腎クリーゼの徴候や症状の出現に注意すること。また、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 次の患者には治療上やむを得ないと判断される場合を除き投与しないこと。
(1)有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症の患者
免疫機能抑制作用により症状を悪化させるおそれがある。[
11.1.1参照]
(2)消化性潰瘍の患者
(3)精神病の患者
(4)結核性疾患の患者
免疫機能抑制作用により症状を悪化させるおそれがある。[
11.1.1参照]
(5)単純疱疹性角膜炎の患者
免疫機能抑制作用により症状を悪化させるおそれがある。[
11.1.1参照]
(6)後嚢白内障の患者
(7)緑内障の患者
(8)高血圧症の患者
Na・水分貯留作用により血圧をさらに上昇させるおそれがある。
(9)電解質異常のある患者
腎の尿細管におけるNaの吸収促進、Kの排泄促進等により、高ナトリウム血症、低カリウム血症等を起こすおそれがある。
(10)血栓症の患者
(11)最近行った内臓の手術創のある患者
(12)急性心筋梗塞を起こした患者
9.1.2 感染症の患者(有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症の患者を除く)
免疫機能抑制作用により症状を悪化させるおそれがある。[
11.1.1参照]
9.1.3 糖尿病の患者
糖新生作用等により血糖値が上昇し、症状を悪化させるおそれがある。[
11.1.2参照]
9.1.4 骨粗鬆症の患者
9.1.5 甲状腺機能低下のある患者
副腎皮質ホルモンの代謝が阻害され、副作用が強くあらわれるおそれがある。
9.1.6 脂肪肝の患者
脂肪組織からの脂質動員により、肝の脂質合成を増強するおそれがある。
9.1.7 脂肪塞栓症の患者
血清コレステロール、血清トリグリセリドの上昇などにより脂質代謝に影響を及ぼすおそれがある。
9.1.8 重症筋無力症の患者
蛋白異化作用により、使用当初、一時症状が増悪することがある。
9.1.9 B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者
本剤の投与期間中及び投与終了後は継続して肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルス増殖の徴候や症状の発現に注意すること。異常が認められた場合には、本剤の減量を考慮し、抗ウイルス剤を投与するなど適切な処置を行うこと。副腎皮質ホルモン剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者において、B型肝炎ウイルスの増殖による肝炎があらわれることがある。なお、投与開始前にHBs抗原陰性の患者において、B型肝炎ウイルスによる肝炎を発症した症例が報告されている。[
11.1.1参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 腎不全の患者
Na・水分貯留作用により症状を悪化させるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝硬変の患者
肝での代謝が阻害され、副作用が強くあらわれるおそれがある。
9.5 妊婦
9.5.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠ラットの器官形成期にトリアムシノロン(0.01、0.05、0.1mg/日)を皮下投与したとき、0.05mg/日以上の投与群で、胎児に口蓋裂の発生が認められている。また、新生児に副腎不全を起こすことがある。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
9.7.1 観察を十分に行うこと。小児の発育抑制があらわれることがある。
9.7.2 長期投与した場合、頭蓋内圧亢進症状があらわれることがある。
9.8 高齢者
長期投与した場合、感染症の誘発、糖尿病、骨粗鬆症、高血圧症、緑内障、後のう白内障等の副作用があらわれやすい。
11.1 重大な副作用
次の症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 誘発感染症、感染症の増悪(頻度不明)
11.1.2 続発性副腎皮質機能不全、糖尿病(頻度不明)[
9.1.3参照]
11.1.3 消化性潰瘍、膵炎(頻度不明)[
9.1.1参照]
11.1.4 精神変調、うつ状態、痙攣(頻度不明)[
9.1.1参照]
11.1.5 骨粗鬆症、大腿骨及び上腕骨等の骨頭無菌性壊死、ミオパチー(頻度不明)[
9.1.4参照]
11.1.7 血栓症(頻度不明)[
9.1.1参照]
11.2 その他の副作用
次の症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 頻度不明 |
内分泌 | 月経異常 |
消化器 | 下痢、悪心、嘔吐、胃痛、胸やけ、腹部膨満感、口渇、食欲不振、食欲亢進 |
精神神経系 | 多幸症、不眠、頭痛、めまい |
筋・骨格 | 筋肉痛、関節痛 |
脂質・蛋白質代謝 | 満月様顔貌、野牛肩、窒素負平衡、脂肪肝 |
体液・電解質 | 浮腫、血圧上昇、低カリウム性アルカローシス |
眼 | 中心性漿液性網脈絡膜症等による網膜障害、眼球突出 |
血液 | 白血球増多 |
皮膚 | ざ瘡、多毛、脱毛、色素沈着、皮下溢血、紫斑、線条、そう痒、発汗異常、顔面紅斑、創傷治癒障害、皮膚菲薄化・脆弱化、脂肪織炎 |
過敏症 | 発疹 |
その他 | ECG異常、発熱、疲労感、ステロイド腎症、体重増加、精子数及びその運動性の増減 |
15.1 臨床使用に基づく情報
副腎皮質ステロイド剤を投与中の患者にワクチン(種痘など)を接種して神経障害、抗体反応の欠如が起きたとの報告がある。
16.1 血中濃度
トリアムシノロンをヒトに4mg経口投与したとき、血漿中の半減期は約5時間である(外国人データ)。