医療用医薬品 : ボンアルファ

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医薬品情報


総称名 ボンアルファ
一般名 タカルシトール水和物
欧文一般名 Tacalcitol Hydrate
製剤名 タカルシトール軟膏・タカルシトール水和物製剤・タカルシトールローション
薬効分類名 活性型VD3角化症治療剤
薬効分類番号 2691
ATCコード D05AX04
KEGG DRUG
D01472 タカルシトール水和物
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年6月 改訂(第3版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ボンアルファ軟膏2μg/g Bonalfa Ointment 2μg/g 岩城製薬 2691700M1053 57.8円/g 劇薬, 処方箋医薬品注)
ボンアルファクリーム2μg/g Bonalfa Cream 2μg/g 岩城製薬 2691700N1059 57.8円/g 劇薬, 処方箋医薬品注)
ボンアルファローション2μg/g Bonalfa Lotion 2μg/g 岩城製薬 2691700Q1047 57.8円/g 劇薬, 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

乾癬、魚鱗癬、掌蹠膿疱症掌蹠角化症毛孔性紅色粃糠疹

6. 用法及び用量

通常1日2回適量を患部に塗布する。

8. 重要な基本的注意

本剤は活性型ビタミンD3製剤であり、類薬(活性型ビタミンD3外用剤)との併用又は大量投与により血清カルシウム値が上昇する可能性がある。また、高カルシウム血症に伴い、腎機能が低下する可能性があるので、類薬との併用又は大量投与に際しては、血清カルシウムや尿中カルシウム及び腎機能(クレアチニン、BUN等)に注意し、観察を十分に行うこと。[10.2参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物試験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児、乳児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
使用が過度にならないよう注意すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.2 併用注意
ビタミンD及びその誘導体
アルファカルシドール
カルシトリオール
カルシポトリオール
マキサカルシトール等
[8.参照]
血清カルシウム値が上昇する可能性がある。その場合には直ちに本剤及び併用薬の使用を中止し、経過を観察すること。相加作用

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満
精神神経系頭痛 
皮膚ヒリヒリ感、発赤、接触皮膚炎、そう痒、刺激感腫脹
肝臓AST上昇、ALT上昇、LDH上昇、ALP上昇 
その他白血球の増多、血清リンの低下、尿たん白陽性 

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 使用時
眼科用として角膜、結膜に使用しないこと。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
<軟膏>
健康成人男子及び乾癬患者に、軟膏をタカルシトールとして20μg〜80μg単回あるいは40μg〜80μg/日を7日間経皮投与したとき、健康成人男子における未変化体の血清中濃度は、12例中3例で26〜33pg/mLを示し、乾癬患者(n=17)においては、全例検出限界(25pg/mL)以下であった1)2)
<クリーム>
健康成人男子に、クリームをタカルシトールとして40μg単回(n=3)又は1日2回(n=3)、あるいは80μg/日を7日間(n=5)経皮投与したとき、未変化体の血清中濃度はすべて検出限界(25pg/mL)以下であった3)
<ローション>
健康成人男子に、ローションをタカルシトールとして40μg単回(n=6)、あるいは80μg/日を5日間(n=6)経皮投与したとき、未変化体の血清中濃度はすべて定量限界(15pg/mL)未満であった4)
16.2 吸収
<軟膏、クリーム>
ヘアレスマウスに主薬を3H標識した軟膏及びクリームを経皮投与(24時間塗布)したとき、両剤の血漿中放射能濃度推移は同様であると考えられた。塗布後24時間以降の血漿中放射能濃度の見かけの半減期は、軟膏で1.34日、クリームで1.18日であった5)
<軟膏、ローション>
ヘアレスマウスに主薬を3H標識した軟膏及びローションを経皮投与(24時間塗布)したとき、ローション塗布群の血漿中放射能濃度は軟膏塗布群に比して低い傾向を示した。塗布後2日以降の見かけの半減期は軟膏で1.20日、ローションで1.46日であった6)
16.3 分布
ラットに主薬を3H標識した軟膏を経皮投与(24時間塗布)したとき、投与部位の皮膚中に未変化体が高濃度に認められた。また、肝臓、小腸組織に比較的高い放射能濃度が認められた7)
16.4 代謝
ラット及びイヌに3H標識したタカルシトール水和物を皮下投与、又はラットに主薬を3H標識した軟膏を経皮投与(24時間塗布)したとき、血漿中には未変化体及び代謝物1α,24(R),25-(OH)3D3が認められた7)8)9)
16.5 排泄
ラット及びイヌに3H標識したタカルシトール水和物を皮下投与したとき、それぞれ10日及び11日までに約15%は尿中に、約80%は糞中に排泄された8)9)
また、ラットに主薬を3H標識した軟膏を単回(24時間塗布)及び7日間反復経皮投与したとき、それぞれ単回塗布後11日及び最終塗布終了後6日までの尿糞中への排泄は約30%であり、皮下投与と同様に糞中排泄が主であった7)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
国内53施設において実施された比較試験を含む臨床試験の有効性判定症例532例において、軟膏・クリーム・ローションの「かなり軽快」以上の有効率は、下表のとおりであった10)11)12)13)14)15)16)17)
乾癬を対象としたプラセボとの比較試験において軟膏の有効性が認められている13)。また、乾癬を対象とした軟膏とクリームとの比較試験において、両剤の有効性は同程度であった15)
疾患名有効率注1)
軟膏注2)クリーム注2)ローション注2)
乾癬80.0%
(256/320)注3)
66.7%
(36/54)
68.7%
(46/67)
76.6%
(338/441)
魚鱗癬71.4%
(15/21)
100%
(16/16)
83.8%
(31/37)
掌蹠膿疱症67.7%
(21/31)
67.7%
(21/31)
掌蹠角化症50.0%
(6/12)
50.0%
(6/12)
毛孔性紅色粃糠疹54.5%
(6/11)
54.5%
(6/11)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
表皮細胞の1α,25-(OH)2D3に特異的なたん白受容体(レセプター)を介し、表皮細胞に対する増殖抑制作用・分化誘導作用により効果を発揮する。
18.2 表皮細胞に対する増殖抑制作用
マウス培養表皮細胞及び正常あるいは乾癬病巣部由来のヒト培養表皮細胞において、タカルシトールはDNA合成及び細胞増殖を抑制した18)19)
TPA(12-O-テトラデカノイルフォルボール-13-アセテート)塗布により細胞増殖を刺激したヘアレスマウスの表皮において、タカルシトールは細胞増殖の指標であるオルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)活性を抑制した。なお、ODC活性の抑制効果において軟膏とクリーム及び軟膏とローションは同等であった20)21)
また、乾癬患者に軟膏を4週間塗布することにより、DNA合成及び細胞分裂が抑制され、S期細胞が減少し表皮細胞の増殖が抑制された22)
18.3 表皮細胞に対する分化誘導作用
マウス培養表皮細胞において、タカルシトールは細胞内不溶性膜(コーニファイドエンベロウプ)の形成を促進し、トランスグルタミナーゼ(TGase)活性を上昇させた18)
ヘアレスマウスの表皮において、TGase活性を上昇させた。なお、TGase活性の上昇作用において、軟膏とクリーム及び軟膏とローションは同等であった20)21)
正常ヒト培養表皮細胞において、タカルシトールは細胞内不溶性膜の前駆たん白質インボルクリンの合成を促進した23)
また、乾癬患者に軟膏を塗布後の病巣部皮膚の電子顕微鏡所見において、角質層のケラチンパターンの形成及びケラトヒヤリンを有する顆粒層の形成など正常な角化傾向が認められた24)
18.4 表皮細胞の1α,25-(OH)2D3に特異的なたん白受容体(レセプター)に対する親和性
マウス及び正常ヒト表皮細胞中のレセプターに対して、タカルシトールは強い親和性を示した18)19)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. タカルシトール水和物

一般的名称 タカルシトール水和物
一般的名称(欧名) Tacalcitol Hydrate
化学名 (1S,3R,5Z,7E,24R)-9,10-Secocholesta-5,7,10(19)-triene-1,3,24-triol monohydrate
分子式 C27H44O3・H2O
分子量 434.65
融点 約100℃
物理化学的性状 白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノール又はエタノール(99.5)に極めて溶けやすく、水にほとんど溶けない。光によって分解する。
KEGG DRUG D01472

20. 取扱い上の注意

<ローション>
プラスチック製瓶入り包装において、外箱開封後は遮光して保存すること。

22. 包装

<ボンアルファ軟膏2μg/g>
10g×10(アルミチューブ入り)
<ボンアルファクリーム2μg/g>
10g×10(アルミチューブ入り)
<ボンアルファローション2μg/g>
10g×10(プラスチック製瓶入り)

23. 主要文献

  1. 西山茂夫ほか, 北里大学皮膚科報告(未発表):安全性確認試験(健康成人、軟膏), (1989)
  2. TV-02軟膏研究会, 西日本皮膚科, 51 (2), 317-24, (1989) »DOI
  3. 西山茂夫ほか, 北里大学皮膚科報告(未発表):安全性確認試験(健康成人、クリーム), (1995)
  4. 入江 伸ほか, 九州臨床薬理クリニック報告(未発表):安全性確認試験(健康成人、ローション), (1997)
  5. 社内報告:薬物動態(ヘアレスマウス、軟膏・クリーム), (1994)
  6. 社内報告:薬物動態(ヘアレスマウス、軟膏・ローション), (1997)
  7. 太田知裕ほか, 薬物動態, 5 (1), 39-52, (1990) »DOI
  8. 太田知裕ほか, 薬物動態, 5 (1), 3-23, (1990) »DOI
  9. 太田知裕ほか, 薬物動態, 5 (1), 63-9, (1990) »DOI
  10. TV-02軟膏研究会, 西日本皮膚科, 51 (5), 963-9, (1989) »DOI
  11. TV-02軟膏研究会, 西日本皮膚科, 51 (5), 970-9, (1989) »DOI
  12. 永江祥之介ほか, 西日本皮膚科, 52 (1), 97-101, (1990) »DOI
  13. TV-02軟膏研究会, 西日本皮膚科, 53 (6), 1252-61, (1991) »DOI
  14. TV-02軟膏研究会, 西日本皮膚科, 51 (6), 1182-9, (1989) »DOI
  15. TV-02クリーム乾癬研究会, 西日本皮膚科, 58 (1), 144-53, (1996) »DOI
  16. TV-02クリーム魚鱗癬研究会, 西日本皮膚科, 58 (1), 154-8, (1996) »DOI
  17. TV-02ローション研究会, 西日本皮膚科, 60 (6), 822-31, (1998) »DOI
  18. Matsunaga T,et al., J Dermatol., 17 (3), 135-42, (1990) »PubMed
  19. Matsumoto K,et al., J Dermatol., 17 (2), 97-103, (1990) »PubMed
  20. Sato H,et al., Dermatology., 192 (3), 233-8, (1996) »PubMed
  21. 佐藤裕明ほか, 応用薬理, 56 (1), 33-40, (1998)
  22. 川原 繁ほか, 日本皮膚科学会雑誌, 99 (13), 1407-8, (1989)
  23. Kobayashi T,et al., J Dermatol., 17 (11), 707-9, (1990) »PubMed
  24. 上田恵一ほか, 皮膚科紀要, 84 (3), 341-58, (1989)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
岩城製薬株式会社 マーケティング部 学術グループ
〒103-8434 東京都中央区日本橋本町4-8-2
電話:03-6626-6251
FAX:03-6626-6261
製品情報問い合わせ先
岩城製薬株式会社 マーケティング部 学術グループ
〒103-8434 東京都中央区日本橋本町4-8-2
電話:03-6626-6251
FAX:03-6626-6261

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
岩城製薬株式会社
東京都中央区日本橋本町4-8-2

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/08/20 版