医療用医薬品 : アナペイン

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医薬品情報


総称名 アナペイン
一般名 ロピバカイン塩酸塩水和物
欧文一般名 Ropivacaine Hydrochloride Hydrate
製剤名 ロピバカイン塩酸塩水和物注射剤
薬効分類名 長時間作用性局所麻酔剤
薬効分類番号 1214
ATCコード N01BB09
KEGG DRUG D04048 ロピバカイン塩酸塩水和物
商品一覧 米国の商品 相互作用情報
JAPIC 添付文書(PDF)

添付文書情報 2019年10月 改訂 (第11版)


禁忌 効能・効果及び用法・用量 使用上の注意 薬物動態 臨床成績 薬効薬理 理化学的知見 取扱い上の注意 包装 本剤の容器(アンプル)の開封方法 主要文献

商品情報 組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
アナペイン注7.5mg/mL Anapeine injection 7.5mg/mL アスペンジャパン 1214405A3028 491円/管 劇薬 , 処方箋医薬品
アナペイン注7.5mg/mL Anapeine injection 7.5mg/mL アスペンジャパン 1214405A4024 859円/管 劇薬 , 処方箋医薬品
アナペイン注10mg/mL Anapeine injection 10mg/mL アスペンジャパン 1214405A5020 545円/管 劇薬 , 処方箋医薬品
アナペイン注10mg/mL Anapeine injection 10mg/mL アスペンジャパン 1214405A6027 890円/管 劇薬 , 処方箋医薬品

禁忌

次の患者には投与しないこと

[共通(硬膜外麻酔、伝達麻酔)]

本剤の成分又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者

[硬膜外麻酔]

大量出血やショック状態の患者[過度の血圧低下が起こることがある。]

注射部位又はその周辺に炎症のある患者[化膿性髄膜炎症状を起こすことがある。]

敗血症の患者[敗血症性の髄膜炎を生じるおそれがある。]

効能・効果及び用法・用量

効能効果

アナペイン注7.5mg/mL(0.75%10mL1管)

アナペイン注7.5mg/mL

麻酔(硬膜外麻酔、伝達麻酔)

アナペイン注7.5mg/mL(0.75%20mL1管)

アナペイン注7.5mg/mL

麻酔(硬膜外麻酔、伝達麻酔)

アナペイン注10mg/mL(1%10mL1管)

アナペイン注10mg/mL

麻酔(硬膜外麻酔)

アナペイン注10mg/mL(1%20mL1管)

アナペイン注10mg/mL

麻酔(硬膜外麻酔)

用法用量

アナペイン注7.5mg/mL(0.75%10mL1管)

<アナペイン注7.5mg/mL>

硬膜外麻酔には、通常、成人に1回20mL(ロピバカイン塩酸塩水和物(無水物として)150mg)までを硬膜外腔に投与する。
なお、期待する痛覚遮断域、手術部位、年齢、身長、体重、全身状態等により適宜減量する。

伝達麻酔には、通常、成人に1回40mL(ロピバカイン塩酸塩水和物(無水物として)300mg)までを目標の神経あるいは神経叢近傍に投与する。
なお、期待する痛覚遮断域、手術部位、年齢、身長、体重、全身状態等により適宜減量する。

アナペイン注7.5mg/mL(0.75%20mL1管)

<アナペイン注7.5mg/mL>

硬膜外麻酔には、通常、成人に1回20mL(ロピバカイン塩酸塩水和物(無水物として)150mg)までを硬膜外腔に投与する。
なお、期待する痛覚遮断域、手術部位、年齢、身長、体重、全身状態等により適宜減量する。

伝達麻酔には、通常、成人に1回40mL(ロピバカイン塩酸塩水和物(無水物として)300mg)までを目標の神経あるいは神経叢近傍に投与する。
なお、期待する痛覚遮断域、手術部位、年齢、身長、体重、全身状態等により適宜減量する。

アナペイン注10mg/mL(1%10mL1管)

<アナペイン注10mg/mL>

通常、成人に1回20mL(ロピバカイン塩酸塩水和物(無水物として)200mg)までを硬膜外腔に投与する。
なお、期待する痛覚遮断域、手術部位、年齢、身長、体重、全身状態等により適宜減量する。

アナペイン注10mg/mL(1%20mL1管)

<アナペイン注10mg/mL>

通常、成人に1回20mL(ロピバカイン塩酸塩水和物(無水物として)200mg)までを硬膜外腔に投与する。
なお、期待する痛覚遮断域、手術部位、年齢、身長、体重、全身状態等により適宜減量する。

用法用量に関連する使用上の注意

本剤に血管収縮剤(アドレナリン)を添加しても、作用持続時間の延長は認められない。

使用上の注意

慎重投与

[共通(硬膜外麻酔、伝達麻酔)]

高齢者(「高齢者への投与」及び「重要な基本的注意」の項参照)

全身状態が不良な患者[生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある。](「重要な基本的注意」の項参照)

心刺激伝導障害のある患者[症状を悪化させることがある。]

重篤な肝機能障害又は腎機能障害のある患者[中毒症状が発現しやすくなる。]

[硬膜外麻酔]

中枢神経系疾患

髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄ろう等の患者及び脊髄・脊椎に腫瘍又は結核等のある患者[硬膜外麻酔により病状が悪化するおそれがある。]

血液凝固障害や抗凝血薬投与中の患者[出血しやすく、血腫形成や脊髄への障害を起こすことがあるので、やむを得ず投与する場合は観察を十分に行うこと。]

脊柱に著明な変形のある患者[脊髄や神経根の損傷のおそれがあり、また麻酔範囲の予測も困難であるので、やむを得ず投与する場合は患者の全身状態の観察を十分に行うこと。]

妊産婦(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)

腹部腫瘤のある患者[仰臥位性低血圧を起こすことがあり、麻酔範囲が広がりやすい。麻酔中はさらに増悪することがあるので、投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行うこと。]

重症の高血圧症、心弁膜症等の心血管系に著しい障害のある患者[血圧低下や病状の悪化が起こりやすいので、患者の全身状態の観察を十分に行うこと。]

重要な基本的注意

[共通(硬膜外麻酔、伝達麻酔)]

まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認められた場合に直ちに救急処置のとれるよう、常時準備をしておくこと。なお、事前の静脈路確保が望ましい。

本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の諸点に留意すること。

できるだけ必要最少量にとどめること。追加投与の際には特に注意すること。

注射の速度はできるだけ遅くすること。

注射針が、血管又はくも膜下腔に入っていないことを確かめること。血管内へ誤投与された場合、中毒症状が発現することがあり、また、くも膜下腔へ誤投与された場合、全脊椎麻酔となることがある。(「副作用」、「過量投与」の項参照)

前投薬や術中に投与した鎮静薬、鎮痛薬等による呼吸抑制が発現することがあるので、これらの薬剤を使用する際は少量より投与し、必要に応じて追加投与することが望ましい。なお、高齢者、小児、全身状態が不良な患者、肥満者、呼吸器疾患を有する患者では特に注意し、異常が認められた際には、適切な処置を行うこと。

本剤を他のアミド型局所麻酔薬と併用する際には、中毒症状が相加的に起こることに留意して投与すること。

注射針又はカテーテルが適切に位置していない等により、神経障害が生じることがあるので、穿刺に際し異常を認めた場合には本剤の注入を行わないこと。

[硬膜外麻酔]

本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の諸点に留意すること。

患者のバイタルサイン(血圧、心拍数、呼吸数等)及び全身状態の観察を十分に行うこと。また、麻酔が消失するまで観察を行うことが望ましい。なお、術中は経皮的に動脈血酸素飽和度の測定(パルスオキシメーター等)を行うことが望ましい。

試験的に注入(test dose)し、注射針又はカテーテルが適切に留置されていることを確認すること。

麻酔範囲が予期した以上に広がることにより、過度の血圧低下、徐脈、呼吸抑制を来すことがあるので、麻酔範囲に注意すること。

本剤を全身麻酔薬と併用する際には、血圧がより低下しやすいので、留意して投与すること。

[伝達麻酔]

本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の諸点に留意すること。

患者のバイタルサイン(血圧、心拍数、呼吸数等)及び全身状態の観察を行うこと。

血管の多い部位(頭部、顔面、扁桃等)に注射する場合には、吸収が速いので、できるだけ少量を投与すること。

相互作用

相互作用序文

本剤は、主として肝代謝酵素CYP1A2で代謝される。

薬物代謝酵素用語

CYP1A2

併用注意

CYP1A2阻害剤
フルボキサミン、エノキサシン等
本剤の血中濃度が上昇することがある。本剤とフルボキサミンとの併用で、本剤のクリアランスの低下が報告されている。また、他のCYP1A2代謝剤とエノキサシンとの併用でも同様のクリアランスの低下が報告されている。本剤の代謝には主にCYP1A2が関与しているため、左記薬剤のようなCYP1A2阻害剤との併用で、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇するおそれがある。
クラスIII抗不整脈剤
アミオダロン等
心機能抑制作用が増強するおそれがあるので、心電図検査等によるモニタリングを行うこと。作用が増強することが考えられる。

副作用

副作用発現状況の概要

国内臨床試験の安全性評価対象症例670例中253例に334件の副作用が認められた。このうち、硬膜外麻酔および伝達麻酔の臨床試験では、438例中185例に239件の副作用が認められ、主な副作用は血圧低下166件(37.9%)、徐脈18件(4.1%)であった。(承認時)

使用成績調査の安全性評価対象症例1937例中336例に359件の副作用が認められた。このうち、硬膜外麻酔および伝達麻酔の使用成績調査では、1357例中301例に321件の副作用が認められ、主な副作用は血圧低下274件(20.2%)、徐脈28件(2.1%)、血圧上昇3件(0.2%)であった。(再審査終了時)

重大な副作用及び副作用用語

重大な副作用

ショック(頻度不明)

徐脈、不整脈、血圧低下、呼吸抑制、チアノーゼ、意識障害等を生じ、まれに心停止を来すことがある。また、まれにアナフィラキシーショックを起こすおそれがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、適切な処置を行うこと。

意識障害、振戦、痙攣(0.1%未満)

意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「過量投与」の項参照)

異常感覚、知覚・運動障害(0.1〜1%未満)

注射針又はカテーテルの留置時に神経(神経幹、神経根)に触れることにより一過性の異常感覚が発現することがある。また、神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、まれに持続的な異常感覚、疼痛、知覚障害、運動障害、硬膜外麻酔及び術後鎮痛では膀胱直腸障害等の神経学的疾患があらわれることがある。

その他の副作用

 5%以上1〜5%未満1%未満頻度不明
循環器血圧低下(19.2%)徐脈血圧上昇、頻脈、心室性不整脈、洞性不整脈 
呼吸器  SpO2低下、呼吸困難 
中枢・末梢神経系  めまい、振戦、攣縮、異常感覚、下肢知覚異常、全身しびれ感、運動障害、昏迷、言語障害、口唇しびれ感、譫妄、頭痛不安
消化器 嘔気嘔吐 
過敏症  蕁麻疹血管浮腫
泌尿器  排尿困難、尿閉 
その他  発熱、耳鳴、戦慄、低体温、悪寒、顔面潮紅、結膜充血、硬結性紅斑、ホルネル症候群 
発現頻度は、術後鎮痛、硬膜外麻酔、伝達麻酔の承認時までの臨床試験及び使用成績調査の合計より算出した。なお、上記臨床試験及び使用成績調査で認められなかった副作用については頻度不明とした。

高齢者への投与

[硬膜外麻酔]

一般に高齢者では、麻酔範囲が広がりやすく、生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下しているので、投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等、慎重に投与すること。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

[共通(硬膜外麻酔、伝達麻酔)]

妊婦等

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

[硬膜外麻酔]

妊産婦

妊娠後期の患者には、投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等、慎重に投与すること。[妊娠末期は、仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい。麻酔中はさらに増悪することがある。](「慎重投与」の項参照)

[伝達麻酔]

妊産婦

本剤を傍頸管ブロックに用いる場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[類薬(ブピバカイン塩酸塩)では使用しないこととされている。]

傍頸管ブロックにより胎児の徐脈を起こすことが知られている。

小児等への投与

小児等に対する安全性は確立していない。(使用経験がない)

過量投与

局所麻酔剤の過量投与や血管内誤投与又は非常に急速な吸収等による血中濃度の上昇に伴い、中毒が発現する。特に血管内誤投与となった場合には、数分以内に発現することがある。その症状は、主に中枢神経系及び心血管系の症状としてあらわれる。
また、腕神経叢ブロックや坐骨神経ブロック等の伝達麻酔や硬膜外麻酔で、蘇生術が困難及び死亡に至った報告がある。

徴候、症状

中枢神経系の症状

初期症状として視覚障害、聴覚障害、口周囲の知覚麻痺、眩暈、ふらつき、不安、刺痛感、感覚異常があらわれる。また、構音障害、筋硬直、攣縮等があらわれる。症状が進行すると意識消失、全身痙攣があらわれ、これらの症状に伴い低酸素血症、高炭酸ガス血症が生じるおそれがある。より重篤な場合には呼吸停止を来すこともある。

心血管系の症状

血圧低下、徐脈、心筋収縮力低下、心拍出量低下、刺激伝導系の抑制、心室性頻脈及び心室細動等の心室性不整脈、循環虚脱、心停止等があらわれる。
これらの心血管系の症状は、鎮静下又は全身麻酔下において、中枢神経系症状を伴わずに発生することがある。

処置

呼吸を維持し、酸素を十分投与することが重要である。必要に応じて人工呼吸を行う。振戦や痙攣が著明であれば、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)を投与する。心機能抑制に対しては、カテコールアミン等の昇圧剤を投与する。心停止を来した場合には直ちに心マッサージ等の蘇生術を開始する。

その他の注意

球後麻酔、眼球周囲麻酔に際し、類薬(リドカイン塩酸塩等)で持続性の眼筋運動障害が発現することが報告されている。(本剤での球後麻酔、眼球周囲麻酔に対する使用経験はない)

ポルフィリン症の患者に投与した場合、急性腹症、四肢麻痺、意識障害等の急性症状を誘発するおそれがある。

因果関係は明らかでないが、外国において術後に本剤を関節内(特に肩関節)に持続投与された患者で軟骨融解を発現したとの報告がある。

薬物動態

血漿中濃度

硬膜外投与1)2)3)

ロピバカイン塩酸塩150及び200mgを手術患者の硬膜外に投与したとき、血漿中未変化体濃度は約0.5時間後に最高濃度に達し、約5.5時間のみかけの半減期で血漿から消失した(図1及び表1)1)2)。また、健康成人(外国人)にロピバカイン塩酸塩150mgを硬膜外投与時のバイオアベイラビリティは約90%であり、硬膜外腔から体循環血への吸収は2相性で、吸収半減期はそれぞれ約14分と約4時間であった3)

図1 ロピバカイン塩酸塩硬膜外投与時の血漿中濃度推移(平均値±標準偏差、n=11〜12)

表1 硬膜外投与時におけるロピバカインの薬物動態パラメータ

投与量150mg、7.5mg/mL、20mL
(n=12)
200mg、10mg/mL、20mL
(n=11)
tmax(h)0.53±0.310.36±0.26
Cmax(μg/mL)1.06±0.322.06±0.61
t1/2(h)5.99±1.924.96±1.28
AUC0-∞(μg・h/mL)8.65±4.4112.50±5.12
(平均値±標準偏差)

腕神経叢投与4)

ロピバカイン塩酸塩を手術患者の腕神経叢に投与したとき、血漿中未変化体濃度は約0.7時間後に最高濃度に達し、約4.5時間のみかけの半減期で減少した。

図2 ロピバカイン塩酸塩腕神経叢投与時の血漿中濃度推移(平均値±標準偏差、n=9〜10)

表2 腕神経叢投与時におけるロピバカインの薬物動態パラメータ

投与量225mg、7.5mg/mL、30mL
(n=10)
300mg、7.5mg/mL、40mL
(n=9)
tmax(h)0.71±0.310.57±0.26
Cmax(μg/mL)1.89±0.502.70±1.01
t1/2(h)4.19±1.074.68±1.51
AUC0−∞(μg・h/mL)9.42±1.3716.06±7.74
(平均値±標準偏差)

静脈内投与5)

健康成人(外国人)にロピバカイン塩酸塩20、40、80mgを30分間かけて静脈内注入終了時の体内動態は線形性を示すと考えられ、投与終了時の平均血漿中未変化体濃度は0.6、1.0、1.9μg/mL、消失半減期は1.7時間、定常状態分布容積は約40L、血漿クリアランスは約0.4L/分5)、腎クリアランスは約1.5mL/分であった。

分布

健康成人(外国人)へのロピバカイン塩酸塩50mg静脈内投与後の血漿蛋白結合率は94%であり6)、血清中の結合蛋白はα1−酸性糖蛋白及び血清アルブミンであった7)。血球への分布はわずかであった。
妊婦(外国人)にロピバカイン塩酸塩150mgを硬膜外投与したとき、臍帯静脈血漿中濃度は母体血漿中濃度の約30%で、ロピバカインの胎盤通過が認められた8)

代謝

健康成人(外国人)に14C-ロピバカイン塩酸塩50mgを静脈内投与後の尿中主代謝物は、芳香環の3位水酸化体で、その他に2位メチル水酸化体、N-脱プロピル体、4位水酸化体が検出され、未変化体は約1%であった9)。代謝にはチトクロームP450のCYP3A4及び1A2が関与する10)11)

排泄9)

健康成人(外国人)に14C-ロピバカイン塩酸塩50mgを静脈内投与後96時間までに、投与放射能の86%が尿中に、8%が糞中に排泄された。

薬物相互作用

外国人健康成人の成績では、フルボキサミン(CYP1A2の阻害剤)を経口併用時にロピバカイン40mgを静脈内持続注入(20分間)したとき、ロピバカインのCLは約70%低下し、消失半減期は約2倍に延長(3.6時間)したが、最高血漿中濃度は1.5μg/mLと、ロピバカイン単独投与時(1.2μg/mL)に比し1.2倍に上昇した程度であった。臨床使用上問題となるような有害事象は発現しなかった11)
また、ケトコナゾール(CYP3A4の阻害剤)を経口併用時にロピバカイン40mgを静脈内持続注入しても、薬物動態パラメータに有意な変動はみられなかった11)

臨床成績

硬膜外麻酔

7.5mg/mL製剤及び10mg/mL製剤(投与量:20mL、穿刺部位:L3-4、対象:下腹部及び下肢手術)を用いた臨床試験12)13)において、本剤の単回投与で手術が可能であった症例の割合は、それぞれ83.9%(52/62例)、90.9%(30/33例)であった。
ブピバカイン塩酸塩5mg/mL製剤と比較した本剤7.5mg/mL製剤及び10mg/mL製剤のPin-prick法による痛覚遮断域及びBromage Scaleによる運動神経遮断の程度の推移を図3及び図4に示した。
主な副作用として、交感神経遮断に起因する血圧低下が7.5mg/mL製剤及び10mg/mL製剤それぞれに28.7%(31/108例)、16.4%(9/55例)、徐脈が5.6%(6/108例)、9.1%(5/55例)、嘔気が4.6%(5/108例)、3.6%(2/55例)、嘔吐が1.9%(2/108例)、1.8%(1/55例)に認められた。なお、7.5mg/mL製剤において、高位の運動神経遮断に起因するSpO2低下4.6%(5/108例)及び呼吸困難2.8%(3/108例)も認められた1)2)12)13)14)

図3 痛覚遮断域の推移(平均±標準誤差)12)13)

図4 運動神経遮断の推移(平均±標準誤差)12)13)

伝達麻酔

7.5mg/mL製剤40mLを腋窩部腕神経叢に投与した臨床試験4)15)において、本剤の単回投与のみあるいは鎮静剤の併用により手術が可能であった症例の割合は、88.4%(38/43例)であった。
また、橈骨、正中、尺骨、筋皮、内側前腕皮及び内側上腕皮の各神経領域で痛覚遮断効果を有する症例の割合は、投与30分後で71.9〜97.1%、投与3時間後で88.5〜100.0%、投与9時間後で58.6〜84.8%、橈骨、正中、尺骨、筋皮の各神経領域において部分運動神経遮断を有する症例の割合は、投与30分後で93.5〜100.0%、投与3、6、9時間後でそれぞれ92.6〜100.0%、88.9〜96.3%、81.5〜92.6%であった15)
主な副作用は、血漿中薬物濃度上昇に起因すると思われるめまい7.3%(4/55例)、頭痛3.6%(2/55例)、言語障害1.8%(1/55例)、譫妄1.8%(1/55例)、痙攣1.8%(1/55例)等であった4)15)
なお、参考までに伝達麻酔法の一般的な推奨用量※を記す。

麻酔法用量
三叉神経ブロック0.5〜1mL
肋間神経ブロック1神経当り2〜3mL(最大20〜25mL)
大腿神経ブロック10〜15mL
坐骨神経ブロック15〜20mL
胸膜腔局所麻酔20mL
腰部交感神経ブロック10mL
腕神経叢ブロック30〜40mL
※:「図解局所麻酔法マニュアル」吉矢生人、根岸孝明監訳より引用

薬効薬理

ロピバカイン塩酸塩の局所麻酔薬としての特徴

ロピバカイン塩酸塩は、局所麻酔薬では最初のS(−)−エナンチオマーで、脂質親和性が比較的低く、アミド型の長時間作用性局所麻酔薬に属する16)。本薬はS(−)−エナンチオマーであるため、神経膜ナトリウムチャンネルに対する作用選択性が高く、心筋ナトリウムチャンネルへの作用は弱い17)。これに対し、同じ長時間作用性のブピバカイン塩酸塩はラセミ体でかつ脂質親和性が高いため、神経膜のナトリウムチャンネルばかりでなく心筋ナトリウムチャンネルへの作用も強く持続的である17)。また、ブピバカイン塩酸塩は脂質親和性が高いため、運動神経の厚い髄鞘・神経膜、並びに、血液脳関門を透過しやすく、持続的で強い運動神経遮断作用及び中枢作用(痙攣誘発作用)を示すと考えられる。これら作用様式の違いにより、髄鞘が無いか又は薄い痛覚神経に対する本薬の遮断作用はブピバカイン塩酸塩と同程度で、運動神経に対する遮断作用はブピバカイン塩酸塩に比べて弱く、高用量の静脈内投与時の痙攣誘発作用及び不整脈誘発作用はブピバカイン塩酸塩に比べて弱いと考えられる。

局所麻酔作用

ロピバカイン塩酸塩の硬膜外麻酔作用及び伝達麻酔作用はブピバカイン塩酸塩と同程度であった。イヌ18)及びヒツジ19)への硬膜外投与において、本薬(5及び7.5mg/mL)の硬膜外麻酔作用の持続時間はブピバカイン塩酸塩(5及び7.5mg/mL)と同程度であった。モルモット坐骨神経20)及び腕神経叢21)において、本薬(5mg/mL)の伝達麻酔作用の持続時間はブピバカイン塩酸塩(5mg/mL)と同程度であった。

ロピバカイン塩酸塩の痛覚神経遮断作用はブピバカイン塩酸塩と同程度で、運動神経遮断作用はブピバカイン塩酸塩に比べて弱かった。ウサギ副交感神経標本において、ロピバカインはC線維(無髄線維;主として痛覚神経)の活動電位に対してブピバカインと同程度の抑制作用を示したが、A線維(有髄線維;主として運動神経)の活動電位に対する抑制作用はブピバカインに比べて弱かった22)。また、下腹部開腹手術患者にロピバカイン塩酸塩2mg/mL製剤を持続硬膜外投与した結果、安定した痛覚遮断効果が得られたが、投与終了時の運動神経遮断の程度は弱かったことから、術後鎮痛に有用であると考えられた23)

中枢神経系及び心循環器系への影響

高用量静脈内投与時のロピバカイン塩酸塩の痙攣誘発作用及び不整脈誘発作用はブピバカイン塩酸塩に比べて弱かった。静脈内投与試験における本薬の痙攣誘発作用(ラット24)、イヌ25)及びヒツジ26))及び不整脈誘発作用(イヌ25))はブピバカイン塩酸塩よりも弱かった。また、健康成人男子(外国人)に本剤を静脈内持続投与し、ブピバカイン塩酸塩と比較した結果、本剤は中枢神経系及び心循環器系への影響がブピバカイン塩酸塩よりも弱く、忍容性の高いことが認められた27)28)

ロピバカイン塩酸塩の硬膜外投与時の血圧低下作用はブピバカイン塩酸塩と同程度であった。イヌへの硬膜外投与試験において、本薬(10mg/mL)は投与前値に比べて血圧を31%低下させ、ブピバカイン塩酸塩(7.5mg/mL)は25%低下させたが、両群間に統計的に有意な差は認められなかった29)。一方、患者を対象とした硬膜外麻酔試験において、本剤(5又は7.5mg/mL)は基準値に比べて血圧を約20%低下させ、その作用は同濃度のブピバカイン塩酸塩と同程度であった30)

有効成分に関する理化学的知見

一般名ロピバカイン塩酸塩水和物
一般名(欧名)Ropivacaine Hydrochloride Hydrate
化学名(S)-N-(2,6-Dimethylphenyl)-1-propylpiperidine-2-carboxamide monohydrochloride monohydrate
分子式C17H26N2O・HCl・H2O
分子量328.88
融点約263℃(分解)
性状ロピバカイン塩酸塩水和物は白色の結晶性の粉末で、水又はエタノール(99.5)にやや溶けやすく、アセトニトリルに溶けにくい。
KEGG DRUGD04048

取扱い上の注意

薬液の漏出や容器に破損が認められるものは使用しないこと。

ロピバカイン塩酸塩水和物はpH6以上で溶解性が低下する。本剤をアルカリ性溶液と混合することにより、沈殿を生じる可能性があるので、注意すること。

ブリスター包装は高圧蒸気滅菌済みであるため、使用時まで開封しないこと。

本剤の容器(アンプル)の開封方法については、右図の説明を参照すること。

1アンプルを複数の患者に使用しないこと。また、残液は廃棄すること。

包装

アナペイン注7.5mg/mL

[アンプル]10mL×10管、20mL×10管

アナペイン注10mg/mL

[アンプル]10mL×10管、20mL×10管

本剤の容器(アンプル)の開封方法

アンプルを振り、首の部分に溜まっている液体を落とす。

アンプル本体の肩の部分を持ち、上部をねじって取り外す。
このとき本体を強く握らないこと。

主要文献


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改訂履歴

2017年7月 改訂
2019年10月 改訂 (第11版)

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[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2020/5/20 版