<前立腺肥大症に伴う排尿障害>
本剤による治療は原因療法ではなく、対症療法であることに留意し、本剤投与により期待する効果が得られない場合には手術療法等、他の適切な処置を考慮すること。
<本態性高血圧症、腎性高血圧症、褐色細胞腫による高血圧症>
テラゾシンとして通常、成人1日0.5mg(1回0.25mg1日2回)より投与を始め、効果が不十分な場合は1日1〜4mgに漸増し、1日2回に分割経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高投与量は8mgまでとする。
<前立腺肥大症に伴う排尿障害>
テラゾシンとして通常、成人1日1mg(1回0.5mg1日2回)より投与を始め、1日2mgに漸増し、1日2回に分割経口投与する。
なお、症状により適宜増減する。
8.1 起立性低血圧があらわれることがあるので、臥位のみならず立位又は坐位で血圧測定を行い、体位変換による血圧変化を考慮し、坐位にて血圧をコントロールすること。
8.2 投与初期又は用量の急増時等に、めまい、立ちくらみ、動悸、頭痛等があらわれることがある。その際は仰臥位をとらせるなどの適切な措置を講ずること。また、必要に応じて対症療法を行うこと。
8.3 降圧作用に基づくめまい等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.2 腎機能障害患者
9.3 肝機能障害患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット、ウサギ)で母動物に体重増加抑制等の一般状態の悪化が認められる実験条件では、胚致死など胎児への影響も確認されている。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で母動物の血中濃度よりも高濃度で本剤の乳汁移行が認められている。
9.7 小児等
9.8 高齢者
低用量(例えば1回0.25mg、1日2回)から投与を開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に、過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起こるおそれがある。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 意識喪失(頻度不明)
血圧低下に伴う一過性の意識喪失等があらわれることがある。
11.1.2 肝機能障害(0.1%未満)、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、ALP、LDHの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。
注)発現頻度は、再審査結果を含む。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| | 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 |
| 過敏症 | 発疹 | そう痒 | 血管浮腫 |
| 精神神経系 | めまい、頭痛、倦怠感、脱力感、発汗、不眠、冷感、肩こり | 眠気、口渇、しびれ | |
| 循環器 | 立ちくらみ、動悸、浮腫、不整脈(期外収縮、心房細動等)、胸痛 | 低血圧、起立性低血圧、頻脈 | |
| 肝臓 | ALT上昇、AST上昇、ALP上昇、LDH上昇、総ビリルビン上昇 | | |
| 消化器 | 腹痛、下痢、便秘、悪心、嘔吐 | 食欲不振、消化不良 | |
| 泌尿器 | 頻尿 | 尿失禁 | |
| 腎臓 | BUN上昇 | 血中クレアチニン上昇 | |
| その他 | ほてり、鼻閉、息切れ、目の違和感、抗核抗体の陽性 | 貧血 | インポテンス、羞明 |
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.1 臨床使用に基づく情報
類似化合物(プラゾシン塩酸塩)で腎及びその他の動脈狭窄、脚部及びその他の動脈瘤等の血管障害のある高血圧症患者で、急性熱性多発性関節炎がみられた1例の報告がある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
ラットに250mg/kg/日(臨床最大用量の約1,800倍に相当)を2年間経口投与した試験で、雄のみに良性副腎髄質腫瘍の発生頻度が対照群に比し高いとの報告がある。
16.1 血中濃度
健康成人(6例)にテラゾシン塩酸塩水和物として0.5〜2mgを単回経口投与したときの血中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりである
1)。
| パラメータ\投与量 | 0.5mg (n=6) | 1.0mg (n=6) | 2.0mg (n=6) |
| tmax(h) | 0.83±0.26 | 1.00±0.32 | 1.00±0.63 |
| Cmax(ng/mL) | 17.3±3.4 | 40.4±9.8 | 67.1±22.9 |
| t1/2 | α相(h) | 2.01±0.43 | 2.74±0.32 | 1.80±1.09 |
| β相(h) | 12.76±5.43 | 18.70±10.60 | 10.11±2.67 |
| AUC(ng・h/mL) | 137.1±26.3 | 404.1±131.3 | 580.3±106.1 |
16.3 分布
血漿蛋白結合率は79〜94%であった(in vitro、限外ろ過法)。
16.4 代謝
健康成人(12例)にテラゾシン塩酸塩水和物2mgを経口投与したとき、尿中代謝物としてテラゾシンのN-グルクロン酸抱合体、PAD、HG-PAD、DD及び6H-TRZが検出された
2)。
16.5 排泄
健康成人(12例)にテラゾシン塩酸塩水和物2mgを経口投与したとき、尿中には投与後24時間までに未変化体として約12.9%、N-グルクロン酸抱合体等の代謝物として約12.4%が排泄された
2)。また、健康成人(6例)にテラゾシン塩酸塩水和物0.5〜2mgを経口投与したとき、投与72時間後までの尿中未変化体排泄率は投与量の13.5〜20.5%であった
1)。
外国人のデータでは、ヒトに
14C-テラゾシン塩酸塩水和物1mgを経口投与したとき、投与後168時間までに94.4%が排泄され、うち尿中へは38.8%、糞中へは55.6%が排泄された
3)。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
<本態性高血圧症、腎性高血圧症、褐色細胞腫による高血圧症>
17.1.1 国内比較試験
承認時までの国内臨床症例641例における降圧効果は下表のとおりである
4)5)6)7)8)9)10)。
| 対象疾患名 | 下降以上(%) | やや下降以上(%) |
| 本態性高血圧症 | 64.8(380/586) | 84.6(496/586) |
| 腎性高血圧症 | 52.6(20/38) | 76.3(29/38) |
| 褐色細胞腫による高血圧症 | 64.7(11/17) | 100.0(17/17) |
副作用発現頻度は、14.3%(106例/743例)であった。主な副作用はめまい2.8%(21件/743例)、立ちくらみ2.6%(19件/743例)、動悸2.3%(17件/743例)、頭痛2.2%(16件/743例)であった。
<前立腺肥大症に伴う排尿障害>
17.1.2 国内臨床試験
承認時までの国内臨床症例347例における全般改善度は下表のとおりである
11)12)13)14)15)。
| 対象疾患名 | 改善以上(%) | やや改善以上(%) |
| 前立腺肥大症に伴う排尿障害 | 52.2(181/347) | 81.3(282/347) |
また、他覚所見の有意な改善が投与初期(2日目)より認められた。
18.1 作用機序
シナプス後α1受容体を選択的に遮断し、末梢血管抵抗、尿道抵抗を減少することにより降圧作用、排尿障害改善作用を示す。
18.2 α1受容体遮断作用
イヌ大動脈、脳を用いたin vitro受容体結合実験において、本剤はα
1受容体を選択的に遮断し、シナプス前のα
2受容体遮断作用は著しく弱かった。このことから、シナプス前のα
2受容体を介するノルアドレナリン放出のネガティブフィードバック機構を阻害することなく、末梢血管を拡張させ、ノルアドレナリンの過剰放出を起こしにくいと考えられた
16)17)。
また、ヒト摘出前立腺を用いたin vitro結合実験においても選択的にα
1受容体を遮断することが報告されている
18)。
18.3 降圧作用
18.3.1 高血圧自然発症ラット、副腎性(DOC-salt)高血圧ラット、腎性高血圧ラット、腎性高血圧イヌのいずれにおいても、単回経口投与により明らかな降圧作用を示し、その作用は持続的であった
19)20)。
18.3.2 高血圧自然発症ラット、腎性高血圧イヌにおいて、長期反復経口投与により本剤は安定した降圧作用を示し、作用に耐性がないことが認められた
19)20)。
18.4 前立腺収縮抑制作用
ヒト摘出前立腺を用いたノルアドレナリンによる収縮反応を抑制するin vitro実験において、本剤はこの収縮反応に対し競合的に拮抗することが認められた
21)。
18.5 その他
18.5.1 高血圧自然発症ラット、腎性高血圧イヌ及び本態性高血圧症患者において、全末梢血管抵抗の減少による降圧作用が認められた。また、心拍出量や脈拍数に与える影響は少なかった
19)20)22)。
18.5.2 本態性高血圧症患者において体位変換による血圧の変化に対し影響を及ぼさなかった
4)。