医療用医薬品 : オクソラレン

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医薬品情報


総称名 オクソラレン
一般名 メトキサレン
欧文一般名 methoxsalen
製剤名 メトキサレン製剤
薬効分類名 尋常性白斑治療剤
薬効分類番号 2699
ATCコード D05AD02 D05BA02
KEGG DRUG
D00139 メトキサレン
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年7月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
オクソラレンローション0.3% OXSORALEN LOTION 0.3% 大正製薬 2699701Q1023 20円/mL
オクソラレンローション1% OXSORALEN LOTION 1% 大正製薬 2699701Q2038 35.5円/mL

1. 警告

PUVA療法により皮膚癌が発生したとの報告がある。

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 皮膚癌又はその既往歴のある患者[皮膚癌が増悪又は再発するおそれがある。]
2.2 ポルフィリン症、紅斑性狼瘡、色素性乾皮症、多形性日光皮膚炎等の光線過敏症を伴う疾患のある患者[光毒性反応が増強される。]

4. 効能または効果

尋常性白斑

6. 用法及び用量

白斑部位にのみ適量を塗布し、1〜2時間後に日光浴あるいは人工紫外線の照射を行う。
通常、同一白斑部位においては、週1〜3回程度の治療施行が望ましい。限局性の白斑には外用療法が望ましい。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 紫外線を照射する場合、照射源及び個人差に応じて至適量を個々に把握する必要がある。その目安としては、照射した翌日の治療白斑部位が軽度にピンク色に発赤し、持続する程度が適当である。
7.2 特に最初の照射量は、皮膚炎を防止する上からも、最少紅斑量以下から開始することが望ましく、一応の目安として、日光浴の場合は5分より始め、人工紫外線照射の場合は、光源より20〜30cmの距離から1分より始め、以後白斑部位の皮膚症状により漸増・漸減して至適量を把握し、照射すること。
7.3 本剤は360nmをピークとする波長に高い活性を有するので、主として360nm付近の波長を有するBlack-lightの照射が望ましい。

8. 重要な基本的注意

8.1 紫外線照射後そのまま放置しておくと過度の皮膚炎症状を起こすおそれがあるので、エタノール綿又は石鹸等で洗い流すか、入浴してよく洗い流すこと。また、必要に応じて、直接日光に当たらないよう注意させること。
8.2 PUVA療法により皮膚癌が発生したとの報告があるので、治療前には患者によく説明し、PUVA療法施行後は患者の皮膚の状態に注意すること。また、紫外線照射の蓄積により皮膚癌の発生頻度が高まるとの報告があるので、長期にわたり漫然と治療しないこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 薬剤性光線過敏症及び光線過敏症の既往歴のある患者
光毒性反応が増強されるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)において、経口投与で胎児への移行が報告されている1)
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)において、経口投与で乳汁中への移行が報告されている1)
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
治療方法に留意すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

相互作用序文
本剤は、代謝酵素肝チトクロームP450(CYP)2A6の阻害作用を有することから、本酵素で代謝される他の薬剤の血中濃度を上昇させるおそれがある。[16.4参照]
薬物代謝酵素用語
CYP2A6
10.2 併用注意
光線過敏症を起こすことが知られている薬剤:ピリドンカルボン酸系薬剤、テトラサイクリン系薬剤、サルファ剤、タール製剤、チアジド系薬剤、ポルフィリン系薬剤、フェノチアジン系薬剤等光線過敏症が発現するおそれがある。本剤は光感受性を高める作用があるので、左記薬剤との併用又は食品の摂取により光感受性が増強されるおそれがある。
フロクマリンを含有する食物:セロリ、ライム、ニンジン、パセリ、イチジク、アメリカボウフウ、カラシ等光線過敏症が発現するおそれがある。本剤は光感受性を高める作用があるので、左記薬剤との併用又は食品の摂取により光感受性が増強されるおそれがある。
CYP2A6によって代謝される薬剤:レトロゾール、塩酸ファドロゾール水和物、ピロカルピン塩酸塩等左記薬剤の作用を増強させるおそれがある。本剤は、CYP2A6を阻害することにより、左記薬剤の血中濃度を上昇させるおそれがある。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5〜15%未満5%未満頻度不明
皮膚水疱注)、皮膚炎そう痒、紅斑、熱感、痂皮腫脹注)

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
指先等患部以外の部位に付着した場合は、エタノール綿又は石鹸等で洗い流すこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
乾癬のある患者に使用した場合、皮膚癌が発現し易くなるおそれがある。

16. 薬物動態

16.3 分布
ラット(雄、Wistar系)、マウス(雄、ICR系)に、それぞれ1%、0.3%3H-メトキサレン含有ローションを背部皮膚に塗布し、全身マクロオートラジオグラムを作製した結果、経皮吸収はいずれの動物種とも比較的緩徐であり、24時間後においても塗布部位に大量の放射能が残存し、臓器では肝、消化管、膀胱に低濃度の放射活性を認めるのみであった2)
16.4 代謝
ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験の結果、メトキサレンはCYP1A1、CYP1A2、CYP2A6等の肝代謝酵素で代謝されることが示された3)。また、CYP2A6を阻害することが報告されている4)。[10.参照]
16.5 排泄
ラット(雄、Wistar系)に1%3H-メトキサレン(0.5mg/kg)を塗布した場合、塗布後24時間以内に尿中へ22.0%、糞中へ6.1%が排泄された1)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 ローション製剤の国内臨床試験
国内一般臨床試験の成績は以下のとおりである注)
疾患名改善率(%)【改善以上】
尋常性白斑68.7(167/243)
注)0.2〜1%ローションを用いて行われた臨床試験6試験(再評価資料)の合算である。
17.1.2 ローション0.3%製剤の国内臨床試験
ローション0.3%剤形追加時の国内一般臨床試験の成績は以下のとおりである。
疾患名改善率(%)【改善以上】
尋常性白斑64.3(45/70)
副作用発現割合は7.1%(5例/70例)であった。発現した副作用は水疱5.7%(4例/70例)、紅斑、熱感、痂皮各1.4%(1例/70例)であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
メラニン色素はチロシナーゼによりチロシンから生合成される。チロシナーゼは銅含有の酵素であり、下垂体のメラニン刺激ホルモンが血清銅を増加させ、その結果チロシナーゼが活性化される5)in vivoでのメトキサレン投与は下垂体を刺激し、それによって肝等の組織内銅が皮膚に移行し、チロシナーゼが活性化される5)。また、in vitroでのUVA照射によってメラノサイトのメラノトロピン受容体の特異的発現時期であるG2期が延長してチロシナーゼ活性が増大するとしている6)
18.2 光感受性増強作用
メトキサレンは皮膚の光線感受性を増強させる作用を有し、特に長波長側の紫外線(320〜400nm)に対する感受性を増す7)。メトキサレンを投与した患者に紫外線を照射すると、皮膚の角質層が肥厚し、炎症反応が見られ、露光部にメラニンが沈着する。白斑患者の色素沈着や色素過剰沈着が起こる機序は明確にはわかっていないが、皮膚の白斑部位に存在する少数のメラニン細胞を活性化し、メラニン形成細胞の分裂を起こさせる8)。毛のう周辺部や上皮内の色素の増加は、(1)機能しているメラノサイトの数の増加及びおそらくは活性化、(2)メラノソームの合成促進、(3)チロシンをドーパに転換するチロシナーゼの活性増加、(4)メラノサイトの肥大及び樹状突起の枝分かれの増加、が単一に又は組み合って起こるものと考えられている9)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. メトキサレン

一般的名称 メトキサレン
一般的名称(欧名) methoxsalen
略号 8-MOP
化学名 9-Methoxy-7H-furo[3,2-g]chromen-7-one
分子式 C12H8O4
分子量 216.19
融点 145〜149℃
物理化学的性状 白色〜微黄色の結晶又は結晶性の粉末で、におい及び味はない。クロロホルムに溶けやすく、メタノール、エタノール(95)又はジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D00139

20. 取扱い上の注意

火気を避けて保管すること。

22. 包装

<オクソラレンローション1%>
30mL(ガラス瓶)
<オクソラレンローション0.3%>
60mL(ガラス瓶)

23. 主要文献

  1. 野津隆司ほか, 応用薬理, 18 (3), 489-496, (1979)
  2. 社内資料(3H-標識オクソラレンの全身マクロARGに関する資料)
  3. 社内資料(代謝に関与する肝チトクロームP450に関する資料)
  4. Koenigs LL,et al., Drug Metab Dispos., 25 (12), 1407-1415, (1997) »PubMed
  5. 朝日 円, 日皮会誌, 74 (8), 448-464, (1964) »DOI
  6. Cohen SR,et al., J Invest Dermatol., 76 (5), 409-413, (1981) »PubMed
  7. Pathak MA,et al., J Invest Dermatol., 48 (2), 103-118, (1967) »PubMed
  8. Becker SW, J Am Med Ass., 173 (13), 1483-1485, (1960)
  9. Mosher DB,et al., Vitiligo;Etiology,Pathogenesis,Diagnosis,and Treatment.In Update:Dermatology in General Medicine,ed.by Fitzpatrick T.B.et al., 205-225, (1983), (New York:McGraw-Hill Book Company)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
大正製薬株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒170-8633 東京都豊島区高田3-24-1
電話:0120-591-818
製品情報問い合わせ先
大正製薬株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒170-8633 東京都豊島区高田3-24-1
電話:0120-591-818

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売
大正製薬株式会社
東京都豊島区高田3-24-1

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版