2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 伝染性単核症のある患者[アンピシリンの投与により発疹の発現頻度を高めることがある。]
<適応菌種>
<適応症>
敗血症、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎
<筋肉内注射>
筋肉内注射にあたっては、組織・神経などへの影響を避けるため、経口投与が困難な場合や緊急の場合、また、経口投与で効果が不十分と考えられる場合にのみ使用すること。なお、経口投与が可能で効果が十分と判断された場合には、速やかに経口投与に切り替えること。
<筋注の場合>
通常、成人には合剤(アンピシリンナトリウム・クロキサシリンナトリウム水和物)として、1日量1.5〜3.0g(力価)を3〜4回に分け筋肉内注射する。
小児には合剤(アンピシリンナトリウム・クロキサシリンナトリウム水和物)として、1日量50〜100mg(力価)/kgを3〜4回に分け筋肉内注射する。
<点滴静注の場合>
用時溶解し、通常成人には合剤(アンピシリンナトリウム・クロキサシリンナトリウム水和物)として、1回量1.0〜2.0g(力価)を250mL〜500mLの輸液中に溶解して、1日2回1〜2時間かけて点滴静注する。
なお、いずれの場合も年齢、症状により適宜増減する。
8.1 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
8.2 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。[
11.1.1参照]
・事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
・投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
・投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
8.3 無顆粒球症、溶血性貧血があらわれることがあるので、定期的に検査を行うこと。[
11.1.3参照]
8.4 急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うこと。[
11.1.4参照]
8.5 肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うこと。[
11.1.6参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 ペニシリン系又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)
9.1.2 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者
9.1.3 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者
観察を十分に行うこと。アンピシリンの投与によりビタミンK欠乏症状があらわれることがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 高度の腎障害のある患者
投与間隔をあけて使用すること。血中濃度が持続する。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。アンピシリンの大量(3,000mg/kg/day)投与でラットに催奇形性が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中へ移行することが報告されている。
9.8 高齢者
次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
・生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。
・ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも0.1%未満)
不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。[
8.2参照]
11.1.2 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)1)(0.1%未満)
、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)2)3)(0.1%未満)
、急性汎発性発疹性膿疱症(頻度不明)
11.1.3 無顆粒球症、溶血性貧血(いずれも0.1%未満)[
8.3参照]
11.1.4 急性腎障害等の重篤な腎障害(0.1%未満)[
8.4参照]
11.1.5 偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎(0.1%未満)
腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.6 肝機能障害(頻度不明)
AST、ALTの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。[
8.5参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| | 5%以上又は頻度不明 | 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 |
| 過敏症 | 発熱、発疹、蕁麻疹等 | | |
| 血液 | | | 好酸球増多、顆粒球減少、血小板減少、貧血 |
| 肝臓 | | | AST、ALT、Al-P上昇、黄疸 |
| 消化器注) | | 下痢、悪心、食欲不振等 | |
| 中枢神経注) | 痙攣等の神経症状(腎不全の患者に大量投与時) | | |
| 菌交代症注) | | | 口内炎、カンジダ症 |
| ビタミン欠乏症注) | | | ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等) |
| その他 | | | 悪寒、全身倦怠感、頭痛等 |
本剤の投与により、ベネディクト試薬、フェーリング試薬による尿糖検査では偽陽性を呈することがあるので注意すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
アンピシリンとアロプリノールとの併用により、発疹の発現が増加するとの報告がある。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
肺膿瘍(肺化膿症)、慢性呼吸器病変の二次感染(気管支拡張症)、敗血症、肺炎に対して、筋注では95.1%(39/41例)の有効率を示し、肺膿瘍(肺化膿症)、慢性呼吸器病変の二次感染(気管支拡張症、肺結核二次感染)、敗血症、肺炎(細菌性肺炎)、腎盂腎炎及び膀胱炎(尿路感染症)に対して、点滴静注では80.7%(159/197例)の有効率を示した。
18.1 作用機序
アンピシリンは、細菌の細胞壁合成阻害により殺菌的に作用する。
クロキサシリンは、細菌の細胞壁合成阻害により殺菌的に作用し、細菌が産生するペニシリン分解酵素に対し抵抗性を有する。
18.2 in vitro抗菌作用
アンピシリン/クロキサシリンは、グラム陽性菌及びグラム陰性菌に抗菌作用を示し、多剤耐性ブドウ球菌にも抗菌作用を示した。
| 被験菌 | 最小発育阻止濃度(μg/mL) |
| アンピシリン/クロキサシリン | アンピシリン | クロキサシリン |
| Staphylococcus aureus 209P | 0.062 | 0.062 | 0.5 |
| S.aureus 樋口株注) | 0.16 | 0.62 | 0.16 |
| S.aureus 有富株注) | 0.31 | 1.25 | 0.31 |
| S.aureus 久家株注) | 0.31 | 1.25 | 0.31 |
| Streptococcus hemolyticus D90 | 0.25 | 0.5 | >1.0 |
| S.hemolyticus Cook | 0.005 | 0.005 | 0.04 |
| S.pneumoniae type 3 IID | 0.125 | 0.125 | 0.5 |
| Escherichia coli IAM 1253 | 0.62 | 1.25 | >10 |