医療用医薬品 : ケフラール

List   Top

医薬品情報


総称名 ケフラール
一般名 セファクロル
欧文一般名 Cefaclor
薬効分類名 持続性経口用セフェム系抗生物質製剤
薬効分類番号 6132
ATCコード J01DC04
KEGG DRUG
D00256 セファクロル
KEGG DGROUP
DG01488 セフェム系抗生物質
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
日米の医薬品添付文書はこちらから検索することができます。

添付文書情報2023年4月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
L−ケフラール顆粒 L-Kefral Granules 共和薬品工業 6132005E1020 158.1円/包 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者[9.1.1参照]

4. 効能または効果

<適応菌種>
<適応症>
○深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症
○咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、慢性呼吸器病変の二次感染
○中耳炎

5. 効能または効果に関連する注意

<咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、中耳炎>
「抗微生物薬適正使用の手引き」1)を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。

6. 用法及び用量

通常、成人及び体重20kg以上の小児には、セファクロルとして1日750mg(力価)(本剤2包)を2回に分割して、朝、夕食後に経口投与する。
重症の場合や分離菌の感受性が比較的低い症例には、セファクロルとして1日1500mg(力価)(本剤4包)を2回に分割して、朝、夕食後に経口投与する。
なお、年齢、体重、症状等に応じ適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 ショックがあらわれるおそれがあるので、十分な問診を行うこと。[11.1.1参照]
8.2 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
8.3 急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に腎機能検査を行うなど観察を十分に行うこと。[11.1.2参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 セフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しない。[2.参照]
9.1.2 ペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
9.1.3 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者
9.1.4 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者
観察を十分に行うこと。ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 高度の腎障害のある患者
投与量を減らすか、投与間隔をあけて使用すること。血中濃度が持続する。[16.6.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することが報告されている。[16.3.2参照]
9.8 高齢者
次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
・生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。
・ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも0.1%未満)
ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、喘鳴、全身潮紅、浮腫等)を起こすことがある。[8.1参照]
11.1.2 急性腎障害(頻度不明)
急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがある。[8.3参照]
11.1.3 汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少(いずれも頻度不明)
11.1.4 偽膜性大腸炎(0.1%未満)
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがある。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には、直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.5 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)
11.1.6 間質性肺炎、PIE症候群(いずれも頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.7 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALT、Al-Pの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.1.8 溶血性貧血
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
過敏症発疹蕁麻疹、紅斑、そう痒、発熱等リンパ腺腫脹、関節痛
血液 顆粒球減少、貧血(赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少)、血小板減少、好酸球増多等 
肝臓AST上昇、ALT上昇Al-P上昇黄疸
腎臓 BUN上昇、血清クレアチニン上昇 
消化器悪心、下痢、腹痛嘔吐、胃不快感、胸やけ、食欲不振等 
菌交代症  口内炎、カンジダ症
ビタミン欠乏症  ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)
その他 頭痛、めまい等 

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

12.1 テステープ反応を除くベネディクト試薬、フェーリング試薬による尿糖検査では偽陽性を呈することがあるので注意すること。
12.2 直接クームス試験陽性を呈することがあるので注意すること。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
原則としてSP包装のまま調剤すること。SP包装を開封して調剤すると2種類の顆粒が偏析を起こし、混合比率が変化することがあるので注意すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 かまずに服用するように注意すること。
14.2.2 制酸剤を配合したり、同時に服用すると、本剤の腸溶性が損なわれるおそれがあるので避けることが望ましい。やむを得ず併用するときは十分に服用間隔をあけること。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人に、セファクロル複合顆粒375mg(力価)を食後単回経口投与したときの血漿中濃度及び薬物動態パラメータを図16-1及び表16-1に示す2)。L-ケフラールは、溶出pHの異なる2種のセファクロル顆粒を配合することで、血中セファクロル濃度を速く高めるとともに長く維持することができる持続性製剤である。
図16-1 経口投与時の血漿中濃度
表16-1 薬物動態パラメータ
投与量[mg(力価)]nCmax(μg/mL)Tmax(hr)AUC0-10(μg・hr/mL)
375122.41.710.7
16.3 分布
16.3.1 経口投与後、喀痰中に移行が認められた3)
16.3.2 乳汁中に移行が認められた4)。(セファクロル通常製剤でのデータ)[9.6参照]
16.3.3 血漿蛋白結合率
限外ろ過法にて測定されたセファクロルの血漿蛋白結合率は23.1%であった5)
16.4 代謝
ラット、マウス、ウサギ、イヌにセファクロルを経口投与後、大部分が未変化体のまま尿中に排泄され、主要代謝物は尿中に認められなかった5)
16.5 排泄
主として腎より排泄され、健康成人12例に375mg(力価)食後単回経口投与後12時間の尿中回収率は約56%であった2)
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
セファクロル複合顆粒375mg(力価)を食後単回経口投与したとき、障害の程度に応じてCmaxが高値を示した。また、血中からの消失が遅延していた6)。[9.2.1参照]
図16-2 経口投与時の血中濃度
表16-2 薬物動態パラメータ
記号腎機能n年齢(歳)Ccr(mL/min)Cmax(μg/mL)Tmax(hr)AUC0-12(μg・hr/mL)T1/2(hr)
高度障害6526.810.75.261.0注13.0注2
中等度障害47929.27.92.836.22.1
正常36474.84.11.711.40.5

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 一般臨床試験
有効性評価対象例は456例(カプセル投与例を含む)であり、有効率は76.5%(349例)であった4)7)8)9)10)11)12)13)14)15)16)17)。(※L-ケフラールカプセルは販売中止)
臨床成績を表17-1に示す。
表17-1 臨床成績
疾患名有効例数/有効性評価対象例数有効率(%)
深在性皮膚感染症26/3672.2
リンパ管・リンパ節炎0/1
慢性膿皮症炎36/4285.7
咽頭・喉頭炎13/1776.5
扁桃炎84/8895.5
急性気管支炎66/8280.5
慢性呼吸器病変の二次感染92/12176.0
中耳炎32/6946.4

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
細菌の細胞壁合成を阻害することにより抗菌作用を発揮し、作用は殺菌的である。セファレキシンより低濃度・短時間で殺菌に至らしめる18)19)
18.2 抗菌作用
セファクロルは、試験管内で好気性グラム陽性菌のブドウ球菌属、レンサ球菌属(肺炎球菌を除く)、グラム陰性菌の大腸菌、クレブシエラ属、インフルエンザ菌に対して抗菌力を示す。リケッチア属、クラミジア属、マイコプラズマ属、ウイルス、真菌及び原虫には増殖阻止効果を示さない。細菌の産生する不活化酵素セファロスポリナーゼに対して、試験管内で安定性を示す18)19)20)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. セファクロル

一般的名称 セファクロル
一般的名称(欧名) Cefaclor
略号 CCL
化学名 (6R,7R)-7-[(2R)-2-Amino-2-phenylacetylamino]-3-chloro-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylic acid
分子式 C15H14ClN3O4S
分子量 367.81
融点 約199℃(分解)
物理化学的性状 白色〜黄白色の結晶性の粉末である。
水又はメタノールに溶けにくく、N,N-ジメチルホルムアミド又はエタノール(99.5)にほとんど溶けない。
分配係数 0.017[pH7.4、1-オクタノール/緩衝液]
KEGG DRUG D00256

20. 取扱い上の注意

外箱開封後は遮光して保存すること。

22. 包装

100包[0.75g(SP)×100]

23. 主要文献

  1. 厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き
  2. 大友正明,他, Jpn.J.Antibiot., 38 (3), 822-833, (1985) »PubMed
  3. 大泉耕太郎,他, 最新医学, 40 (8), 1747-1757, (1985)
  4. 高瀬善次郎,他, Chemotherapy., 27 (S-7), 666-672, (1979) »DOI
  5. 吉田正,他, Chemotherapy., 27 (S-7), 105-115, (1979) »DOI
  6. 荒川創一,他, 基礎と臨床, 26 (13), 5147-5155, (1992)
  7. 小田切繁樹,他, Jpn.J.Antibiot., 41 (9), 1325-1333, (1988) »PubMed
  8. 谷本晋一,他, Jpn.J.Antibiot., 41 (9), 1319-1324, (1988) »PubMed
  9. 平賀洋明,他, Jpn.J.Antibiot., 41 (9), 1304-1308, (1988) »PubMed
  10. 林泉,他, Jpn.J.Antibiot., 41 (9), 1313-1318, (1988) »PubMed
  11. 青沼清一,他, Jpn.J.Antibiot., 41 (9), 1309-1312, (1988) »PubMed
  12. 高木健三,他, 共和薬品工業社内資料(S6472(持続性顆粒製剤)の呼吸器感染症に対する臨床的検討), (1987)
  13. 藤本幹夫,他, 共和薬品工業社内資料(S6472(持続性L-ケフラール顆粒)の臨床的検討), (1987)
  14. 藤本幹夫,他, Jpn.J.Antibiot., 38 (3), 849-857, (1985) »PubMed
  15. 由良二郎,他, Jpn.J.Antibiot., 38 (3), 859-868, (1985) »PubMed
  16. 守殿貞夫,他, Jpn.J.Antibiot., 38 (3), 869-904, (1985) »PubMed
  17. 馬場駿吉,他, Jpn.J.Antibiot., 38 (7), 1750-1760, (1985) »PubMed
  18. 吉田正,他, Chemotherapy., 27 (S-7), 71-97, (1979) »DOI
  19. 加藤博,他, Chemotherapy., 27 (S-7), 150-157, (1979) »DOI
  20. 五島瑳智子,他, Chemotherapy., 27 (S-7), 1-13, (1979) »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
共和薬品工業株式会社 お問い合わせ窓口
〒530-0005 大阪市北区中之島3-2-4
電話:0120-041-189
FAX:06-6121-2858
製品情報問い合わせ先
共和薬品工業株式会社 お問い合わせ窓口
〒530-0005 大阪市北区中之島3-2-4
電話:0120-041-189
FAX:06-6121-2858

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
共和薬品工業株式会社
大阪市北区中之島3-2-4

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版