医療用医薬品 : ホーネル

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医薬品情報


総称名 ホーネル
一般名 ファレカルシトリオール
欧文一般名 falecalcitriol
製剤名 ファレカルシトリオール製剤
薬効分類名 活性型ビタミンD3製剤
薬効分類番号 3112
KEGG DRUG
D01662 ファレカルシトリオール
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2023年1月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ホーネル錠0.15 Hornel tablets 0.15 大正製薬 3112005F1037 179.9円/錠 劇薬
ホーネル錠0.3 Hornel tablets 0.3 大正製薬 3112005F2033 263.1円/錠 劇薬

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

○維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症
副甲状腺機能低下症(腎不全におけるものを除く)における低カルシウム血症とそれに伴う諸症状(テタニー、けいれん、しびれ感、知覚異常等)の改善
○クル病・骨軟化症(腎不全におけるものを除く)に伴う諸症状(骨病変、骨痛、筋力低下)の改善

6. 用法及び用量

効能・効果用法・用量
維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症通常、成人には1日1回ファレカルシトリオールとして0.3μgを経口投与する。ただし、年齢、症状により適宜減量する。
副甲状腺機能低下症(腎不全におけるものを除く)における低カルシウム血症とそれに伴う諸症状(テタニー、けいれん、しびれ感、知覚異常等)の改善通常、成人には1日1回ファレカルシトリオールとして0.3〜0.9μgを経口投与する。ただし、年齢、症状、病型により適宜増減する。
クル病・骨軟化症(腎不全におけるものを除く)に伴う諸症状(骨病変、骨痛、筋力低下)の改善

8. 重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 本剤投与中にあらわれる副作用は高カルシウム血症及びそれに基づくと考えられる症状が多いので、過量投与を防ぐため、本剤投与中は、血清カルシウム値を定期的(投与初期及び増量時には少なくとも2週に1回)に測定すること。血清カルシウム値に関しては、疾患、施設の基準値等に応じた適正範囲を維持するよう、患者毎に投与量を調節すること。
低アルブミン血症(血清アルブミン値が4.0g/dL未満)の場合には補正値を指標に用いることが望ましい。
補正カルシウム値算出方法
補正カルシウム値(mg/dL)=血清カルシウム値(mg/dL)−血清アルブミン値(g/dL)+4.0
8.210.211.1.1参照]
8.2 血清カルシウム値と血清リン値の積が高値の場合、異所性石灰化の増悪をきたすと報告1)2)3)されているので、血清カルシウム値及び血清リン値を定期的に測定し、血清カルシウム値と血清リン値の積が異常高値を認めた場合には、投与量を調節することが望ましい。[8.19.1.110.211.1.1参照]
<維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症>
8.3 血清PTH値、血清Al-P値の抑制が過大に発現した場合は減量するなど、投与量を調節すること。
<副甲状腺機能低下症及びクル病・骨軟化症>
8.4 尿中カルシウム値、尿中クレアチニン値を定期的に測定し、尿中カルシウム/クレアチニン比が正常域を超えないよう投与量を調節すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 高リン血症のある患者
リン酸結合剤を併用し、血清リン値を下げること。[8.2参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 透析中の患者
マグネシウム含有製剤を併用する場合には注意すること。腎からのマグネシウム排泄が低下している。[10.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットで胎盤移行、ウサギで胎児化骨遅延が認められている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ラットで未変化体及び代謝物の乳汁移行が認められている。
9.7 小児等
9.7.1 低出生体重児、新生児、乳児及び幼児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.2 小児に投与する場合には、血清カルシウム値等の観察を十分に行い、少量から投与を開始し、漸増投与するなど、過量投与にならないよう慎重に投与すること。
9.8 高齢者
低用量から開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。承認時までの臨床試験において、高齢者に高カルシウム血症等の副作用の発現率が高い傾向が認められている。

10. 相互作用

10.2 併用注意
カルシウム製剤
〔乳酸カルシウム
炭酸カルシウム
等〕
8.18.211.1.1参照]
高カルシウム血症があらわれるおそれがある。本剤は腸管でのカルシウムの吸収を促進させる。
ビタミンD及びその誘導体
〔アルファカルシドール
カルシトリオール 等〕
8.18.211.1.1参照]
高カルシウム血症があらわれるおそれがある。作用が相加的にあらわれる。
PTH製剤
〔テリパラチド〕
8.18.211.1.1参照]
高カルシウム血症があらわれるおそれがある。作用が相加的にあらわれる。
マグネシウム含有製剤
〔酸化マグネシウム
炭酸マグネシウム 等〕
9.2.1参照]
高マグネシウム血症があらわれるおそれがある。腸管でのマグネシウムの吸収を促進させる。
ジギタリス製剤
〔ジゴキシン等〕
8.18.211.1.1参照]
高カルシウム血症に伴う不整脈があらわれるおそれがある。高カルシウム血症が発症した場合、ジギタリス製剤の作用が増強される。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 高カルシウム血症(5.1%)
本剤は血清カルシウム上昇作用を有するため、高カルシウム血症に基づくと思われる臨床症状(そう痒感、いらいら感等)の発現に注意すること。高カルシウム血症を起こした場合には、直ちに休薬すること。投与を再開する場合は、血清カルシウム値が適正範囲に回復したことを確認した後に、減量して行うこと。[8.18.210.2参照]
11.1.2 腎結石(0.2%)、尿管結石(0.2%)
11.1.3 肝機能障害(0.2%)、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 1〜5%未満1%未満
精神神経系 頭痛
眠気
いらいら感
パーキンソニズム
消化器 下痢
下血
嘔気
嘔吐
胃部不快感
食欲不振
口渇感
循環器 胸部違和感
徐脈
血液好酸球の増加白血球数増多
単球の増加
桿状核球の増加
好中球の増加
好中球の減少
リンパ球の減少
代謝異常 高リン血症
尿酸上昇
総コレステロール上昇
トリグリセリド上昇
総蛋白低下
アルブミン低下
皮膚そう痒感蕁麻疹
皮疹
肝臓ALT上昇
γ-GTP上昇
LDH上昇
AST上昇
腎臓尿pH上昇
尿沈渣異常
BUN上昇
尿蛋白異常
尿潜血
 関節周囲又は皮下の石灰化
骨痛
関節痛
その他 肩こり
女性型乳房
顔面紅潮

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 ラットの生殖試験において黄体数の減少が見られた。
15.2.2 ラット(F344系)に5〜20ng/kgを104週間経口投与したがん原性試験において、雌の高用量(20ng/kg)で良性の副腎髄質褐色細胞腫が6/55例に見られた(対照群:2/55例)。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人に0.3μgを単回経口投与した時、血清中濃度は投与後4時間にCmax 4.98pg/mLに達した後、半減期52.7時間で消失した4)
健康成人に単回経口投与した時のパラメータ
 Cmax
(pg/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
AUC0-∞
(pg・hr/mL)
単回
(n=6)
4.98±1.094.0±1.852.7248.5±32.0
16.1.2 反復投与
健康成人に1日1回0.3μgを14日間反復経口投与した時、最終投与日のCmaxの平均値は単回投与時の2.3倍に上昇し、11日で定常状態に達した4)
健康成人に反復経口投与した時のパラメータ
 Cmax
(pg/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
AUC0-24
(pg・hr/mL)
反復14日目
(n=6)
11.67±1.445.7±2.062.2235.8±28.0
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人にファレカルシトリオールとして1.5μg注)をクロスオーバー法にて朝の空腹時、又は朝食後30分に経口投与した場合、血清中濃度には食事の影響は認められなかった5)
注)本剤の承認最大用量は0.9μgである。
16.3 分布
3H]ファレカルシトリオールを1、10ng/mL濃度でヒト血清に添加した時、蛋白結合率は98.6%、99.8%であった(in vitro6)
16.4 代謝
ラット7)、イヌ8)及びマウス9)に経口投与した時、いずれの動物種においても血清中には主に未変化体として存在した。
ラット及びイヌに経口又は静脈内投与後、標的組織である副甲状腺10)、小腸8)11)12)、腎臓8)11)12)及び骨10)には未変化体と薬理活性を有する23位水酸化体が存在し、持続的な推移を示した。
ラット12)及びイヌ8)に経口投与した時、主たる排泄経路である胆汁では、未変化体、23位水酸化体及び側鎖の酸化体をアグリコンとするグルクロン酸などの抱合体が認められた。
16.5 排泄
ラット7)及びイヌ8)に[3H]ファレカルシトリオールを単回経口投与後168時間までの排泄バランスについて検討したところ、いずれの動物でも、投与した放射能は主として糞中に排泄され、尿中排泄は3〜5%程度であり、呼気中排泄はごくわずかであった。
ラットに[3H]ファレカルシトリオールを単回静脈内投与した場合、投与した放射能の大部分は胆汁を介して糞中に排泄された11)
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
慢性腎不全のため血液透析を受けている患者に1日1回0.3μgを15日間反復経口投与した時、最終投与日のCmaxの平均値は単回投与時の3.3倍に上昇し、10日で定常状態に達した13)。透析による除去は認められなかった13)
血液透析患者に単回及び反復経口投与した時のパラメータ
 Cmax
(pg/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
AUC
(pg・hr/mL)
単回
(n=5)
3.84±0.905.2±1.861.1237.1±40.3
反復15日目
(n=5)
12.70±2.376.0±2.387.5236.6±40.8

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
国内204施設において実施された二重盲検比較試験を含む臨床試験の評価対象総計481例における有効性は次のとおりである。
疾患名有効率(%)【有効以上】
維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症14)15)16)17)18)51.4(167/325)
副甲状腺機能低下症19)20)21)90.9(90/99)
クル病・骨軟化症22)23)71.9(41/57)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤は、活性型ビタミンD3の誘導体であり、小腸、副甲状腺及び骨等の標的組織に分布する受容体への結合により作用を発揮する。
18.2 カルシウム代謝調節作用
18.2.1 ビタミンD欠乏ラット:ファレカルシトリオールの静脈内投与によって、小腸カルシウム吸収及び骨吸収(骨カルシウム動員)の促進作用が認められた24)
18.2.2 培養骨組織:ファレカルシトリオールはマウス頭頂骨器官培養系を用いたin vitro試験において骨吸収促進作用を示した25)
18.3 慢性腎不全における二次性副甲状腺機能亢進症に対する作用
腎不全病態モデルである5/6腎摘除ラットにおいて、ファレカルシトリオールの経口投与によって、血中副甲状腺ホルモン(PTH)の上昇及び副甲状腺におけるPTHのmRNA発現の亢進が抑制された。また、類骨の増加、線維性骨炎及び石灰化異常等の骨病変の改善が認められた26)
18.4 副甲状腺機能低下症に対する作用
副甲状腺機能低下症の病態モデルである副甲状腺摘出ラットにおいて、ファレカルシトリオールの経口投与によって、低下した血中カルシウム濃度の上昇が認められた24)
18.5 抗クル病作用
18.5.1 ビタミンD欠乏性クル病ラット:ファレカルシトリオールの経口投与によって、ビタミンD欠乏性クル病ラットの骨灰分減少が改善され、またその発症が抑制された27)
18.5.2 低リン血症性ビタミンD抵抗性クル病マウス:家族性低リン血症性ビタミンD抵抗性クル病のモデルと考えられるHypophosphatemicマウスにおいて、ファレカルシトリオールの皮下投与によって、低下した血中リン濃度の上昇が認められた27)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ファレカルシトリオール

一般的名称 ファレカルシトリオール
一般的名称(欧名) falecalcitriol
化学名 (+)-(5Z,7E)-26,26,26,27,27,27-hexafluoro-9,10-secocholesta-5,7,10(19)-triene-1α,3β,25-triol
分子式 C27H38F6O3
分子量 524.58
融点 約143℃
物理化学的性状 本品は白色の結晶又は結晶性の粉末で、テトラヒドロフランに極めて溶けやすく、アセトニトリル又はエタノール(99.5)に溶けやすく、水にほとんど溶けない。熱又は光によって変化する。
KEGG DRUG D01662

20. 取扱い上の注意

アルミピロー包装開封後は、湿気を避けて遮光して保存すること。

22. 包装

<ホーネル錠0.15>
PTP 100錠[10錠×10]
<ホーネル錠0.3>
PTP 100錠[10錠×10]

23. 主要文献

  1. 揖場和子, 透析と腎性骨異栄養症, 176-192, (1994), (中外医学社)
  2. 井上聖士ほか, 透析患者の骨病変−その見方と考え方−, 249-258, (1988), (日本メディカルセンター)
  3. Velentzas C,et al., Can Med Assoc J., 118 (1), 45-50, (1978) »PubMed
  4. 角尾道夫, 臨床医薬, 13 (8), 1907-1919, (1997)
  5. 健常人における食事の影響(承認年月日:2001.04.04、申請資料概要ヘ3.(2).2))
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  7. 小室勢津子ほか, 薬物動態, 11 (5), 505-517, (1996) »DOI
  8. 小室勢津子ほか, 基礎と臨床, 30 (11), 2915-2932, (1996)
  9. 各種動物における血清中濃度推移(承認年月日:2001.04.04、申請資料概要ヘ2.(2).2))
  10. 各種動物における組織中代謝物(承認年月日:2001.04.04、申請資料概要ヘ2.(6).3))
  11. 小室勢津子ほか, 薬物動態, 11 (5), 530-540, (1996) »DOI
  12. 小室勢津子ほか, 薬物動態, 11 (5), 518-529, (1996) »DOI
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  16. 森井浩世ほか, 腎と透析, 43 (2), 271-283, (1997)
  17. 森井浩世ほか, J Bone Miner Metab., 16 (1), 34-43, (1998)
  18. 森井浩世ほか, J Bone Miner Metab., 16 (1), 44-54, (1998)
  19. 松本俊夫ほか, ホルモンと臨床, 45 (6), 595-608, (1997)
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  21. 松本俊夫ほか, ホルモンと臨床, 45 (8), 789-803, (1997)
  22. 吉川靖三ほか, 診療と新薬, 34 (4), 331-357, (1997)
  23. 吉川靖三ほか, 診療と新薬, 34 (4), 359-380, (1997)
  24. 勝又隆ほか, 基礎と臨床, 30 (11), 2955-2962, (1996)
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  26. 津島直美ほか, 基礎と臨床, 30 (11), 2963-2974, (1996)
  27. 勝又隆ほか, 基礎と臨床, 30 (11), 2975-2982, (1996)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
大正製薬株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒170-8633 東京都豊島区高田3-24-1
電話:0120-591-818
製品情報問い合わせ先
大正製薬株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒170-8633 東京都豊島区高田3-24-1
電話:0120-591-818

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売
大正製薬株式会社
東京都豊島区高田3-24-1

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版