2.1 有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症の患者[症状を増悪するおそれがある。]
2.2 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
2.3 デスモプレシン酢酸塩水和物(男性における夜間多尿による夜間頻尿)を投与中の患者[
10.1参照]
本剤の投与開始前には、患者の喘息症状を比較的安定な状態にしておくこと。特に、喘息発作重積状態又は喘息の急激な悪化状態のときには原則として本剤は使用しないこと。
成人には、通常1回100μgを1日2回口腔内に噴霧吸入する。
小児には、通常1回50μgを1日2回口腔内に噴霧吸入する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日の最大投与量は成人では800μg、小児では200μgを限度とする。
8.1 本剤は気管支拡張剤ならびに全身性ステロイド剤のように既に起きている発作を速やかに軽減する薬剤ではないので、毎日規則正しく使用すること。
8.2 本剤の投与期間中に喘息の悪化がみられた場合には、気管支拡張剤あるいは全身性ステロイド剤を短期間併用し、症状の軽減にあわせて併用薬剤を徐々に減量すること。
8.3 全身性ステロイド剤と比較し可能性は低いが、吸入ステロイド剤の投与により全身性の作用(クッシング症候群、クッシング様症状、副腎皮質機能抑制、小児の成長遅延、骨密度の低下、白内障、緑内障を含む)が発現する可能性があるので、吸入ステロイド剤の投与量は患者ごとに喘息をコントロールできる最少用量に調節すること。特に長期間、大量投与の場合には定期的に検査を行い、全身性の作用が認められた場合には患者の喘息症状を観察しながら徐々に減量するなど適切な処置を行うこと。[
9.7.1、
13.1参照]
8.4 全身性ステロイド剤の減量は本剤の吸入開始後症状の安定をみて徐々に行う。減量にあたっては一般のステロイド剤の減量法に準ずる。
8.5 ベクロメタゾンプロピオン酸エステル吸入剤を含む吸入ステロイド剤投与後に、潜在していた基礎疾患である好酸球性多発血管炎性肉芽腫症にみられる好酸球増多症がまれにあらわれることがある。この症状は通常、全身性ステロイド剤の減量ならびに離脱に伴って発現しており、ベクロメタゾンプロピオン酸エステル吸入剤との直接的な因果関係は確立されていない。本剤の投与期間中は、好酸球数の推移や、他の好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の症状(しびれ、発熱、関節痛、肺の浸潤等の血管炎症状等)に注意すること。
8.6 全身性ステロイド剤の減量ならびに離脱に伴って、鼻炎、湿疹、じん麻疹、眩暈、動悸、倦怠感、顔のほてり、結膜炎等の症状が発現・増悪することがある。このような症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 結核性疾患の患者
9.1.2 感染症(有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症を除く)の患者
9.1.3 高血圧の患者
9.1.4 気管支粘液の分泌が著しい患者
本剤の肺内での作用を確実にするため本剤の吸入に先立って、分泌がある程度減少するまで他剤を使用するとよい。
9.1.5 長期又は大量の全身性ステロイド療法を受けている患者
全身性ステロイド剤の減量中ならびに離脱後も副腎皮質機能検査を行い、外傷、手術、重症感染症等の侵襲には十分に注意を払うこと。また、必要があれば一時的に全身性ステロイド剤の増量を行うこと。これらの患者では副腎皮質機能不全となっていることが考えられる。
9.1.6 長期間コルチコトロピン療法を受けている患者
気管支喘息の症状に変化がみられる場合には、全身性ステロイド剤の投与等の適切な処置を行うこと。ベクロメタゾンプロピオン酸エステル吸入剤の投与によりコルチコトロピンの離脱後、喘息発作重積状態を認めたとの報告がある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ベクロメタゾンプロピオン酸エステルは動物実験(マウス)で催奇形作用が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
9.7.1 長期間投与する場合には、投与量は患者ごとに喘息をコントロールできる最少用量に調節することとし、身長等の経過の観察を十分に行うこと。また、使用にあたっては、使用法を正しく指導すること。全身性ステロイド剤と比較し可能性は低いが、吸入ステロイド剤を特に長期間、大量に投与する場合に成長遅延をきたすおそれがある。[
8.3、
13.1参照]
9.7.2 低出生体重児、新生児、乳児又は4歳以下の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
13.1 症状
過量投与により、下垂体・副腎皮質系機能抑制があらわれることがある。この抑制が長期にわたった場合、副腎皮質ステロイド剤を全身投与した場合と同様な症状があらわれることがある。[
8.3、
9.7.1参照]
13.2 処置
全身性ステロイド療法を中止する手順で本剤を徐々に減量すること。
18.1 作用機序
気管支及び肺において、グルココルチコイド受容体と結合し、気道の慢性炎症を抑制することが示唆されている。
18.2 抗炎症作用
局所投与時(McKenzie変法):ヒト正常皮膚血管収縮作用において、ヒドロコルチゾンの約5,000倍、デキサメタゾンの約600倍の局所抗炎症活性を示した
9)(外国人データ)。
18.3 気道抵抗増大に及ぼす影響
卵白アルブミン感作モルモットにおいて抗原吸入により誘発される気道抵抗増大を抑制した
10)。
18.4 全身性ステロイド作用
ラットを用いて視床下部−下垂体−副腎(HPA)系機能に及ぼす作用ならびに胸腺萎縮作用をデキサメタゾンと比較したところ、吸入、皮下及び静脈内いずれの投与経路においてもHPA系機能抑制及び胸腺萎縮作用はデキサメタゾンより弱かった
11)12)13)。
20.1 アルミ容器は火中に投じないこと。
20.2 地方自治体により定められたアルミ容器の廃棄処理法に従うこと。
20.3 アルミ容器に穴を開けるときは空にしてから開けること。