医療用医薬品 : ノリトレン |
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総称名 | ノリトレン |
一般名 | ノルトリプチリン塩酸塩 |
欧文一般名 | Nortriptyline Hydrochloride |
薬効分類名 | 情動調整剤 |
薬効分類番号 | 1179 |
ATCコード | N06AA10 |
KEGG DRUG |
D00816
ノルトリプチリン塩酸塩
商品一覧 米国の商品 相互作用情報 |
JAPIC | 添付文書(PDF) |
販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
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ノリトレン錠10mg | NORITREN | 大日本住友製薬 | 1179004F1024 | 5.7円/錠 | 劇薬 , 処方箋医薬品 |
ノリトレン錠25mg | NORITREN | 大日本住友製薬 | 1179004F2039 | 10.1円/錠 | 劇薬 , 処方箋医薬品 |
次の患者には投与しないこと
閉塞隅角緑内障の患者〔抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。〕
本剤の成分及び三環系抗うつ剤に対し過敏症の患者
心筋梗塞の回復初期の患者〔循環器系への影響を強く受けるおそれがある。〕
尿閉(前立腺疾患等)のある患者〔本剤の抗コリン作用により、尿閉が助長されるおそれがある。〕
モノアミン酸化酵素阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)を投与中の患者〔「相互作用」(1)の項参照〕
抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。
はじめ1回量としてノルトリプチリン10〜25mg相当量を1日3回経口投与する。又はその1日量を2回に分けて経口投与する。その後、症状および副作用を観察しつつ、必要ある場合は漸次増量する。通常最大量は1日量としてノルトリプチリン150mg相当量以内であり、これを2〜3回に分けて経口投与する。
慎重投与
排尿困難のある患者〔排尿困難が悪化するおそれがある。〕
眼圧上昇のある患者〔眼圧上昇が悪化するおそれがある。〕
開放隅角緑内障の患者〔抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。〕
心不全・心筋梗塞・狭心症・不整脈(発作性頻拍・刺激伝導障害等)等の心疾患のある患者又は甲状腺機能亢進症の患者〔循環器系に影響を及ぼすことがある。〕
てんかん等の痙れん性疾患又はこれらの既往歴のある患者〔痙れんを起こすことがある。〕
躁うつ病患者〔躁転、自殺企図があらわれることがある。〕
脳の器質障害又は統合失調症の素因のある患者〔精神症状を増悪させることがある。〕
衝動性が高い併存障害を有する患者〔精神症状を増悪させることがある。〕
自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者〔自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。〕
小児又は高齢者〔「小児等への投与」、「高齢者への投与」の項参照〕
重要な基本的注意
うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期並びに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。
不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。
家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。
自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。
投与量の急激な減少ないし投与の中止により、嘔気、頭痛、倦怠感、易刺激性、情動不安、睡眠障害等の離脱症状があらわれることがある。投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。
眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
相互作用
併用禁忌
モノアミン酸化酵素阻害剤 セレギリン塩酸塩(エフピー) ラサギリンメシル酸塩(アジレクト) サフィナミドメシル酸塩(エクフィナ) | 発汗、不穏、全身痙れん、異常高熱、昏睡等があらわれることがある。 モノアミン酸化酵素阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合には、少なくとも2週間の間隔をおき、また本剤からモノアミン酸化酵素阻害剤に切り替えるときには、2〜3日間の間隔をおくことが望ましい。 | 詳細は不明であるが、相加・相乗作用によると考えられる。 |
併用注意
抗コリン作用を有する薬剤 フェノチアジン系薬剤 ブチロフェノン系薬剤等 | 口渇、便秘、排尿困難、眼圧上昇等があらわれることがある。 | 併用により抗コリン作用が増強される。 |
バルプロ酸ナトリウム | 本剤の作用が増強することがある。 | 併用により本剤の血中濃度が上昇する。 |
中枢神経抑制剤 バルビツール酸誘導体等 | 眠気、脱力感、倦怠感、ふらつきがあらわれることがある。 | 併用により中枢神経抑制作用が増強される。 |
アルコール | 本剤の中枢神経抑制作用が増強することがある。 | 併用により中枢神経抑制作用が増強される。 |
アドレナリン作動薬 アドレナリン ノルアドレナリン等 | 過度の交感神経興奮、重篤な高血圧、異常高熱等があらわれることがある。 | 三環系抗うつ剤は交感神経終末へのノルアドレナリンの取り込みを抑制し、作用が増強される。 |
降圧剤 グアネチジン ベタニジン等 | これらの薬剤の降圧作用が減弱することがある。 | これらの降圧剤はノルアドレナリンの取り込み機構により、交感神経終末に取り込まれて作用を示すが、本剤は降圧剤の取り込みを抑制すると考えられる。 |
リファンピシン | 本剤の作用が減弱することがある。 | リファンピシンの肝チトクロームP-450誘導作用により、本剤の代謝が促進する。 |
スルファメトキサゾール・トリメトプリム | 本剤の作用が減弱することがある。 | 機序は不明である。 |
キニジン | 本剤の血中濃度が上昇することがある。 | キニジンの肝チトクロームP-450CYP2D6阻害作用により、本剤の代謝が抑制される。 |
クマリン系抗凝血剤 ワルファリン | クマリン系抗凝血剤の血中濃度半減期が延長することがある。 | 本剤がワルファリンの肝代謝を抑制するとの報告がある。 |
血糖降下剤 インスリン 経口血糖降下剤 | これらの薬剤の血糖降下作用が増強することがある。 | 機序は不明であるが、本剤がインスリン感受性を増強するなどの報告がある。 |
副作用
副作用発現状況の概要
承認までの臨床試験491例及び市販後の調査1,930例の合計2,421例の調査で、主な副作用は口渇(14.8%)、眠気(4.4%)、便秘(3.1%)等であった。(新開発医薬品の副作用の頻度に関する調査終了時)
重大な副作用及び副作用用語
重大な副作用
てんかん発作
てんかん発作があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、減量又は休薬など適切な処置を行うこと。
無顆粒球症
無顆粒球症があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行い、異常(前駆症状として、発熱、咽頭痛、インフルエンザ様症状等があらわれる場合もある)が認められた場合には、投与を中止すること。
麻痺性イレウス
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満又は弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)をきたし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので、注意すること。
類薬による重大な副作用
悪性症候群(Syndrome malin)
類似化合物(アミトリプチリン等)で、無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それにひきつづき発熱がみられる悪性症候群が報告されている。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
類似化合物(アミトリプチリン等)で、低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙れん、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることが報告されている1)。
心室性頻拍(Torsades de pointesを含む)
四環系抗うつ剤(マプロチリン)で心室性頻拍(Torsades de pointesを含む)が報告されているので、定期的に心電図検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1%以上 | 1%未満 | 頻度不明 | |
循環器 | 血圧降下 | 血圧上昇、頻脈 | 動悸、心電図異常(QT延長等) |
精神神経系(注1) | 眠気、不眠、振戦等のパーキンソン症状、焦燥 | 不安、耳鳴、知覚異常 | 幻覚、せん妄、精神錯乱、運動失調 |
抗コリン作用 | 口渇、便秘 | 排尿困難、視調節障害、鼻閉 | 眼圧上昇 |
過敏症 (注2) | 発疹、そう痒感 | ||
血液 (注3) | 白血球減少 | ||
肝臓 (注4) | 黄疸 | AST(GOT)・ALT(GPT)の上昇等の肝障害 | |
消化器 | 食欲不振 | 悪心、嘔吐、味覚異常、下痢 | |
長期投与 (注5) | 口周部等の不随意運動 | ||
その他 | 眩暈、頭痛、倦怠感 | ふらつき、発汗 |
高齢者への投与
少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。〔高齢者では、起立性低血圧、ふらつき、抗コリン作用による口渇、排尿困難、便秘、眼圧上昇等があらわれやすい。〕
妊婦・産婦・授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔三環系抗うつ剤(イミプラミン)では、動物実験(ウサギ)で催奇形性(外形異常)が報告されている。〕
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない。〔使用経験がない。〕
過量投与
症状
昏睡、錯乱、不安、激越、異常高熱、筋強剛、反射亢進、痙れん、不整脈、伝導障害を示す心電図異常、うっ血性心不全、ショック、嘔吐等があらわれる。
処置
特異的な解毒剤は知られていないので、胃洗浄、活性炭の投与を行い、維持療法を実施する。呼吸抑制があらわれた場合には気道を確保し、呼吸補助を行う。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。〔PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。〕
その他の注意
海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した。
主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。
血漿中濃度
(健康成人、1回投与)
投与量 (mg) | 投与例数 (例) | Tmax (h) | Cmax (ng/mL) | AUC0-72hr
(ng・h/mL) | t1/2
(h) |
25 | 19 | 4.8±0.4 | 18.3±4.4 | 469.2±119.5 | 26.7±8.5 |
血漿蛋白結合率2)
約94%(in vitro、ヒト血漿、限外ろ過法)
主な代謝産物及び代謝経路3)
主な代謝産物
10-hydroxynortriptyline(10-OH-NT),desmethylnortriptyline(DNT),10-hydroxydesmethylnortriptyline(10-OH-DNT)
代謝経路
主に肝臓において10位の水酸化体、N位の脱メチル体に代謝される。一部は抱合を受ける。(外国人)
排泄経路及び排泄率3)
排泄経路
主として尿中
排泄率
尿中に投与量の62%が排泄された。〔健康成人(外国人)、ノルトリプチリン塩酸塩1mg/kg1回経口投与又は0.4mg/kg1日3回反復経口投与〕
初回通過効果4)
41〜54%(外国人)
代謝酵素
主なチトクロームP-450分子種
CYP2D6(ノルトリプチリンの10位の水酸化)
本剤の二重盲検比較試験5)6)及び一般臨床試験7)8)9)10)11)における有効性についての評価症例数は508例であり、これらの臨床成績は次のとおりである。
対象疾患 | 有効率 | |
有効以上 | やや有効以上 | |
精神科領域におけるうつ病及びうつ状態 | 52%(262/508) | 73%(372/508) |
作用機序として、ノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害し、シナプス間隙のノルアドレナリン量を増加させることにより、抗うつ作用を示すことが考えられている。
モノアミン再取り込み阻害作用12)
ラット脳シナプトゾームにおいて、ノルアドレナリン、セロトニン、ドパミンいずれの再取り込みも阻害するが、特にノルアドレナリンに対して強い阻害作用を示す(in vitro)。
レセルピン拮抗作用13)
レセルピンによる体温下降作用に対し、抑制作用を示す(マウス、腹腔内投与)。
ノリトレン錠10mg
[PTP]
1,000錠(10錠×100)
[バラ]
500錠
ノリトレン錠25mg
[PTP]
1,000錠(10錠×100)
[バラ]
500錠
1. | Beckstrom,D.,et al., JAMA, 241, 133, (1979) »PubMed |
2. | Borga,O.,et al., Biochem.Pharmacol., 18, 2135, (1969) »PubMed »DOI |
3. | Alexanderson,B., Eur.J.Clin.Pharmacol., 5, 174, (1973) |
4. | Gram,L.F.,et al., Clin.Pharmacol.Ther., 18, 305, (1975) »PubMed »DOI |
5. | 葉田 裕,ほか, 臨床精神医学, 5, 250, (1976) |
6. | 栗原雅直,ほか, 臨床評価, 1, 27, (1972) |
7. | 小河原龍太郎,ほか, 診療, 18, 1863, (1965) |
8. | 佐々木邦幸,ほか, 精神医学, 8, 949, (1966) |
9. | 三浦岱栄,ほか, 診療と新薬, 2, 603, (1965) |
10. | 平井宏之, 診療と新薬, 10, 1135, (1973) |
11. | 村崎光邦,ほか, 診療と新薬, 9, 2197, (1972) |
12. | Richelson,E.,et al., Eur.J.Pharmacol., 104, 277, (1984) »PubMed »DOI |
13. | 広岡哲夫,ほか, 医学研究, 40, 289, (1970) |
改訂履歴 |
2019年11月 改訂 |
文献請求先 |
大日本住友製薬株式会社 |
お問い合わせ先 |
大日本住友製薬株式会社 |
業態及び業者名等 |
製造販売元 提携 |
[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] | 2021/2/17 版 |