2.1 麦角製剤に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 心エコー検査により、心臓弁尖肥厚、心臓弁可動制限及びこれらに伴う狭窄等の心臓弁膜の病変が確認された患者及びその既往のある患者[症状を悪化させるおそれがある。][
8.3、
8.4参照]
2.3 妊娠高血圧症候群の患者[産褥期に痙攣、脳血管障害、心臓発作、高血圧が発現するおそれがある。]
2.4 産褥期高血圧の患者[産褥期に痙攣、脳血管障害、心臓発作、高血圧が発現するおそれがある。]
<パーキンソン病>
5.1 非麦角製剤の治療効果が不十分又は忍容性に問題があると考えられる患者のみに投与すること。[
8.4、
11.1.4参照]
<生殖補助医療に伴う卵巣過剰刺激症候群の発症抑制>
5.2 多嚢胞性卵巣症候群の有無、血清抗ミュラー管ホルモン濃度、血清エストラジオール濃度、卵胞数等に基づき、生殖補助医療に伴う卵巣過剰刺激症候群の発症リスクが高いと判断される患者に対してのみ、本剤を投与すること。
<パーキンソン病>
5.1 非麦角製剤の治療効果が不十分又は忍容性に問題があると考えられる患者のみに投与すること。[
8.4、
11.1.4参照]
<パーキンソン病>
通常、成人にはカベルゴリンとして1日量0.25mgから始め、2週目には1日量を0.5mgとし、以後経過を観察しながら、1週間毎に1日量として0.5mgずつ増量し、維持量を定めるが、最高用量は1日3mgとする。いずれの投与量の場合も1日1回朝食後経口投与する。
<乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)>
通常、成人には1週1回(同一曜日)就寝前経口投与とし、カベルゴリンとして1回量0.25mgから始め、以後臨床症状を観察しながら、少なくとも2週間以上の間隔で1回量を0.25mgずつ増量し、維持量(標準1回量0.25〜0.75mg)を定める。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1回量の上限は1.0mgとする。
<産褥性乳汁分泌抑制>
通常、成人にはカベルゴリンとして1.0mgを胎児娩出後に1回のみ食後に経口投与する。
<生殖補助医療に伴う卵巣過剰刺激症候群の発症抑制>
通常、カベルゴリンとして1日1回0.5mgを最終的な卵胞成熟の誘発日又は採卵日から7〜8日間、就寝前に経口投与する。
<パーキンソン病>
通常、成人にはカベルゴリンとして1日量0.25mgから始め、2週目には1日量を0.5mgとし、以後経過を観察しながら、1週間毎に1日量として0.5mgずつ増量し、維持量を定めるが、最高用量は1日3mgとする。いずれの投与量の場合も1日1回朝食後経口投与する。
<乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)>
通常、成人には1週1回(同一曜日)就寝前経口投与とし、カベルゴリンとして1回量0.25mgから始め、以後臨床症状を観察しながら、少なくとも2週間以上の間隔で1回量を0.25mgずつ増量し、維持量(標準1回量0.25〜0.75mg)を定める。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1回量の上限は1.0mgとする。
<産褥性乳汁分泌抑制>
通常、成人にはカベルゴリンとして1.0mgを胎児娩出後に1回のみ食後に経口投与する。
<パーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)>
7.1 本剤投与は、少量から開始し、消化器症状(悪心、嘔吐等)、血圧等の観察を十分に行い、慎重に維持量まで増量すること。
<産褥性乳汁分泌抑制>
7.2 胎児娩出後4時間以内の投与は避け、呼吸、脈拍、血圧等が安定した後、投与すること。また、胎児娩出後2日以内に投与することが望ましい。投与後(特に投与当日)は観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。類薬において血圧上昇、頭痛、中枢神経症状等があらわれたとの報告がある。
<効能共通>
8.1 前兆のない突発的睡眠、傾眠、起立性低血圧がみられることがあるので、自動車の運転、機械の操作、高所作業等危険を伴う作業には従事させないよう注意すること。[
11.1.7参照]
8.2 レボドパ又はドパミン受容体作動薬の投与により、病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されているので、このような症状が発現した場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、患者及び家族等にこのような衝動制御障害の症状について説明すること。
<パーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)>
8.3 本剤の長期投与において心臓弁膜症があらわれることがあるので、投与前・投与中に以下の検査を行い、十分な観察を行うこと。なお、投与中止により改善がみられたとの報告例もある。[
2.2、
11.1.5参照]
8.3.1 本剤投与開始に際しては、聴診等の身体所見の観察、心エコー検査により潜在する心臓弁膜症の有無を確認すること。
8.3.2 本剤投与中は、投与開始後3〜6ヵ月以内に、それ以降は少なくとも6〜12ヵ月毎に心エコー検査を行うこと。また、十分な観察(聴診等の身体所見、胸部X線、CT等)を定期的に行うこと。
<パーキンソン病>
8.4 非麦角製剤と比較して、本剤を含む麦角製剤投与中の心臓弁膜症、線維症の報告が多いので、パーキンソン病に対する薬物療法について十分な知識・経験を持つ医師のもとで本剤の投与を開始するとともに、投与継続中はリスクとベネフィットを考慮すること。[
2.2、
5.1、
11.1.4、
11.1.5参照]
8.5 本剤の減量・中止が必要な場合は、漸減すること。急激な減量又は中止により、悪性症候群があらわれることがある。また、ドパミン受容体作動薬の急激な減量又は中止により、薬剤離脱症候群(無感情、不安、うつ、疲労感、発汗、疼痛等の症状を特徴とする)があらわれることがある。[
11.1.2参照]
<乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害>
<高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)>
8.7 トルコ鞍外に進展する高プロラクチン血性下垂体腺腫の患者において、本剤の投与による腺腫の縮小により髄液鼻漏がみられ、髄膜炎に至ることがあるので、異常が認められた場合には、減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。[
9.1.7参照]
8.8 視野障害のみられる高プロラクチン血性下垂体腺腫の患者において、本剤投与により腺腫の縮小がみられ、一旦、視野障害が改善した後、トルコ鞍の空洞化により視交叉部が鞍内に陥入することによって、再び視野障害があらわれたとの報告がある。異常が認められた場合には、減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。[
9.1.7参照]
<産褥性乳汁分泌抑制>
8.9 場合により氷罨法等の補助的方法を併用すること。
<生殖補助医療に伴う卵巣過剰刺激症候群の発症抑制>
8.10 本剤は、不妊治療に十分な知識と経験のある医師のもとで使用すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 胸膜炎、胸水、胸膜線維症、肺線維症、心膜炎、心嚢液貯留、後腹膜線維症又はその既往歴のある患者
9.1.2 消化性潰瘍や消化管出血又はその既往歴のある患者
9.1.3 レイノー病の患者
9.1.4 精神病又はその既往歴のある患者
ドパミン受容体作動性のため統合失調症の症状である幻覚、妄想などを悪化させる可能性がある。[
11.1.1参照]
9.1.5 低血圧症の患者
9.1.6 重篤な心血管障害又はその既往歴のある患者
9.1.7 下垂体腫瘍がトルコ鞍外に進展し、視力障害などの著明な高プロラクチン血性下垂体腺腫の患者
腺腫の縮小により髄液鼻漏を来すことがあり、また視野障害の再発を来すことが報告されている。外科的な処置を必要とする下垂体腺腫の場合、類薬の使用により残存腺腫の線維化及び易出血性の変化が起こり、手術の際に腺腫の摘出に支障を来すことが報告されている。[
8.7、
8.8参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 高度の肝機能障害又はその既往のある患者
外国で重度の肝不全患者で本剤の血中AUCが上昇することが明らかにされている。
9.4 生殖能を有する者
<効能共通>
9.4.1 妊娠を希望する患者に本剤を投与する場合には、妊娠を早期に確認するため定期的に妊娠反応等の検査を実施すること。
<パーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)、産褥性乳汁分泌抑制>
9.4.2 妊娠を望まない患者には避妊の方法を指導すること。
<パーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)>
9.4.3 本剤を長期連用する場合には、プロラクチン分泌が抑制され、婦人科的異常が起こる可能性があるので、定期的に一般的な婦人科検査を実施すること。[
15.2参照]
9.5 妊婦
<パーキンソン病>
9.5.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。生殖発生毒性試験(サル)においてパーキンソン病の臨床用量上限までの試験は実施していない。
<乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)>
9.5.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。なお、下垂体腺腫のある患者では本剤の投与中止により妊娠中に下垂体腺腫の拡大が起こることがあるので、本剤中止後も観察を十分に行い、腺腫の拡大を示す症状(頭痛、視野狭窄等)に注意すること。
9.6 授乳婦
9.6.1 授乳を望む母親には本剤を投与しないこと。本剤は乳汁分泌を抑制する。
9.6.2 授乳婦への投与に際しては、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中への移行の有無は不明であるが、ラットではカベルゴリン及び代謝物が乳汁中へ移行することが認められている。
9.7 小児等
9.8 高齢者
用量に留意して患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤は主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 幻覚(5.5%)
、妄想(1.8%)
、失神(頻度不明)
、せん妄(頻度不明)
、錯乱(頻度不明)[
9.1.4参照]
11.1.2 悪性症候群(頻度不明)
パーキンソン病治療において、本剤の急激な減量又は中止により、高熱、意識障害、高度の筋硬直、不随意運動、血清CK上昇等があらわれることがある。このような場合には、再投与後、漸減し、体冷却、水分補給等の適切な処置を行うこと。なお、投与継続中に同様の症状があらわれることがある。[
8.5参照]
11.1.3 間質性肺炎(頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)等があらわれた場合には、速やかに胸部X線検査を実施し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.4 胸膜炎(頻度不明)、胸水(頻度不明)、胸膜線維症(頻度不明)、肺線維症(頻度不明)、心膜炎(頻度不明)、心嚢液貯留(頻度不明)
胸膜炎、胸水、心嚢液貯留があらわれることがある。また、本剤の長期投与又はドパミン受容体刺激作用を有する麦角製剤の治療歴のある患者に本剤を投与した場合、胸膜線維症、肺線維症、心膜炎があらわれることがある。本剤の投与中に胸痛、浮腫、呼吸器症状等があらわれた場合には、速やかに胸部X線検査を実施し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[
5.1、
8.4、
9.1.1参照]
11.1.5 心臓弁膜症(頻度不明)
心雑音の発現又は増悪等があらわれた場合には、速やかに胸部X線検査、心エコー検査等を実施すること。心臓弁尖肥厚、心臓弁可動制限及びこれらに伴う狭窄等の心臓弁膜の病変が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[
8.3、
8.4参照]
11.1.6 後腹膜線維症(頻度不明)
背部痛、下肢浮腫、腎機能障害等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。[
9.1.1参照]
11.1.7 突発的睡眠(頻度不明)
前兆のない突発的睡眠があらわれることがある。[
8.1参照]
11.1.8 肝機能障害(頻度不明)、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.1.9 狭心症(頻度不明)
、肢端紅痛症(頻度不明)[
9.1.6参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
<パーキンソン病>
| 5%以上 | 5%未満 | 頻度不明 |
消化器 | 嘔気・悪心、胃部不快感、食欲不振 | 口渇、嘔吐、便秘、下痢、胃のもたれ感、口内炎、腹痛、胃痛、胸やけ | 胃炎 |
精神神経系 | | 興奮、不眠、不安、抑うつ、徘徊等の精神症状、ふらつき、めまい、頭重感、頭痛、ジスキネジア、睡眠時ミオクローヌス等の神経症状 | 傾眠、病的性欲亢進、病的賭博、薬剤離脱症候群a)(無感情、不安、うつ、疲労感、発汗、疼痛等)、攻撃性 |
循環器 | | 起立性低血圧、血圧低下、立ちくらみ、動悸、浮腫、高血圧 | 胸部不快感、胸痛、指の血管攣縮 |
呼吸器 | | | 息苦しさ |
血液 | 赤血球数減少、血色素量減少、ヘマトクリット値減少 | 血小板数減少、白血球数減少、白血球数増加 | |
過敏症 | | 発疹、顔のほてり、そう痒 | 紅斑、顔面浮腫、蕁麻疹 |
泌尿器 | | 排尿障害、尿失禁 | |
その他 | CK上昇 | 倦怠感、総コレステロール上昇、筋肉痛、発汗、脱毛 | 下肢の痙攣、無力症 |
<乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)、生殖補助医療に伴う卵巣過剰刺激症候群の発症抑制>
| 5%以上 | 5%未満 | 頻度不明 |
消化器 | 嘔気・悪心 | 嘔吐、便秘、むかつき、腹痛、下痢、胃部不快感、胃痛、胸やけ、胃炎 | |
精神神経系 | 頭痛 | めまい、ふらつき、眠気、いらいら感 | うつ病、異常感覚、攻撃性、病的性欲亢進、病的賭博 |
循環器 | | 立ちくらみ、動悸、血圧低下 | 浮腫、指の血管攣縮、起立性低血圧 |
呼吸器 | | | 息苦しさ |
血液 | | 血小板数減少、白血球数減少 | 血色素量減少 |
過敏症 | | ほてり | 発疹、紅斑、顔面浮腫、蕁麻疹、そう痒 |
その他 | | ざ瘡、倦怠感、トリグリセライド上昇 | 脱毛、乳房痛、下肢の痙攣、無力症、CK上昇 |
<産褥性乳汁分泌抑制>
| 5%未満 | 頻度不明 |
消化器 | 嘔気・悪心、胃部不快感、胃痛 | 嘔吐、腹痛 |
精神神経系 | 頭痛、ふらつき、頭重感 | 傾眠、一過性半盲、攻撃性、病的性欲亢進、病的賭博 |
循環器 | 立ちくらみ | ほてり、浮腫、指の血管攣縮、動悸 |
呼吸器 | | 息苦しさ |
血液 | 血小板数増加、白血球数減少 | |
過敏症 | | 蕁麻疹、そう痒、発疹、紅斑、顔面浮腫 |
その他 | トリグリセライド上昇、総コレステロール上昇 | 倦怠感、鼻血、下肢の痙攣、脱毛、無力症、CK上昇 |
13.1 症状
ヒトで過量投与した経験はないが、ドパミン受容体の過剰刺激に伴う症状が発現すると予想される。すなわち、悪心、嘔吐、胃部不快感、幻覚、妄想、頭重感、めまい、起立性低血圧が起こることがある。
13.2 処置
著しい幻覚などに対してはドパミン拮抗薬の投与等を行うこと。
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
<パーキンソン病>
国内で実施したパーキンソン病を対象とした全臨床試験において、調査症例数821例中、副作用発現症例は346例(42.1%)であり、副作用発現件数は延べ723件であった。その主なものは、消化器症状で嘔気114件(13.9%)、食欲不振75件(9.1%)、胃部不快感75件(9.1%)、口渇37件(4.5%)、嘔吐21件(2.6%)、便秘20件(2.4%)、精神症状で幻覚45件(5.5%)、妄想15件(1.8%)、興奮11件(1.3%)、眠気10件(1.2%)、神経症状でふらつき31件(3.8%)、めまい25件(3.0%)、頭重感17件(2.1%)、循環器系で起立性低血圧24件(2.9%)等であった。
臨床検査成績の異常変動は、主に血色素量減少6.4%(48/748件)、ヘマトクリット値減少6.3%(47/748件)、赤血球数減少5.1%(38/748件)、白血球数減少2.5%(19/748件)、CK上昇10.2%(65/638件)、LDH上昇7.5%(56/744件)、ALT上昇4.8%(36/757件)、AST上昇3.7%(28/757件)、総コレステロール上昇1.6%(12/738件)、Al-P上昇2.3%(17/742件)であった。(承認時までの調査の集計)
17.1.1 国内前期・後期第II相試験
パーキンソン病患者(若年性パーキンソニズムを含む)40例を対象として前期第II相試験を実施した結果、66.7%(26/39例)の改善率を認めた。副作用は35.9%に認められ、主なものは胃部不快感、嘔気、食欲不振などの消化器症状であった
9)。
後期第II相試験は350例(L-ドパ非併用107例、併用243例)を対象として行った。その結果、改善率はL-ドパ非併用例で53.3%(48/90例)、併用例で50%(103/206例)であり、至適用法・用量は初回用量が0.25mg/日で、漸増投与し2〜4mg/日の範囲で維持量を定める方法が推奨された。副作用は、L-ドパ非併用例33.7%(32/95例)、併用例31.4%(69/220例)に認められた。L-ドパ非併用・併用例とも消化器系症状が多かった
10)。
17.1.2 国内第III相二重盲検試験
パーキンソン病患者(若年性パーキンソニズムを含む)L-ドパ非併用例154例、併用例235例を対象として、それぞれ二重盲検試験を実施した。その結果、カベルゴリンの改善率はL-ドパ非併用例で50%(35/70例)、併用例で43.7%(45/103例)であり、それぞれの試験で本剤の有効性が確認された。
副作用は、L-ドパ非併用例で64.9%(48/74例)、併用例で49.0%(51/104例)に認められ、その主なものは、L-ドパ非併用例・併用例のいずれにおいても嘔気、食欲不振、胃部不快感などの消化器症状であった
11)12)。
17.1.3 国内長期臨床試験
パーキンソン病患者(若年性パーキンソニズムを含む)296例を対象として最長約3年(6ヵ月以上261例、1年以上168例)長期投与を行った。その結果、全症例での改善率は45.5%(130/286例)であり、投与期間の長短による改善率に大きな変動はみられなかった。安全性に関しては特に問題はみられず、依存性を思わせる所見もみられなかった
13)14)15)16)17)。
<乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)>
高プロラクチン血症患者及び乳汁漏出症患者325例を対象に二重盲検試験を含む臨床試験を実施した結果、改善率(「中等度改善」以上の割合)は80.4%(242/301例)であった。効能別の改善率は以下のとおりであった。(承認時)
効能・効果 | 改善率(%) |
高プロラクチン血性排卵障害 | 77.2(125/162例) |
高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る) | 79.3(46/58例) |
乳汁漏出症 | 87.7(71/81例) |
調査症例数335例中、副作用発現症例は82例(24.5%)であり、副作用発現件数は延べ196件であった。その主なものは、消化器症状で嘔気・悪心48件(14.3%)、嘔吐、便秘各13件(3.9%)、精神・神経症状で頭痛37件(11.0%)、めまい12件(3.6%)、ふらつき8件(2.4%)等であった。
臨床検査成績の異常変動は、主にトリグリセライドの上昇2.4%(7/292件)であった。(承認時までの調査の集計)
17.1.4 国内前期・後期第II相試験
高プロラクチン血症患者及び乳汁漏出症患者34例を対象として0.125〜1.0mg/週の前期第II相試験を実施した結果、87.9%(29/33例)の改善率を認めた。副作用は15.2%(5/33例)13件に認められた
18)。
後期第II相試験では高プロラクチン血症患者及び乳汁漏出症患者125例を対象として0.25〜0.75mg/週の漸増投与を実施した結果、14週時において82.4%(84/102例)の改善率が得られ、臨床推奨用法・用量は、0.25mg〜0.75mg1週1回漸増投与とされた。副作用は、13.4%(15/112例)52件に認められ、主な症状は嘔気、嘔吐等の消化器症状、頭痛、ふらつきであった
19)。
17.1.5 国内第III相比較臨床試験
高プロラクチン血症患者及び乳汁漏出症患者184例を対象として、二重盲検比較試験を実施した結果、カベルゴリンの改善率は76.2%(64/84例)であり、本剤の有効性が確認された
20)。副作用は、27.8%(25/90例)であり、主なものは嘔気8.9%(8/90例)、便秘6.7%(6/90例)、頭痛6.7%(6/90例)、めまい6.7%(6/90例)であった。
17.1.6 国内長期臨床試験
高プロラクチン血症患者及び乳汁漏出症患者102例を対象として、最長132週(26週以上59例、53週以上15例)の長期投与試験を実施した結果、改善率は76.4%(68/89例)であり、長期投与による効果の減弱はみられず、忍容性は良好であった
21)。
<産褥性乳汁分泌抑制>
分娩後に乳汁分泌抑制を必要とする褥婦339例(有効性評価例数)を対象に二重盲検試験を含む臨床試験を実施した結果、1.0mg単回投与による著効率(「著効」の割合)は以下のとおりであった。(承認時)
効能・効果 | 著効率(%) |
産褥性乳汁分泌抑制 | 96.4(186/193例) |
調査症例数347例中、副作用発現症例は13例(3.7%)であり、副作用発現件数は延べ18件であった。その主なものは、頭痛4件(1.2%)であった。
臨床検査成績の異常変動は、主にALT上昇3.2%(10/310件)、AST上昇2.9%(9/310件)、血小板数増加1.8%(5/271件)、総コレステロール上昇1.6%(5/305件)であった。(承認時までの調査の集計)
17.1.7 国内前期・後期第II相試験
分娩後に乳汁分泌抑制を必要とする褥婦46例を対象として前期第II相試験を実施した結果、1.0mg単回投与による著効率は100%(17/17例)であった。副作用は46例中、1.0mgを服用した1例(2.2%)に3件(顔のほてり、嘔気及び頭痛)認められたのみであった
22)。
後期第II相試験では分娩後に乳汁分泌抑制を必要とする褥婦189例を対象として3用量間の二重盲検比較試験を実施した結果、著効率94.2%(49/52例)の1.0mg単回投与が臨床推奨用法・用量とされた。副作用は1.0mg単回投与群では5.4%(3/56例)に認められた
23)。
17.1.8 国内第III相比較臨床試験
分娩後に乳汁分泌抑制を必要とする褥婦246例を対象として、二重盲検比較試験を実施した結果、カベルゴリンの著効率は96.8%(120/124例)であり、本剤の有効性が確認された。副作用は40%に認められ、中等度の症状は1例(嘔気・胃痛)に認められた
24)。
18.1 作用機序
本剤は持続的なドパミンD2受容体刺激作用を有し、中枢神経系に対しては黒質線条体のドパミンD2受容体に作用して抗パーキンソン作用を示す。また、内分泌系に対しては下垂体前葉のドパミンD2受容体に作用してプロラクチン分泌を特異的に抑制し、抗プロラクチン作用を示す。
18.2 中枢神経系に対する作用
18.2.1 脳内ドパミンD2受容体に対する親和性
ラット線条体のドパミンD
2受容体に強い親和性を示した
25)。
18.2.2 旋回運動誘発作用
黒質破壊ラット(Ungerstedtモデル)において破壊側と反対側への旋回運動を示した
26)。
18.2.3 MPTP誘発パーキンソン様症状の改善作用
カニクイザルのMPTP誘発パーキンソン様症状を持続的に改善した
27)。
18.2.4 レセルピン誘発運動障害モデルの改善作用
マウスあるいはラットのレセルピン誘発アキネジア、カタレプシー及び固縮を持続的に改善した
28)。
18.2.5 L-ドパとの併用効果
カニクイザルのMPTP誘発パーキンソン様症状及びマウスのレセルピン誘発カタレプシーに対してL-ドパとの併用により、その効果の増強が認められた
28)29)。
18.3 内分泌系に対する作用
18.3.1 プロラクチン分泌に対する作用
雌性ラット及びマーモセットを用いた各種高プロラクチン血症モデルにおいて、血清プロラクチン濃度を用量依存的に低下させた
30)31)。
18.3.2 乳汁分泌抑制作用
授乳中のラットにおいて、0.03mg/kgより用量依存的に乳汁分泌を抑制した
32)。
18.3.3 高プロラクチン血性排卵障害に対する作用
ラットの高プロラクチン血性排卵障害モデルにおいて、0.003mg/kgより用量依存的に無排卵状態を改善した
33)。
18.3.4 下垂体腺腫に対する作用
ラットのプロラクチン産生下垂体腺腫モデルにおいて、用量依存的に血清プロラクチン濃度を低下させ、下垂体重量の増加を抑制した
34)。
18.3.5 内分泌ホルモンに対する影響
ラットのプロラクチン分泌を抑制したが、LH、FSH、TSH、ACTH、GHには影響しなかった
30)35)。