医療用医薬品 : ヱフェドリン

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医薬品情報


総称名 ヱフェドリン
一般名 エフェドリン塩酸塩
欧文一般名 Ephedrine Hydrochloride
薬効分類名 気管支拡張・鎮咳剤
昇圧剤
薬効分類番号 2118 2221
ATCコード C01CA26 R01AA03 R01AB05 R03CA02
KEGG DRUG
D01386 エフェドリン塩酸塩
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2025年4月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ヱフェドリン「ナガヰ」注射液40mg EPHEDRIN"NAGAI"Injection 日医工 2221400A2060 97円/管 劇薬, 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 カテコールアミン(アドレナリン、イソプレナリン、ドパミン等)を投与中の患者[10.1参照]

4. 効能または効果

○下記疾患に伴う咳嗽
気管支喘息、喘息性(様)気管支炎、感冒、急性気管支炎、慢性気管支炎、肺結核、上気道炎(咽喉頭炎、鼻カタル)
○鼻粘膜の充血・腫脹
○麻酔時の血圧降下

5. 効能または効果に関連する注意

麻酔時の血圧降下に対する予防を目的とした本剤の投与は行わないこと。
帝王切開時の本剤の予防投与により、母体の高血圧及び頻脈、胎児アシドーシスが発現したとの報告がある1)2)3)4)

6. 用法及び用量

l−エフェドリン塩酸塩として、通常成人1回25〜40mgを皮下注射する。
また、麻酔時の血圧降下には、通常成人1回4〜8mgを静脈内注射することができる。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

7. 用法及び用量に関連する注意

<静脈内注射>
7.1 緩徐に投与すること。[8.211.1.1参照]
参考
日本麻酔科学会では次のような投与法が推奨されている。
静脈内注射にあたっては、本剤1管(40mg/1mL)を9mLの生理食塩液と混合して計10mL(4mg/1mL)とし、1回1〜2mL(4〜8mg)を投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
7.2 血圧の異常上昇をきたさないよう慎重に投与すること。

8. 重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 用法・用量どおり正しく使用しても効果が認められない場合は、本剤が適当でないと考えられるので、投与を中止すること。
なお、小児に投与する場合には、経過の観察を十分に行うこと。
8.2 過度に使用を続けた場合、不整脈、場合によっては心停止を起こすおそれがあり、特に注射の場合はその傾向が強いので、使用が過度にならないように注意すること。[7.113.2参照]
<麻酔時の血圧降下>
8.3 脈拍数、心電図の連続監視下で、頻回に血圧を測定しながら投与すること。
8.4 麻酔以外の原因が関与していることが考えられる場合には、その原因に対する治療を優先すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 心室細動、心室頻拍、冠れん縮又はその既往歴のある患者
症状が悪化又は再発するおそれがある。[11.1.1参照]
9.1.2 甲状腺機能亢進症の患者
甲状腺機能亢進症が悪化するおそれがある。
9.1.3 高血圧症の患者
本剤には血圧上昇作用がある。
9.1.4 心疾患のある患者
本剤には心刺激作用がある。
9.1.5 糖尿病の患者
血糖が上昇するおそれがある。
9.1.6 緑内障の患者
眼圧が上昇するおそれがある。
9.1.7 前立腺肥大症の患者
排尿障害が悪化するおそれがある。
9.1.8 低酸素血症のある患者
定期的に血清カリウム値を観察することが望ましい。低酸素血症においては、血清カリウム値の低下が心リズムに及ぼす作用を増強することがある。[10.211.1.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.1 併用禁忌
カテコールアミン
アドレナリン
ボスミン
イソプレナリン
プロタノール 等
ドパミン 等
2.1参照]
不整脈、場合によっては心停止を起こすおそれがある。併用により交感神経刺激作用が増強される。
10.2 併用注意
ハロゲン化吸入麻酔剤
セボフルラン
イソフルラン
デスフルラン
心室細動、心室頻拍等の不整脈があらわれることがある。ハロゲン化吸入麻酔剤は交感神経刺激剤に対する心筋の感受性を高める。
モノアミン酸化酵素阻害剤
セレギリン塩酸塩
ラサギリンメシル酸塩
サフィナミドメシル酸塩
血圧上昇、頻脈等の発現が報告されている。これらの薬剤のMAO-B選択性が低下した場合、交感神経刺激作用が増強されると考えられる。
甲状腺製剤
レボチロキシン
リオチロニン
冠動脈疾患のある患者に併用すると、本剤の作用を増強し、冠不全のリスクが増大するおそれがある。これらの薬剤が心臓のカテコールアミンに対する感受性を増大するおそれがある。
キサンチン誘導体
テオフィリン
ジプロフィリン 等
ステロイド剤
プレドニゾロン
ベタメタゾン 等
利尿剤
フロセミド
ヒドロクロロチアジド 等
9.1.811.1.2参照]
血清カリウム値が低下するおそれがあるので、血清カリウム値をモニターするとともに、減量するなど注意すること。併用により血清カリウム低下作用が増強される。
オキシトシン血圧の異常上昇を起こすおそれがあるので、血圧等に注意し、慎重に投与すること。併用により血圧上昇作用が増強される。
ジギタリス製剤
ジゴキシン
メチルジゴキシン
デスラノシド
不整脈を起こすおそれがある。本剤及びジギタリス製剤の薬力学的相互作用により、不整脈が誘発されるおそれがある。
クロフェダノール塩酸塩クロフェダノール塩酸塩の作用が減弱されることがある。クロフェダノール塩酸塩は咳中枢に作用し、咳嗽抑制作用を示す。
マオウ含有製剤
葛根湯
小青竜湯
麻黄湯 等
不眠、発汗過多、頻脈、動悸、全身脱力感、精神興奮等があらわれやすくなるので、減量するなど慎重に投与すること。交感神経刺激作用が増強されることが考えられる。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 心室細動、心室頻拍、冠攣縮等(いずれも頻度不明)
静脈内注射で重篤な心室細動、心室頻拍、冠攣縮等があらわれ、心停止に至ることがある。[7.19.1.113.2参照]
11.1.2 重篤な血清カリウム値の低下(頻度不明)
キサンチン誘導体、ステロイド剤及び利尿剤の併用により増強することがあるので、重症喘息患者では特に注意すること。[9.1.810.2参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
循環器心悸亢進、血圧上昇、心電図異常(QT間隔の延長、ST上昇・低下等)
精神神経系頭痛・頭重、振戦、不眠、めまい、発汗、神経過敏、脱力感
消化器悪心・嘔吐、食欲不振
泌尿器排尿困難
過敏症発疹
長期連用不安、幻覚、妄想を伴う精神症状
その他口渇

13. 過量投与

13.1 症状
頻脈、不整脈、血圧上昇、動悸、痙攣、昏睡、妄想、呼吸抑制等の症状があらわれることがある。
13.2 処置
特異的解毒剤は知られていないので、心電図、呼吸及び血圧等の監視を行うこと。[8.211.1.1参照]

16. 薬物動態

16.5 排泄
成人男性1例に、本剤を25mg(遊離塩基換算)静脈内投与したとき、未変化体エフェドリンの尿中(pH4.5〜5.5)排泄速度において、明確な2相性の減少が認められた5)(外国人データ)。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
交感神経興奮様薬物。α受容体及びβ受容体を刺激するが、作用の一部は交感神経終末からのノルアドレナリン遊離を介する間接的なものである6)
18.2 気管支拡張作用
アセチルコリン及びヒスタミンによるモルモット摘出気管筋の収縮に対し、緩解作用を示す7)
18.3 鼻粘膜血管収縮作用
麻酔イヌを用いた実験で、鼻粘膜血管・鼻粘膜を収縮し、鼻腔容積を拡大させる8)
18.4 血圧上昇作用
麻酔イヌを用いた実験で、心拍数の増加、心収縮力の増強を示し、血圧を上昇させる9)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. エフェドリン塩酸塩

一般的名称 エフェドリン塩酸塩
一般的名称(欧名) Ephedrine Hydrochloride
化学名 (1R,2S)-2-Methylamino-1-phenylpropan-1-ol monohydrochloride
分子式 C10H15NO・HCl
分子量 201.69
融点 218〜222℃
物理化学的性状 白色の結晶又は結晶性の粉末である。
水に溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けやすく、酢酸(100)に溶けにくく、アセトニトリル又は無水酢酸にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D01386

20. 取扱い上の注意

外箱開封後は遮光して保存すること。

22. 包装

1mL×10管

23. 主要文献

  1. 春田道男 他, 日生病院医学雑誌, 15 (2), 151-158, (1987)
  2. Shearer V.E.,et al., J.Matern.Fetal.Med., 5 (2), 79-84, (1996) »PubMed
  3. Ngan Kee W.D.,et al., Anesth.Analg., 90 (6), 1390-1395, (2000) »PubMed
  4. Cooper D.W.,et al., Anesthesiology., 97 (6), 1582-1590, (2002) »PubMed
  5. Wilkinson G.R.,et al., J.Pharmacol.Exp.Ther., 162 (1), 139-147, (1968) »PubMed
  6. 第十八改正日本薬局方解説書, C1018-C1024, (2021), (廣川書店)
  7. Carminati G.M.,et al., Arch.Int.Pharmacodyn., 163 (1), 186-198, (1966) »PubMed
  8. King T.,et al., Chin.J.Physiol., 3 (1), 95-108, (1929)
  9. Chen K.K.,et al., J.Pharmacol.Exp.Ther., 24, 339-357, (1924)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日医工株式会社 お客様サポートセンター
〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21
電話:0120-517-215
FAX:076-442-8948
製品情報問い合わせ先
日医工株式会社 お客様サポートセンター
〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21
電話:0120-517-215
FAX:076-442-8948

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
日医工株式会社
富山市総曲輪1丁目6番21

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/10/22 版