医療用医薬品 : ルプラック |
List Top |
総称名 | ルプラック |
一般名 | トラセミド |
欧文一般名 | Torasemide |
製剤名 | トラセミド錠 |
薬効分類名 | ループ利尿剤 |
薬効分類番号 | 2139 |
ATCコード | C03CA04 |
KEGG DRUG |
D00382
トラセミド
商品一覧 米国の商品 相互作用情報 |
JAPIC | 添付文書(PDF) |
販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
---|---|---|---|---|---|
ルプラック錠4mg | LUPRAC | 田辺三菱製薬 | 2139009F1026 | 20.8円/錠 | 処方箋医薬品 |
ルプラック錠8mg | LUPRAC | 田辺三菱製薬 | 2139009F2022 | 33.1円/錠 | 処方箋医薬品 |
次の患者には投与しないこと
無尿の患者〔本剤の効果が期待できない。〕
肝性昏睡の患者〔低カリウム血症によるアルカローシスの増悪により肝性昏睡が悪化するおそれがある。〕
体液中のナトリウム、カリウムが明らかに減少している患者〔電解質失調を起こすおそれがある。〕
デスモプレシン酢酸塩水和物(男性における夜間多尿による夜間頻尿)を投与中の患者(「3.相互作用」の項参照)
本剤の成分又はスルフォンアミド誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
心性浮腫、腎性浮腫、肝性浮腫
通常、成人には、トラセミドとして、1日1回4〜8mgを経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
慎重投与
進行した肝硬変症のある患者〔肝性昏睡を起こすおそれがある。〕
重篤な冠硬化症又は脳動脈硬化症のある患者〔急激な利尿があらわれた場合、急速な血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。〕
腎機能障害のある患者〔腎機能障害が増悪することがある。また、排泄遅延により血中濃度が上昇するおそれがある。(「薬物動態」の項参照)
肝疾患・肝機能障害のある患者〔肝性昏睡を起こすおそれがある。〕
本人又は両親、兄弟に痛風、糖尿病のある患者〔痛風発作を起こすおそれがある。糖尿病を悪化するおそれがある。〕
下痢、嘔吐のある患者〔電解質失調を起こすおそれがある。〕
手術前の患者〔昇圧アミンに対する血管壁への反応性を低下させることがある。ツボクラリン等の麻痺作用を増強することがある。(「3.相互作用」の項参照)〕
ジギタリス剤、糖質副腎皮質ホルモン剤、ACTH又はグリチルリチン製剤の投与を受けている患者(「3.相互作用」の項参照)
減塩療法時の患者〔低ナトリウム血症を起こすおそれがある。〕
高齢者(「5.高齢者への投与」の項参照)
乳児〔乳児では電解質バランスがくずれやすい。〕
3.〜11.項は副作用の項の代謝異常参照
重要な基本的注意
本剤の利尿効果は急激にあらわれることがあるので、電解質失調、脱水に十分注意し、少量から投与を開始して、徐々に増量すること。
連用する場合、電解質失調があらわれることがあるので定期的に検査を行うこと。
降圧作用に基づくめまい、ふらつきがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
夜間の休息が必要な患者には、夜間の排尿を避けるため、午前中に投与することが望ましい。
相互作用
併用禁忌
デスモプレシン酢酸塩水和物 (ミニリンメルト) (男性における夜間多尿による夜間頻尿) | 低ナトリウム血症が発現するおそれがある。 | いずれも低ナトリウム血症が発現するおそれがある。 |
併用注意
昇圧アミン (ノルアドレナリン等) | 昇圧アミンの作用を減弱するおそれがあるので、手術前の患者に使用する場合には、一時休薬等の処置を講ずること。 | 本剤が昇圧アミンに対する血管壁の反応性を低下させるためと考えられている。 |
ツボクラリン及びその類似物質 (ツボクラリン塩化物塩酸塩水和物) | 麻痺作用を増強することがあるので、手術前の患者に使用する場合には、一時休薬等の処置を講ずること。 | 血清カリウム値の低下により、これらの薬剤の神経・筋遮断作用が増強されると考えられている。 |
降圧剤 (ACE阻害剤、β遮断剤等) | 降圧作用を増強するおそれがあるので、併用する降圧剤の用量調節に注意する。 | 併用により降圧作用を増強するおそれがある。 |
アミノグリコシド系抗生物質 (ゲンタマイシン硫酸塩、アミカシン硫酸塩等) | 腎障害及び第8脳神経障害(聴覚障害)を増強するおそれがあるので、併用を避けることが望ましい。やむを得ず投与する場合には、アミノグリコシド系抗生物質の血中濃度をモニターし、投与量、投与間隔を調節する。 | アミノグリコシド系抗生物質の腎障害及び聴力障害を増強するおそれがある。 |
セファロスポリン系抗生物質 | 腎毒性を増強するおそれがあるので、併用する場合には、慎重に投与する。 | 尿細管でのナトリウムの再吸収の増加に伴い、セファロスポリン系抗生物質の再吸収も増加し、腎毒性を増強するおそれがある。 |
ジギタリス剤 (ジギトキシン、ジゴキシン等) | 不整脈を起こすおそれがある。血清カリウム値をモニターし、カリウム剤の補充を行う。 | 低カリウム血症を起こし、ジギタリスの心臓毒性を増強する可能性が考えられる。 |
糖質副腎皮質ホルモン剤 ACTH グリチルリチン製剤 | 過剰のカリウム放出を起こすおそれがあるので、併用する場合には、慎重に投与する。 | ともにカリウム排泄作用を有する。 |
糖尿病用剤 | 糖尿病用剤の作用を著しく減弱するおそれがある。 | 細胞内外のカリウム喪失がインスリン分泌の抑制、末梢でのインスリン感受性の低下をもたらすと考えられている。 |
リチウム (炭酸リチウム) | リチウム中毒を起こすおそれがあるので、血中リチウム濃度に注意すること。 | リチウムの腎における再吸収を促進し、リチウムの血中濃度が上昇するおそれがある。 |
サリチル酸誘導体 (サリチル酸ナトリウム、アスピリン等) | サリチル酸中毒が発現するおそれがある。 | 腎の排泄部位において両剤の競合が起こり、サリチル酸誘導体の排泄が遅れるおそれがある。 |
非ステロイド性消炎鎮痛剤 (インドメタシン等) | 本剤の利尿作用が減弱されるおそれがある。 | 非ステロイド性消炎鎮痛剤のプロスタグランジン合成抑制による水、ナトリウム体内貯留傾向が、本剤の水、ナトリウム排泄作用に拮抗するためと考えられている。 |
尿酸排泄促進剤 (プロベネシド等) | 尿酸排泄促進剤の尿酸排泄作用を減弱するおそれがある。 | 尿酸再吸収の間接的増大により、尿酸排泄促進剤の作用が抑制される。 |
カルバマゼピン | 症候性低ナトリウム血症があらわれることがある。 | ナトリウム排泄作用が増強され、低ナトリウム血症が起こる。 |
副作用
副作用発現状況の概要
治験対象例で安全性が評価された934例中臨床検査値異常変動を除く副作用(自他覚症状)は32例(3.43%)41件報告されている。主な副作用は、頭痛・頭重感7件(0.75%)、倦怠感4件(0.43%)、口渇4件(0.43%)、めまい・立ちくらみ2件(0.21%)等であった。また、934例中臨床検査値異常変動(発現件数/測定例数)は、血清尿酸値上昇5.79%(46/795)、血清カリウム値低下1.05%(9/855)、AST(GOT)上昇1.05%(9/854)、ALT(GPT)上昇1.05%(9/854)、CK(CPK)上昇0.64%(4/625)、クレアチニン上昇0.58%(5/865)、LDH上昇0.36%(3/841)等であった。〔承認時〕
使用成績調査では、安全性解析対象3,160例中、副作用は91例(2.88%)122件報告されている。主な副作用は低カリウム血症9件(0.28%)、BUNの上昇8件(0.25%)、高尿酸血症7件(0.22%)、血清尿酸値上昇6件(0.19%)、高カリウム血症、頻尿、めまいが各5件(0.16%)等であった。また、小児を対象とした特別調査では、安全性解析対象186例中、副作用は6例(3.23%)7件報告されている。主な副作用は高カリウム血症3件(1.61%)等であった。〔再審査終了時〕
重大な副作用及び副作用用語
重大な副作用
肝機能障害(0.03%)、黄疸(頻度不明)
AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
血小板減少(頻度不明)
血小板減少があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと
低カリウム血症、高カリウム血症(いずれも頻度不明)
低カリウム血症、高カリウム血症があらわれることがあり、血清カリウム値の異常変動に伴い、不整脈、全身倦怠感、脱力等が発現するおそれがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 | |
血液注2) | 血液障害(血小板数減少、白血球数減少、赤血球数減少、ヘマトクリット値減少等) | ||
代謝異常 | 電解質失調(低ナトリウム血症、低カリウム血症、低クロール性アルカローシス)、血清尿酸値上昇、高カリウム血症 | 血清脂質増加、高血糖症 | |
過敏症 | 発疹、そう痒 | ||
消化器 | 口渇 | 食欲不振、下痢、腹痛、嘔気・嘔吐、胸やけ | |
肝臓 | AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇 | γ-GTP、Al-Pの上昇 | |
腎臓 | BUN、クレアチニンの上昇、頻尿 | ||
精神神経系 | 頭痛、めまい | 手足のしびれ、聴覚障害 | |
その他 | 倦怠感 | 動悸、痛風様発作、関節痛、筋痙攣、CK(CPK)上昇、LDH上昇 | 女性化乳房 |
高齢者への投与
高齢者には、次の点に注意し、少量(4mg)から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
高齢者では急激な利尿は血漿量の減少を来し、脱水、低血圧等による立ちくらみ、めまい、失神等を起こすことがある。
特に心疾患等で浮腫のある高齢者では急激な利尿は急速な血漿量の減少と血液濃縮を来し、脳梗塞等の血栓塞栓症を誘発するおそれがある。
高齢者では低ナトリウム血症、低カリウム血症があらわれやすい。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊娠初期又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔動物実験(ラット)で、生後には消失する一過性の骨格異常、胎児の化骨遅延及び出生児の体重増加抑制が、また、ウサギで母体毒性が認められている。〕
授乳婦に投与する場合は授乳を避けさせること。〔動物実験(ラット)で、乳汁中に移行することが認められている。〕
ラット受胎能及び一般生殖試験において、雌への投与で胎児の化骨遅延、出生児の体重増加抑制が認められたが、妊娠の成立、出生児の分化及び生殖能力に影響は認められなかった。
ラット器官形成期投与試験において胎児に波状肋骨が認められたが成長とともに速やかに消失した。その他、出生児の成長、行動・機能及び生殖能力に影響は認められなかった。ウサギ器官形成期投与試験において、母体の状態悪化、体重増加抑制等の母体毒性及び胎児の着床後の死亡率の上昇傾向が認められたが、催奇形性はみられなかった。
ラット周産期及び授乳期投与試験において、本剤の利尿作用による母動物の哺育不全に伴う出生児で生存率低下や体重減少が観察されたが、次世代の分化、行動・機能及び生殖能力には影響は認められなかった。
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
過量投与
症状
電解質及び体液喪失により血圧低下、心電図異常、血栓塞栓症、急性腎障害、譫妄状態等を起こす可能性がある。
処置
胃洗浄、活性炭により本剤の吸収を制限する。患者の状態を観察しながら水分及び電解質の補充を行う。
本剤は血液透析によって除去できない。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)
その他の注意
血漿中濃度
健康成人に本剤2、5、10mgを空腹時に単回投与したとき、投与後約1時間で最高血漿中濃度に達し、消失半減期は約2時間であった7)。
(平均±標準偏差、n=5)
投与量 (mg) | 投与条件 | Cmax (μg/mL) | Tmax (h) | T1/2β
(h) | AUC0−∞
(μg・h/mL) |
2 | 1mg×2 | 0.23±0.04 | 0.6±0.2 | 2.0±0.8 | 0.45±0.05 |
5 | 5mg×1 | 0.48±0.14 | 0.8±0.3 | 2.4±0.6 | 1.28±0.32 |
10 | 5mg×2 | 1.40±0.26 | 0.9±0.2 | 2.2±0.4 | 3.55±0.52 |
健康成人男子に空腹時単回投与したときの用量別血漿中未変化体濃度推移
代謝・排泄
浮腫患者287例を対象とした本剤1日1回投与の臨床試験(二重盲検比較試験を含む)を実施した。その臨床成績は次のとおりであった8)9)10)11)12)13)14)。
疾患 | 有効例数/効果判定例数 | 有効率(%) |
心性浮腫 | 79/94 | 84.0 |
腎性浮腫 | 73/105 | 69.5 |
肝性浮腫 | 66/88 | 75.0 |
計 | 218/287 | 76.0 |
正常血圧ラット、高血圧自然発症ラット、腎性高血圧ラット、病態モデル動物(一側腎摘出後デオキシコルチコステロン酢酸塩皮下投与−食塩負荷高血圧ラット及び肝硬変ラット)において、トラセミド0.3、1、3mg/kgの単回経口投与により用量依存的な利尿作用を示した。
また、正常ラットにおけるトラセミドの尿中Na/K比改善効果は、既存のループ利尿剤と抗アルドステロン剤を併用した場合とほぼ同等の作用を示した。
抗浮腫作用
ラットにトラセミド0.3〜10mg/kgの単回経口投与したとき、カラゲニン足蹠浮腫、カラゲニン胸膜炎及びヒスタミン誘発毛細血管透過性の亢進を用量依存的に抑制した18)。
また、麻酔イヌのうっ血性急性心不全モデルにおいて、トラセミド0.3mg/kgの静脈内投与により、病態の進行を抑制した。
作用機序
ルプラック錠4mg
100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)、500錠(バラ)
ルプラック錠8mg
100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)、500錠(バラ)
1. | 太田隆雄ほか, 薬理と治療, 22 (Suppl.5), 1113, (1994) |
2. | 太田隆雄ほか, 薬理と治療, 22 (Suppl.5), 1133, (1994) |
3. | 太田隆雄ほか, 薬理と治療, 22 (Suppl.5), 1143, (1994) |
4. | 安藤信明ほか, 薬理と治療, 22 (Suppl.5), 1171, (1994) |
5. | 永澤佳子ほか, 薬理と治療, 22 (Suppl.5), 1175, (1994) |
6. | 梅村昭男ほか, 薬理と治療, 22 (Suppl.5), 1159, (1994) |
7. | 東 純一ほか, 臨床医薬, 10 (Suppl.4), 3, (1994) |
8. | 阿部 裕ほか, 臨床医薬, 10 (Suppl.5), 29, (1994) |
9. | 阿部 裕ほか, 臨床医薬, 10 (Suppl.5), 3, (1994) |
10. | 阿部 裕ほか, 臨床医薬, 13 (10), 2701, (1997) |
11. | 蔵本 築ほか, 臨床医薬, 10 (Suppl.5), 121, (1994) |
12. | 阿部 裕ほか, 臨床医薬, 10 (Suppl.5), 103, (1994) |
13. | 阿部 裕ほか, 臨床医薬, 10 (Suppl.5), 85, (1994) |
14. | 阿部 裕ほか, 臨床医薬, 10 (Suppl.5), 63, (1994) |
15. | 内田 武ほか, 基礎と臨床, 28 (8), 2233, (1994) |
16. | 内田 武ほか, 基礎と臨床, 28 (8), 2239, (1994) |
17. | 内田 武ほか, 基礎と臨床, 30 (3), 471, (1996) |
18. | 井上 理ほか, 基礎と臨床, 30 (3), 489, (1996) |
19. | 内田 武ほか, 基礎と臨床, 28 (8), 2257, (1994) |
20. | Hermes,H.et al., Arzneim.-Forsch./Drug Res., 35 (II), 1532, (1985) »PubMed |
21. | Wittner,M.et al., Pflugers Arch., 407, 611, (1986) »PubMed »DOI |
22. | 内田 武ほか, 基礎と臨床, 28 (8), 2267, (1994) |
改訂履歴 |
2019年4月 改訂 |
文献請求先 |
富士フイルム富山化学株式会社 |
業態及び業者名等 |
発売 製造販売元 |
[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] | 2021/2/17 版 |